LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

99/99/99 LWのサイゼリヤにようこそ

オタクのブログです。

/* メモ
トップ記事更新:26/8/2
2020年4月以降の記事は全部載せたがそれ以前の記事は絞っている
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■『不・死亡遊戯の成れの果て』掲載中

デスゲームの参加者が全員不死者だった回。

www.alphapolis.co.jp

 

■アニメ・映画感想
超かぐや姫!
わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)
ボーはおそれている
16bitセンセーション
君たちはどう生きるか
★ぼっち・ざ・ろっく
★リコリス・リコイル
ウマ娘 プリティーダービー Season2
★劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
★シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇
Re:ゼロから始める異世界生活(第2期前半)
遊戯王ZEXAL
仮面ライダー555
傷物語
ウォッチメン
プリンセスコネクト!Re:Dive
遊戯王5D's
PSYCHO-PASS
アキハバラ電脳組
ソードアートオンライン
バットマンvsスーパーマン
マギアレコード
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
アズールレーン
劇場版ハイスクールフリート
異種族レビュアーズ
★パラサイト 半地下の家族
ドラえもん のび太と鉄人兵団
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)
Re:ゼロから始める異世界生活(第1期)
オーバーロード
グランベルム前
ジョーカー
トイ・ストーリー4
遊戯王ARC-V
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?
魔法少女なのはストライカーズ
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
★遊戯王GX
八月のシンデレラナイン
バーチャルさんはみている
輪るピングドラム

■漫画・ラノベ・ゲーム感想
カオスゼロナイトメア
ステラソラ
魔法少女ノ魔女裁判
★秘密法人デスメイカー
ウソツキ!ゴクオーくん
★呪術廻戦
バリ山行・サンショウウオの四十九日
暗号学園のいろは
バトゥーキ・嘘喰い
★ダンジョン飯
鉄鍋のジャン
死亡遊戯で飯を食う。
★東京卍リベンジャーズ
進撃の巨人
二月の勝者
がっこうぐらし
サムライ8
進撃の巨人
ワールドトリガー前
ワンピース

■お題箱
181/182/183/184/185/186/縮小/187/188/189/190/
171/172/173/174/175/176/177/178/179/180/
161/162/163/164/165/166/167/168/169/170/
151/152/153/154/155/156/157/158/159/160/
141/142/143/144/145/146/147/148/149/150/
131/132/133/134/135/136/137/138/139/140/
121/122/123/124/125/126/127/128/129/130/
111/112/113/114/115/116/117/118/119/120/
101/102/103/104/105/106/107/108/109/110/
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61/62/63/64/65/66/67/68/69/70/

■消費コンテンツ
2026年 1/2/3/4~5/6/7/8/9/10/11/12/
2025年 1/2~3/4~6/7/8/9/10~12/
2024年 2~3/4/5~6/7/8~9/10~11/12/
2023年 1/2/3/4~6/7~9/10~翌1/
2022年 1~2/3~4/5/6~8/9~11/12/
2021年 1/2/3/4/5/6/7/8~9/10~12/売却コンテンツ12/
2020年 4/5/6/7/8/9/10/11/12/2020春アニメ12/2020秋アニメ/

■創作
不・死亡遊戯の成れの果て(のれのて)』解説
魔法少女七周忌♡うるかリユニオン(うるユニ)』あとがき
席には限りがございます!(にはりが)』解説大反省会1大反省会2
ゲーミング自殺、16連射アルマゲドン(ゲーマゲ)』解説
皇白花には蛆が憑いている(すめうじ)』解説
Vだけど、Vじゃない!(VV)』

■サイゼミ
1/2/3/4/5前/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/

■人生の現在地
1.仕事/2.結婚/3.ソシャゲ/4.一人暮らし/5.創作/6.老害/7.健康////

■理系トピックス
★キヴォトスではガチャを期待値で語るのは恥ずかしいことなんだよ
データサイエンティストこそ質的研究を学ぶべきだ
情報処理安全確保支援士(旧セキスペ)合格体験記
岡留剛『深層学習 生成AIの基礎』感想 ニューラルネットも平成から令和へ!
スピリチュアルに負けないために学び直す量子力学
★タネンバウムの『コンピュータネットワーク』を読んでワンランク上の現代人になった
ソシャゲのデータサイエンスというのはガチャの排出率を考えることではなくて……
ひろゆきと親しむ身近な因果推論
データサイエンティスト業務用リハビリ書籍感想
★データサイエンス系資格だいたい全部取った
データサイエンスエキスパート攻略
『入門 統計的因果推論(Judea Pearl)』メモ
統計検定1級とかいうゲームに勝利した
複雑ネットワーク科学入門書籍の感想
竹村彰通『新装改訂版 現代数理統計学』の感想
ポインタと確定記述、変数名と固有名のアナロジーについて
機械学習入門書籍レビュー

■その他
曖昧な食欲で福岡~鹿児島を巡った3泊4日
【help me】異性の友人を募集します異性の友人を募集して1ヶ月で15人会った
俺が考えた最強の本の読み方 最強読書趣味攻略
センター世代も共通テストを解け2026
2025年良かった歌い手・Vsinger・Vtuberソング:6文脈+11選+α
★社会人プレデター帯では退職間際に人を褒めまくるムーブが強い
名前だけ知ってるカードゲーム体験会(ゴシドラ夏合宿レポ)
★野矢茂樹『新版 論理トレーニング』 Twitterの見るに堪えない議論を越えろ
小林哲夫『筑駒の研究』を筑駒OBが読む
観光地を完全無視して秋田~青森~函館を巡る5泊6日
★美大芸大の卒展巡りにハマったから良かった作品を紹介するぜ
2024年らへんに買ったりして良かった寄りのもの約10選
冬合宿でプレイしたカード・ボードゲーム初見レビュー
ここ最近のデスゲーム系ラノベを10冊読んだ
★東大卒無職のTwitter就活記
カードゲーム『CROSS GEAR』紹介/解説1234
★マジでカードゲーム強い人たちにマジで強くなる方法聞いてきた
2023年買って良かったもの
★「生成AIの『学習』は学術用語だ」ということをそろそろちゃんと説明した方がいい
2023俺が選ぶ歌い手ベスト10
★就活に苦しむインテリの学生に社会の真実を教える
★『粛聖!!ロリ神レクイエム☆』はロリコンソングではありません
中学生ぶりにラノベ熱が再燃したので女性主人公ラノベレビュー12
「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん
1秒もプレイしてないNIKKEキャラデザ真剣評価
重い腰を上げて10年前に積んだ女性主人公ラノベ83冊を崩した1234
AI挿絵付きWeb小説を投稿し始めて2ヶ月経った話
★君はAI創作の最前線にして最底辺「AI拓也」を知っているか
プランナー目線の生成AI妥協論
何故AIにはイラストを発注できないのか?
★小二で全国模試一位を取った男の半生延長戦
人生で初めて歌ってみたに激ハマりしてる話
2021年買ってよかったもの
白上フブキは存在し、かつ、狐であるのか:Vtuberの存在論と意味論延長戦
ゲートルーラーは「本物」かもしれない
表紙が三枚あるノートを特注した話
ロラン・バルト『物語の構造分析』メモ 構造分析vsテクスト分析
プライムデーセールでKindle端末を買うべきか?
『Vだけど、Vじゃない!』:Vtuberはどこにいるのか?
ダブルマスターズドラフト攻略
倫理は永井均しか勝たない
ポストモダニズムから資本主義リアリズムまでの間に何があった!?
『リアリティーショーを批判しているオタクもVTuber見てんじゃん』を受けて
ハッシュタグの氾濫、メタ政治性を巡る闘争
100日後に死ぬワニはなぜ失敗したのか
オタクの中韓コンテンツ張り
『ダンベル何キロ持てる?』を見たオタクが3ヶ月筋トレした結果……
日本興行収入上位映画100本を見た感想
実用系アニメのポテンシャルを評価せよ
ガチャを叩く時代は終わった

26/8/22 2026年7月消費コンテンツ

チャリ圏内のTSUTAYAに漫画を借りに行く行動がアンロックされて漫画をけっこう読んだ。

メディア別リスト

漫画(51冊)

呪術廻戦≡(全3巻)
シャーマンキングゼロ(全2巻)
シャーマンキングフラワーズ(全6巻)
からくりサーカス(文庫版・全22巻)
怪獣8号(全18巻)

書籍(1冊)

生成AIデザインパターン

アニメ(12話)

一畳間まんきつ暮らし!(全12話)

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

(特になし)

消費して良かったコンテンツ

呪術廻戦≡
からくりサーカス
生成AIデザインパターン

消費して損はなかったコンテンツ

シャーマンキングフラワーズ
一畳間まんきつ暮らし!

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

シャーマンキングゼロ

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

怪獣8号

ピックアップ

呪術廻戦≡

本編がかなり面白かったので読み、概ね期待通り面白かった。
単なる続編ではなく設定を色々翻案しているのが特徴的。一気に宇宙まで舞台が広がったことで呪霊や呪術にまた別の意味づけが与えられており、単なるキャラや技のマイナーチェンジではなく世界そのものを新鮮な気持ちで見られるのは嬉しい。

それに対応して、作中のテーマもほとんど真逆になっている。
感想記事に書いた通り(→)、本編ではどこまでも主観的な物の見え方としての領域展開や呪術が描かれており、特に敵である呪いとは最後まで決して分かり合えなかった。
一方、モジュロでは一転して宇宙人との共生を根本的なテーマとしている。これは邪推だが、共生を描く対象が(架空の)外国だとちょっと風刺っぽいリアリティが出すぎるので宇宙人というフィクションで対応した事情もありそうな気はする。

伴って、本編では米軍周りでチラッと出てきてよくわからないまま終わった呪霊絡みの国際政治要素が改めて導入されている。
安保条約と言うと、現実では日本をアメリカの庇護下という不利な立場に置いた印象が強いが、モジュロ作中では(面倒事を押し付けられたという背景はありつつも)日本だけが呪霊に関して国際的に優越するという、逆に強者側の立場に導くファクターとして描かれている。
当初は未知の強者っぽく描かれていたシムリア星人も、実は哀れな難民であって日本を豊かな強者と見ていることが発覚していく。バトル漫画としての実際の(?)パワーバランスはともかくとして、少なくとも強者側として折衝を進めていく上では焦点は暴力というよりは思想にならざるを得ず、これによって微妙な調整が色々描かれることになる。

ただ、そういう政治的な背景事情は設定としてはかなり魅力的な一方、ストーリー上でそこまで面白く機能していたとはあまり思えないところもある。
呪霊設定を利用して宗教的な信条という対立軸を導入するギミックは非常に上手いと思ったが、しかし呪霊を用いたが故に対立の解消もファンタジー設定レベルの話に留まってしまった。
現実において宗教的な信条が争点になった際に厄介なのは、解消や譲歩の糸口が乏しいことにある。宗教的なルールは宗教コミュニティ内に閉じた論理であり現実の事象への対応を持たないため、外部から変更や検討を行う余地があまり存在しないのだ(ルールが現実と対応する自然科学なら外部からでも物理実験とかを行うことでルールを変更できるが、宗教的な信条に対してそのような操作は原則無効であるということ)。
その点、この作品内では「魂の色」のような高度に宗教的な要素もノンフィクションとして干渉可能であるために突破口がある。干渉可能なのであればそれはやはり宗教というよりは科学に近いような気はする(となると共生というよりは啓蒙では?)。

また、結局この作品でズバ抜けて一番面白いのが(共生を探って頑張るパートではなく)どう考えてもダブラvs摩虎羅であることには少年漫画の限界も感じないこともない。
皆好きなところだと思うが、地球人では発話不可能なダスクンテ族にのみ伝わる████、そして地球外の術式に適応する摩虎羅のブチ上がりはすごすぎた。やっぱり少年漫画って共生してるより衝突してる方が面白くない?
ダブラが初めて己の知らない側面と向き合うことで領域展開に至る流れもやはり本編の自閉的な論理を踏まえたものではある。が、それによって他者を理解して族長になる展開に繋がっていると解釈すればややモジュロ的と言えないこともない。

あと最終巻のあとがきで芥見が作画担当を分けた理由に「自分が描くとキャラの顔が似ちゃうのが嫌」という純粋に図画上の理由をあげていたことにはビックリした。漫画家がそれ気にすることある?

シャーマンキングフラワーズ

シャーマンキング無印は世代だし好きだったので続編を読んだが、かなり面白くなかった!

よくわからない主人公によくわからない敵が襲ってくるよくわからないパートが無限に繰り返され、結局何が起きているのかもよくわからないまま全てが宙吊りでダラダラ続いていく。その割にはバトルパートも初見の技がぶつかり合うだけの必殺技披露会で論点がわからず特に面白くない。
呪術廻戦≡の直後に読んだのがやや体験を悪くしている気もする。うっすら宗教モチーフの少年バトル漫画が被っていてこちらの方が分が悪い。

とはいえまだシャーマンファイト本戦に向けたチーム結成パートだから面白くないだけかもしれず、ここから面白くなりそうな雰囲気はけっこうある。
特に中盤から出てきた資本主義の神ヤービスはあまりにも面白そうすぎる。露骨にプロビデンスの目(フリーメイソン)をモチーフとしている彼は資金を元手にほとんど何でもできる無法な能力を備えており、この作品に通底する宗教的な世界観へのカウンターとしての貨幣信仰はあまりにも強度が高い。前作でもガンダーラやアイアンメイデンジャンヌが出てきて宗教色と思想が強くなってきたあたりが一番面白かったので、気が向いたらスーパースターも読みたい。

あと絵は相変わらず唯一無二で素晴らしいもの。たまお25歳のビジュアルがエグすぎるし、リゼルグやウルティモから続く耽美な美少年のラインも元気。

ちなみにシャーマンキングゼロはまあよくある感じの前日譚で可も不可もなかった。チョコラブが弄られるところだけはけっこう面白かった。

からくりサーカス

昔途中まで読んで止まっていたのを改めて最初から全部読んだ。
今回読んでいて判明したことには、昔読んだときは黒賀村編がおもんなさすぎてそこで脱落していたらしい。今回もそこだけかなり厳しかったので当時としてもやむを得ない判断だった。

黒賀村編以外は全てかなり面白かった。
3代以上に及ぶ世代交代を渡る長大なストーリーはさすがに圧巻。俺は漫画を読むとき誰が誰かすぐわからなくなってしまうので相関図をメモしながら読むのだが、後からどんどん衝撃の関係が追加されて異常な入り組み方の図が完成した。


ネタバレ画像を表示

異常相関図


こういう長大なストーリーを編むこと自体というよりは、長大なストーリーが回想中心で展開する割にはどうでもよくならないことの方がすごいような気がする。
読者からすると、漫画の筋を追うのは別に歴史を把握するためではなく眼前のイベントを楽しむためであるから、もう終わっている過去の話は基本的にはどうでもいい話だ。そこで興味を繋ぎ止めるには現在のお話に関心を接続し続けなければならず、例えば現在重要なキャラや現在生じている大きな謎のポイントを過去パートで描いたりする必要がある。
例えばアンジェリーナとフランシーヌ人形のエピソードは初期からずっと登場しているギィが冷酷なしろがねから優しいマザコンに心変わりする重要なポイントでもあり、そこで現在との接点が生きていた。
そういう構成の巧みさは人間のポジティブな変化を描くのがうまいことに支えられてもいる。ロバートマッキーも言っていたように、嘘に従って生きていた人が本当のことを理解して犠牲を払いながらもそれに邁進する様子は魅力的なものだ。この変化を過去のエピソードに入れてしまえば、現在との接点を作ったうえでむしろキャラを強化するギミックになる。

テーマに対する設定のディテールもよく出来ており、特にからくりと錬金術は全く無関係に見えて実は同質かつ対極でもあるという洞察には舌を巻いた。
からくりは命を持たないが故に命を求めて生命を模倣し続ける空虚な存在である一方、錬金術は逆に永遠の命を目指してしろがねたちを長命にしたり記憶を通じて生命を受け継いだりする。しかし生命を持たないものと半永久的に持ち続けるものはいずれも変化しない静的な状態に陥るという点ではむしろ同質の性質を持つとも言えるし、更に押し進めれば、満たされないが故に飽くなき探求によって変わり続ける自動人形と、少なくとも生命としては満たされて長い寿命の中で摩耗していくしろがねという逆方向の対立を導くこともできる。
そういう陰陽魚の論理による多義的な解釈が可能なことによって、最古の四人のように自動人形こそがむしろ変化を続けて真の感情に到達したり、しろがねの方こそ感情を欠落させて冷酷な振る舞いに走ったりと目まぐるしい変化や皮肉を描くことが可能になっている。

補足678:比較的どうでもいいツッコミなので補足に回すが、白金が勝に対して試みた「転送」の設定だけはイマイチだったと思っている(白金からフェイスレスに転移したときみたいに素直に生命の水設定を使うべきじゃなかった?)。常識的に考えて、勝の脳内を書き換えて実現する白金の人格とは「白金本人とは異なる白金のコピー」でしかないはずで、それを白金が良しとする理由がわからない。白金は思想ではなく自我に準ずるタイプの悪役なので、どれだけ自分に似ていようが自分でなければダメだろう。

怪獣8号

めちゃめちゃ面白くなく、面白くなかったというツイートが妙に伸びた。 Xではどんなツイートも一定以上伸びたらボコボコにされる運命にあるが、これはほぼ叩かれず同意だけが集まり続けて異様だった。

たまたま疑問形のツイートが伸びたことでそれぞれが持つ答えがリプライや引用で大量に集まってきたのだが、今でもクリアな答えをあまり出せていない。

前提、「どうすれば面白くなったか」と「どうして面白くないのか」は微妙に違う問いなので切り分けた方がいいと思う。
例えば「怪獣解体作業を続けていた方が良かった」とか「敵が怪獣9号から切り替わるべきだった」というリプライは非常に多く、確かにそれはそうなのだが、それは「どうすれば面白くなったか」であって「どうして面白くないのか」ではない。あらゆるつまらない漫画は来週から冨樫義博が代筆することにして念能力を導入すればかなり面白くなると思うが、それは元々面白くなかった理由とはあまり関係がない。

そう思って怪獣8号はなぜつまらないのかを虚心に眺めたとき、ここまで面白くないことはなさそう(なのに実際に読むとなぜかこんなに面白くない)ということに本物の関心がある。
エピソード単位で要約して口に出してみるとどの話もけっこう面白そうに聞こえるのだ。例えば伊春とレノがお互いに影響を及ぼし合ってレノに続いて伊春が覚醒する流れとか、保科が敵側であるはずの怪獣と凸凹なタッグを組む流れとか、ちゃんと整理して聞けば「え、面白そうじゃない?」と感じる。少なくとも何も起きないタイプの面白くなさではない。
また、積極的かつ明確に悪いところもそんなにないと思う。つまり意味不明だったり不愉快だったりであからさまにヘイトを集めるキャラや要素もあまり思いつかない。例えば怪獣9号は決して面白い敵ではないが、それでも怪獣9号が出てくるだけで不愉快だから読みたくないという人もあまりいないと思う。

何も起きていないわけではないし、積極的に悪いところがあるわけでもないのに全然面白くないとなると、やっぱりリプライでも大量に寄せられた「薄い」という消極的な理由しか思いつかない。
キャラも展開も想定の範囲内でしか動かず、良い意味でも悪い意味でも読者の期待を裏切ることが特にない。それが全てに響いており、例えば戦闘パートにおける強さが適合率という定量値に依存しているせいで、戦闘の顛末がその数値を動かすキャラの精神的な成長のみに帰着されてしまうため、アクションをしているようで特にしておらず、薄いキャラ造形に全てが帰されてしまう立て付けが辛かった。

質的な何かをミスっているのではなく、量的に練りが足りないだけでここまで面白くなくなる漫画をあんまり思いつかないのでそれを見られたのは良かったと思う。特に最終巻で作者が「キャラが勝手に動いたので楽だった」みたいなことを言っていて、それが面白くなくなる方向に作用するパターンもあるんだというのは知見だった。

補足679:知り合いの有識者曰く、コロナ禍ではふだんあまりエンタメに触れないユーザー層が自宅待機を余儀なくされて漫画を読んだりしていたため、あまり品質の高くない漫画が評価されやすいボーナスタイムがあり、その中の一作でもあるらしい。

一畳間まんきつ暮らし!

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  • クロックワークス(The Klock Worx)
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純正きららアニメを見るのは10年ぶりくらいかと思ったが、冷静に確認したらぼっちざろっくもまちカドまぞくも見ていたので全然そんなではなかった。
ただこれだけプリミティブな日常系アニメを見たのが久しぶりなのは間違いない。イベントっぽいものが発生したりしなかったりしつつ各キャラが薄いノルマをこなしているだけで終わっていく感じが懐かしすぎる。

別に面白くはないが好きな萌えキャラが一人いるからギリギリ耐えられるのも懐かしい感じだ。たまに悪い顔をするという一点だけで白いガキがかなり好きだった。安直なキャラ造形が刺さるときもある。

安直なキャラ造形と安直な性癖

補足680:インターネットのオタクと会ったときに「まんきつ暮らしってエロゲンガー(死語)のひさまくまこがエロいイラストを描くというただ一点だけが強みだったのにアニメではそこがオミットされて無になったんですよね」的なことを言っていてそうなんだと思った。確かにXではひさまくまこが描いたエロい逆バニーの特典が流れてきたし、アイキャッチとかでやってほしかった。ちなみに厳密にはきららではないが、ひなこのーとは日常系の見た目で明らかにエロいアイキャッチをやっていてけっこう凄かった(今では三月先生の奇行と本物のエロイラストばかり取り沙汰されるが、アニメの時点でその気配はややあった)。

ただ加齢の影響でずっと同じことをやっていることの価値を重く感じるようになってきてもいる。
今は漫画喫茶の一畳間(言うほど一畳だったか?)でワチャワチャしている美少女たちもあと5年も経てば社会に出る年齢になってきて、いつまでもワチャワチャしているわけにもいかなくなってくる(ワチャワチャしていてもいいのだが、それはそれで学生時代とは違う文脈になる)。その一瞬の煌めきというか、一般に消えゆく定めにあるポジティブなものって尊いよねみたいなことが齢30を越えてようやくわかるようになってきた。
ならばこの日常系アニメが異常に停滞していることも同じくらい尊いのかもしれない。つまりいまどき大抵のジャンルは発展していて10年も経てば古く感じるものだが、このアニメは10年前くらいに放送していても気付かないくらいの内容で真新しさが全くないことも一つの救いなのかもしれない。

補足681:言うて漫画喫茶ってサブスクに押されて減少傾向だしぼちぼち古くない?と思ったら連載開始が2018年でけっこう古かった。

生成AIデザインパターン

タイトルには生成AIとあるが、ほぼLLMの本。そろそろ仕事で使う機会が増えてきたので読んだ。
LLMの内部挙動というよりはモジュールとしてのLLMについて論じている、つまりアプリケーションなどに組み込む前提でコード内に記述するLLMのデザインパターンについて色々解説している。トランスフォーマーのような詳しい仕組みを知っている必要はないが、システムとしての出力が確率ベクトルであることくらいは理解しているのが望ましい。

コード内で実行されるメソッドとしてのLLMとは、イメージとしては入力promptを渡すと出力responseを返す関数llm()のようなものだ。

response = llm(prompt)

このうちpromptを工夫するならRAG及びそれに伴うインデキシングや長期記憶の話になるし、llm()本体を工夫するなら追加学習(特にアダプタチューニング)の話になるし、responseを工夫するならロジットマスキングやグラマーの話になる。更にはllm()の実装自体をキャッシュで補完してもいいし、responseを更にpromptとしてCoTやToTを構成してもいい。他にもllm()を稼働させる際のコストのようなトピックもある。
何にせよ、結局道具としてのLLMってこういう入出力を持つモジュールで色々チューニングできるよねという統一的な描像が得られたのは良かった。

また、LLMのデザインパターンは「LLMが人間だとしたらどういう扱いをすべきか」という擬人化のようなアイデアが多いのが面白い。関連情報を適切に精査して渡すとか、後から自分で確かめさせるとか、何度も考えさせるように指示するというのは、人間に対する指導とほとんど同じだ。

26/8/14 名前だけ知ってるカードゲーム体験会2(ゴシドラ夏合宿レポ)

夏合宿

お盆休みでオタク夏合宿に行ってきた。

前回(→)名前だけ知ってるカードゲームを持ち込んで体験する会をやったらかなり面白かったし学びも多かったので引き続き開催。
今回プレイできたのはOSICA、アクエリアンエイジ、パルワールドオフィシャルカードゲーム、五等分の花嫁カードゲーム、ユニオンアリーナ、マイリトルポニーカードゲームの6つ。

評価
①面白さ:遊びたくなる面白さがあるか
★★★:今後も機会があれば遊びたい
★★☆:一日遊ぶ分には満足できる
★☆☆:もうあんまやりたくない

②新鮮さ:カードゲームの新しい知見が得られたか
★★★:根本的な新しさがあった
★★☆:多少の新しさがあった
★☆☆:新しさはほとんどなかった

③体験価値:遊んでみる価値があるか
★★★:遊ぶべきだと勧められる
★★☆:遊んでもよいと言える
★☆☆:遊ぶ価値はあまりない


カードゲーム編

『OSICA』:ダークホースの神ゲー

【面白さ:★★★】【新鮮さ:★★★】【体験価値:★★★】
www.osicatcg.com今回最大のダークホース。
明らかに頭一つ抜けており、膨大な選択肢から来る面白さ、奇怪なリソースを管理する新鮮さ、異常挙動の体験価値を全て兼ね揃えている。この記事を読んでいるやつ、今すぐOSICAをやれ!

正直なところプレイ前は全く期待していなかった。
やってるやつどころか話題にしてるやつすら一切見たことがないし、IP寄せ集め系ゲームの割には引きの強い作品がイマイチ見当たらないし、推し活のOSICAというコンセプトもいかにもカジュアル層向けっぽくて面白くなさそうだからだ。
少なくとも印象だけで言えば、話題性もコンテンツ性もゲーム性も全部貧弱そうで全く触る気が起きなかった。

ユニオンアリーナに参加できない2軍IPリストみたいな面子

実際、前回の合宿では購入候補に上がりながらも優先度が低くてスルーされたが、今回はたまたま完全に値崩れした星屑テレパスのスターターデッキが239円で売っているのを発見。セブンのパン一個分くらいの値段なら流石に遊んでみるか……ということで、同様に値崩れていたSPY×FAMILYスターターと一緒にテンション低く購入された。

前提として、OSICAは推し活をテーマにしたカードゲームらしい。
好きなキャラを推しカード(MtGで言う統率者)に指定できたり、戦闘で攻撃する代わりに「アピール」で相手のハート(ライフ)を奪うとかいうフレーバー要素があったりするのだが、そんなことはどうでもいい。

このカードゲームの異常性は「エール」というシステムに集約される。
「エールフェイズ」では概ね1ターンに5枚くらいデッキの上からカードを捲り、それぞれについて手札に加えるかコストにするかアシストに置くかという3択を選ぶことになる。この判断は全く自明ではないため、毎ターン3^5=243択くらいがカジュアルに発生してくる。ふざけるなよ(一応アシストに置く選択肢を選ぶことは少ないが、それでも2^5=32択はある)。

この見た目で玄人向けハードコアルール

そもそもエール判断のために考慮すべきリソースが多すぎる。
盤面で戦うキャラのコストは毎ターン上昇していく「①リミット」で上限が定義されるが、各キャラが発動する効果はエールからのみ供給される「②コスト」で賄う必要があり、更にライフを効率よく奪うためには「③限界突破」のために手札を揃えていく必要もある。
よって「エール」の243択判断は常に「①リミット」「②コスト」「③限界突破」の3点に目を配りながら行わなければならないが、エールはターンの真ん中らへん(メインとバトルの間)というかなり微妙なタイミングで発生するため、次ターン以降にこれら3つがどうなっているかまで想定しながら選択することが必須になる。
このエールによってリソースが溢れるほど供給されるため最初からゲームがクライマックスで、平均決着ターンはだいたい3ターンくらいしかない。

要するにプレイングが極めて難解。一見簡単だが実は奥深いワンピースカードゲームあたりと違って、一見難解だしどう見ても難解である。
手なりでは全くプレイできず、腕も有り得ないくらい出る。俺はカードゲームが上手いもっちーに7連敗した(スターターデッキの格差という説もある)。それだけ遊んでもまだ推しキャラには何を選ぶべきかのコンセンサスすら取れていない。

一番有り得ないのはプロダクトのターゲットとカードゲームのルールが一切噛み合っていないことだ。
推し活気分でカードを集める層が遊べるゲームじゃなさすぎる。本来Flesh and BloodとかGrand Archiveをやっているような歴戦カードゲーマーおじさんに向けたシステムがなぜか推し活カジュアル層に提供されている意味不明な状況がある。

実際、プレイヤー状況を軽く調べたらすごいことになっているらしい。

OSICAをゲームとしてプレイしているユーザーは非常に少なく、ルールは知らないし遊ばないコレクター層が買い支えているとか。それはそう。
しかし幸いにもこのブログを読んでいるカードオタクたちは値崩れしたOSICAのスターターを買ってプレイしてみてほしい。今見たら推しの子がけっこう安かった。

補足674:星屑テレパスのスターターは239円から1000円まで持ち直していた。面白いのがバレたか?

『アクエリアンエイジ』:ジジイすぎではある

【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★★】【体験価値:★★★】
www.aquarian-age.org1999年に始まって10年前くらいに終了した古参カードゲーム。
昔はイエサブとかホビステの隅っこに売っていた記憶がある。メルカリでスターターが意外と安く売っていたので歴史の勉強としてプレイ。

オタクしか触っていなかった時代のカードゲームなので、まずルールが膨大すぎる!!
公式ルールブックは驚異の83ページに及び(pdf→)、全ページに小さい字と図がみっちりと書き込まれている。

TTRPGじゃねえんだぞ

近年では細かい総合ルールを簡易マニュアルとは別に用意するカードゲームも多いが、アクエリアンエイジはルールブックをだいたい全部頭に入れていないとまともにプレイできない。対戦中にも何度も何度も確認する羽目になった(入門ガイド漫画も一応あるが、それを読んだとて遊べるようには全くならない)。
カードの見た目はかなりシンプルなのだが、ルールの方が複雑なことで参入障壁が極限まで上がっている。ルールが簡単でカードテキスト(の上限)が複雑な分にはシンプルなカードだけを集めてプレイすることもできるが、逆パターンの場合はどうにもならない。ただ戦闘するだけでも同時に発生しうる通常攻撃と精神攻撃の全く異なる挙動を把握していないとお話にならないぞ。

とはいえ、一度理解してしまえばプレイ自体はそれほど難しくない。
いわゆるマナとエネルギー(ポケカ)の中間のような基本資源として「パワー」があり、それは「チャージ」によって供給される。パワーを用いてキャラを「ブレイク」で強化したり「ファスト」で応酬したり「パーマネント」で強化したりする感じ。

絵が古すぎる

しかし昔のカードゲームにありがちなブロック側有利のゲーム性なので盤面が一瞬で硬直していく(殴るより構えていた方が損しにくいため)。
攻撃がほとんど通らなくなってから相手のデッキ枚数をおもむろに数え始め、ライブラリアウトによる勝利を狙う。ライブラリアウトを見越してデッキから供給されるリソースをあえて抑えておくプレイングが要求されるのはいくらなんでも昔すぎる。

事故りやすい割には救済が存在しないあたりにも時代を感じる。
マナ的なものを生む「チャージ」を序盤にどれだけセッティングできるかがゲームの趨勢を決定的に左右するのだが、無料で場に出せる精神力0のチャージを初手に引けば引くだけ出せてしまう。その上マリガンが存在しないのでスタートダッシュの差を埋める機会がなく、圧倒的な盤面展開で圧殺していく不愉快なゲームがけっこうな頻度で生じてくる。
現代のカジュアル層はこういうストレスに耐えられないが、昔はオタクしかやってなかったからストレス耐性が高かった(もしくは皆こんなもんだと思っていた)。

とはいえ分厚いルールブックに支えられたゲーム体験はそれなりに独特で、今後は二度と生まれないだろうルールのオンパレードを体験しておく歴史的な価値はかなり高い。
ゲームシステムにも「ファンタジーをちゃんとやっていた頃」みたいな手触りがある。アンドロイドとサイボーグとマシンとか、ワーウルフとワータイガーを厳に区別した上で男女差まで考慮した結果、種族アイコンが50種類近くに及んでいたりする。

当時のこだわり

俺は言うほどアクエリアンエイジ時代の美少女コンテンツに触れていないはずだが、イラストを見ていると当時はこんなんあったよねという回顧が無限に浮かんでは消えていく。ぽよよんろっく画の獣人がフィニッシャーなのを見てあまりにも懐かしくなってプレイ中にナースウィッチ小麦ちゃん(Rじゃない方)のOPを再生してしまった。加齢の影響で「あの頃は良かった」という感情が押し寄せてくる!

補足675:ナースウィッチ小麦ちゃんOVA版(無印とマジカルて)の話するときに「最近のやつじゃない方」とか言ってたけど、最近の方であるところのRですらもう10年前らしくて震える。2年前とかじゃなかった?

『パルワールドオフィシャルカードゲーム』:これ建築物いる?

【面白さ:★☆☆】【新鮮さ:★☆☆】【体験価値:★☆☆】
https://palworld-official-cardgame.com/
最近ゲームの方で正式版がリリースされて波に乗っているパルワのカードゲーム版。
俺は原作をプレイしていないがツッパニャンが可愛いことだけは知っている。ツッパンチ!

かわいいニャンねえ

防御側有利で勝手に膠着するアクエリアンエイジとは違い、攻撃側有利で殴りやすい現代的なデザイン。
そもそも召喚酔いがなくタップキルも可能なため、殴って殴り返されるのが基本的な応酬になる。他のパルを守るために軽いパルをチャンプに回したり、即殴り返されそうな場合は殴らなかったりするコンバット判断もある。

とはいえ全体的に既視感が強く「このカードゲームじゃなくてもよくない?」という気持ちは拭えない。
例えばダメージ処理ではデッキの上からダメージ点数に等しい枚数のカードを捲っていってラッキーマークが付いているカードが捲れたらダメージが0になる。ヴァイスのクライマックスシステムすぎではある。

カードゲーム体験会あるある:総合ルールを検索しながらプレイ

一応、建築物という要素はやや独特な差別化点かもしれない。
建築物はいわゆる置物系のカードで、建築物を選択してからパルをタップすることで建築物の効果を起動できる(「パルをアサインする」と呼ぶ)。これは原作でパルを建築物での作業に従事させるシステムを再現しており、フレイバー要素としてはよくできている。
ただ、建築物の効果を使うためにパルをタップする行為があまりにも弱すぎる。貴重なアタック権利を失うことに加えて、アサインでタップしたパルは返しで一方的に殴られて倒されてしまう。
マナとテンポとカードを最大効率で失いながら得られる効果もそこまで大したことがない。最初は建築物が出たら逐一破壊していたのだが(建築物にも体力があって戦闘で壊せる)、起動したとてあまりにも弱すぎるので途中からスルーされるようになった。
遊戯王の儀式とか融合みたいな、フレイバー優先で非常に弱いシステムを作ってしまった印象を受ける。今後の調整で改善されるだろうか?

第一弾なので仕方ないところはあるにせよ、スターターの範囲ではこういうカードゲームよくあるよねという域を出ていない。元々別ゲームジャンルなのでカードゲーマーよりも間口を広く見ているのかもしれない。

『五等分の花嫁カードゲーム』:原作ファンは楽しめそう

【面白さ:★☆☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★☆】
https://5hanayome-cardgame.com/
単独でタイトルを張れる人気IPカードゲーム。原作は2巻くらいまで読んだ記憶がある。

強いて言えば四葉派

原作者が監修しているらしいだけあって、ハーレムラブコメをゲームシステムできちんと再現しているのは好印象。ヒロインたちが花嫁力を上げることによって主人公を奪い合い、先に3回花嫁になったプレイヤーが勝利となる。

補足676:原作を2巻までしか読んでいない範囲では「言うほど奪い合ってたか?(むしろ主人公側から昔会った女の子を探す謎解き要素がメインじゃなかった?)」という気もするが、話が進むと奪い合いになっていくのだろう。

ただ、ゲームとしてはやや単調すぎたかもしれない。
確かにキャラに付けるエピソードや、狙う主人公の位置や、妨害の切り方に戦略性があるっちゃあるのだが、全体的に誰がやってもあまり判断が変わらなさそうなシーンばかり。やれるならやるという行動が多くてあえて溜める意味に乏しい。
まあ漫画原作ファンがカジュアルに楽しむことを目指すならこれでいいのかもしれない。原作ファンではない我々は2回も遊べば十分な感じだったが、ゲームシステムによってバトルでもない漫画内容を再現する試みは面白かったので体験価値はやや高く付けている。

『ユニオンアリーナ』:令和のライブオン

【面白さ:★☆☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★☆】
www.unionarena-tcg.comOSICAと違ってやたら強力なIPを取り込み続けている勝ち馬カードゲーム。

ソシャゲも参戦しているのは嬉しい(アークナイツ)

戦場が2つのラインに分かれているのが特徴的(一番手前のアーミヤ3枚はただの行動権利表示なので戦場ではない。上の二段が戦場)。
ざっくり言えばキャラクターを手前に置けばマナが出て、奥に置けば戦闘できる。キャラをマナから戦闘に移すのは毎ターン自由に行えるため、2つのラインを柔軟に使い分けるのが肝になっている(MtG風に言えば、全クリーチャーがマナクリみたいな感じ)。キャラをマナに残すか戦闘に回すかの選択肢が常にあり、複雑すぎない範囲で独特な戦闘システムを作っているのはけっこう面白い。

補足677:この2ライン制はライブオンという20年前くらいのカードゲームとほぼ同じなのだが、ライブオンを知っている人はこの世に存在しないので「ライブオンと同じだよ」と言っても説明にならない。

ただ、スターターデッキ同士での試合体験はやや悪かった。Amazonで安かった鋼の錬金術師スターターとアークナイツスターターで戦ったのだが、シンプルなカード同士の試合ではそこまで腕が出ない印象。
というのもユニアリも近年ありがちな攻めを奨励するゲームデザインであり、攻撃側は戦闘に敗北しても盤面から離れない、かつ攻撃してタップしてもエンドフェイズにはアンタップされるので完全な殴り得になっている。よって並べて殴って質と量で勝っていた方がそのまま勝つ単純なゲームになることが多い。
構築に入っていそうな強いカードを見ると何度もブロックできたり防御を貫通したりと捲りっぽい要素がいくつかあるので、その辺を足していくともっと面白くなるのだろう。

『マイリトルポニーカードゲーム』:メリケンケモナーは喜ぶかもしれない

【面白さ:★☆☆】【新鮮さ:★☆☆】【体験価値:★★☆】
jp.kayouofficial.comアメリカにおけるブルーアーカイブらしいマイリトルポニーにも最近カードゲームが出た。

シールド系のゲーム

マイリトルポニーはキャラ同士で戦う世界観ではないため、フレイバーが色々工夫されている。
そもそも勝利条件が相手を倒すことではなく自分がストーリーの最終章に辿り着くことだし、キャラ同士がぶつかることを戦闘ではなく頑なに「交流」と言い張ったり、パワーを示すのが「アイデア」だったり、交流して退場するのは「良いアイデアに説得されて休憩する」ということになっていたりする。
ただその辺はかなり小手先というか、言い換えただけであまり本質的ではないタイプのフレーバー要素だ。要するにふつうにキャラを出して戦わせてシールドをブレイクして、のべ8回ほど本体に攻撃を通せば勝ちというありがちなゲームシステムではある。

そしてルールに既視感がある割にはそこまで面白くもなかった。
あまりよく練られていないカードゲームにありがちだが、攻撃力差をどうにかする要素に乏しいので相手盤面にファッティが出たときやれることがなさすぎる。
タップの概念がないのでファッティがアタックもブロックもこなせてしまうし、ファッティの前に余った小型を出しても勝手に交流して自滅するのでチャンプブロックに回すことすらできない。マウントゲーを捲る手段がなく、単純なカードの強弱で決まりがち。

一応、土地を裏向きにすることで特定のキャラを一時的に強化できるシステムだけはけっこうよかった。ゲーム中に土地一枚あたり一度しか使えないのでいつ使うかが重要になる。
また、この手の相手ターンにも使える強化にしては珍しいことに優先権が往復せず、先手→後手の順で片道すれば終わりなので相手がどこまでパンプするか見てからパンプ量を決められる後手側がかなり有利。その辺りにはマウントゲーをどうにかする意志を感じないこともないのだが、出したキャラが勝手に交流してしまってブロックを待てないことが噛み合わない。
もっとも、土地を強化に回せるゲームデザインもワンピースカードとCROSSGEARの方が完成度が高いのでめっちゃ新鮮というほどでもない。

ゲーム内容がイマイチな分、カードの品質が異常に良いという強みがある。

高品質

驚くべきことにスターターに入っている全てのカードが光っており、特にメインを張るリーダーは全面アートでリッチなレリーフ風の加工が施されているほか、土地は白をベースにした拡張高いデザイン。
その分つまらないスターターでも1320円とやや高めだが、もともと熱狂的なファンが多いIPなのでコレクション需要は外さないようにしているのだろう。

観光編(オマケ)

城ヶ崎海岸付近の宿に泊まって山とか海とか博物館にも行った。

『大室山』:最適化が胡散臭すぎる山

【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★★】
わりと平地にある胡散臭い形の山(丘?)。

なんらかの形状に最適化された山

本でしか山を知らない人がマイクラで再現してみた山みたいな感じ。野焼きによって常に最適化された状態に保たれているらしく、写真手前に付いているリフトで登ったあとは火口周りを一周してまたリフトで降りるという最適化された体験が楽しめる。

空島みたいな富士山

山斜面を最適化しすぎて登山道が存在せず、リフトだけが唯一のアクセス手段になっているせいでリフトがめちゃめちゃ混んでいて1時間半くらい並んだ。
登山というよりは変則ピクニックだが、最適化されて木が抹消されている分だけ見通しはよく虫も全然いないので快適ではあった。

『いるか浜』:いるかはいなすぎる海

【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★☆】
城ヶ崎海岸は岸というよりは崖なので泳げないが、近くにいるか浜とかいう海水浴場があったので水着でちょっと泳いだ。海で泳いだのは20年ぶりくらい。

手頃な写真がないので公式から

見た目よりはだいぶ狭くて、端から端まで行ってもあまり長くないし海側もすぐそこにラインが引かれている。と言いつつ、足が付かない深さで波に揉まれるのはプールではなかなかできない体験でけっこう面白かった。
とはいえ海に最大バリューが出るのはやっぱり初見時なので、初見のガキを連れていくのが一番コスパが良くて皆そうするのだろう。ちなみにいるかはいなかった。

『怪しい少年少女博物館』:最後の思い出

【面白さ:★★★】【新鮮さ:★★★】【体験価値:★★★】
来月閉館するらしいので行ってきた。
news.yahoo.co.jp昭和の変な蒐集物が無数に並んでいて、マネキンとかフィギュアとか謎のアイテムが無限にある。館内撮影自由だが行った方がいいのであんまり載せない。
いわゆる謎本を発行している会社の社長が作ったらしく、怪しい本を寄せ集めたコーナーに普通のセキュリティ技術書(ハッキングなんちゃらみたいなやつ)が怪しい本扱いでいくつも並んでいたのがやや面白かった。

こういう感じ

自分は別に昭和世代ではないが、古いものを見るとあの頃は良かったような気持ちになるジジイ感覚だけが加齢の影響で順調に育っており、妙にノスタルジックな気分になれてしまう。
近代以降は大量流通の時代なので、個人的な思い出の基盤にはその時代に存在していたプロダクトがあることが多く、そのプロダクト自体は複数存在するが故に蒐集や展示も可能なので、効率的に懐かしさを喚起する施設が存在できるという構造がある(プロダクトに基づかない思い出、例えばおねしょの記憶などを懐かしく思い出させるのはもっと難しい)。

こういうプロダクトベースの回顧が本当に直撃するようになったとき、例えば今から30年後くらいに妖怪ウォッチとか名探偵プリキュアのアイテムを集めた博物館がオープンしたらふつうに通ってしまいそうだ。それはもう仕方ない、人間ってそういうものだから……

ジッピーによるカード化(街モン→

26/8/1 キヴォトスではガチャを期待値で語るのは恥ずかしいことなんだよ

回してないのに熱いよ~

最近ブルアカでガチャ仕様が変更されたらしい(参考→)。

細かい変更内容については後で書くが、これが賛否両論を呼んでSNS上ではガチャ新仕様派vs旧仕様派の熱いPvPが繰り広げられている。
面白いのはそれぞれが重視する軸がはっきりしていることだ。ざっくり言うと、新仕様派は「期待値では概ね旧仕様よりも新仕様の方が得」とするのに対し、旧仕様派は「ゲーム体験上のストレスでは旧仕様よりも新仕様の方が不快」として対立する構図になっている。

補足667:厳密に言えば旧仕様よりも新仕様の方が得なのは2凸程度のミドルユーザーまでだが、この記事ではミドルユーザーまでだけを対象とする(「完凸を目指すヘビーユーザーにとっては旧仕様の方が得」という論点は永久にオミットする)。

俺は統計検定1級を持っているので期待値で判断する新仕様派の気持ちがわかる一方、元ソシャゲプランナーでもあるのでゲーム体験の悪さにストレスを訴える旧仕様派の気持ちもよくわかる。

補足668:旧仕様派が期待値でガチャを語ることが無意味な理由として「現実の試行回数は無限回ではなく結果は収束しないから」と語っているのを割とよく目にするが、それは完全な誤りとは言わないまでもやや筋の悪い説明だと思う(もし無限回試行されるものしか期待値で語れないなら、期待値が有効な状況はこの世にほとんどなくなってしまう)。試行回数が有限だろうが試行する前の見積もりとして最もリーズナブルな値が期待値であることは誰にも否定できないわけで、その値で納得できるかどうかの分水嶺は「期待値と心中する覚悟があるか否か」だけだ。後で何が起きようが最初の見積もり判断を後悔しないと心に決めているならば期待値に従って行動できるが、後で悪い結果が起きたら最初の見積もり判断を覆して後悔するのであれば期待値に従うべきではない。

まず前提として、この記事はどちらが正しいかに決着を付けるものではない。
期待値を重く見る人がいれば、ストレスを重く見る人もいるというだけの話だ。物事の評価軸は一つではない。味の濃さを重視してラーメンを好む人がいれば、風味を重視して蕎麦を好む人もいる。
かつ、異なる好みを議論させたところで何が変わるものでもない。誰がストレスを感じようが期待値の大小は覆らないし、逆に数式で何を計算しようが生じているストレスは消えないのである。

ただ俺に関心があるのは、期待値の方は定量化できたとして、ストレスの方は定量化できないのかということだ(期待値の定量化についてはこちらのnote記事を参照→)。
幸いにもブルアカユーザーのリテラシーはかなり高めで、期待値を理解していないのではなく、期待値を完全に理解した上でそれでもストレスの話を切り分けてしっかり言語化しているユーザーが少なくない。

じゃあこれを数式に落とし込んでモデリングすればストレスをいい感じに説明できるはずで、試してみたら思ったより簡単な数式で思ったより精度高くストレスの実情を説明していそうなモデルができて嬉しかったので記事にする。

一応最初に明記しておくが、この記事では新仕様と旧仕様のどちらが優れているか決めることはしない(それは人の好み)。
ただ少なくないユーザーが新仕様の方が期待値上では有利と認識しつつもストレスを感じている状況において、ストレスの説明可能性を考えた方が建設的なのでその手法を提案している。もちろん最も適切なサンプルとして新仕様と旧仕様を比較することが多いが、それは優劣を付けるためではなく差分を説明するためである。

謝辞:この記事は事前にlighdar、hakuyu、たっくに査読して頂きました(敬称略)。ありがとうございます。

まだ皆が読んでるうちにグラフを貼る

最初から難しい話を始めると誰も読んでくれなくなってしまうので、まずは結果のグラフを貼る。
今回提案するストレス定式化によって、ブルアカの旧仕様ガチャからユーザーが受けるストレスをシミュレーションしてみたものだ。

旧仕様:
・PUの基本排出率は0.7%。
・200回ごとに、PUを確定で得る(天井)。

なお、ブルアカのガチャには常に新キャラ2人が追加されるために実質PU2つを狙うユーザーが多いことに鑑みて、どのユーザーもPU2つを目指すという設定にしている(超厳密にはすり抜け枠にもう1体がいるのでPUの排出率は0.7%よりほんの僅かに高いが、簡単のため考慮しない)。

様々な運のユーザーがガチャを引いている間にどのくらいストレスを感じているかを左から右への時系列で表している(赤丸が当たりを引いたポイント)。上にいくほどストレスが高く、下にいくほどストレスが低い。
例えばオレンジ線は平均的な運のユーザーで、1個目のPUを108回目に引いている。
1個目の当たりを引いてからはストレスが急落しているが、これはブルアカユーザーの肌感覚と合うはずだ。200回目までにPUが引ければ、どうせ200回天井での確定PU入手で2個目のPUを手に入れて終われるのでかなり安心感がある。
もちろん早く出るに越したことはないとはいえ、先行きの見えない運任せに比べれば残りはウィニングランのようなものだ。

一方、紫線は運が最悪のユーザーで、2回天井を叩く羽目になっている。
こちらでは200回に近付くにつれてストレスが高まり続けていることに注目したい。さっきも書いた通り、200回までに1回でもPUを引ければ天井の後ろ盾を得られるので、「200回までには出てくれ!」という緊張が高まっていく一方だからだ。
しかしそれが叶わずに200回天井を叩いてしまうと、残り1個は運任せか400回転で確保しないといけなくなり、高いストレスから徐々に諦めの境地に達して燃え尽きていく。

そして青色はかなり運の良いユーザーで、20回で1個目のPUを引いているが、その直後にストレスが急上昇している。
なぜなら超早期に1個確保できたことによって2個目も200回天井を叩く前に確保できる可能性が相当残っており、「これ天井いかずに済む?」と一気に逃げ切る希望が大きいからだ。
しばらく引いても当たらなければ「どうせ200回天井」のルートに入りストレスは徐々に下がっていくが、早期決着の目がある段階では他の運が悪いユーザーよりもむしろ緊張感が高い。

このように、このグラフは色々なユーザーが感じる緊張・安堵・焦りなどの感情推移をかなりよく再現できているように思われる。
そしてこのグラフは「だいたいこのユーザーはここでこんな気持ちだろうな」という推測をお絵かきしたものではなく、ストレスの発生原理から導かれる数理的なモデリングによって導出されたグラフだ。
割と単純なモデルでこんなに綺麗にユーザー感情をシミュレーションできるのは我ながらやや驚きで、ここからそのアイデアと定式化について書いていく。

ガチャストレスのモデリングをしよう

ユーザーの気持ちになるですよ

一言で言えば、ガチャを引く際のストレスを「次の結果で今後がどんだけ変わるか」によって定義する。

次の結果による影響が大きければ大きいほど身構えて臨むのでストレスも大きくなる」という心理は、ソシャゲに限ったことでもなく他の状況でもよくある話だ。
例えば、タイの兵役くじ(2年の兵役有無がくじで決まるやつ:youtube動画→)はこの世のくじの中でも最もストレスが高いものの一つだろう。兵役を引いたら今後の人生がめちゃめちゃしんどくなるが、兵役を引かなけければ穏当な人生が続けられる、その落差があまりにも大きいので皆引く瞬間に大きなストレスを感じるのだ。
逆に、賞品が超ショボい商店街のくじにストレスを感じる人はなかなかいない。外してもティッシュ、1等を当てたところで商品券500円がもらえるだけで結果に大差がないからだ(だが、もし1等が海外旅行だとしたら当たりと外しの差が大きすぎるので相当緊張するだろう)。

このアイデアをガチャにも適用する。
ガチャにおいて「結果次第で変わる今後」とは「ガチャを終えるまでにあとどれだけ金が必要になりそうか(あとどれだけ回す必要がありそうか)」に他ならない。ガチャに支払う金は少なければ少ないに越したことはない。

よって、ガチャのストレスは
・次外したとき、あとどれだけ回転が必要そうか(次を外したときの残り回転期待値)
・次当てたとき、あとどれだけ回転が必要そうか(次を当てたときの残り回転期待値)
の差分で定義できる。

例えば「次を外したら追加で150回転くらい必要そうだが、次を当てたらあと10回転で終わりそう」なのであれば、次の排出に差の140回分を節約できるかどうかがかかっているので緊張は高まるだろう(ブルアカ旧仕様で言うと、PU2個を目指しているのに200回直前でまだ1人も当てられていない状況が近い)。

しかし「次を当てれば即上がりだが、次を外したとてあと20回転くらいで終わる」のであれば、次の排出にかかっているのはたかが20回分を節約できるかどうかでしかないので、当てても外してもそんな変わらんということであまり緊張しない(ブルアカ旧仕様で言うと、PU2個を目指していて180回で1人は引けたあとの状況が近い)。

別に読まなくていい数学

あとはこれを数式で表現するだけだ。
とはいえ大した話ではないので方針だけ書く。どうしても式の具体形が気になる人はChatGPTにコピペして適当な変数と方程式を割り当ててもらってほしい。

まずユーザーの終了条件E(例えば「PUを2個引く」)を所与とすれば、任意のユーザーの状態S(例えば「今まで100回回してもうPUを1個引いた」)に対し、終了条件を達成するまでの回転数期待値はガチャの仕様から一意に求まる。
よって終了条件Eとユーザー状態Sを引数にして、残り回転数期待値を返す関数N(E, S)を構成できる。ガチャは単純なベルヌーイ試行なのでNは幾何分布と状態遷移を組み込んだ動的計画法で厳密に表現できるが、それすらも面倒ならモンテカルロ法で求めてもいい。

あとはそのNを使って
・N_miss:次を外した仮想的なユーザー状態での残り回転期待値
・N_hit:次を当てた仮想的なユーザー状態での残り回転期待値
を計算してStress = N_miss - N_hitとすればよい。

補足669:ちなみに当初はN_miss/N_hitという比率でストレスを表現しようとしたのだが、「あと1個」の状態では当たれば即ゴールなのでN_hitは常にゼロになり、ストレスが無限大に張り付くのでやめた。

ガチャストレスを可視化しよう

旧仕様のストレス体験

では、この定式化を用いて実際にストレス推移を分析してみよう。
まず旧仕様ガチャから。仕様を再掲する。

旧仕様:
・PUの基本排出率は0.7%。
・200回ごとに、PUを確定で得る(天井)。

先程と同様、どのユーザーもPU2個を最終目標としているものとする。またシミュレーションのため、運が異なる3人のユーザーペルソナを設定する。

★ 運の良いユーザー:勝ち組の人。1回目の当たりを20回で引く。
◯ 平均的な運のユーザー:期待値通りの運を持つ人。旧仕様では108回目に1回目の当たりを引く。
☂ 運の悪いユーザー:常に最悪の引きをする人。400回転で2回天井を叩く。

補足670:ストレスの変化を焦点に合わせた今回の議論において、ガチャ運をフェアにパラメタ化するのは実はけっこう難しい。最終的な期待値を語るだけならばスカラー1個で済むのだが、今はユーザーのストレスジャーニーに注目しているため、最終的には同じ回転数だとしても道中の引き方が異なるケースを分けて扱う必要があるからだ。よって厳密に言えば運を示すパラメタは単一のスカラーではなく当たりを引く回数と同じだけの要素を持つ配列となる。今回はユーザーごとに持つ運の違いを1回目の当たりに対するもので指定し、2回目はいずれも天井を叩くものとした(過程を全て確認するため)。

旧仕様のストレス曲線は以下の通り(再掲)。
ユーザーごとの分析はさっき述べた通りだが、さきほどストレスの正体は「次を外したときの残り回転期待値 - 次を当てたときの残り回転期待値」だと述べたので、それに従う解釈も補足しておく。

200回目までにPUを引けたユーザー2人がストレスを急落させていくのは、どうせ200回に到達すれば終わることが確定しており、次を外したときの残り回転期待値があまり大きくならないからだ(ちなみに2回目は引いた瞬間に即終了なので、次を当てたときの残り回転期待値は0で固定される)。

一方、200回目までにPUを引けない不幸なユーザーは200回に向けて急激にストレスを蓄積させていく。200回直前あたりでは1回当てればどうせすぐに天井を叩くので当たり時の残り回転期待値は急激に小さくなっていくのだが、外したときの残り回転期待値はまだ2回分あるのでそれほど大幅には減らないためだ。

新仕様のストレス体験

次に新仕様は以下(以下、道中の補填チケット配布は考慮していない)。

新仕様:
・PUの基本排出率は0.7%。
・100回ごとに50%でPU入手可能(仮天井)。
・200回ごとに100%でPU入手可能(天井)。
・上記天井2種のカウントはPU排出ごとにリセットされる。

同様のユーザー設定でシミュレーションを行う。

補足671:なお平均的な運のユーザーが1個目のPUを当てる時点が108回目から90回目に前倒しされていることに注意。これは期待値ベースでは新仕様の方が旧仕様よりも有利なことに対応している(特に1個目を引く場合)。ちなみに旧仕様と新仕様で全く差分がないはずの100回より前にまで前倒しされるのはおかしくない?(新仕様の前倒し効果が現れるのって最低でも100回以上引いてからじゃない?)と思うかもしれないが、今は「ユーザー全体に対する平均」を扱っているので、引いている本人とは無関係に立ち位置が変動する。これは世界ランクを考えるとわかりやすい。ある庶民がずっと同じように暮らしていたとしても、世界ランク上位の貴族が大量に死滅すれば世界ランクは一気に上昇する。平均的な立ち位置とは他のユーザー全員の振る舞いに影響を受けるのである。

さっきと比べると、のこぎり状のパターンが発生して全体的にゴチャゴチャしている。
新仕様では「どのユーザーにものこぎり状のパターンが同様に発生する」ということが重要であり、各ユーザー間の違いはあまり気にしなくていい。

ということで、のこぎり状パターンの正体について説明しよう。
いずれもストレスは基本的に漸減しつつ、ある点で垂直に跳ね上がるという構造によって生じており、ストレスが跳ね上がる点には2種類ある。

1つ目はPU入手チャンス(100回・200回ごと)。
ここを通過するごとに大きくストレスが増加する。というのもユーザーにとってビッグチャンスが温存されている間は外してもすぐにPU入手チャンスが来るので残り回転数期待値がそこまで大きくならないのだが、逆にPU入手チャンスを通過した瞬間に次のチャンスが来るまで当面は運任せとなるからだ。

2つ目は1個目のPUを当てた瞬間(赤丸が付いている点)。
新仕様ではPUを当てるたびにPU入手チャンスカウントがリセットされるため、後ろ盾を失った運任せの試行を0からスタートする羽目になるからだ。

つまり、新仕様では「PU入手チャンス」か「PU排出」が発生した瞬間にストレスが跳ね上がる構造になっていることがわかる。
旧仕様では200回までにPUを引けたユーザーは天井の後ろ盾によってストレスを大きく下げていたのに対して、新仕様ではどのユーザーも定期的に跳ね上がるストレスから解放されない構造になっており、似たような天井でもリセットの有無によって全く異なるストレス模様を生じさせることが窺える。

ユーザーごとのストレス体験

旧仕様と新仕様での体験の違いは、ユーザーごとにそれぞれの仕様でどのようなストレス体験を辿るかを重ねて比較することで更に明確になる。

平均的な運のユーザー

まず平均的な運のユーザーで見てみよう。
まず、1個入手までのストレスレベルは概ね新仕様の方が低い。
新仕様ガチャの方が期待値上では有利なので1個目の当たりが出るのが早い上、後ろにPU入手チャンスを2回も控えていて気持ちに余裕があるためだ。

だが、1個目を当てたところからのストレス推移は大きく異なる。
新仕様ガチャではPUが排出されると同時に天井カウントがリセットされてストレスが跳ね上がり、しかもそれ以降も100回のチャンスごとに急上昇するので2個目入手を完了するまでにストレスは高めの水準で推移し続ける。
一方、旧仕様ガチャは1個目を当てたところからはストレスが急落する。200回目で確定という強力な後ろ盾があるため、急いで当てなくても必要経費の見込みはそう大きく変わらないからだ。

運の悪いユーザー

一方、運の悪いユーザーについては全く異なる様子が見えてくる。
こちらでは全体的なストレスレベルは旧仕様の方が高い(旧仕様は1個当てたあとはストレスが急落し、新仕様は定期的にストレスが跳ね上がるという挙動はそれぞれ同様)。
というのも旧仕様では「200回までにPUを引くか否か」、すなわち200回確定の後ろ盾が得られるかどうかで天と地ほども先行きが変わるため、そこに至るまでのストレス値が極めて高い水準になるからだ。
それに比べ、新仕様では200回時点でいったん当てても外しても大局変わらない状態までストレスが下がるので、絶対的なストレス量に大きな違いが生じている。

運の良いユーザー

運の良いユーザーについては旧仕様でも新仕様でも大きな違いがない。
定性的な挙動の違いは依然として観測されるものの、早めに1個目を当てれば旧仕様でも新仕様でもあとだいたい200回くらいで確定のウィニングランということでそんなに事情が変わらないことが窺える。

総ストレス量の比較

一連のガチャ体験におけるストレスの総量は時系列上での積分によって定義でき、これによってあるガチャをあるユーザーが引いたときの総ストレスを単一のスカラーで表示できる。
上記のグラフに対して積分計算を行うと、総ストレスは以下の通りに比較できる。

ユーザーの運 旧仕様: 総ストレス 新仕様: 総ストレス 比率(新/旧)
★ 良い 12775.7 12370.4 0.968
○ ふつう 11943.3 16845.5 1.410
☂ 悪い 29666.1 21262.1 0.717

平均的な運のユーザーにとっては新仕様の方がストレスが40%ほど大きい一方、運が悪いユーザーにとっては新仕様の方が30%ほど小さいという、いずれのセグメントでもユーザー体験には大きな違いが生じていることが窺える(運が良いユーザーは新仕様でも旧仕様でも大差がない)。
これも一つの見方に過ぎないが、単一の指標で比較検討したいときには一定リーズナブルな値として使えるかもしれない。

補足672:なお冒頭でも説明した通り、今回の比較で「総合的に見て新仕様と旧仕様のどちらが優れているか」を決めることには関心がなく、ゲーム体験の説明可能性にのみ関心がある。故にユーザーセグメントも粗く切っているしMECEでもないが、特定の層にはどのような体験の違いが生じるかを説明できるだけで十分としている。

補足673:補足670でも触れた通り、仕様の比較を揃えるためにユーザーごとの設定は「1回目の引きは同じ運、2回目の引きは最悪パターン」としているが、厳密には「良い」「ふつう」セグメントは新仕様にとってやや不利な比較になっている(「悪い」セグメントはフェア)。というのも旧仕様では1回目のPU引きタイミングに関わらず200回確定天井があるために2回目の打ち切りが早く、一定以上に運が悪いユーザーも自動的に救済される構造があるからだ。よって2回目のPU引きについては旧仕様では「ある程度以上に運が悪いユーザー帯」、新仕様では「最も運が悪いユーザーのみ」の比較となっており、厳密にはapple to appleではない。この歪みをクリアする方法はヒートマップの利用などいくつかあるが、今回はわかりやすさを優先して多少の厳密さを犠牲に単純な積分値を計算した。もっと言えば、そもそもガチャ回転数に沿った単純な積分よりも確率を加重した積分のほうが正確。

読者がこの記事をChatGPTに要約させるトークンを節約するためのまとめ

「ブルアカのガチャは期待値では得でもユーザー体験としてはストレスが大きくなった」という意見を定量的に検証するため、ストレスを定式化して数値で表すことを試みた。

ガチャからストレスを感じる仕組みをモデリングした手法によって、単純な期待値差分でユーザーの感情推移をかなりよく表現できることを確認した。
また、それを用いて、実際に平均的な運のユーザーにとっては新仕様ガチャの方がストレスが40%ほど大きくなることを示し、一部のユーザーからは旧仕様が支持される理由に数理的な説明を与えた。

更に副産物として、ガチャを引く中でのストレスの時間変化をシミュレーションすることで、ガチャ仕様に基づいたユーザー体験を時系列推定できる可能性も示した。
今回シミュレーションした範囲では、旧仕様における急速なストレスの減衰、新仕様におけるのこぎり波の出現など、顕著なパターンをいくつか観測して解釈を行った。

Future work(笑)

最後に同業者に向けて今回の定式化のポイントを二つ書いて終わりたい(同業者ってデータサイエンティストとゲームプランナーのどっち?)。

一点目は、(細やかな感情曲線を追える割には)モデルがかなり単純であること。
ただ単に当たりと外れについて期待値の差分を取っているだけなので、解釈と拡張が容易である。今回はミニマムの構造だけを示しているが、例えば自然な拡張として行動経済学的な効果を組み込んだりしてもいい。コンコルド効果を示す係数などを適当に設定する自由度は十分に確保されている。
また今回はストレス総量を積分でスカラー化して指標としてみたが、他の見方としては微分値に注目してストレスの変動に注目したりすることもできるだろう。

二点目は、ガチャの立て付けによらず汎用的に利用できること。
ストレス値の算出に用いているのは回転数の期待値のみであり、それはどんなガチャでも必ず一意に計算できるものだ。
今回は確定天井ガチャと仮天井ガチャの比較に留まったが、ガチャの立て付けには他にも色々ある。例えば確率上昇ガチャ、確定式ステップアップガチャ、コンプ天井方式ガチャなど。どのガチャに対しても問題なくストレス体験を可視化できるし、道中での補填配布を組み込むことも自由自在だ。更には今までになかった挑戦的なガチャを実装する際の安全確認としても有効だろう。

26/7/18 2026年6月消費コンテンツ

6月頭頃から毎週末に予定を入れていたが、そうするとブログを書く時間がないことに気付く!(今週は久々のオフ)

メディア別リスト

漫画(26冊)

魔法少女イナバ(1~2巻)
Thisコミュニケーション(全12巻)
未来日記(全12巻)

映画(1本)

ザ・フライ

書籍(1冊)

フェミニズム

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

(特になし)

消費して良かったコンテンツ

Thisコミュニケーション
未来日記

消費して損はなかったコンテンツ

ザ・フライ
魔法少女イナバ
フェミニズム

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

(特になし)

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

(特になし)

ピックアップ

Thisコミュニケーション

前からよくTwitterで話題になっていた漫画。完結時にセールでまとめ買いしたのを掘り出してかなり面白かった。これは流行る。
デルウハとかいう史上稀に見る異常主人公のために設定や展開が整備されており、実際そのおかげで非常によく映えている。

デルウハのキャラ造形が単なるサイコパスキャラと一線を画して優れているのは、デルウハのベタなコミュニケーション能力自体は凡庸で誠実なものでしかないことにあると思う。言い換えると、彼の異常性は「コミュニケーションの手段と目的が転倒している」というただ一点のみに厳に制約されている。

つまりデルウハはたった一言話すだけで人心を完全に掌握して支配できる万能型のサイコパスではないし、共感性を著しく欠き他人の信を平然と裏切ったりするソシオパスでもないのだ。
ハントレスの面々が持つ地雷や覚醒条件は一度経験しなければわからないし、予想が外れて驚き戸惑うシーンも少なくない。そして他人の意外な心境を理解したあとは、(自分の利益になるようにとはいえ)懸命に考えて相手に寄り添う。最終的な活かし方に倫理的な問題があるというだけで、コミュニケーションの進め方自体は月並みで妥当だ。

ハントレスとの関係を制御するために殺害して記憶を消すのも、見方によってはむしろ人心を尊重したが故の行動とも取れる。
もっと邪悪で戦闘力の高いキャラであれば他人の心を無視して暴力で蹂躙すればいいのだが(ワンピのアーロンみたいな)、デルウハは少なくとも相手の主観の中ではわだかまりが残らないように配慮して毎回小さくない労力を支払って殺害しているのだ。
デルウハは一見すると露悪的なキャラクターである割に、人の心そのものは全く舐めていない。そこが他のキャラクターや読者からのヘイトが溜まらないポイントのように思われる。

実際、こうしたデルウハの長所は作中でも折りに触れて評価されており、彼自身の心配とは裏腹に味方殺しであることが判明してもなお信頼を失わないパターンが少なくない。
例えば中盤のオスカーは当初デルウハに殺害されたことを恨んでいたが、(利用するためとはいえ)正当に評価されていたことを知って最終的には矛を収めている。ハントレスたちもデルウハは研究所の面々とは違って彼女たちの心を誠実に理解しようと試みていたこと自体を評価しているし、当初より本性を知っていながらも最期までデルウハに理解を示した所長も同様だ。

デルウハから学べることには、実はコミュニケーションの成否とは意図ではなく誠実さによって定まるのかもしれない。
確かにデルウハはコミュニケーションに自己中心的な意図しか含まない異常者ではあったが、それはそれとして極めて誠実であったが故に他者の信頼を勝ち得たという妙がある。
最終話で提示された「誤読」という論点もそれに従属するものでしかないと思う。「Disコミュニケーション」というタイトル回収がわかりやすいことと、モノローグでわかりやすく明示されたことから、この作品のテーマを「誤読」であるとする感想をネットでは多く見るが、俺はそのまま「Thisコミュニケーション」の方が包括的なテーマであるとみなしたい。
眼前にいる相手とのコミュニケーション、すなわちThisコミュニケーションにおいてはデルウハは常に誠実なキャラクターだったのであり、それ故に彼は自らの預かり知らぬところで人間関係の構築に成功してしまっていた。その成功は決して錯覚ではない。

未来日記

連載当時読んでいたが、最後まで読んだ記憶はなかったため改めて全部読んでみた……と言いつつ実は8割くらいは読んでいたことが発覚してほぼ再読。

作品より有名なヤンデレヒロイン・我妻由乃が今読むとめちゃくちゃいいキャラをしている。
主人公の安全が絡んだときに限って優先順位がおかしくなるだけで、それ以外は理知的で強く可愛い恋する女の子という造形が普通にめちゃめちゃいい。恋愛イベント自体にはふつうに照れたり落ち込んだり喜んだりするし、ヤンデレ以外の側面をしっかり確立しているおかげで記号的でない立体的なキャラに仕上がっている。
ヤンデレ要素を単なる異常性として描くわけでもなく、展開と深く結びつく悲しい過去を踏まえ、ちゃんと建設的な関係を結ぼうと努力するラインがあったのも良い。特に7thのヤンキーが「ヤンデレに汚れ仕事を押し付けるな」という非常にまともな指摘をしていたのが神。それはそう。

補足665:合理的に状況判断した上で優先順位だけが狂っているという意味では、デルウハと同じ行動特性のキャラでもある。

補足666:メンヘラキャラは己の精神が弱くて不安定という対自の特性によって規定されるが、ヤンデレキャラは特定の対象に強烈にコミットするという対他の特定によって規定される(両立してもいいが、特性としては独立している)。メンヘラとヤンデレの違いにフォーカスしてきっちり描き分けている漫画として『平良深姉妹はどっちもヤんでる』がオススメ(→)。個人的には、令和に流行っている弱いメンヘラキャラよりも平成に流行っていた強いヤンデレキャラの方が好き。

終盤にいきなり世界がループしたり崩壊したりするのは当時の流行を感じる。違う周回での人格をどう扱うかという話もありがちではあるが、しかしその上でこのコマはかなりすごいと思った!

ヤンデレキャラが言わなすぎるセリフ

前提として主人公ではなくヒロインの側がループしており、あんだけヤンデレやってたヒロインの方がこの割り切り方をしていて主人公の方が誰でもいい側に置かれる転倒がすごい。ヤンデレなのにメタ認知してこれを言語化できる由乃のキャラがやっぱりめちゃめちゃ良く、これだけで凡百な後続のヤンデレと一線を画している。
ただここからはあまり掘り下げられないままやっぱり愛着ってあるよねくらいの話に終わってしまい、問いのエッジの割には答えのエッジは鈍かった。

あとこれは別に瑕疵ではないが、今見ると能力バトルや群像劇としてはかなり粗いところも多い。
他のキャラがどうやって得たのかわからない情報が多すぎるし、せっかく未来日記で能力バトルをしている割によく見ると全然関係ない戦力を使っているキャラが多い。12thの催眠術とみねねの爆弾は何?
ただこの辺は最近の漫画がちゃんとしすぎているだけのような気もする。当時の水準はこんなもんだった。漫画の論理的なギミックって時代を下るごとに別にこれでいいだろみたいな雑さが消えてどんどん強固になっているよな。

魔法少女イナバ

最初の数話を無料公開で読んで面白かったので単行本を買ってみた。期待通りぼちぼち面白い。

「魔法少女になりたい一般人」という主人公の異常性を描くため、魔法少女にあるべき要素が尽く欠落していることが肝になっている。敵サイドとの因縁が特にないこと、手作り武装以上の能力を特に持っていないこと、故に自己満足以上に得るものが身体欠損くらいしかないこと。
もし正当な理由や能力があって戦いに突入するのであれば、ふつうに正しい魔法少女でしかなくなってしまうからだ。敵側のスケールもそう大きくなく、少なくとも今見えている限りでは哀れな怪人一家でしかない。

ただそれはコンセプトを維持するには設定的な継続性を捨てる必要があるということでもあり、今後はどういう話になっていくのかは気になるところ。変にちゃんとした構造が生まれると少なくとも現状の良さは消えてしまうので、中編くらいで終わるのかもしれない(でも実はコンテンツって途中で面白さのコンセプトをスイッチしてもいい)。

ザ・フライ

ザ・フライ (字幕版)

ザ・フライ (字幕版)

  • ジーナ・デイビス
Amazon
アマプラで目に入ったので見た。登場人物が3人くらいしかおらず、もっと単調なB級映画だと思っていたが割と面白かった。
「実験をミスってハエと融合してしまった異形の青年」という大筋はダークさも含めてアメコミのヒーローものでよくあるパターンだが(スパイダーマンのパロディなのかもしれない)、この映画はホラーなので倒すべきヴィランは特にいない。
崩壊する身体に怯えたり、人類を超越したと歓喜したり、孤独からヒロインとの関係を求めたり、最後は殺してほしいと願ったり、変異を抱えて迷走する青年の一貫しない喜怒哀楽がよく描かれている。なかなか名作。

フェミニズム

大学生だった頃にはよく読んでいた感じの人文書。 このツイートを見て読みたくなってしまった。別に俺はグダグダ言ってはいないが、どうせ誰も読まない的な物言いを見ると逆に張りたくなる若さがある(常にワンランク上にいきたいため)。

フェミニズムの目標設定として、「フェミニズムは漸近的には消滅すべき」というようなことをまえがきから語っているのは今見てもかなり健全だと思う。いつか勾配が消え失せたとき、勾配の存在を前提とした思考は歴史以上の意味を持たなくなるはずだ。
もっとも、それは宇宙の終焉のようにいつかは訪れる理念的な収束先に係る想定でしかない。消滅が本当に達成されるのか、そして達成するまでに何が起こるのかという問題は四半世紀が経過した今こそ女子枠のような形で押し寄せてきているわけだが、正直なところ人生が安定期に入ってきた独身男性としては対岸の火事になってしまうあたりが問題の根深さでもある。

だからこれも個人的な感慨でしかないのだが、フェミニズムの強力な背骨となっている社会構築論にあまり乗り切れなくなっていることには加齢の影響を感じざるをえない。
別に社会構築論自体への異論はない。ジェンダーのみならずセックスですらも社会的に構築されたものに過ぎないという説明にはそれなりに納得できる。もし本当にセックスが生物学上の問題でしかないのだとしたら、性別の違いが問われるのは人生で生殖に携わる一・二年くらいであるはずだというのは確かにそんな気もする。
ただそれはそれとして、ある概念が社会的に構築されたものだからといって、それをただちに解消すべきだということにはならない。ムーア曰く、事実としてそうであることがただちにそうあるべきという規範にはならないのと同様に、事実としてそうでないことがただちにそうでないべきという規範にもならない。
そこをクリアするためには、結局のところ交渉説得や利害調整や強制執行のようなまた別の戦略が必要になるはずで、理論単体で実効力を持つわけでもない。

これはこの本で主張されていることではなく俺が勝手に思っていることだが、属性の異なる者を味方にする最も現実的な方法はそいつを身内にすることだと思う。
子供を生んだ親が初めて未来の環境問題について真剣に考えるようになったり、愛娘が育ってきた父親が痴漢の撲滅に躍起になったりするように、自分事のように利害を共有している身内の存在はその属性への貢献を強力に推し進める。逆に、身内ではない者のために自分の利を手放すものはあまりいない(俺が対岸の火事とか舐めたことを言っている理由でもある)。
そう思うと、女性の権利を重視する男性を増やすには婚姻者を増やすのが一番いい気もするが、その過程では概ね男女間で傾斜のある性役割に基づいたシステムが利用されることになるだろう。身内制度自体への異議を申し立てたい場合、身内になる説得手段を使えないジレンマがある。

26/6/7 2026年4~5月消費コンテンツ

メディア別リスト

書籍(6冊)

進化心理学
ポリアモリー 複数の愛を生きる
装いの心理学
魔女の子供はやってこない
そろそろNISAをはじめようと思ったら知りたいことが全部のってる本
愛するということ

映画(1本)

アギト-超能力戦争-

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

(特になし)

消費して良かったコンテンツ

アギト-超能力戦争-
進化心理学

消費して損はなかったコンテンツ

ポリアモリー 複数の愛を生きる
魔女の子供はやってこない
愛するということ

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

そろそろNISAをはじめようと思ったら知りたいことが全部のってる本
装いの心理学

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

(特になし)

ピックアップ

アギト-超能力戦争-

仮面ライダーアギト(TV放送版)は全話見たので映画館で見た。
ネットでの評判は微妙だがけっこう面白く、ファンディスクとしてかなりよくできていたと思う。

25年経って相応に老いたキャストたちをそのまま起用し、作中でも25年後の物語として描いているのが特徴的。過去と同じような怪人退治ではありながらも、25年という時間の経過を念頭に置いているのが好印象だった。
当時20代だったキャラたちはもう軒並みアラフィフ近くになって年相応に落ち着いており、再度発生した不可能犯罪に対しても変に熱血することがないし葛藤もあまり見えない。特に顕著なのが氷川で、無実の罪で投獄された上に刑務所では強烈にいじめられているのだが、もういい大人なのでいちいち抵抗せずにやり過ごす。津上も仮面ライダーを引退して今は飲食店をやっているが、必要とあらば氷川の脱獄をサポートしてあるべき解決へと迷わず淡々と進んでいく。

そんなアラフィフ陣営に対し、今作から登場する若手陣営には熱量があるという対比も面白い。
若手キャラとしては新たに超能力を得た民間人たちや、氷川を継いでライダー装備を扱う女性警官が新たに登場するが、彼らは大人たちほど淡々とはしていない。若さ故の素直な善性を発露したり自分の役割に思い悩んだりと年齢から来るスタンスが綺麗に分担されている。
そうした立て付けはギャグシーンでも通底しているようで、大人陣営のギャグが刑務所でチンピラたちが美声を披露するシュールギャグなのは素晴らしかった(面白すぎて劇場でもあちこちから笑いが漏れていた)。

最後のオチも「アラフィフで落ち着いたヒーロー」というテーマの集大成になっていた。ヒーロー活動に際して不可避に生じた越権行為について自首するために警察に向かうという、ギャグ調でありながらもインパクトのある終わり方はかなり面白い。

野良ヒーローの正統性、つまり「ヒーローだからといって法を越えた活動をしても良いのか?」という問題意識はそれこそアベンジャーズからヒロアカまでが扱う手垢の付いたモチーフではある。だいたいは社会的な規範と現実的な活躍の間で葛藤する……みたいな話になりがちだが、「ヒーロー活動は必要なので迷わずする、それはそれとして犯罪は犯罪なので終わったら自首に行く」という回答はあまり見たことがない。

しかし、それは人生経験を積んできた大人の判断としては有り得ないほどリーズナブルだ。確かにアラフィフのヒーロー、それも若い頃に散々ヒーローの酸甜苦辣を味わったヒーローたちはいまさら正義の意義とか社会の限界には悩まないだろう。自分の責任でやるべきことはやる、しかし社会的な対応も怠けないのは非常に正しい。
あまりにも正しすぎて新出ヒーローがその感じだと多分味気なさすぎるのだが、これが25周年のリブート企画かつキャラたちも年齢を重ねているという前提がある劇場版であればこれほど納得行く答えもない。

あと「超能力戦争」を名乗るだけあって超能力バトルがしっかり面白かったのも評価できる。
とりわけ敵怪人たちの造形が抜群によい。童謡を唄うことで全てを凍らせる元保育士、卓球で攻撃してくる女性怪人(ラケットへの思い入れを匂わせる描写がかなり良かった)、時を止めるサラリーマンなど、ほとんど喋らないのに要素だけで有り得ないくらいキャラが立っているのは造形の勝利である。
味方陣営も色々な超能力を発現して乱戦になる中、氷川と同じ装着タイプだった新ライダーが超能力を覚醒させて本物のライダーに変身したのはさすがに熱かった。アギトでは変身者(津上)と装着者(氷川)がはっきり分けられていたが、新ライダーが初めてその境界を越えていくのは周年のファンサービスとしては満足度が高い(満足するほど自分がアギト好きだったことに驚いた)。

進化心理学

前から進化心理学的な言説に対して懐疑的だったが、最近見る機会が増えて更に疑わしくなってきたので、そろそろちゃんとした情報源で本当のところを知っておこうと思って放送大学のテキストを読んだ。

補足662:正確に言えば、進化心理学的な言説を自信満々で断言するやつに対して懐疑的。例えば「男女の考え方の違いは狩猟採集時代の役割の違いから来ていて~」という説明が完全に誤っているとまでは思わないにせよ、常識的に考えてそれだけで全て説明できているとは思えない。環境や乱数の影響を完全に切り分けた検証が現実的にはできない以上は面白い与太話の域を出ないはずだが、しかしこの手の説明を好むやつはだいたい曇りなき眼で完全な論証として提出してくる傾向がある。とりわけ哲学や宗教のような人文科学を嫌うタイプの理系が「人間について語りうる唯一の論理的な説明は進化心理学である」と強く信奉しているケースが稀によくある。そんなことはないと思う。

まず、「変異によってたまたま生じた形質のうち生存に有利なものだけが残っていく」という進化のロジック自体は十分妥当だし面白い。
有名どころではフィンチの嘴だが、いま改めて聞くとマクロな世界の流れというよりはミクロな個体に係る存在論的な話にも聞こえてくる。人間はタブラ・ラサかどうかという類の話は古来より哲学的な文脈でよく議論されているが、進化のロジックによれば、人間は生命の一種である時点で生まれた瞬間から常に既にかなり時代依存でバイアスドな性質を抱えていざるを得ない。その制約は、この世界においては生命の生死が環境と相対的に定まることに由来しており、その相対性自体が環境や生命の必然的な性質なのかどうかは微妙なラインでもある。

補足663:ただ、「生き残っている生命は生き残れるような遺伝子を持つ」ということを「生命は遺伝子の複製を目的とする」という言い回しで表現するのはかなりconfusingだと思う。「目的」とは最初から目指すところがあってそこに進む力学があるイメージだが、進化のロジックでは因果関係が逆だ。別に目指している先が事前にあるわけではなく、然るべき環境で然るべきシステムが動作すると結果的に特定の遺伝子が複製されるに過ぎない。これはふつうの自然現象と特に変わらないものではないだろうか。例えば雨は降って川を流れて循環するものだが、「雨は循環を目的とする」とはあまり言わない。創造主や機能主義を導入せずに存在に係る制約を語っている価値が「目的」という言い回しで毀損されてしまうのをもったいなく感じる(この言い回しは正統な文書でも頻出するので、通常の日本語ではなく専門用語と捉えるべきなのかもしれない)。

そういう進化から導かれる制約を心理にも適用すること自体への違和感はない。
ただそれはそれとして、やはり個別具体的な心理的振る舞いへの説明因子として進化の影響が定量的にどのくらいあるかは検証できないはずだ。実験で確かめられるのは進化心理学的に考えて妥当と思われる傾向の存在までで、その傾向が進化心理学的な原理で生じているかどうかまではわからない(妥当と思われる傾向が確かめられたとしても、期待とは全く別の原理で生じているのかもしれない)。

補足664:ただし、あらゆる現実的な制約を排除できるならその限りではない。人間を適切な環境で数世代に渡って大規模に繁殖させれば、どのような環境でどのような心理的な振る舞いがどのくらい残るかを特定できるだろう。とはいえ時間やお金がかかりすぎるし倫理的な問題もある割にはリターンが薄いので(機構がわかってから望む性質を与えるまでにはまた数世代かかる)、人類史で実施されることは少なくとも直近200年くらいはないだろう。

にも関わらずこの本には「進化心理学の仮説はきちんと検証できる」と書いてあってしばらく混乱していたのだが、これは「仮説」というワードが含むスコープを勘違いしていたというのが答えのようだ。進化心理学が実験によって検証する仮説は「ある振る舞いが確かに存在する」ことまでで、「その振る舞いが進化によって生じた」ことまでは仮説に含んでいないらしい。

この理解については以下のnoteが参考になった。

進化そのものを研究しているわけではないのです。ただ、機能についての仮説を立てる際に、心というものがどのように進化したのかという知見を参考にするということです。

これなら完全に理解できる。そして巷で適当に流布しているポップ進化心理学が悪いというだけで、本流の進化心理学とはとりあえず和解できたと思う。

ポリアモリー 複数の愛を生きる

わたなれが面白かったので、今後ポリアモリーが描かれるのに備えて副読本として読んでおいた(二期はまだ?)。
saize-lw.hatenablog.com 全体的にポリアモリーの事例報告とロジックをバランスよく語っていて入門書として手頃。

ポリアモリストが基本線として掲げる、「愛は一人に絞らない方がむしろ誠実じゃない?」という感覚自体は誰でもふつうに理解できるものだと思う。
相手が何人いようが皆好きという感情自体に偽りはない。だったら単婚制度に縛られて泣く泣く一人を選ぶ方が愛に対して不誠実なわけで、何とかして全員への愛を維持しようとする方がむしろ素直だろう。

しかし、単婚制度下では個人的な立場を超えた法的な保証によって関係を固定することによって、人間の移ろいやすさや判断の難しさを簡略化している側面もある。だとしたら、単婚者が制度によって処理しているような多人数間での嫉妬やもつれをポリアモリストは個人間で解決しなければならないことになる。
故に、ポリアモリストは一見した印象に反して実際には人間関係を円滑にする話し合いを非常に重視しているというのは面白かった。決して性や人間関係に奔放なわけではなく、むしろ複雑な関係を維持するために単婚者よりも自覚的で永続的な努力を必要とする。

そう思うと、単婚制度の方が外部からの強制力が働く例外的な人間関係なのであって、その例外を除く一般的な人間関係はむしろポリアモリーに近いもののような気もしてくる。
制度による利確が存在しない以上、関係は常に変動する可能性を秘めている。それは刺激を供給し続けて収束を先延ばししたいラブコメとも相性が良い。ポリアモリーの本旨からしても、わたなれがポリアモリー路線を選択するのはそれなりに合理的で意義深いと言えそうだ。

魔女の子供はやってこない

同作者の『未来図と蜘蛛の巣』がぼちぼち面白かったので読んだ。これもぼちぼち面白い。
概ね短編仕立てになっており、痒みの話と奥さんの話が特に面白かった。魔女がだいたい何でもできる魔法を使えるのに子供特有の無邪気な雑さによって何もかもうまくいくようでうまくいかないのだが、それを劇的な失敗としては描かずに、失敗ですらない曖昧な後味の悪さに落とし込めるのがやはりすごい。
『未来図』と同じではっきりしない「感じ」が書ける稀有な作家だと思う。一見すると不条理のようでも、「感じ」のレイヤーでは筋が通っていると思わせるものがある。

愛するということ

エーリッヒ・フロムの本。友達募集した時にオススメされたので読んだ。
哲学書というよりは一般的なエッセイに近い。よく言えば変にロジカルにならずに人生の所感について語っているが、悪く言えばもっと俗な形式で出力すればその辺に売っている自己啓発書だと思う。

内容は大筋でかなり同意できる。
フロムは愛を技術と考える立場を取っており(そもそも原題はThe Art of Loving;愛する技術)、相手へのリスペクトや知が重要で、継続する愛は瞬間的に恋に落ちる状態とは異なるし、それなりに努力を必要とするもので、多くの人を愛さなければ一人を愛することもできないというのはまあわかる。

ただ、そういう普遍的な友愛に近いものとして愛を捉えた場合、一対一の恋愛とはどこがどう異なるのかという議論がやたら適当だった(わざわざ恋愛パートを設けている割に)。
男女が結びつく理由を精神分析的な(≒前時代的でナイーブな)男女感覚で捉えていたり、友愛と違って恋愛が多人数ではなく一人に向かうことについても「それは大いなるパラドックスで~」みたいなことを言うだけで全然ちゃんと語る気がない。個人的に答えがほしかった「男友達と結婚相手はどう違うのか」という問いには答えがなく、大筋では同意するだけにクリティカルな疑問に答えていなかったことへの失望が大きい。

あと最終的に「愛が機能しないなら社会の方がおかしくて~」みたいなノリで資本主義批判に向かっていくのも適当すぎる。そういう時代なのはわかるが……

そろそろNISAをはじめようと思ったら知りたいことが全部のってる本

旅行中に入った本屋で見かけて買った。実際そろそろNISAを始めようと思っていたので潔いタイトルを評価。

一応FP2級を持っているとはいえ、一般論として株式や債権がどのようなものかを知っているだけで、証券会社や銘柄の選び方には全く詳しくない。
この本もめちゃめちゃ詳しく書いているわけではないのだが、一旦そういう具体的な事柄について最低ラインの温度感を掴めたのと、実際に始めるためのきっかけが欲しかったので概ね読んで良かったと言える。

もうSBI証券での口座開設まで通ったので、とりあえず今年分を満額ブチ込んでいこうと思う。

装いの心理学

友達募集に際して服を買ったりリュックを捨てたりして装いを整えたとき、理論面からも学ぶために友達からもらった本。

一般には中高生くらいで知ることのような気はするが、装いには自己表現と外部要請がせめぎ合うこと、装う目的は単なる身体管理以外にも対自的な自己認識や対多的な印象形成があることなどは一つ学びではある。
ただある種の社会科学の学術的筆致に特有の、分類するための分類や自明っぽい事柄の確認が多く、やや目が滑る感じもある。とりあえず常識的な考え方のボリュームを掴んだり、基本的なコモンセンスを総覧したりするための書籍として読むのがいいのかもしれない。

26/5/17 異性の友人を募集して1ヶ月で15人会った

1ヶ月前に異性の友人を募集したプロジェクトの続きです。
まだ終わってはいませんが、一段落して落ち着いてきたのでとりあえず振り返る記事です。

募集記事↓

saize-lw.hatenablog.com

手動要約:別に婚活はしなくていいけど友達は多い方がいいね!

御応募ありがとうございました

前回の記事で異性の友人を募集したGoogleフォームに23件の応募を頂きました。

当初は週末ごとにでもゆっくり会っていくつもりだったのですが、そんなペースでは到底終わらないことが早々に判明し、平日の仕事終わりに会いながら休日は朝から梯子するスケジュールに移行しました。2年前くらいにブログ就活したら雇用希望が50件くらい来て、全てに返信しつつパラレルにやり取りしてExcelでスケジュール調整していたときと完全に同じです。

人と会うのはそんなに得意な方ではないと思っていましたが、このスピード感でも疲れは特にありませんでした。もうちょっと密度上がっても大丈夫そうだったのでけっこう対人耐性が高いかもしれません。
ちなみに「メッセージが返ってくるとは思わなかった(何か選考的なものがあるのかと思っていた)」と言われることも多かったですが、こちらとしては最初から何件来ても全員に会うつもりでした。

年下のエネルギーがすごい

まず最初に明記しておくと、この記事では会った方が仰っていたことを個別詳細に記載するつもりはありません(ブログのネタを提供するために喋ってくれたわけではないため)。ただ個人にフォーカスしない範囲での全体統計情報は載せてもいいと思うので書きます。

まず年齢層について、Googleフォームには「だいたい年上」「だいたい同年代」「だいたい年下」の3項目を設けていました。概ね±5歳以内なら同年代、そこから外れたら上下で記入する方が多かったのですが、その前提で実に3分の2が「だいたい年下」で驚きました。
学部後期~新卒くらいがボリュームゾーンを占めており、ネット上のよくわからん企画に突っ込んでいけるバイタリティはやはり若さの賜物かもしれんと思わされます。

補足662:ただ年下かつ年齢差が10歳以上ある場合、つまり概ね10代の方に限ってはこちらからお断りしていました(せっかく応募して頂いたのにすみませんでした)。こちらとしては別に構わないのですが、相手側に「10代のうちに知らんアラサーの男と会ってセーフだった」という成功体験を積んでほしくなかったためです(たぶん7割くらいの確率でアウトだと思う)。あと前もって店選びなどを相談していた良き友人であるところの女子大生の師匠はたぶん7〜8歳下くらいだったはずなので、そのくらいまでなら友達でOK(それ以上は未知なので回避)という経験上のラインを一旦そこで引いたのもあります。

年下勢が「面白そうだから」メインでフットワーク軽く突撃してくる一方、同年代以上はもう少し目的意識がはっきりしていた気がします。
例えば「女子校を出てから特に何もなくこのままでいいのかわからない」「積極的に異性の友達が欲しい」という僕と似たような状況の方がいる一方、逆に「経験豊富なので色々教えられる」というアドバイザー勢もいて、既に結婚や子育てや離婚まで経験しているお姉様方の体験談は非常に助かりました。

他に特筆すべき属性としては人気東大女子Youtuberであるうさねこらーじさんのフォロワーの方も多かったです(特に年下勢)。

うさねこらーじさんが募集記事を応援リツイートしてくれたおかげで東大クラスタ女性authorized企画みたいな雰囲気が出た節があるっぽく、うさねこらーじさんと同じくインテリでエネルギーのある方にリーチしていてありがたかったです。
実は今回の件までうさねこらーじさんとは別に相互フォローとかではなかったのですが、いい感じに拡散して頂いてかなりお世話になったので機会があれば奢らせて頂きたいところです。

いずれにせよ元々相談が主目的だったこともあり、全体的に自分の考えをしっかりと持って話せるちゃんとした女性ばかりだったのはとても助かりました。
実は前回の記事で趣旨を数千字くらいタラタラ書いていたのはそのくらいの分量を普通に読んで意図を解釈できるだけのリテラシーを相談相手には求めたかったからでもあるのですが、そこはかなりちゃんと機能していたと思います。

ふつうに話せますねというのが最大の収穫

個別には適当な喫茶店や居酒屋で落ち合い、短くて2時間、長くて4時間くらい話していました。
恐らく合計では既に40時間以上喋ったことになるわけで、一番異性との接触が少なかった時期の15年ではたぶん3分くらいしか喋っていなかった(平均して1年あたり10秒くらい?)ことを思い出すと、密度としては10~20万倍という凄まじいレートを叩き出しています。

さっきも書いた通り個別の会話内容を記載するつもりはありませんが、大雑把なメイントピックとしては、先の記事で開示していた通り婚活や友人関係を含む異性との関わりについて色々聞きまくっていました。
例えば「男同士は雀荘とかカドショに行けばいいが、異性の友達とはどこに行くのか」「結婚願望はあるか(その理由は)」「男のリュックはどのくらい許容されるか」「(恋愛文脈ではない)異性の友人関係を維持する行動は何か」「なぜ告白は賭けなのか(なぜ告白すると友人関係が終わるのか)」などなどです。人によっては女性側の高度な戦略や構造についても解説して頂き大変助かりました。
個人的には、工学部や一部サークルなどの男女比が偏る環境においてあっち側にいた人の振り返りは当時謎だった側視点の話が聞けて面白かったです。

また、ベタな内容以外にも自分が特に問題なくコミュニケーションできることを確認できたのも大きな進歩だったと思います。
別にもともとミソジニーに染まったりはしていないので偏見が正されたみたいなことはあまりないのですが(むしろ「これって偏見ですかね?」と聞いたことは「いやそういう節は実際あります」という答えだったことの方が多かった)、どうしても実体験が欠如しているために確信が持てなかった物事に対してふつうに推論が働くようになった感じがします。

いったん婚活は忘れていいけど友達は多い方がいい

ポジティブなことを書きつつ、結局「いま婚活すべきか否か」という当初の問いへの答えは概ね「否」で固まりつつあります。
それは「積極的に結婚したくない」という意味ではなく「結婚を目的にして行動する必要はない」くらいの意味です。友人関係の中で結婚したくなったらしてもいいと思っていますが、いずれにせよ「結婚関係もたぶん友人関係の延長上にしかない(結婚専用の特別な何かがあるわけではない)」という判断があります。

今回最も意外だった発見として、自分は現実の異性に対しては一目惚れを起こさないタイプだと確認したことがあります。
というのも美少女キャラクターのイラストに対しては一瞬で目がハートになってリツイートやコメントなどをしているので、現実の女性に対してもそうなのか、それともそれは全然別なのかという分岐があったのですが、これは明確に後者です。

これはよく言われているような「美少女キャラを見慣れているから女性の容姿への要求が上がってしまう」という話ではありません。尺度を共有した上での連続的な判定の話をしているわけではなく、そもそも現実の女性に対しては美少女キャラクターに対するような鋭敏な反応性自体がないということです。
実際見たことないレベルのどえらい美人がけっこうコンスタントにいらっしゃって「めっちゃ美人」とは思うのですが、だからといってどうなるわけでもないです。たぶん橋本環奈が来ても、それは美少女キャラクターでは全くないため少なくとも外見のみに対してアクションしたいところは特にないタイプの人間だと思われます。
ただそれは少なくとも初対面で一目惚れはしないというだけで、何度か会えば瞳の形がハート型に漸近していくのか、それとも最初から最後まで恋愛文脈ではなく友愛文脈でやっていくタイプなのかというのは未だ不明なままです。

いずれにしても初手の結婚したさから逆算する道は断たれていそうなので、男友達と同じで結婚のことは忘れてゆるゆる友人関係をやっていって、もし結婚したくなったらまたそこで考えれば十分だと思います。

ネクストアクション①:友達を拡大したい

一連の邂逅を経ての基本スタンスは

・婚活のことは一旦忘れていい
・でも友達は多い方がいい

という二点に集約されます。

今回しみじみと感じたのは「やはり友達は多いに越したことはない」ということで、それなりに考えて絞り出された「友人を募集します」という当初の文言こそが先んじて正鵠を射ていた気もします。
男女で見えているものはけっこう違ったりするし、リーチできるデモグラの多様性はあればあるほどいいです。そういう意味では別に男女がどうこうという話でもなくて、単に視点を広く持っていく上で今まで死角に入っていた方々と接触するのは有益であるというもっと一般的な話に過ぎないのかもしれません。

今回は募集形式でしたが、僕の方からも男女問わずXとかで面白そうな人に積極的にDMを送ってみるような前ブーストはあってもいいなと思いました。今回のヒアリングによって(こういう募集に飛び込んでくるような)積極性の高い人たちはけっこう適当にDMを送りまくっていることがわかってきたのもあります。

あとは友人募集の窓口自体ももうちょっとガッツリ開いておいてもいいかもしれません。常設にするか季節ごとに開くかなどの詳細は追って検討しますが、何にせよ(奢られはしないけど)プロ奢られヤーみたいなオープン状態は悪くない選択肢のような気がします。

ネクストアクション②:友達を維持したい

新たな友達とはまた別に、今回募集した友達の維持という話もあります。
つまり友人関係も放っておくと自然消滅してしまうのである程度は意識的に何か次の手を打った方がよいとは思っています。

前提として、幸いにもここまでお会いした中でバッドコミュニケーション(会って即帰られたり会ったあとにブロックされたりするやつ)は一件も発生していません。むしろ緩やかにメッセージをやり取りしたり再度会う予定を立てたりしたりしている状態なので、何か乗り越えないといけない障害があるわけではないです。
とはいえこれは放っておくと何もならないためにアクションが必要なタイプの話なので何らかはしないといけなくて、その具体的なムーブまではあまりクリアになっていません。

基本的には友達の友達は友達なので、なんかこう点と点よりはなんとなく面になった方が嬉しいとは思っています。
今までにも親和性が高そうな属性を持っている方は(既存の)友達を召喚して三人で居酒屋に行く機会を設けてみたりもしましたし、応募して頂いた方々からの「こういうのに応募するような他の女性と話してみたい」という声はだいぶ根強くあります。それを実現するには例えばdiscordサーバーとか作って自由に交流してもらうとかでもいいんですが、なんか見た目がバチェラーみたいで嫌だから僕はサーバーを立てたら退出してもいい気がするなとか色々考えている最中でまだまとまってはいません。

この辺は僕もぜんぜん未熟なので会った方の中で「こうしてもらえると嬉しい」的なアイデアや要望などある方は積極的にメッセージで送ってもらえると助かります。

 

Appendix:喫茶店について

応募してくれた方とは上野で会うことが多かったのですが、15回も色々回っていると喫茶店の勘所が色々わかってきました。

もともと僕は喫茶店をコワーキングスペースくらいにしか思っていなかったのですが、師匠からは「娯楽としてのバリューがある空間と認識しなさい」「交流に貢献する機能性に目を向けなさい」「説明できる自分の好みを持ちなさい」などを指導されて色々な喫茶店を見ながらラーニングしていました。

例えば会話ができないくらいうるさいと交流に差し支えますが、逆に会話が全部筒抜けになるくらい静かなのも良くはなく、「隣のやつが喋っていることはわかるが何を喋っているかはわからない」程度の適度な騒がしさが望ましいです。
喫茶店は予約しないので当日の状況を見て決めてもいいわけで、喫煙可の喫茶店には20分前くらいに行っておいて今日はどのくらい煙いか確認し、思ったより煙かった場合は退却して近くにある別の喫茶店で待ち合わせるみたいなムーブをしていたときは我ながらなんかめっちゃ手慣れてきたなと思いました。

26/5/10 曖昧な食欲で福岡~鹿児島を巡った3泊4日

GWの後半で九州の西側をちょっとだけ旅してきた。
AI時代には己の経験の価値が高いのと、去年の北海道に行った記録がいい感じなので今年も残しておく。

saize-lw.hatenablog.com

 

0日目:旅行前

GW前半は友達募集のお茶をはしごしたり、大学時代の後輩を家に泊めたり、都会にある実家に帰ったりしているうちに過ぎ去っていき、GW後半はどこかに行こうと思いつつも具体的な予定は決まらないうちに5月2日(土曜日)になっていた。

discordでゲッタ~が福岡へ出発しているのを目撃し、俺もyoutube shortでたまに見る長岡ラーメンを食いたかったことを思い出して急遽福岡へ行くことを決める。去年は北海道だったので今年は南で収まりもいい。

旅の始まり(ゲッ信)

とりあえず新幹線の切符を買いに駅に向かうが、さすがにもう座席がかなり埋まっていて検索性能最悪の自動券売機ではいつどの車両なら空いているのかよくわからない。
こういうときはみどりの窓口に行って駅職員に直接聞くといい感じの座席を勝手に出してくれる。人間に聞くとウェットに解決してしまうことが多いので、人件費削減のために設置された自動案内を無視して窓口に突っ込んで工数を圧迫する人間が後を絶たない。

隣の窓口で東南アジア系のオッサンが定期券不正利用を詰められているっぽい不穏な空気を感じつつ(「この2枚が同じ名前なのは有り得ないんですよ」って3回くらい言われてた)、S-Workとかいうコワーキング用の座席(?)なら追加料金なしで乗れることが判明したのでそれを買う。

いったん足は確保できたので帰って九州のラーメンについて調べると、長浜・博多・久留米の三系統があるらしいので制覇することに決める。

Google検索のこのエリアいまいち信用できないがち

1日目の宿を適当に予約して就寝。

 

1日目:東京~福岡

朝5時起きで東京駅へ向かう。

4時間くらいしか寝ていないのでクソ眠いが、新幹線が出るのは6時過ぎなので仕方ない。昼から博多で長浜ラーメンを食べようとするとそのくらい早く東京を出る必要がある。
今回に限ったことでもなく、旅行初日はシンプルに朝早いのと前日に寝ないといけないプレッシャーで逆に寝れないのでかなり眠いことが多い。道中で寝れるイベントが発生すると気持ちよく眠れるが、逆に眠れない場合はふつうに最悪になるのでハイリスクローリターンといったところ。

今回は当たりのパターンを引き、博多に着くまでの5時間だいぶよく寝ていたので体感時間は1時間くらいだった(たぶん4時間くらいは気絶していたと思われる)。
途中で皆が降りて車両がほぼ空になるタイミングがあり(大阪駅を過ぎたくらい?)、東京駅から5時間はるばる新幹線で博多まで行くやつは少数派なのかもしれない。途中からは目を覚まして『装いの心理学』を読んでいた。

博多に着いて生憎の雨の中、まずは三系統のうち長浜ラーメンを食うべく元祖長浜屋に向かうと、おそらく俺と同じモチベーションで来た老若男女が50人くらい並んでいた。
幸いにもそのくらいは東京で慣れているし横浜吉村家ほどではないので、矢部嵩『魔女の子供はやってこない』をkindle oasisで読みながら並ぶ。結局これが旅行中で最大の行列であり、最初に踏んでおいたのは良かったと言えるかもしれない。

tabelog.com

1時間半くらいの待機を経て店内に入ると、やたら広い倉庫のような敷地で店員も7人くらいいる割に、テーブルが浮島のようにぽつんぽつんとしか置いていない異常レイアウトが目に飛び込んでくる。提供時間が早い割に行列の処理ペースが遅かったのは広さと店員数の割にはスループットが低いからと思われる。しかしなぜ?

長浜ラーメンはぼちぼち美味く、文化としての替え玉をとりあえず1回しておいた。
あっさりシャバシャバ系の豚骨ラーメンは東京ではあまり人気がなくて滅多に見ない印象があり、本場のはこんな感じかという認識を持てたのは大きい。

補足661:「元祖長浜」と「元祖ラーメン長浜」が超近距離に存在しており、ラオタのnote(→)によると前者(屋)の方が真の元祖、後者(家)が分家らしいため、今回は「屋」を食った。屋が50人くらい並んでいるのに対して家は5人くらいの並びだった。

続けて市内バスに乗って2つ目の博多ラーメン屋に向かう。
普段は3食のペースを守る方だが、旅行中は禁断の昼飯二度打ちが解禁されている。特に今回は宿が久留米にあるため、博多ラーメンの喫食は移動前に処理しなければならないのだ。

ネットで適当に調べた有名っぽい店の前にはやはり行列ができていたが、長浜屋に比べるとかなり短い。

tabelog.com

しかし「傘差してても妙に濡れるな」と思ったら穴が空いていて最悪だった。

貫通

幸いにも行列中の読書はkindle oasisなので雨耐性の強みを感じながら、しばらく並んで入店。

これは明確に美味かった。豚骨の味が濃く、シャバシャバした長浜系とは対極に塊を砕いたような高い粘度の旨みが味わえる。東京でもあまり食べたことがない味。

2食で腹パンになりながら宿がある久留米(正確には柳川)に向かう。
博多と久留米って同じ福岡だし徒歩圏内かと思っていたのだが、意外と遠いことが判明。せいぜい新宿から渋谷くらいかと思っていたが、新宿から八王子くらいまであるらしい。

引きでこういう距離感

手持ちの本を読み終わってきたので博多の丸善で2冊追加し、よくわからん地下鉄で久留米に向かって南下。止まない雨の中、無事に柳川のルートインに着。

なんだかんだでかいルートインの安心感はすごい

ポンタもかわいい

着いてから旅程を考えるライブ旅恒例の、現地で今後の計画を練るやつをホテルの一室で開始。
大雑把には北に向かって徐々に帰っていくか、南に向かって更に歩を進めるかの二択があるが、今回は鹿児島まで足を伸ばすことに決めた。
九州に来たら鳥刺しを食いたかったことを思い出したからだ。東京での鳥刺しは自己責任でカンピロバクターを引くロシアンルーレットだが、宮崎と鹿児島だけは文化保全のため独自の安全基準を持っているためかなり安全に食えることが知られている。

GWの終わり際ということもあってここで諸々を確保しておかないと物理的に帰れなくなる恐れがあるため、残りの新幹線と宿と飛行機も全て予約して旅程を確定する。

ホテルの変な紙とペンで組む旅程

昼に2回食ってしまったため夕飯が食えずそのまま就寝(弱体化)。

移動:25000円くらい
宿泊:12000円くらい
食費:2000円くらい

 

2日目:福岡~鹿児島

予定通りに起床して三系統最後の久留米ラーメンを食いに向かう。道中で郊外特有の「全て」がある区画を通って感動。

UNIQLO、AOKI、コメダ、ケーズデンキ、ニトリ、かっぱ寿司

柳川から西鉄久留米駅まで1本で移動し、九州出身のエトーがオススメしていた店へ。

tabelog.com

ここもちょっとだけ並んでおり、有り得ないくらい声の掠れた女子高生?がずっと何か喋っているのを聞きながら読書して待つ。

これは東京でもたまに食うようなラーメンだったが、こういうコッテリ系の豚骨ラーメンを久留米ラーメンと呼ぶことがわかった。東京で久留米系と名指されることはあんまりなくて、だいたい背脂豚骨ラーメンみたいな名前が付いている気がする。

食後はJR久留米駅まで歩いていき、予約しておいた新幹線に乗り換える。
九州のサイズ感がよくわからなかったのだが、概ね縦断しても新幹線で一時間くらいで済むのでそんなに大きくない気もする。

ここが新幹線で1時間くらい

ネットで「北海道の広さを舐めるな」とはよく言われているが、「九州の広さを舐めるな」と言われているのを見たことはないし、前日に縦断を決めるような舐めたスケジュール感でも問題ない。
ただ、九州はやや縦長なので上下に走ればなんか制覇した気分になれるが、北海道は正方に近い菱形かつ各地に都市が点在しているため、二次元的な平面移動が要求されて制覇の実感を持つのが大変なのかもしれない。

地図を見ればわかるように、九州も山岳大国日本の一角ということでだいたいの領域は山が占めているようだ。
西側のみ福岡~熊本あたりでたまたま平地が続いているから交通の便がよいだけで、東側は基本山しかなくて空いた海沿いに都市がへばりつくという東北に近い構造をしている。恐らく西側と東側で移動の難易度は大きく異なるだろう。

手元の小説を読み終わったので、博多で買った『そろそろNISAをはじめようと思ったら知りたいことが全部のってる本』に持ち替えながら南下し、無事に鹿児島着。適当に観光しながらホテルに向かう。

この位置にこのサイズの落書きどうやって書いた?

「ありがとうでございます」って電話口でめっちゃ名乗りにくそう

ホテルは天文館とかいうエリアにあるらしく、名前の響きからして大正レトロの残滓が漂う雰囲気を勝手にイメージしていたが、ここ歌舞伎町やんけということに気付く。ラブホと無料相談所と風俗が立ち並ぶ歓楽街である。

その真ん中あたりにあるホテルなのでラブホかもしれんと思ったが(過去にもBooking.comで適当に予約した宿がラブホだったことはある)、意外にも天文館という名前が似合うちゃんとしたホテルだった。

すごい吹き抜け

一旦部屋に荷物を置いてから地元スーパー「タイヨー」に向かう。目当てはもちろん鳥刺し。
鹿児島では概ね安全と言われている鳥刺しだが、飲食店よりもスーパーに売っているものの方が更に安全(個人主体ではなく企業主体でバックヤード処理しているし、販売数が多いので保健所からしばかれていないことの価値が高いから)というネットの噂を鵜呑みにした。

確かにその辺のスーパーに鳥刺しが売っていて文化の違いを感じつつ、鳥刺し2つ(ササミとモモ)とビールを買ってその辺の公園で食う。シチュエーション的にビールが似合いすぎるから一応買っておいたが、別に烏龍茶で良かったとは思う。

未知の文化圏

パターン化された最高の休日

味は上ブレしたカツオのタタキという感じでぼちぼち美味い。ノーリスクなら連打するがリスクテイクしてまで食うほどではないくらいの美味さ。
魚の刺身から魚の臭いがオミットされているのはわかるが、生の部分から肉の味がするかはちょっとよくわからなかった(焼いた肉しか食ったことがないため)。炙ったササミを刻んでカツオの刺身にかければジェネリック鳥刺しを作れる気がする。

あとはホテルで本を読んだりブログを投稿したりして時間を潰し、夕飯はホテルの正面にある味噌ラーメンを食ったが感想は特に生まれない味だった。

まあって感じ

海沿いだし海鮮でも食おうかと思ったりもしたのだが、歓楽街すぎて煮詰まってそうな居酒屋しかなくて断念。
一人旅中に人と話したり酒を飲んだりしたいタイプではないのでBARや居酒屋は基本行動選択肢に上がらないのだが、もういい年齢なのでたまにはそういう動きを試してもいいのかもしれない。そういえば友達が適当にゲストハウスに泊まったら意外と楽しかったみたいなことを言っていた。

移動:10000円くらい
宿泊:8000円くらい
食費:2000円くらい

 

3日目:鹿児島滞在

鹿児島に滞在デイなのでゆっくり11時くらいに起床。
滞在する日のホテルは10時チェックアウトを迫られることもなく、清掃不要の札をドアに貼って無理に早起きしないのがコツ。

そろそろラーメンに飽きてきたのでその辺のベーカリーで適当にパンを買って公園で食いながら桜島に向かう。本当はパンを食いながら歩くつもりだったが、それをやるにはちょっと人通りが多すぎたので自粛した。

桜島へは20分間隔でフェリーが出ている上に250円で行けてやたらアクセスがよい。鹿児島に住んでいたら桜島に行くだけですぐデジタルデトックスできそうだ。

桜島は1周35kmくらいのほぼ円形で中央に山があるパターン化された小島で、かなりバトルロワイアル(高見広春)の舞台っぽい。

拠点にしたら有利が取れそうな高台

とはいえバトロワは開催されていなかったので基本的にはなんもなく、軽く歩いたあとは国民宿舎の温泉に入った。海と接している割には露天がなかったのが悲しい。

桜島のオタク要素

温泉から出るともうやることがなくなり、早くもフェリーでうどんを食いながら本島に戻る。

微妙な時間だったので旅行時恒例のメダルゲームを遊びにゲーセンに行く。
やたら調整中の台が多くてドラクエにしか座れなかったのでやむを得ずプレイ。正直IP系の筐体にはあんまり良い印象がない(どうせIPのファンが遊ぶので報酬設計が厳し目になってそうという偏見がある)。

www.dragonquest.jp

チャッカーに入った抽選を保留するほど当選確率が上昇することで消費を急かすギミックをあまり活かせず、結局あんまり当たらないまま撤退。たぶん10コインくらいしか排出されていないので写真を撮るタイミングすらなかった。

再び鹿児島の街を歩いていると、町並みが函館にかなり似ていることを感じる。Xで調べてみるとゆうしの日本列島爆走チャンネルも同じようなことを言っていた。

市電が走っているし、海沿いだし、観光に最適化されているし、市街地付近に適度すぎる自然があるし(函館山と桜島)、そこからの夜景を売りにしている。
そんな街を一望しようと城山公園に登ろうとしたが、思ったより坂が急だったのと展望露天温泉が思ったより高かったので途中で諦めて引き返す。

桜島でアクアがコスプレしてたのを思い出してシロクマを食いに行った。

でか

シロクマ(レギュラーサイズ)がかなりでかくて身体が冷えたのでホテルでサウナに入り、あとあまりにも微妙な腹具合だったので下の売店で売っていたカップヌードルを食べる。

パターン化された一番美味いやつ

明日はチェックアウトの時間が決まっているため目覚ましをかけて就寝。

移動:1000円くらい
宿泊:8000円くらい
食費:3000円くらい

 

4日目:鹿児島~東京

無事に起床し、やや奮発して併設レストランで2000円の朝ビュッフェを食べる。
ホテルの格が思ったより高そうだったので期待したのだが、ビジホの無料ビュッフェに毛が生えたくらいのクオリティだったためこの賭けには負けたと言わざるを得ない。

飛行機に乗るまで時間があるのでかごしま水族館に行ってみたが、もともと魚にあんまり興味がないのでまあという感じだった。

ビュッフェ

海底って今はまだ地球に残された最後の謎みたいな雰囲気を出せているけど、100年も経つ頃には誰でも操作できる海底ウェブカメラみたいなものが投下されてて、インターネット越しに中継できるようになってるんだろうな。

他にやることもなくなったのでもうシャトルバスに乗って搭乗4時間前に鹿児島空港に着く。
飛行機は新幹線に比べると移動時間自体は短いが、だいたい騒音防止で市街地から遠いから移動時間とか手続きも必要になって、国内移動だと所要時間は結局そんなには変わらないがちである。

昼食は空港内で鹿児島黒豚のとんかつを食べたが、これは東京でも全然食えそうな感じだった。

ふつう

エーリッヒ・フロム『愛するということ』を読みながら待合室と飛行機で時間を潰して無事に羽田に着き、何事もなく自宅へ帰る。

移動:40000円くらい
食費:5000円くらい

 

まとめ

移動:76000円くらい
宿泊:28000円くらい
食費:12000円くらい

そんなにちゃんとした物事にお金を払っていない割には3泊4日で10万以上かかっていてだいぶ高い(あとたぶん道中で充電器や飲み物や折りたたみ傘を買ったりした地味な出費が15000円くらいある)。東北はGWでも全然廃れていたが、九州はそれよりはかなり賑わっていてややリッチな感じがする。
帰りの飛行機が高すぎたことがかなり足を引っ張っているが、これでも座席確定までに一晩かかる訳わからん代理店を挟むことでだいぶ安くなっているはずで、GWダイナミックプライシングの恐ろしさを感じる。

目的感としては九州の有名ラーメン三種(長浜・博多・久留米)と鳥刺しをちゃんと食えたのはかなり良かった。
いまどき東京で大抵のものは食えてしまうのでわざわざ地方に出向いて食う必要はないことが多いが、例外的にそれぞれそれなりに意義深いものがあったと思う。
豚骨ラーメンは色々バリエーションがある割にはどれも似通っているので、本場での種類を把握しておくことで今後自信を持って何系とか言えるようになる知識への貢献が大きい。鳥刺しは東京で食べてロシアンルーレットを引くのはかなり嫌なので、実質的には遠征しなければ食せないものだった。

旅行後、試しに東京の適当な店で長浜ラーメンを食べてみた。

東京の長浜ラーメン

これは長浜屋のものほどシャバシャバしておらず、甘めの旨みを感じるので博多要素も含まれている……ということがわかるのは九州の実地で三系統を食べたおかげと言える。