秘密法人デスメイカー
youngchampion.jp
鰻田まあち『秘密法人デスメイカー』が有り得ないくらい面白くて十年に一度くらいのハマり方をしている。
レンタルでも電子でもなく紙の単行本で漫画を買ったのは本当に久しぶりだ。しかもケルベガスの特典が絶対に欲しかったので出社時間を変更して新宿のメロブに開店凸した。
最新17話もデュアルホーン(42歳)が作中随一の美少女ムーブをかます神回だった。デュアルホーンだけデスメイカーひみつ図鑑(単行本特典)で乳首が解禁されなかったのは、性病キャリアの淫売でも本質的には清楚枠だからなのかもしれない。
ここ美少女すぎ また、最新話はデュアルホーン萌え萌え回と見せかけてそのキャラの本質に迫る新情報が多く開示される重大な回でもあった。進撃の巨人で言うと第42話、ワンピースで言うと第1044話に相当する回を経て、いま一つの仮説が浮上している。
それは「デュアルホーンは本来キメラアントみたいな怪人なのではないか? 」という仮説である。
すなわち怪人としてのデュアルホーンは、現地の生物と交配することで怪人を無尽蔵に産み落とし、落とし子の環境適応と物量によって侵略するタイプの敵ではないかということだ。
補足585:デスメイカーの基本的なモチーフとしては明らかに仮面ライダーシリーズが通底しているが、一応子供向けの仮面ライダーシリーズで改造ではなく出産によってこの手のエグい戦略を取ってくる怪人は思い出せなかった(『HUNTER×HUNTER』にはいた)。仮面ライダーで類似する敵を知っている人がいたら教えてほしい。
デュアルホーンが繁殖に長けた怪人であることは当初から描写されているが、特に過去が語られた最新話でこの仮説を強く裏付ける根拠が多く提示された。
この仮説を採択することによって、今まで単なるギャグと思われていたデュアルホーンの異常な倫理観の欠落に一貫した説明を与えられることを先に予告しておこう。
また、クウガがその仮面の裏に葛藤するヒーローとしての涙を隠していたように、デュアルホーンもまた毒マンコの中に葛藤する怪人としての悲哀を背負っている ことも、この記事を読み終わる頃にははっきりわかるはずだ。
デュアルホーンが無症候性の性病キャリアなのは怪人としての能力ではないか?
まずは最新話で新たに判明した事実を整理するところから始めよう。
それはデュアルホーンが性病を撒き散らしていた理由についてだ。性病持ちが発覚した第9話の段階ではパスフィンが「ビッチ」と指摘していたように「性病を気にせずゆきずりの男と寝まくる淫売だから」という説が有力だったが、最新話では「無症候性の性病キャリアだから 」という説が正しいことが判明した。少なくともヘルベルゼの感染理由はそれで確定している。
補足586:無症候性キャリアとは、自らには症状が現れないまま病原体を保有した感染源のこと(不顕性感染者、健康保菌者とも)。本人がキャリアであることを自覚できないため感染を拡大しやすく、「チフスのメアリー」が最も有名な事例として知られている。
最新話で初めて描写されたデュアルホーンからヘルベルゼへの純愛ぶりから察するに、当時のデュアルホーンが無秩序に性病を貰ってくるほど股が緩かったとは考えにくい。よしんばヘルベルゼとの交際以前に性病に罹っていたとしても、愛するヘルベルゼへの感染を避けるためには治療や我慢も厭わなかっただろう。
ヘルベルゼが性病について「きみ自身も知らなかった事だ 」とはっきり述べていることも無症候性キャリア説を後押しする。デュアルホーンは性病の兆候を見落としたり放置したりしたのではなく、知り得るタイミングがそもそも存在しなかったのだ。
マジで可愛い42歳 補足587:ついでに言えば、その他の犠牲者たちに対しても必ずしもデュアルホーンが意図して性病を拡散したわけではない可能性がある。相手の意志を無視した逆レイプまではしたとしても、そのときデュアルホーン自身に性病キャリアの自覚があったとまでは言えないということだ。一般に不顕性感染の自覚は難しく、ヘルベルゼの死後も発覚までにはタイムラグがあったとしてもおかしくはない。また、一見するとあらゆる倫理観を欠いているようにも見えるデュアルホーンだが、よく見ると積極的に強く当たる相手は自らが生み出した子供に限られている(その理由もあとで詳しく掘り下げる)。よって怪人仲間に対してまで「一時の快楽のために性病をうつして殺してもいい」とまで思っていたかどうかには疑問が残る。
なお、デュアルホーンが媒介している性病は「全身に斑点が出る」「致死率が高い」という二点から恐らく梅毒かHIV(怪人版の梅毒かHIVみたいなもの)と思われる。
それらが不顕性感染を起こす頻度については諸説あるようだが、20年という十分な期間が経過した現在でもデュアルホーンはいずれも発症していないことに加えて、自らの発症については一切言及していない点は注目に値する。
常識的に考えれば、性交した男たちが軒並み同じ性病で死亡したとなれば、まだ顕性の症状が出ていないとはいえ自身の潜在的な感染状況くらいは大いに気になりそうなものだ。
デュアルホーンが完全な無症候性キャリアであったことも併せて考えると、ここに一つのアイデアが浮かび上がってくる。デュアルホーンはたまたま性病を発症しなかったのではなく、そもそも容易に性病を媒介するような能力を持っているのではないか。
つまりデュアルホーンが無症候性の性病キャリアなのは、単なる一つの病状ではなく、彼女の怪人としての能力に属するのではないか 。
デュアルホーンは繁殖型の侵略に特化した怪人ではないか?
性病キャリアとしてのデュアルホーンについて深く掘り下げる前に、まず彼女が持つ繁殖絡みの基本能力について再確認しておこう。
何これ デュアルホーンはギャグ描写に偽装した異常な方法で怪人の子供を何匹も産み落としており、作中から確認できる限りでは概ね以下のような仕様になっている。
なお、これらは怪人一般の出産様式ではなく、デュアルホーンまたはデュアルホーンの種族に限ったものと思われる(詳しくは後述)。
■任意のタイミングで出産できる
デュアルホーンの性交から出産までには少なくとも20年以上のラグがある。精子か受精卵あたりを体内で長期保管できるのかもしれない。
■性交相手の形質を受け継いだ子供を産む
怪人の個体差が本質的に異種族なのか遺伝形質レベルなのかは不明だが、どの子供たちも父親の形質を強く持つことは間違いない。
■成体の状態で出産する
そもそも怪人に子供時代が存在するのかどうか不明だが(怪人の子供時代のような描写もまだない)、少なくともデュアルホーンの子供は出産時点から成体である。
■出産コストが排便並に低い
肛門を用いて種の形で出産するため成体を産む割には母体への負担が小さい。ちなみに作中での申告を総合すると、デュアルホーンは膣で性交して肛門から出産しているようだ。
■多産である
作中でも短期間に何度も怪人を産んでいるが、仮に本気になれば排便ペース(1日2回)での出産が可能だとすれば、人間の出産ペース(280日に1回)の約560倍という驚異的なレートになる。
以上から、デュアルホーンは繁殖が極めて低コストかつ柔軟な性質を兼ね揃えている ことがわかる。
特に彼女が怪人であることを踏まえて、繁殖が侵略に直結することを念頭に置くと、これらの仕様の全てが莫大な強みとして解釈できる。
■任意のタイミングで出産できる →性交や出産の時間と場所を整える必要がない
■性交相手の形質を受け継いだ子供を産む →環境に即応した個体を産出できる
■成体の状態で出産する →育成コストがかからない
■出産コストが排便並に低い →繁殖にリスクを伴わない
■多産である →侵略ペースが早い
こうして見ると、ギャグ描写のように思われた肛門からの出産が侵略者としては悍ましいほどの合理性を有している ことがわかる。時と場所を問わずに排便並のコスト感とスピード感で成体の子供を無限に産み落としてくる敵は、相対する側からすれば悪夢としか言いようがない。
また、攻撃力があまり高くない代わりに耐久に全振りしているステータスも強力な繁殖能力に噛み合っている。無尽蔵に怪人を製造し続ける母体は侵略の生命線であり、そこさえ死ななければ何度でも立て直せる。
第16話では「頑強さだけなら怪人王のジジイにも匹敵する」「電撃や肉体分離が何だ!!」と啖呵を切っており、細い見た目の割にジュマンコの四肢切断程度は耐えられるほど頑丈であることが示されている。「死なない」という一点にかけては怪人の中でも最上位クラスであると思われ、第13話では1000年以上の寿命を持つ長命であることも明らかになっている。
つよそう ここに来て、先ほど確認した「無症候性の性病キャリア」という特性にも一定の合理性が見えてくる。
今のところデュアルホーンのセックス遍歴は怪人界内部に限られているようだが、怪人として侵略を遂行する際には自軍というよりは敵地での性交によって種を出産する方がより効果的なはず だ。何故なら「性交相手の形質を強く受け継いだ子供を成体の状態で出産できる」という特性により、現地の環境に即応した怪人を量産できるからだ。
物量に物を言わせた繁殖戦略において最も警戒すべきは、全体に共通する弱点を突かれて全滅してしまうことだ。例えば、遺伝的に単一のまま繁殖してしまった種がたった一つの感染症や環境変化によって全滅した事例は人類史上で枚挙に暇がない(新パナマ病によるバナナの壊滅など)。裏を返せば、既に環境に適応した現地生物の形質をそのまま奪えるならばそのリスクを排除できるということでもある。
つまり怪人デュアルホーンの最強の動き方とは、超耐久と魅力的な外見を活かして現地で回収した種を使って出産を繰り返すこと なのだ。
ここで一つの考えが浮かぶ。
現地で接触して性交した敵性存在には、そのまま死んでもらった方が効率が良いのではないか? それもなるべく被害を拡大しやすい感染症のような死因で。まさにその通りだ。
だからデュアルホーンは無症候性の性病キャリアでもあり、一回の性交で種の回収と病気の拡散を同時に行うことができる のだ。性交した敵を性病で死亡させると共に、自らはその種を用いて軍団を増やしていく。怪人としての特性を考えると、恐ろしいほどの合理性の下で全ての要素が噛み合っていく。
補足588:怪人が侵略する仮想敵は最も安直に考えれば人間だが、作中ではあまり描写がないので現状なんとも言えない。第6話では怪人王が人間と平和的な関係を結びたいと語っているが、それは裏を返せば平和を強く押し出さなければ敵対してもおかしくないということでもあるのかもしれない。ちなみに同じ会話の中で怪人王は「怪人は人間を一方的に認識している」と語っているが、第5話ではデュアルホーンも知らないところでコオロギ大帝なる怪人が人間社会に紛れ込んでいたり、単行本オマケ漫画ではデュアルホーンがハエオムライスに人間に見つかると実験動物にされる旨を語っていたりと、一定の相互干渉は存在しているようだ。
デュアルホーンの倫理観が終わっているのはr戦略者だからではないか?
怪人としての挙動を踏まえると、繁殖主体としてのデュアルホーンは本質的にr戦略者である ことがわかる。
「r戦略」とは生物学用語で、虫や魚によく見られる繁殖戦略を指す。生存レートが低いことを前提にして大量に子供を作ることでいくつかは生き残ることを狙う、いわば「数撃ちゃ当たる」方式のことだ。
これと対になるのは「K戦略」であり、逆に少数の子供を産んで大切に育てることで生存レートを高く保つ戦略だ。人類を筆頭に哺乳類全般はK戦略を取ることが知られている。
この軸を用いてデュアルホーンの繁殖戦略を見たとき、強みが育成というよりは多産にあることは明らかだ。シュブ=ニグラスのようにとにかく大量の子供を産み落として、自分で育てるよりは勝手に生き残ることを期待すべき能力を持っている。
怪人としてのデュアルホーンが本能的にr戦略を採択しているのだとすれば、子供たちの生命に対して異常にドライなことにも辻褄が合う。r戦略者であるデュアルホーンは子供に関心を持たないことが生態レベルで既に決まっている のだ。
これはデュアルホーンの性格というよりは、怪人としての本質からして当然の挙動である。r戦略者は多産と放置によって繁殖を目指すのであり、K戦略者のように子供を丁寧に育成する思想ではない。ゴキブリが産み落としたタマゴをいちいち気にすることはないのだ。
この生態学的な説明によって、デュアルホーンがヘルベルゼやしんとちゃんに対しては一転してかなり愛情深い振る舞いを見せることも整合的に解釈できるようになる。
倫理観が欠如する理由がr戦略者であることに由来しているのならばドライに接するのは子供に対してのみであり、逆に子供以外に対してはデュアルホーンが本来持っている愛情がちゃんと機能するのだ。
実際、デュアルホーンは(子供たちとの接点が多いからカスに見えやすいだけで)子供たち以外に対してはお節介なほど善良な挙動を見せることが少なくない。第5話では路上で見つけた少年を保護しているし、第12話では(子供たちの皆殺しを試みる割には)しんとちゃんや鳩家を殺す選択肢は最初から一切想定していないし、第15話では話を聞かない鳩家を守るために武器を持ち戦う気概すら見せている。
また子供たち以外の怪人と交流する数少ないシーンをよく見ても、実は子供たちに対するほど当たりが強いわけでもない。フレングラスがかつての学友であることに気付いたときには満面の明るい表情を見せるなど、怪人一般とは人並みの交友関係を築いているようだ。
子供には向けない輝き
デュアルホーンは自分の能力を自覚していなかったのではないか?
さて、ここまで怪人としてのデュアルホーンの能力を解き明かしてきたが、本編開始時点ではデュアルホーンは自らの能力についてほとんど認識していなかった らしいことについて確認しておきたい。
つまり侵略に特化した繁殖能力は単に「先天的にそういう生き物である」というだけの話で、彼女自身が望んでそのような能力を習得したわけでは恐らくない。概ね平和そうな時代においては用途に乏しい残滓があるに過ぎないのだ。
貴重なε口 第1話でデュアルホーンは「怪人の作り方 入門編」というマニュアルを読んで出産に望んでおり、口ぶりからも種を産むのはこれが初めてのようだ。意外なことにハエオムライスを産む前はまだr戦略者としての抵抗感も自覚しておらず、(必要に迫られて産んでいる二回目以降と違って)一回目だけは「やるだけやってみますか」と前向きな姿勢を見せていたりもする。
ただし、デュアルホーンの繁殖方法は怪人の中でも恐らく一般的なものではない。それは他の怪人たちの発言から窺える。
・第6話では怪人王が「(子供)1人につき20万仕送り増やしてる」と語っている
・第13話ではケルベガス父が「生前孕ませた100人の女は間違いなく全員堕ろさせた」と語っている(任意のタイミングで肛門から出産できるデュアルホーンに堕胎の概念はない)
・第17話ではヘルベルゼが子供たちにいわゆる父親らしいメッセージを送っている
つまり他の怪人はK戦略者の発想で子育てを語っていたり、肛門から種を産むのではなく子宮で胎児を育成したりするなど、ほぼ人間と同じ世界観で繁殖を行っていることがわかる。
このことからも、デュアルホーンの異常な出産様式は怪人一般のものというよりは怪人としての能力に属することが推察される。フレングラスが体毛を生やす能力の使用時に「私の能力を忘れたとは言わせんぞ」と述べているあたり、そこそこ格の高い怪人にはそれぞれ固有の能力があって、デュアルホーンの場合はキメラアント能力がそれに該当するのだろう。
補足589:もし怪人界にいた頃はキメラアント能力を意識していなかったのだとすれば、性病耐性も含めた異様な頑強さを固有能力だと認識していたのかもしれない。
補足590:デュアルホーンの繁殖が固有能力の割にはマニュアルが存在していることに若干の矛盾を感じないこともないが、恐らくキメラアント能力を持っているのはデュアルホーンただ一人というわけでもなく、種族等のクラスタ単位で同様に保有している能力なのだろう。デュアルホーンがわざわざ怪人界から持ってきたマニュアルであるあたり、自分にマッチするものを選んできたと考えれば違和感はない。
このように本編開始時点でデュアルホーンが自らのキメラアント能力及びr戦略者であることをあまり自覚していなかったとすれば、「自分が実の子供を愛せない」という事実も本編進行と共に初めて認識した ことになるだろう。
デュアルホーンは本当は子供たちを愛したいのではないか?
そして、「自分が実の子供を愛せない」ということはデュアルホーン自身にとってもかなり意外だった可能性が高い 。
何故なら、本編が始まる前までデュアルホーンはしんとちゃんを赤子から成人に至るまで大切に育てていたからだ。
しかもデュアルホーンが人間界に来たのが20年前、しんとちゃんの年齢もちょうど20歳という一致がある。つまりデュアルホーンが人間界に来てまず行ったことは子供の誘拐であり、人間界にいる間はずっと子供を育てながら暮らしてきたのだ。入手手段に多少の問題があったといはいえ、これが子供大好きな母性でなければ一体なんだというのだろう?
つまり本来の純粋な性格としては(他人の)子供を深く愛せるのに、怪人としての特性によって実の子供に限ってはどうしても愛せない 。そういうメチャクチャな母性の捻れを抱えたキャラクターが怪人能力を踏まえたデュアルホーンなのだ。
この捻れを踏まえると、最新話において一つ興味深い描写があることに気付く。
デュアルホーンがヘルベルゼに対して子供たち全員をヘルベルゼとの自慢の子供と偽って紹介するシーンがそれだ。
大事な子供(嘘) 本当はしんとちゃん以外はいつ死んでもいい程度の存在なのだが、ヘルベルゼの前ではケルベガスに15万円を支払ってまでそれを隠そうとしている。つまりデュアルホーンは愛の結晶としての子供たちをヘルベルゼに見せることが最大の愛情表現であり、実の子供を立派に育てることが夫婦の幸福なのだと少なくとも頭では完璧に理解している のだ。それがわかっていなければこの行動は絶対に取らない。
しかし、デュアルホーンの怪人としての本能はそんな理想を容易に打ち砕いていく。
ヘルベルゼへの思いは本物で、子供を愛すべきだということまで頭ではわかっているのに、本能的にr戦略者であるせいで実の子供たちを愛することだけはどうしてもできない。「r戦略者の母」という矛盾こそがデュアルホーンが毒マンコの中に抱えた悲哀 である。
そんな凄まじい葛藤を抱えて生きている中で、しんとちゃんから「娘」というジョーカーを切られたときの異常な狼狽えぶりには察するに余りあるものがある。
ウィークポイント このように矛盾した内面を踏まえれば、デュアルホーンが抱えている「オートアサシノフィリア(自己暗殺性愛)」という性的倒錯も容易に理解できる。
子供を愛しているのに愛せないし死んでほしい、それでも彼女にとっての愛情表現が辛うじて有り得るとしたら、もはや子供への殺意を以て愛とするしかないだろう。愛の形が怪人としての生態レベルで最初からそのように決まっていたのだとしたら?
殺意こそ自分が実の子供に向けられる唯一の愛情表現であり、その裏返しで自分に向けられる殺意を最大の愛と見做してしまう 。だからデュアルホーンは自らが殺される妄想でオナニーするのだ。第1話の導入以降はオートアサシノフィリアの描写があまり見られなくなるのも、彼女にとっては子供たちと暮らすことと自分が殺されることに全く同根の葛藤が含まれているからなのかもしれない。
愛と繁殖のジレンマに囚われた悲しき女怪人、デュアルホーン。来週以降も楽しみにしています。