LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

99/99/99 LWのサイゼリヤにようこそ

オタクのブログです。

/* メモ
トップ記事更新:24/7/21
2020年4月以降の記事は全部載せたがそれ以前の記事は絞っている
人気記事に★マークつけた

*/

■『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン』掲載中

あれから七年、皆が魔法を拗らせた。
元魔法少女と元敵幹部が再会するガールミーツガール。

www.alphapolis.co.jp

 

■アニメ・映画感想
ボーはおそれている
16bitセンセーション
君たちはどう生きるか
★ぼっち・ざ・ろっく
★リコリス・リコイル
ウマ娘 プリティーダービー Season2
★劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
★シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇
Re:ゼロから始める異世界生活(第2期前半)
遊戯王ZEXAL
仮面ライダー555
傷物語
ウォッチメン
プリンセスコネクト!Re:Dive
遊戯王5D's
PSYCHO-PASS
アキハバラ電脳組
ソードアートオンライン
バットマンvsスーパーマン
マギアレコード
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。
アズールレーン
劇場版ハイスクールフリート
異種族レビュアーズ
★パラサイト 半地下の家族
ドラえもん のび太と鉄人兵団
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)
Re:ゼロから始める異世界生活(第1期)
オーバーロード
グランベルム前
ジョーカー
トイ・ストーリー4
遊戯王ARC-V
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?
魔法少女なのはストライカーズ
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
★遊戯王GX
八月のシンデレラナイン
バーチャルさんはみている
輪るピングドラム

■漫画・ラノベ感想
★ダンジョン飯
鉄鍋のジャン
死亡遊戯で飯を食う。
★東京卍リベンジャーズ
進撃の巨人
二月の勝者
がっこうぐらし
サムライ8
進撃の巨人
ワールドトリガー前
ワンピース

■お題箱
161/162/163/164/165/166/167/168/169/170/
151/152/153/154/155/156/157/158/159/160/
141/142/143/144/145/146/147/148/149/150/
131/132/133/134/135/136/137/138/139/140/
121/122/123/124/125/126/127/128/129/130/
111/112/113/114/115/116/117/118/119/120/
101/102/103/104/105/106/107/108/109/110/
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■消費コンテンツ
2024年 2~3/4/5~6/7
2023年 1/2/3/4~6/7~9/10~翌1/
2022年 1~2/3~4/5/6~8/9~11/12/
2021年 1/2/3/4/5/6/7/8~9/10~12/売却コンテンツ12/
2020年 4/5/6/7/8/9/10/11/12/2020春アニメ12/2020秋アニメ/

■創作活動
魔法少女七周忌♡うるかリユニオン(うるユニ)』あとがき
席には限りがございます!(にはりが)』解説大反省会1大反省会2
ゲーミング自殺、16連射アルマゲドン(ゲーマゲ)』解説
皇白花には蛆が憑いている(すめうじ)』解説
Vだけど、Vじゃない!(VV)』

■サイゼミ
1/2/3/4/5前/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/

■理系トピックス
データサイエンティスト業務用リハビリ書籍感想
★データサイエンス系資格だいたい全部取った
データサイエンスエキスパート攻略
『入門 統計的因果推論(Judea Pearl)』メモ
統計検定1級とかいうゲームに勝利した
複雑ネットワーク科学入門書籍の感想
竹村彰通『新装改訂版 現代数理統計学』の感想
ポインタと確定記述、変数名と固有名のアナロジーについて
機械学習入門書籍レビュー

■その他
★東大卒無職のTwitter就活記
カードゲーム『CROSS GEAR』紹介/解説1234
★マジでカードゲーム強い人たちにマジで強くなる方法聞いてきた
2023年買って良かったもの
★「生成AIの『学習』は学術用語だ」ということをそろそろちゃんと説明した方がいい
2023俺が選ぶ歌い手ベスト10
★就活に苦しむインテリの学生に社会の真実を教える
★『粛聖!!ロリ神レクイエム☆』はロリコンソングではありません
中学生ぶりにラノベ熱が再燃したので女性主人公ラノベレビュー12
「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん
1秒もプレイしてないNIKKEキャラデザ真剣評価
重い腰を上げて10年前に積んだ女性主人公ラノベ83冊を崩した1234
AI挿絵付きWeb小説を投稿し始めて2ヶ月経った話
★君はAI創作の最前線にして最底辺「AI拓也」を知っているか
プランナー目線の生成AI妥協論
何故AIにはイラストを発注できないのか?
★小二で全国模試一位を取った男の半生延長戦
人生で初めて歌ってみたに激ハマりしてる話
2021年買ってよかったもの
白上フブキは存在し、かつ、狐であるのか:Vtuberの存在論と意味論延長戦
ゲートルーラーは「本物」かもしれない
表紙が三枚あるノートを特注した話
ロラン・バルト『物語の構造分析』メモ 構造分析vsテクスト分析
プライムデーセールでKindle端末を買うべきか?
『Vだけど、Vじゃない!』:Vtuberはどこにいるのか?
ダブルマスターズドラフト攻略
倫理は永井均しか勝たない
ポストモダニズムから資本主義リアリズムまでの間に何があった!?
『リアリティーショーを批判しているオタクもVTuber見てんじゃん』を受けて
ハッシュタグの氾濫、メタ政治性を巡る闘争
100日後に死ぬワニはなぜ失敗したのか
オタクの中韓コンテンツ張り
『ダンベル何キロ持てる?』を見たオタクが3ヶ月筋トレした結果……
日本興行収入上位映画100本を見た感想
実用系アニメのポテンシャルを評価せよ
ガチャを叩く時代は終わった

24/7/21 2024年5・6月消費コンテンツ

メディア別リスト

漫画(19冊)

バトゥーキ(全18巻)
暗号学園のいろは 7

映画(2本)

ジョジョ・ラビット
台風クラブ

書籍(3冊)

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials
ウェブ最適化ではじめる機械学習
岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

ゲーム(1本)

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials

消費して良かったコンテンツ

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
暗号学園のいろは 7
バトゥーキ(全18巻)
ウェブ最適化ではじめる機械学習

消費して損はなかったコンテンツ

岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

ジョジョ・ラビット
台風クラブ

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

(特になし)

ピックアップ

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials

中野まんだらけで購入。
この設定資料集が単独でめちゃめちゃ良かったわけでもないが、中学時代から持ち越してきたエモいストーリーがあるので人生としては重要なイベントだった。
DODについてはお題箱で語ったやつを参照。
saize-lw.hatenablog.com


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

約1年半の無職期間で270時間近くプレイして遂に終わった。
本当は無職のうちにもっと色々なゲームを遊ぼうと思っていたのだが、ティアキンのボリュームがありすぎて結局これしかプレイできなかった(ハースストーンなどに回していた時間を他のゲームに回すべきだったという説はある)。

270時間以上プレイ
全土を駆けた

だからというわけでもないが「ボリュームがありすぎる 加減しろ馬鹿」という気持ちが強くある。これはオタクがあえてネガティブな表現で褒めるやつではなく、本当にもっと少ないボリュームで良かったと思っている。「ハマりすぎて気付いたら270時間やっちゃってた」という感じでもなく中盤からは意地と惰性でプレイしていた。100時間くらいで終わってくれた方が嬉しかった。

とはいえ前提として明らかに傑作ではあるのでまず優れていたところを書くと、三次元的に作り込まれた地形によってゲームサイクルを回す手腕は本当に凄かった。
つまり「今これをやる→次はあれをやる→その次はあれを→……」というプレイ目標の連鎖が無名の土地を移動しているだけで自動発生するようになっている。高低差のある世界を適当に探索しているうちに山の影や遠い地平から行きたい場所や気になるランドマークがいくつも現れて、ピンを立てて実際に行くという繰り返しだけで広大な全土を回れてしまう(逆に凡庸なオープンワールドゲームでは地形を作り込めない代わりにクエストや拠点の目印をプレイヤーを動かす原動力にするため、最終的には世界を見ずに目印の間を移動するだけの作業になってしまう問題がある)。
ユーザーから見た地形の振る舞いはめちゃめちゃ広い全土でよく計算されていて、作り手の意志を感じない雑な地域は特にない。むしろコログやミニイベントがいちいち仕込まれていて探索の手間に見合った報酬が抜け目ない。今作から追加された空と地底もシームレスに繋がり、地上から見上げた空島に行きたくなったり、地上の祠を調べるために地下の根を巡ったりする連関もしっかり想定されている。
移動そのものが面白いオープンワールドといえばデスストランディングなどもそうだったが、「世界」を僭称するゲームジャンルが本当に「世界の物理的な作り込み」というレイヤーで発展していく様には目を見張るものがある。これだけ豊潤な世界を作り込めるのは単純に工数投下の賜物ではあって、きっと確信通りにペイしたはずの絶大な売上共々今後のゲームにおけるメルクマールとして輝くのだろう。

補足543:地底は地上に比べれば質的には明らかに手を抜いていたが、代わりに敵の強さやアイテム供給といった量的な部分で差別化されていたので不問に付す(設定的にも「地底が文化的に充実しているのはおかしい」という筋が通る)。

広い世界を旅する基本的なガジェットもよく揃っており、トーレルーフは衝撃的だった。
確かに単純な平面移動ではなく空や地底まで含めた上下の広がりがテーマになっている以上、平面を走るのと同じように上下を自在に移動する手段は欲しい。そうはいっても無条件垂直移動という身も蓋もない手段を入れて探索体験を破綻させていないのは素晴らしい。
一応、正確に言えば、実際のところ、トーレルーフは悪どい使い方をしようとすればいくらでもできる(モドレコなどもそう)。特に祠で顕著だが、本来であれば丁寧に辿ってほしいのであろうポイントをチートじみた動きで突破することはできてしまう。
しかし少なくとも俺はそうしようという気はあまりわかなかった、ただ単にクリアすればいいのではなく想定された遊び方をきちんと発見したいと思ったからだ。それは「こんなに計算尽くで地形を作っているならダンジョンや祠のギミックも然りだろう」という信頼関係が構築されていたからであり、信頼さえあれば多少無理筋なガジェットをプレイヤーに渡してもゲームは破綻しない。

ただその一方、トーレルーフはあくまでも基本移動手段に過ぎない。旅するうちに何百回何千回と使い込んで育てることが面白いタイプのシステムではないのだ。
それは割と簡素な戦闘システムや防具強化要素も同じで、作り込まれた広大な世界での旅に見合うほどにはプレイヤー側の要素が充実していなかったと感じている。移動に伴う戦闘やスキルは広大な世界を探索しているうちにマンネリしてきてしまう。リンクというプレイヤーがハイラルという世界に対して追いついていないのだ。

世界と同じくらい広がりを持つプレイヤー側の目玉要素として投入されていたのがゾナウギアなのはわかる。無限の可能性を持つゾナウギアで無限の可能性を持つ世界を旅してほしいという意図は十分にわかる。
実際、ゾナウギアにはかなりの可能性がある。色々なパーツを組み合わせた面白い作品がSNSにたくさん投稿されているし、気球や車のような典型的な構築物でも平地を素早く走ったりトーレルーフでは届かない上空に移動したりするのには便利だ。
しかしそういう面白さや便利さは局所的なものに留まるのも事実だ。やり込み作品作りは旅に組み込まれるというよりは旅を一時中断して行うものだし、移動用途では単発で使い捨てるお助けアイテムにしかならない。SNS投稿では役に立っても、広大な世界を旅する上では真に役立つもののバリエーションが実はかなり少ないというのがゾナウギアの限界だった。
広大な世界を旅する上で俺が本当に欲しかったものは「旅のお供」だった。つまり俺がゾナウギアに対して本当に求めていたのは「色々なゾナウギアマシンに乗って快適に旅をする」という体験だった。そういう意味で、ゾナウギアは長い目線での旅のお供としては便利でも面白くもなかった。
ゲームサイクルを担保する高低差がそこら中に存在する割にはゾナウギア製の移動マシンは段差移動には弱くなりがちだ。かといってギミックを仕込めばサイズ的にも運用的にも小回りが利かなくなる。乗り込む際にはリンクが操縦桿まで移動する手間もかかり、地面に落ちているアイテムを拾ったり現地の敵と戦ったりする探索をきめ細やかに行うにはいちいち昇降が面倒だ。ありがちな流れとして、ゾナウギアを降りて洞窟を探索して戻ってきたらゾナウギアは消えていて、またブループリントする手間がかかったりする。

補足544:旅のお供として最も適切なゾナウギアマシンはいわゆる「エアロバイク」だが、あれも移動には便利というだけで探索を便利にするものではなかった。探索では地上にあるアイテムをいちいち採集したり敵と戦ったりしたいので、結局逐一乗り降りする手間が気になってきてしまう。

最初に「ボリュームはもっと少ない方が良かった」「中盤からは意地と惰性でプレイしていた」と書いたのはそういうニュアンスで、世界のバリエーションに対して旅のバリエーションが追い付いていない。

補足545:UI・UXが全体的には優れているだけに非常に気になったポイントがいくつかある。が、これらはあまり本質的な瑕疵ではないし、別にこれらをもってゲームを批判するつもりもないので補足に回す。
・「アイテム入手」と「賢者への指示」に同じボタンが割り当てられているせいで、アイテムを拾いたいときによく賢者が暴発する。ボタン割り当てがシビアなのはわかるが、この二つは余裕のない戦闘周りで同時発生しがちなので分けてほしかった。
・馬を呼ぶ口笛ボタンを削除するか不便な位置に移し、代わりに賢者への指示ボタンを作るのがいいと思った。リンクの移動手段と言えば馬というイメージを大切にしたいのはわかるが、現実問題としてゾナウギアがあり上下移動も多い今作では馬の相対的な需要が著しく下がっている。
・武器の所持可能数が増えてくると切り替え時に一列のリストから選ぶのが面倒。どうせ武器リスト展開中は矢印ボタンの上下を余らせているのだから、リストは二次元平面に展開するUIの方がよかったと思う。
・温泉とか根での段階ハート回復が遅すぎるのでもっと早くしてほしい。「徐々に傷が癒えていく」という演出であることは理解するが、ユーザーはどうせ全回復するまでじっと待つのだから何もできない待機時間が増える損失が大きい。
・「盾サーフィン中に盾の耐久値が尽きたとき」と「空中射出で弓矢の耐久値が尽きたとき」にリンクがダウン状態になる意味がわからない。盾や弓矢を壊れるまで使うのは適切なプレイのはずなのに、どうしてユーザーにペナルティを与えるのか? 盾や弓矢の耐久値を使い切る前に捨てるテクニックは求められていないはずだ。剣は耐久値が尽きた瞬間に攻撃力が倍化する超気持ちいいギミックがあるだけに、盾と弓矢では逆にペナルティが生じるのは一貫性もなく理解に苦しむ。

 

ウェブ最適化ではじめる機械学習

良著。タイトル通りウェブ最適化というテーマを切り口にした機械学習本だが、より具体的にはサイトのユーザーに対して提示した何かがリアルタイムに評価される状況でベストなパラメタを動的にアジャストしていく話、より数理的には解空間の部分集合に対して有限回の評価が届くときに解空間全体の評価を推定する話だ。

そういう問題系の大枠で色々なバリエーションが紹介されている。解空間が二値だけならベルヌーイ分布のベイズ推定すればいいし、多次元の二値ならバンディッド系アルゴリズムを使えばいいし、もっと一般に連続実数空間ならガウス過程を扱えばよろしい、というようにそれぞれのやり方がある。

数理的にはやや各論的なテーマに一本芯を通そうとするならば、キーワードは「試行回数に起因するばらつきの大きさ」になるだろう。
「2回コイントスして1回だけ表だったとき」と「100回コイントスして50回が表だったとき」を比べると、期待値はどちらも二分の一っぽいが、後者の方が多く試みている分だけ自信をもって断言できそうだ。一般に連続的な解空間に対するガウス過程を用いた推定でも言っていることは全く同じで、要するに「似たような試行が多く繰り返されたところではばらつきが小さくなりますよ」ということがカーネルなどを用いて表現されているだけだ。

7章あたりから一気にギアが上がってくる感じはなくもないが、記述自体は丁寧で誰でも平易に読める難易度。ところどころで面白アイコンを生成したり色空間を探索したりして読者が飽きないように煌びやかな事例をいくつも紹介しているのも好印象。

因果推論 基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ

良著。因果推論全体の地図を作る本で、フローチャートや図解を豊富に用いてよく情報が整理されている。色々知ったあとに交通整理してもいいし、色々知る前にざっとさらってもいい。手法が色々あるけど結局いつどれを使うんだよ、とか、結局未観測の交絡因子がある場合に使える手法はどれなんだよ、という疑問がクリアできる(手法選択フローチャートは特によくできている)。
個人的には傾向スコアや重回帰などの基礎的な手法は既知だったが、それらについても使いどころや弱点を整理できたし、機械学習との融合・感度分析・時系列解析・因果探索などについては具体的な手法までは踏み込んで知らなかったので勉強になった。

とはいえトピックが多いのでやや駆け足気味ではあり、目的に対して手法やパッケージの名前を挙げるだけに留まっていたり、難解な立証はスキップしていたりするところも多い。だから一冊で完結できるわけではないにせよ、トピック量の割には相対的にコンパクトとも言い換えてもいい。
一応、トピックが散らばっているせいか説明があまり合目的的ではなく散発的な言葉を並べただけのように感じる箇所も少数あり、そういう意味でも他の本でフォローする必要はありそうだ。

岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

比較的入門的な因果推論のトピックについてオムニバス形式で書いてある本。色々な事例への応用や地に足のついた傾向などを知ることができる。「実際操作変数法ってムズすぎるし理想を求めたら結局RCTじゃない?」という現場の声が聞こえたりするのは良かった。
平易で色々読めるがその分体系性には欠けていて、理論は別の本に丸投げしていることも多い。これで学ぶというよりは他の本で抑えた話の復習とか別の角度からの理解を試みるとよい。実は謎に収録されている円城塔の短編が一番面白かった。

補足546:『文字禍』は文学部で読んだとき正直意味不明だったので、思いもよらないところでちゃんと面白いやつが読めて良かった。
  

ジョジョ・ラビット

ギリギリ面白かった。
ナチ信者の少年がナチ離れするという既定路線のストーリーについて語ることはあまりなく、もっと細かいシーンの味が面白いタイプの映画ではある。イマジナリーフレンドのヒトラーとのやり取りだったり、ママとの会話だったり、キャプテンKの振る舞いだったり、そういうシンプルに面白いだけの細部をそれぞれ説明するのも野暮なのでその辺は気になるなら見て頂きたい。
特にウケたのは「恋をすると胸の奥で蝶が羽ばたく」(うろ覚え)みたいな台詞のあとで主人公の胸のあたりで実際に蝶が羽ばたくエフェクトが出るやつ。確かに恋をしたことがめちゃめちゃわかりやすいが、物語上でも重要な転換点がそのインスタントの極みみたいな演出で本当にいいのか?

台風クラブ

ギリギリ面白くなかった。思ったよりも寺山修司っぽく、邦画ってこういうサブカル古典邦画界隈みたいなものがあることを感じる。
中学生の無軌道カオスぶりと大人への不信感をよく描けてはいるとは思うし、やりたいことは一定わかるが、高度にコンセプト重視の映画で俺には刺さらなかったのであまり言うことがない。

バトゥーキ

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暗号学園のいろは 7

#TODO:あとで単独記事書いてここにリンク

24/7/17 お題箱回166:GitHub etc

お題箱回166

1094.LWさんは試験勉強の際、丸暗記せざるを得ない固有名詞的な情報や単語はどうやって覚えていましたか?
良い暗記法やツールなどがあれば教えてほしいです。

あんま覚えなかったです! 有契的ではない固有名詞を丸暗記するのはかなり苦手な方で、かなり強い興味がなければ困難です。
今でも新しい分野に触れるときに抽象的な論理構造とか合目的性は貪欲に吸収する一方、細かい固有名詞はどうでもいいと思って捨てていることが多いです。

とはいえFP試験みたいな丸暗記の塊と向き合わないといけないときもあって、そういうときはインプットよりアウトプットした方が定着しやすいです。
例えば教科書を読むインプットを一周済ませたら問題集を周回したり、文章でも雑談でもいいので覚えた単語を使ってみたりすると身体に沁み込みやすいと思います。

1095.興味はあるけど難しすぎて読むのを断念した本ってありますか?

たくさんあります。
哲学書は難解なものが多くて、第一回サイゼミで読んだ『アンチ・オイディプス』はかなり意味不明でしたし、『純粋理性批判』とかも本棚にありますが普通によくわからんなと思っています。
ただ何でも積み上げていけばいつかは読めると思っているので「難しすぎる」というよりは「時間がかかりすぎる」の方が正確で、自分の関心や得られる知見に対して時間がペイしないと思ったものは断念するという感じです。

1096.都知事候補がマニフェストの公開にGitHubを使って話題になりましたが、LWさんはGitHubで仕事以外に何かしてたりしますか?

小説の管理に使っています。コードを書かない癖にそういう用途では使うあたりは腐っても情報系出身という趣があります。
やはり過去の版を勝手に全部記録してくれるのが便利で、文字数の増加ペースを記録しておけたり、30万字以上もある中での更新差分をパッと表示できたりします。あとは稀に修正方針についてIssuesでディスカッションしたり、文章を処理するスクリプトを保管しておいたりという本来の用途にも使います。

差分表示
Issuesでのディスカッション
話数表記や振り仮名を処理するスクリプト

 

1097.どんなノートの取り方してるか知りたいです
ノートの取り方が分かる前に社会人になってしまいました
特に資格など新しい事柄を勉強をする際に効果的な方法あれば教えて欲しいです

前に書いたこちらを読んでください!
saize-lw.hatenablog.comただ結局のところ自分で色々試すしかないです。勉強のやり方にはかなり個人差があって、受験勉強をちゃんとやってきた人が社会人になっても勉強に強いのは自分の勝ちパターンを知っているからです。

1098.ガルクラおもんないから見なくてもいいとはどういうことですか!説明してください!

評判いいから見るか~と思ったけど一話が普通におもんなくて沈みました。別に明確な瑕疵があったわけではなく、なんかあるのかと思ったらなんもなかったタイプのやつなので説明することがありません。
昔なら一話がおもんなくてもワンクールくらいは粘れた気もしますが、加齢の影響でここからの再開はかなり望み薄です。

1099.適応障害を対処する方法を教えてください

こんなところで聞かずに医者に行くべきなのを大前提として、自分の体験ベースで言うと適応障害に正面から対処するのは概ね無理な気がします。
適応障害が起きる条件を言語化してその発生を避けたり、色々試してみて適応障害が起きない場所を探したりする「回避」が基本です。退学なり退職なり転職なりでガッと環境を変えるといいと思いますが、いずれにしても大きな判断になるので責任は持てません。

1100.個人ではなく仕事用途で用いるのであればObsidianではなくCosenseの方が向いてませんか?個人的な日報であればmacのメモとかにまとめておいて、情報収集に関してはグループ共有できた方が捗りそうに思えます

いや、それは一概には言えないと思います。
仕事でメモを共有するなら他人が読める形に整理するのにけっこうなコストがかかりますし、個人で雑多な日報を取るにしてもmacのメモよりobsidianが優れる点はいくつもあります(プラグインや階層化など)。仕事で雑多メモをobsidian、共有知見をcosenseみたいな使い分けはアリだと思います。

1101.東大に合格する人って勉強を楽しんでいる人が多い印象なんですけど、LWさんはどうでしたか?
楽しんでいた場合、資格の勉強も同様に楽しめましたか?
また、それは自ら楽しめるマインドにもっていったものですか?

模試が好きで楽しんでいましたし、資格の勉強も同様です。自ら持っていったというよりは、生来の気質と単に簡単に勝てるゲームは楽しいというだけです。

1102.ランサムウェアで身代金を支払う事と、子供が誘拐されて身代金を支払う事と、強盗に脅されて金を支払う事にはどのような違いがあると考えられるでしょうか。
1つ目について支払いはよくないという声はよく見かける気がしますが、残り2つについてはそういう声は少ない気がします。
後ろ2つについては命の危機があるから正当防衛や緊急避難のような考えで正当化する考えが多いのかなと。ただそうなると例えば病院や製薬会社などに対するランサムウェアであれば命が関わるケースはありそうだなとか、経済的なダメージでも間接的に生死に繋がるケースもありそうだなとか。
ランサムウェアの話題では外為法抵触リスクが持ち出されますが、強盗にもし北朝鮮が関与していたからと言って支払ったコンビニや銀行の店員や代表責任者や会社自体が罰せられるものというのも酷だなと思ったり。
対策が不足して過怠が~というケースについてはどれも同様にありそうですし。話題によってはそう言って責める事は二次加害にもなりそうです。
対処について代替案の可能性もケースバイケースそうです。

仰る通り、直接的に人質に取られているのが人命か否かで反応が変わると思います。
間接的な影響も含めると予測も込みで人が死ぬか否かがはっきり決まるわけではないので、そのグラデーションが反映されて意見が割れてくるのだろうと思います。

1103.先日の執筆についての質問(1048番)で触れていた「全体を素早く書き、推敲によって完成度を上げる」という話ですが、これは小説でも同じなのでしょうか?
評論や感想などの文章でこの方法が有効なのは納得できるのですが、小説文では「いい文章」に求められる要素が異なっていそうなので、同じ手法が通用するとは直感的には思えません。自分に執筆経験がないゆえの考えなのですが、LWさんはどう感じているか気になります。

同じです! 感想も小説も伝えたいことが読んだ人に正しく伝わるのがいい文章で、有効な手法も同じです。
一万字くらいの短いやつでいいので何か一つ書いてみればすぐわかると思います。

1104.アニメはリアルタイムに追っかける派ですか?

昔はかなりリアルタイム派(録画で翌日視聴とかを含む)で、後から評判になったやつか録画から漏れたやつだけ配信で追っていました(そもそも配信サービスが存在せず追わなかったら即死の時代もけっこうあった)。
が、今はもう完全に衰えたのでリアルタイムで見ることはなくなり、相当評判になったやつを後から見る気がなくもないくらいです。

1105.東京都知事立候補者の安野さんという人がロン毛は切りませんと発言しましたが、これについてどう思われますか?
彼は「見た目で判断されない世の中を目指しているので私は選挙戦に向けて見た目を変えるようなことはしない」「一方で前髪がボサボサだとかアホゲが出ているとかは自分のズボラさによるところなのでそのようなご指摘は謹んで受ける」などと言っていますが完全な詭弁だと思います。
「得票のみに最適化するなら既存の政党に入るなどの手段はあるがそれでは私の政ができないからやらない」とも発言されていますが、ここで知事選に立候補しておきながら得票に最適化しないというのはすなわち今回の選挙に勝つ意思も知事になる意思もないと表明しています。目的のために全力を注がない人物に政の長を任せたい人間がいるとは思えません。
大きな意味で言えば彼も広告宣伝を目的とした立候補だということなのでしょうし、それ自体は別によいことだと思います。彼の目的は今回の選挙にはなく、もうすこし長いスパンで見た先にあるというのなら理解もできます。しかしここまで半ば自白していながらなぜまだ「安野を都知事に 応援おねがいします」などと言っているのでしょうか。死に票を増やすとなにかいいことがあるのでしょうか?

完全にナメられていると感じてキレそうです。キレていいですか?

それは単にあなたと安野さんの政治的な意見の違いがはっきりしただけだと思います。

もうちょっと極端な話にすればわかりやすくて、例えば元々「現行憲法死守」のワンイシューで戦っていた人が「自民党に所属した方が得票数が増えるから憲法改正派に転向して自民党と組みます」と言ったら支持者は「いやそれはおかしくない? それで当選しても意味なくない?」ってなりますよね。選挙とは政治的な主張を表現するために当選を目指す場であり、当選するために政治主張を変えてしまったら本末転倒だからです。
だから厳密に言えば「候補者は全てを得票に最適化すべき」という考え方はおかしくて、「候補者は自分の政治主張を変えない範囲で得票に最適化すべき」の方が妥当でしょう。

これを踏まえると、安野さんにとっては「ロン毛を切らない」という条件は政治的な主張に含まれていて、当選を目指すとしても撤回できない事柄だったのでしょう。一方、それはあなたにとっては政治的な主張に含まれない単なる趣味嗜好の話だと感じられたので、当選を目指すならば撤回してほしいと感じたのだと思います。
つまりこれは「安野さんにとって重要な政治的な主張があなたにとっては全く重要ではなかった」というだけの話で、政治に対する食い違いが明らかになった以上はあなたは安野さんに投票すべきではないと思いますが、それを選挙に対する真剣さとか宣伝目的みたいな話だと解釈するのは先走りすぎです。

24/7/15 お題箱回165:Vtuberの肉親登場etc

お題箱回165

1083.紙なんか捨ててObsidian使えよ

プライベートでは相変わらず紙メモですが、仕事ではObsidianを使うようになりました。
無限に振ってくる雑多な情報をいい感じにメモできるので重宝しています。今のところリンクネットワークはそんなに活かしていませんが、色々とプラグインを導入できるディレクトリ構成付きMarkdownメモシステムとして有用です。

1084.食生活を紹介してほしいです。普段何食べてますか?自炊はしますか?

成人男性が普通に食べそうなものを幅広く食べています。ラーメンとか米とかうどんとかパンとかサラダとか肉とか魚とかパスタとかを食べますが、ファストフードや洋菓子などの筋肉に悪いものはなるべく食べないようにしています。
また、ぬくぬく実家暮らしで親が料理好きなので自炊という感じでもありませんが、ベーコンエッグとか炒飯とか麻婆春雨とかプリンくらいの軽い料理ならよく自分で作って食べています。

1085.プログラマーがバグを生むからカスタマーサポートの雇用が生まれるのでバグは必要でカスタマーサポートはプログラマーに感謝すべしという意見についてどう思いますか

一般に因果関係が価値判断を導くわけではありませんしケースバイケースです。
例えば「犯罪者が警官の雇用を生むので警官は犯罪者に感謝すべし」と言われても「そんなことはないだろ」と思いますが、「ゲームユーザーがゲームクリエイターの雇用を生むのでクリエイターはユーザーに感謝すべし」と言われたら「そうかも」という感じがします。
ただそれを踏まえても普通に前提がおかしい気がします。プログラマーがバグを生まなかったとしても、使い方とか仕様確認とか不明点の問い合わせは来るのでカスタマーサポートの雇用は存在するでしょう。だから「プログラマーのバグがカスタマーサポートの雇用を生んでいる」というよりは「プログラマーのバグがカスタマーサポートの業務を増やしている」と言った方が正確で、常識的に考えて感謝はあまりされない気がします。

1086.過去の同性婚についての質問のときに、「リベラル過ぎて」みたいな表現を使っていましたが、LWさんは総合的に見て自分の思想がリベラル寄りだと認識していますか? それともあの文脈においてそうなのであって、総合的にはそうではないと思っていますか?
前者だとすると、LWさんの強者賛美的な振る舞いは努力賛美の副産物なのでしょうか。どうも強者であることと先天的要素の関連をある程度認めている感じだったので、先天的な能力や環境の強さにもある程度こだわりがあるのだと思っていました。
結局受け入れるべき多様性の線引は人それぞれだし、努力賛美を介さない直接的な強者賛美とリベラルは両立しないわけではないと思うのですが、自分の知っているリベラルとは少し違うので、もし総合的に見てリベラルだという自認なら、少し意外です。

全体的に消極的な口だけリベラルみたいな感じではあります。
自分の利害に抵触しない話であれば安全圏からリベラルな観点に賛同しますが、自分の利害と食い合うと思ったらそれを捨てることを躊躇いません。「大義ベースでは賛同するけど実践ベースではそうとも限らない」というのは同性婚に対する態度と同じです。

また、仰る通り確かに僕は「強者が強者たる所以には先天的な要素が大いにある」と考えている方です。強者とは得てして「頑張れば誰でも到達できるライン」を大幅に踏み越えているものです。遺伝や環境などの本人には左右できない要因に強さが由来していることも珍しくないですし、たとえ仮に強さが努力の成果だとしてもそれはそれでその水準の努力ができる時点で(凡人の「いわゆる努力」とは質が異なる)「努力の才能」があるという見方にも賛同します。
ただ、それは思想的な主張というよりは経験的に得た事実認識に過ぎません。強さが先天的だからといって殊更に強者を優遇すべきだということにはなりませんし、優生学のやり方にもリスクが大きいと考えています(が、いまどき優生学を留保なしに全否定しない時点でラディカルということになるのかもしれません)。

だから強者賛美と言われることには違和感がありますが、そういう現状を特に正そうとしない、つまり弱者に下駄を履かせるアファーマティブアクションなどに積極的には賛同していないあたりが消極的に強者賛美と言われればそうかもしれません。これは何か思想的な理由があるというよりは単に弱者救済に興味がないだけですが、その関心のなさがリベラルでないと言われれば特に反論はありません。

1087.「Vtuberが肉親を配信に肉声やビジュアル付きで登場させる」に規制をかける予定はありますか?
古の環境でも姉街(星街すいせいの姉)などが環境に出てくることはあったのですが、最新のぺこらマミー(兎田ぺこらの母)に関する挙動の想定外感は規制の検討が必要なんじゃないかと思った次第です。

要監視項目ではありますが現状ではありません。
確かに肉親の登場はVtuberをリアルに繋げやすいイベントではありますが、そうは言ってもキャラ設定で処理できる範疇ではあります。つまり「本当はVtuberを演じている人に姉なんかいないけど、Vtuberの設定としては姉がいることにしたいので、姉役の人を引っ張ってきて演技をしてもらっている」という解釈は常に通ります。少なくともリアルASMRなどの絶望的なシチュエーションに比べればまだフィクションに寄せた消費が可能です。

また、もし配信に登場する肉親が本物だったとしても、その人をリアルな人間というよりはキャラクターとして扱おうとする風潮が強くあることも現状で問題視していない理由です。
姉街には星街の2Pカラーみたいなビジュアルが定着していますし、百合イラストやR18イラストも稀に存在します。腐女子のお姉さんたちが「ナマモノ」として忌避してきたところを平然と踏み越えられるのは姉街の図像がナマモノとは見做されていないからで、彼女がキャラクターとして扱われている分には演じている人の血筋は何でもいいです。
同じ理由で、ぺこらマミーの台頭はむしろ判断をセーフに寄せる要因です。常識的に考えてアラ還だかアラフィフだかの女性その人にアイドル的な人気が出るとはあまり考えにくいため(趣味は人それぞれだが流石に)、むしろアバターを適切に用いてフィクションのキャラクターとして振る舞っていると見做す強力な理由になります。

1088.いいね欄が閉鎖された世界で俺たちはどうやって生きていけばいいんだ…

1089.Twitter(自称X)で他人のいいね欄が見れなくなったことでしげすぎちゃんさんのいいね欄からエッチなネタを仕入れることができなくなってしまい悲しいです。普通にクソ改悪だと思いますよね?

僕は意外と困っておらず、去年の今頃にあったAPI騒動の絶望感に比べると相対的に被害は軽微です。イラスト収集はTwitterが唯一の情報源というわけでもないですし、強力な絵師は既に補足していたりオススメ欄には流れてきたりもします。

1090.忘れたくないから色々紙に記録しているみたいですけど、写真とかもよく取るのですか?
見た景色や視界とかも記録しないと忘れると思うので

体系知識は忘れると困るから残しますが、景色とか視界は忘れてもいいので撮らないだけです。普通に片っ端から忘れているので人の顔や地名をほとんど覚えません。

1091.「ぼく、オタリーマン。」というITエンジニアのエッセイ漫画があって、作業レイヤー(コーディングなど)だと活躍できていたのに、マネジメントレイヤー(PM)に昇進したら、うまくパフォーマンスを出せなくなってしまったエピソードがありました。作者は一人で作業するのは好きだけど、人繰りが苦手なタイプだったようです。自分もコミュニケーションが得意ではないので、いずれ同じような問題をいずれ抱えそうになる気がします。
自分が考える選択肢は二つです。
1給料と出世を諦め作業レイヤーに居続ける
2頑張ってマネジメントレイヤーに適合する
LWさんはどのように思いますか?また、自分のような立場だったらどのように解決しますか?

マネジメントレイヤーに誘われるときが来たら一度試してみればいいと思います。やってみたら意外とできることもよくありますし、やってみた上で給与とかキャリアを天秤にかけて判断すればいいのではないでしょうか。
あとIT系のプロジェクトマネジメントはエンジニアの領域だけあって体系的な知見の蓄積がけっこうあって、一般的な人間関係よりは遥かにシステムチックに対応できるようになっているはずなので、そのあたりを勉強してみるのもよいと思います。

1092.こんにちは。質問667へのご回答を拝見してのご相談です。
lwさんは「論理構造は無視して思い付いたことをひたすら書くためのメモ」に対して、後から見返したい情報に、どのように検索して辿り着いていますか?
私の場合は、ある程度まとまった内容は別途A4ワンぺなどに纏めてGoogleDriveにupしてますが、大多数の細切れメモの内容は見返すことがありません。

細切れメモの中にも、吸い上げる価値のある着想はたくさんあるはずですが、検索や整理や再読のコストがデカイので、これまで切り捨ててきました(A4に再整理しよう、と思わないような細切れメモは、書いただけで終わり)。
もし、lwさんで運用している、細切れメモへの検索・タグ付け・アーカイブのメソッドがあれば、ご紹介頂けると幸いです。

実は全然見返さないので特に何もしていません。
捨てはしないし見返すかもしれないと思いつつ、実際見返すことは特にないという微妙な状態です。書いた時点である程度は頭に入るし、見返さなければ思い出さない程度の話にはもう興味がないのかもしれません。

1093.最近バズってたツイートの、男性のほうが必要なカロリーが多いから、大盛りが無料じゃないのは男性差別だという意見をどう思いますか?
あと個人的に、食費ぐらいは全国民に支給するべきだと思うのですがこれもどう思いますか?

バズっていたツイートは知りませんが、アホっぽいクレームに見えて一定の筋が通っている節はあると思います。
食事領域にはいわゆる「平等ではなく公正」みたいなカルチャーが割とあって、「大盛り無料」や「おかわり自由」などの同価格でも客に合わせて提供量が変わるシステムが珍しくありません(生命に関わるプリミティブな領域だから?)。無論そのシステムを採用するかどうかは任意なので、資本主義によって駆動している民間飲食店に強制するのは無理筋であるにせよ、例えば公正な救済という意味合いが強い公営の炊き出しなどでは「男性が大盛りじゃないのは男性差別」という主張は通ってもおかしくないと思います。

食費ぐらいは支給された方がいいという主張には概ね同意します。人権は無料である一方、現実問題として生存には食費がかかるからです。
ただ全国民にまで支給しなくても、どうしても自分で賄えない人へのセーフティネットとして支給する現状の生活保護ないしその拡充で十分だとも思っています(僕はベーシックインカム自体には肯定的ですが、それは食費を担保するためではありません)。

24/7/7 お題箱回164:加齢の影響、1周目と2周目etc

お題箱回164

1069.いつも楽しくブログを読ませていただいています。質問です。LWさんにとって面白い物語の基準は何ですか。以前どこかで物語の面白さはストーリー重視で判断していると仰られていたと思いますが、具体的にどのような判断基準でストーリーの面白さを測っているのか教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。

ありがとうございます。
正確に言えば、面白さは「最初に決めた基準をチェックして決定する」というフローで生じるわけではありません。「どのような判断基準で食べ物の辛さを測っているのか」と聞かれても「食べて辛かったら辛いと思います」としか答えようがないのと同じで、「どのような判断基準でストーリーの面白さを測っているのか」と聞かれたら「見て面白かったら面白いと思います」というのが最も自然な答えです。
だから別に判断基準ではないけど面白いと感じるものの傾向の話であれば、試みが新しかったり趣味に合っていたり構造的に上手くできていたりすれば面白く感じる可能性が高いです。

1070.今後2〜30年程度の近い将来において、直接の肉体労働ではない職種はほぼ全てAIで代替可能になってしまうと仮定して、大卒平均程度の技能及びポテンシャルの労働者はどのように食い扶持を見つけていくのが良さそうだと思いますか?

SF作品で考えられているような、完全にAIに管理された社会の実現はそれよりもさらに先だと思っているので、そこまでの過渡期をどのように生きていけば良いかに悩んでいます。

直接の肉体労働がAIで代替されていない想定なら普通に肉体労働をすればいいと思います(個人的には高々数十年で知的労働が全てAIに全て代替されるとはあまり思っていませんが)。
あと勝手に増えるタイプの資産を転がすとか生活保護を受給するとか労働以外で食い扶持を得るという選択肢もあります。

1071.LWさんは最近(?)「加齢の影響で前より丸くなった」的な事をよく言ってますが、
丸くなった=加齢だと判断した理由とかはありますか?それとも単に根拠なく「歳取ったんかなあ…」と思っただけなのでしょうか?

自分も最近過激な発言や考えをすることがめっきり減ったのですが、
それは特に年齢とは紐付いていないと感じているので気になりました

1072.LWさんは「加齢の影響で~」と語ることが最近とみに多いように感じますが、加齢そのものは直因たり得ないですよね。特定の社会経験がトリガーとなった価値観の変化とかであれば、その経験が人生のどのタイミングで発生したかというだけの話でしかないですし、人生経験の蓄積の背後にある「時間の流れ」そのものを大雑把に"加齢"として呼んでいるならば自身に起こるあらゆる変化は加齢を理由にできて原因の切り分けとして成立してないように思えます。なので、LWさんがどういう背景や理由で「加齢の影響」を強く意識したり、繰り返し使うのか気になっています。

そういう意味では、「加齢の影響」と言っているときは「加齢そのものと同じくらい誰でも同じように経験するであろう変化」というニュアンスがあります。逆に言うと「この年齢になって歌ってみたをよく聞くようになった」とか自分だけの例外的な変化と思われるものには「加齢の影響」とは言っていません。
具体的には、僕が加齢の影響としているのは例えば「社会の複雑な利害関係が色々見えてきたので安直な断言を避けるようになった」とか「関わる人が増えてきたので各方面に迷惑がかからないように過度にネガティブな発言を避けるようになった」とか「被害者より加害者になる蓋然性の方が高くなってきたので意識的に加害性を忌避するようになった」とかです。実際のところ本当に誰もがそのように変化するわけではないにせよ、どれも僕が言わなくても他の誰かが言っていそうなことばかりです。

1073.トップページ?の「無職のオタクのブログです。」
もう就職終わったみたいですし変えませんか?

変えました!

1074.転職ツイートでLWさんのことを知りました。仕事についてざっくばらんにお話をしたいです。どうすればお茶してもらえますか?

1075.もしLWさんと友達になりたかったから、どういう方法で仲良くすればよいですか?

ちょっと前までなら普通に連絡方法などを書いたのですが、この粒度のアプローチに対応しているとリターンよりコストの方が上回るフェイズになってしまったのでもう書きません(つまり「キリがなくなった」ということです)。
自分で調べたり考えたりして妥当と思われる方法で接触を試みてください。接触しても良さそうだと思ったらしますし、そう思われなければ諦めてください。

1076.毎月のメモの量はどれくらいになりますか?また、コンテンツの感想など意外には普段は何をメモしていますか?

月によりますが、ノート1~10ページくらいです。メモしているのはTODOリストや読んだ本の内容などです。

1077.LWさんは思考するときに内言(inner speech, internal monologue)を行っていますか?私は思考したり本を読んだりするときに基本的には脳内で発話しているのですが、LWさんのような頭の良い人でも同じなのか気になります。

よくわかりません。「自分は内言しているのか」と考えるときは意識的に内言してしまうので、そう考えていないときも内言しているのかどうかを把握する方法がありません。
ただ、特に複雑な事柄をちゃんと考えたいときには意識的に内言をしますし、周りに誰もいなければ実際に声に出していることも少なくありません。どうしてもどちらかにbetしろと言われれば内言している方に賭けます。

1078.新しい職場もソシャゲ系ですか?

新しい職場に関しては当面は具体的な情報を出さないことにしているので無回答です。

1079.マンバズの結果いくら儲かったか教えて欲しいです!

ゼロです。Twitterもブログも特にマネタイズしておらず稼ぐ経路自体が存在しません。

1080.度々1周目や2周目というワード使ってますが何かの専門用語ですか?

「議論の周回数」とか「議論のレベル」みたいな意味です(「レベル1」「レベル2」という言い方をすることもある)。
特にどこかで使われている専門用語ではないですが、便利なので通じる範囲ではよく使っています。もっと一般的な言い回しがあればそちらに乗り換えてもよいです。

例えば「公園でポイ捨てしてもいいのか」という論点に対して、誰もが一番最初に考える1周目の答えは「常識的に考えて捨ててはいけない」です。
ただ色々と調べたり考えたりした結果、実際にはある公園ではポイ捨てを前提としてクリーンな状態を保つエコシステムが構築されていることがわかったとすれば、2周目の答えが「捨ててもよい」になることは考えられます。
このとき、2周目の人が色々なシステムや制度を調べた結果としてあえて「捨ててもよい」と言っているのに、そういう事情を知らない人が「常識的に考えて捨ててはいけない」という一般論レベルの反論(1周目の反論)をしてきて話が噛み合わないのはTwitterでよく見る光景です。
また、2周目から更に「実は経済的な事情によってエコシステムはもう実質的には機能していない」と新たな情報を得た人が「捨ててはいけない(実はエコシステムが機能していないから)」という3周目の答えに到達することもあります。その場合は表面的には1周目の答えに戻ったように見えますが、実際には1周目の人とは全く違う過程を辿っているので依然として周回数の峻別は重要です(1周目の人が3周目の人に同調するけど実際には全く話が噛み合っていないのもよく見る光景)。

周回数を気にするようになった背景として、加齢の影響で世の中には色々な考え方があるとわかってきたことがあります。考え方は多様なので最終的な賛否自体はあんまり重要ではなく、それよりもきちんとコミュニケーションを取るための論点が共有されているかの方が重要です(1周目と3周目の人がたまたま同じ結論に達していることには大した意味がなくて、同じ3周目の論点で賛否が議論されていることの方が重要ということ)。

1081.たまに考えるのですが、もし野獣先輩がネットでの扱いを苦にし、自ら命を絶っていたという事実が判明した場合(そういう題材の淫夢動画も実際あった)、ツイッターでLWさんを含めた淫夢コンテンツ消費者たちが糾弾される流れに確実になると思うのですが、淫夢ヘビーユーザーのLWさんはその際どういった対応をしますか?素直に非を認めるのか、それとも例えば「野獣先輩というキャラクターを楽しんでいただけであって役者そのものは全く関係ない。」と反論するのか、など。

野獣先輩が未だに発見されてない以上、かなり有り得るケースだなと割と頻繁にこのことが思い浮かびますが、まだ結論を出せていません。

その糾弾論争みたいなやつに参加する理由が無いので特に何も対応しないと思います。一瞬だけ「へー死んだんだ」と思って一分後には忘れているくらいが現実的なところでしょう。
ただ「どう思います?」とわざわざ聞かれれば「常識的に考えて良くないカルチャーだし悲しい結末ですね~」みたいなことを言うと思いますし、それは普通に本心です。

1082.「他人の自殺を止めるのはよくない」みたいなのがあまり理解できないです。
仮にそのとき自殺を止められたとしても、死にたいんだったらまた日を改めて自殺すればいいだけなのではないでしょうか。

日を改める手間をかけさせられるの普通に嫌じゃないですか? 今コーラ飲みたくて一本買ってきたのに妨害されて「また日を改めて飲めばいいだけ」って言われて納得できますか? そういう話です。


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24/6/23 お題箱回163:DOD etc

お題箱回163

1059.「DODがなかったらオタクやってなかった気もするしかなり原点」
このツイートの詳しい話が聞きたいです。

DRAG-ON DRAGOON(DOD)は中学生の頃にプレイして衝撃を受けたゲームです。
僕が何歳になってもオタクを続けているのは「コンテンツカルチャーには人生を投じるだけの価値がある」という前提を信じているからですが、今思えばその確信を最初に得たのはDODだったと思います。DODがなかったらオタクやってなかったというのはそういう意味です。

DODは表面的にはスクウェアエニックスらしい剣と魔法のファンタジーですが、徹底して世界に救いがないことがマルチバッドエンドと言われる所以です。
そもそも人類が世界の神に嫌われているので世界の側に人類に利する動機が一切ありません。世界の謎を明かすたびに人類は滅びに近づいていき、何をしても世界も戦争も仲間も悪い方向にしか転がらず、世界の希望と思われていたアイテムの数々が結局のところ人類を滅ぼすものだったり、親しかった知り合いたちが最悪の敵として立ち塞がったりという絶望的な展開が執拗に描かれます。
「人類を滅ぼす悪の神」みたいなモチーフはラスボスの定番ですが、DODの「神」は裏設定程度のものでしかないというのが非常に秀逸です。姿かたちは関連コンテンツや続編を通しても一度も描かれていないし、教会や信仰を通じて存在を仄めかされるのみでゲーム本編で人格を持つキャラとしては一切登場しません。

補足541:「人格のない悪意」「原因のない最悪」みたいなモチーフが未だに好きなのはたぶんDODの影響です。人格のある悪なんてたとえそれがどんなに強大でも殺したり説得したりすれば何とかなるという希望が残ってしまうわけで、本当の最悪とは解決の糸口を掴める可能性すら絶無である理不尽です。例えば僕が大好きな映画である『ファニーゲーム』が素晴らしいのは悪役二人の目的や背景が一切描かれないところで、彼らはどこまでも災害のように超自然的な存在であって「悪人キャラ」ではありません。

神には最後まで打ち勝つどころか接触することすらできず、主人公たちに可能なのは最悪の世界でひたすら翻弄されることのみです。最初だけは多少ファンタジーらしく「帝国軍との戦い」みたいなことをやっていたのが途中から完全に「滅び」の話になって、正体不明で上位存在の敵が無限に湧き続けるばかり。止まらない破滅の中で仲間たちは次々に死んでいくし、どのエンディングでも主人公たちの死亡は最初から確定していて、選べるのは死に方くらいしかありません。

でも逆に言うと「死に方くらいは選べる」というのが当時感銘を受けたポイントです。
DODのキャラは主人公を含めて味方陣営全員が狂人で、彼らには彼らなりの嗜好とか信条があってそれを最期まで曲げません。バトルマニアの主人公は戦いっぽい見た目の自殺に笑顔で突っ込んでいくし、カニバリストやペドフィリアの仲間たちも自分の意志を貫いて死んでいきます。
どうせ終わる世界と尽きる命で何をしたところで誰にも咎められることはなく、世界の方が終わっているからこそ却って「自分の死に方は自分で選ぶ」という美学が至上の価値を持つようになります。僕が「死に方を選ぶ権利は最期の聖域である(だから他人の自殺を止めるべきではない)」という思想を持っているのもDODから影響を受けているかもしれません。

補足542:ただこれに限ったことでもないですが、「思想が先にあって後からそれを体現している作品に出合った」のか「ある作品を好きになったのが先でそこで描かれている思想を後から内面化した」のかは鶏卵問題ではあります。

具体的にどういう物語に共鳴するのかは個々人の趣味であるにせよ、僕にとってはこういう救いのない物語とそういう状況で輝く死の美学を描けるとDODで知ったことが、コンテンツカルチャーに現実の人生を遥かに超える無限の可能性を信じる原体験だったという話でした。

1060.丸くなることを加齢の問題とすり替えていませんか?それとも、LWさんの尖り具合がその程度だったということでしょうか

僕にとってはその二つは概ねイコールです。丸くなる原因は加齢による経験蓄積だからだと思っているからです(もっと正確に「経験の問題」と言ってもいいですが)。
僕の尖り具合がその程度というのは仰る通りです。年を重ねてもずっと尖っている人とかも一定数いるので、そういう人に比べると人生における総尖り量的なものが少ないのは間違いないと思います。別に尖ることに価値があるわけでもないので何でも良いです。

1061.各国のAI開発競争って言いますけどこれに注がれる補助金ってWTOの協定に引っかかったりしないんでしょうかね。

すいません、何の話か全然わからないです。引っかかるかもしれないしひっかからないかもしれません。

1062.DS系の資格を取られているようですが、取得する資格の選定基準は何ですか

選定基準は特になくて全部です。能力的にも時間的にもそんなに手間ではなかったのでわざわざあえて絞る理由がありませんでした。取ったDS系資格は以下にまとめています。
saize-lw.hatenablog.comただ正確に言えば、E資格だけは10万円くらいの講座受講が取得に必須だったのでスルーしました。ある程度は資格が利権ビジネスなのは別に構わないのですが、10万円の価値があるとは流石に思えませんでした。

1063.以前ブログで話していた「犬魔戦伝」という作品について教えて欲しいです。調べても何も出てきませんでした

すいません、それは存在しない作品です!
数年前に何かの話の具体例として適当な作品名を挙げようと思ったとき、考えるのが面倒だったため「架空の作品でも別にバレないんじゃないか?」と思ってその場で考えた例をでっち上げたものです。数年越しでそのツケを支払わされていますが、一応僕の記憶が正しければ架空の作品で例を挙げたのはその一回きりだったはずです。

1064.お題箱124回のノートの記事読みました。感想用と勉強用で二種類のノートがあるようですが、勉強用で作成したノートはどのように保管していますか?
感想用と違って詰めずに書いているうえ片面のみ記入だと量も多そうですが、巨大なバインダーに片端からまとめていく・用途や内容でバインダーで分けるなどしているのでしょうか

適当なバインダーに適当にまとめています。量や内容に応じて適当に分けます。
勉強するたびに必ず個別にノートを作っているわけではなく、むしろかなり気合いを入れて勉強をするときだけなのでけっこうレアケースです。直近でノートを作ったのはFPの勉強くらいで、統計検定の勉強やその辺の数学書や技術書を読む程度ならペラ紙に書き散らしたり感想用のノートと共用で済ませたりします。

1065.ドラクエやったことありますか?

ありません。派生コンテンツ含めて全然通ってきていません。ドラクエもFFもキングダムハーツも周りで流行ってた記憶特になくて、その辺の有名RPGと縁の遠い人生を送ってきた気がします。

1066.Googleなどの有名企業の写真アプリのAIが再びゴリラにラベル付けをする日は来ると思いますか

ゴリラに黒人のラベル付けをした話ですよね? どこかでは来ると思いますが、これは技術的な話というよりは文化的な話なので時代の趨勢次第としか言えません。
gigazine.netまずこれは技術的には全然大した話ではなく、単に写真の画質が悪かったり学習データでゴリラ似の黒人がたくさんいればAIも見間違えるというだけです(黒人っぽいゴリラを見間違える人間の勘違いとそう変わりません)。
だからシンプルにAIの性能が上がれば起こりにくくなりますが、人間がそうであるように100%見間違えないという断言まではできなくて、ゴリラをゴリラと判別できるリターンと万が一間違えた場合に人権組織からどつかれるリスクを天秤にかけてどう見積もるかというだけの話です。

1067.先日のスタレnote読んで、LWさんにコンテンツ消費の損切り論を聞きたくなりました。昨今はゲーム以外のジャンルも展開が継続する運営型コンテンツと化していて、「一つ一つ丁寧にクリアするより損切りしつつ波長合うもの探す」のを常に求められてる気がします。

僕も概ねそういう感じだと思います。
一応序盤はしゃがんでるけど尻上がりで面白くなっていく作品を見逃してしまう危険はあって、そこの期待度管理をどうやるのかという問題は生じます。解決策の一つとしては信頼できるオタクの友達に「これって何時間までプレイして切るのがいい?」みたいなことを聞く方法があり、その辺りで令和らしく人間ネットワークの重要性が上がってもいます。
昔は損切りに対してはネガティブな印象を受けていたのですが、すぐに次の作品に移るのであれば「早々に離脱される作品」と同じだけ「素早く接触される作品」があるので市場全体で見れば数量的にはトントンで、ユーザーの流動性が高まるのも一つの健全性だと思います。

1068.スタレ、LWさんの記事読んで私も始めました。ヘルタ好き。

僕もヘルタ好きです。性格が良い常識人が多かった原神に比べるとスタレは捻くれたキャラが多くていい感じです。特にアスター・銀狼・青雀あたりの強かなティーンキャラが好きです。


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24/6/13 お題箱回162:執筆スピード、院進etc

お題箱回162

1048.作品感想文にかかる時間について質問した1042番の者です。聞いた感じだとせいぜい数時間あれば書けるとのことで、すごく速いなと思ったのですが、この速さは鑑賞中にノートをとっているおかげでしょうか?それともノートはあまり関係なくて、単にLWさんが執筆に慣れすぎていて速いだけでしょうか?

単に慣れだと思います。そもそも鑑賞中にそんなにノートを取っていません。

高速で文章を書くコツは「内容を書く作業」と「形式を整える作業」を分離することです。つまりまず文章の内容だけ全部書いて、それを読める形に整えるのはあとでまた別個にやります。
逆に言うと、整った文章を頭から順に書いていくのは効率が悪いです。書く作業と整える作業って全然違うので、同時にやろうとするとコンテキストスイッチが頻繁に入って作業スピードが大きく下がります。

まず内容を書く作業では日本語の文法を無視してとにかく書きうることを全部書き出して材料を揃えます。「てにをは」は滅茶苦茶でいいし、内容は重複していいし、文末まで書かなくていいし、論理構造は考えなくていいし、事実も感想も具体も抽象も全部混ぜていいです。
ちなみに似たようなことを言っているハウツー本で勧められがちな「箇条書き」は全くオススメしません。箇条書きも結局「1行1トピック」「話題の区切りで行を分ける」みたいなルールがあって、それに従って形式を整える作業が混入してくるからです。この段階はもっと適当でいいです。

内容の書き出しが終わったら日本語としての体裁を整える作業をやります。
取っ散らかった内容メモを眺めながら読める文章になるように適宜補ったり繋いだりするだけです。この段階は書くというよりは編集に近いのでコピーペーストも多く使いながら適当な追加と削除を繰り返します(範囲選択が簡単にできるマウスがないとキツい)。

このとき頭から少しずつ確実に仕上げようとしないのもポイントです。
全体の構造がわからないまま細部にこだわると労力の配分を見誤りやすいので、ざっと全部さらうのを繰り返して全体的なクオリティを上げていく方が楽だし早いです。

正しい作業進行

 

1049.以前の質問で、駒場に8年・本郷に6年にいたとおっしゃられていましたが、どういう内訳ですか?
お答えしにくいことでしたら、申し訳ございません。スルーしていただいて結構です。

駒場は中高も通っていた6年と東大前期の2年で6+2=8年、本郷は浪人中に河合塾本郷校に通っていたので1年、東大後期で2年、留年して1年、大学院を中退するまでに2年通って1+2+1+2=6年です。

1050.国策で国産AI推進みたいな話を見ますが、GPTやGeminiを生んだアメリカではどのくらい政府が関与してるんでしょうか?

詳しくないのでわかりませんが、欧米圏では国家としては規制寄りというのは聞きますね。わかりません。

1051.AIが雇用(消費者の多くを占める一般個人の収入源となる仕事)を奪ったらGDPは大きく下がるんでしょうかね

経済に詳しくないのでわかりませんが、少なくとも直接的には下がらないんじゃないですかね?
生産価値の集計としてのGDPは生産を担当したのが人間かAIかを特に区別していないので、提供しているサービスなり商品なりが同じなら企業体の内部で労働者がAIに置き換わった瞬間にはそう大きくは変わらない気がします。
ただ収入源と仰っている通り、雇用を失った人の貯金が減ってくると物を買えなくなったりして間接的にGDPが下がることは大いに有り得ると思います。

1052.先日情報系の院進を考えていると質問したものです。情報系という括りが広い、という点に関して補足すると、人間の認知に関わる情報分野(認知情報?音声、言語、記号等)に関心があるという感じです。
院試の問題を見るとに情報分野の問題が多かったため大きな括りで捉えていました。
回答にあった通りとりあえずは応用情報の勉強をしてみるのが一番良いですか?もし何か他にアドバイスあればお願いします。

なるほど? パッと読んだ感じ、まだ脳科学系統なのか情報理論系統なのか絞れない感じがします。

認知に関わる情報分野には人体の実物を扱うのか否かという択があって、扱うなら脳電磁波とか内部神経とかの実データに対してノイズ除去したり逆問題を解いたりしますし、扱わないならもっと一般に情報表現としての音声とか記号に対して生成なり変換なり推論なりを扱うことになるのかなと思います。
いずれにしても情報系で研究をするのであれば応用情報の知識は間違いなく大いに役立つと思いますが、優先度まではわかりません。応用情報の全範囲をカバーしなくても一部で済むかもしれませんし、研究を始めてから触れても間に合うかもしれません。

そもそも院試の問題を見るくらい進学先に検討が付いているのであれば研究室に直接聞くのがベストです。
研究室HPに載っているメールアドレスに打診すれば面談か見学くらいはさせてくれるはずです。実際に研究室を訪れるのが一番良いですが、遠方とか都合が合わないならZOOM通話とかでもいいと思います。

1053.Noteもやってらしたんですね。個人的にはNoteの方が執筆、閲覧ともにモダンで便利だと感じるのですが、はてブをメインで使うのはこだわりでしょうか?

1054.noteとブログってどう使い分けてるんですか?

note.comざっくりはてなブログがメインでnoteはサブです。
noteは簡単に書ける代償としてプラットフォーム側で決まっている制約が多いのであまり使いません(ユーザー側での自由度が低い)。noteではユーザーページでの記事ビューがアンコントローラブルですし記事内部で使える装飾表現も限られていますが、はてなブログならトップページを設置したりできますし記事内部でもHTMLやCSSを使用できます。
そういうわけでnoteには集積したり見返したりする価値が低いツイートの延長みたいな記事を投稿したいときだけ使っています。

1055.現在の国の理系重視政策についてどう思いますか?自分は公金を投入してる以上、ある程度人文系が冷遇されるのは仕方ないと思っています。

まあ概ね妥当だと思っています。
生産性に直結しやすいのが理系分野である以上、人文系分野を潰すまではいかない範囲でウェイト配分を変える程度はリーズナブルな政策であるように感じます。ただ僕自身は人文系カリキュラムの全体像を通った経験がないので、どこでどの程度役立つのかという見積もりを見誤っているかもしれません。
二文目は意味がよくわかりませんでした。人文系が冷遇されているから理系に公金が投入されるのであって因果が逆では?

1056.LWさんは動物を虐待してはいけない、とか食べ物を粗末にしてはいけない、みたいな風習?が嫌いなイメージだったので箸渡しが無理なのは意外でした

アンケートを取ってみたのは僕も意外だったからです。

ただメタ倫理学を齧ったりしていると忘れそうになりますが、実際問題としてこういう倫理的・道徳的な判断は別に公理から整合的に導出されているわけでもありません。各トピックについて独立に判断してもいいし、そもそも整合するかどうか自体考えなくていいと思っているので一貫性のある方向に修正したりするつもりは特にないです。

1057.ゼンゼロやらんの?

やってもいいですが、今のところスタレが面白いので当面はやらない気がします(ソシャゲを二本並行するのはキツイ)。よほどモチベがあったら継続しない前提で軽く触るくらいはするかもしれません。
ただゼンゼロと見た目が似ているProject Mugenの方がキャラデザが好みなので優先度はそっちの方が高いです。
www.projectmugen.com
 

1058.スパ銭の複数回入浴にてレンタルタオル代を上手くケチる方法ありませんか?

めちゃめちゃあります。タオルを温存するコツは露天風呂での自然乾燥を利用することです。
結局少ないタオル枚数で入浴するためにはタオル以外で身体の水分を飛ばすしかないわけで、そのために自然乾燥を用いるということです。ただその際に身体が乾くまで野外に滞在していても大丈夫なように体感温度をコントロールする技術は必要で、そこでサウナとか水風呂で外気浴をする腕が問われます。
僕は大抵はバスタオルとフェイスタオルを一枚ずつレンタルしますが、逆に言えば複数回入浴する場合にも複数枚借りることはありません。


何か買ってもらえると嬉しいです。www.amazon.co.jp

24/6/6 『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン(うるユニ)』あとがき

『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン』

去年末くらいに書いた百合ラノベ 『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン』のあとがき記事です。
www.alphapolis.co.jp

ロゴ:いちのせらいせ様 イラスト:NAIv3様

七年前の夏休み、語世麗華は魔法少女の小学生だった。
魔法の妖精から力を受け取り、変身してステッキで戦い、悪の組織を壊滅させ、山麓の地方都市を守った。
それきり世界から魔法は消えて、魔法の夏は終わったはずだった。

しかしそれから七年経って、再び町に魔獣が現れる。
高校生になった麗華はかつて敵幹部だった芽愛と再会し、不完全に復活した魔法の力で魔獣を撃退する。
芽愛と協力して魔獣退治に奔走するうち、元魔法少女や元敵幹部も次々に集まってくる。

七年経ってすっかり色々拗らせてしまったかつての関係者たち。
ロリコンお姉さん、炎上Youtuber、不人気アイドル、年齢不詳の不良ぼっち。かつての敵と味方が入り乱れ、不穏な魔法が渦巻く町を駆け回る。
今年の騒動はいったい誰が何のために? 七年前に積み残した秘密と恋心の行方は?

セピア色に染まった魔法の夏がもう一度始まる。

みたいな「元魔法少女と元敵幹部が再会するガールミーツガール」です。

今までもラノベを書くたびにその解説記事を書いていたのですが、うるユニは一般論として言いたいことがあんまりありません。せいぜい作業内容と反省会を書くくらいで、いつもより素人のあとがきっぽいな~~と思ったので記事タイトルも「解説」ではなく「あとがき」にしました。
今回も精鋭の読者たちにアンケートを記入してもらったり読者会に参加してもらったりしたのでPDCAに活かしていきます。ありがとうございました。

以下ネタバレが無限に含まれます。可能なら先に本編を読んでほしいですが、どうしても読む気が起きない場合は読まなくてもよいです。

作業内容

経緯

『うるユニ』はもともとリアルで7年前くらいに書いたラノベ『マジカルガールズアフターアフター(マジタタ)』(未公開)をリメイクしたもの。
当初は『マジタタ』をちょっと直せばすぐ書き終わるだろと思っていたのだが、今『マジタタ』を読み返したらあまりにもおもんなさすぎたので99%を改めて書き直す羽目になった(面白くないと気付けること自体は大きな成長なので嬉しい)。「元魔法少女と元敵幹部が再会するガールミーツガール」という大きなコンセプトは悪くなくそのまま温存したものの、コンセプトを実現するキャラや設定や展開が悪い。その辺を再編成するとなると結局文章も全部書き直すことになる。
そんな経緯なため誰も知らない自作の話をせざるを得ないのがなんか相当アレだが、仕方ないのでその過程を書く。
補足535:読者会をやったときに「この感じの自分語りって(ファンはいいけどファンじゃない人から見たら)痛くない?」と言われたことを気にしている!


参考文献

再設計に際して、以前このブログで扱った『物語のひねり方』というハウツー本を大いに参考にした。
saize-lw.hatenablog.com詳細は上記の記事で書いたが、改めて言えば、この書籍の説明が優れる点は「描写」と「物語」を一気通貫に繋げているところ。
通常は「地の文や会話で個別の描写を行うスキル」と「物語全体のプロットを設計するスキル」は別個に考えられていることが多いが、この本では「内面の描写によって認識の相違が示される→認識の相違によって対立が発生する→対立によって物語が展開する」という順序で描写から物語までが論理的に繋がっている。
このやり方が唯一絶対の正解とまでは思っていないにせよ、対立を重視する思想が『マジタタ』の方向性とたまたま合致していたのでそのまま使わせてもらった。

勢力図作り直し

上記を踏まえつつ、元の『マジタタ』から面白くない点を削りつつ面白い点を足して構造を組み直す(以下、読者会用に作ったスライドを添付)。

叩き台になる『マジタタ』時点での旧勢力図はこんな感じ。

魔法少女が五人と敵幹部が三人いて、魔法の騒動に対して肯定的な「騒乱組」と否定的な「秩序組」、そしてどちらにも属さない「傍観組」の三派閥に分かれている。

まず全体的に設定が多すぎるのでガッと削る。

魔法少女の固有魔法は全て不要。魔法少女5人が「七年前に使っていた旧魔法」と「現在使える新魔法」の2種類を持つので5×2=10個もの魔法が存在しているが、今回のコンセプトは能力バトルではなくガールミーツガールなので能力要素は最低限でよい。敵側の固有能力も全部削る、ただし敵幹部が操るロボットだけは魔法少女が握るステッキと対になるメイン戦力なので必須として残した。
あとキャラクター自体も削る。魔法少女が秩序組と騒乱組に二人ずついるが、役割が被っていて過剰なのでそれぞれ一人に圧縮する。読者の認知負荷は可能な限り削りたいので一つで済む要素は二つ入れなくていい。妖精も二匹から一匹に減らすが、敵幹部はそれぞれ役回りが違うので全員残した。

次に勢力を再編する。先に挙げた参考文献に従えば、勢力の配置は「内面的な認識の相違によって物語的な対立が生まれる」という構造にスムーズに従っていることが望ましい。つまり物語上で対立がキーエンジンになるのだが、このとき最も対立すべきなのは明らかに主人公とヒロインだ。この話がガールミーツガールである以上、最重要人物である主人公とヒロインは対立構造の中核にいるべきである。
しかし『マジタタ』時点の勢力図では、せっかく対立構造が存在しているにも関わらず何故か主人公とヒロインは対立に関与せず傍観しているという意味不明な立ち位置になっていた。よって傍観組を削除して、主人公の元魔法少女・麗華を騒乱組に、ヒロインの元敵幹部・芽愛を秩序組に割り振り直す。これで正義と悪の立場が逆転する意外性も出る。

当初は「魔法少女内での内輪揉め」という色が濃かったが、魔法少女と敵幹部が入れ替わって逆の立場で戦争するような構図に落ち着いた。

また、主人公とヒロインを最大限に対立させるためにはどちらかが全ての元凶であるくらいが望ましい。よって騒動の黒幕を他の魔法少女から主人公に変更した(麗華は主人公兼黒幕ということでいわゆる信頼できない語り手になってもらう)。
これで前半戦はキャラクター紹介を兼ねて黒幕探し、折り返し地点で主人公が黒幕であることが発覚、後半戦は真相を受けての全面戦争というストーリーがはっきりしてくる。

反省会

キャラなどの諸要素について、主にアンケートと読者会の内容を踏まえた事後的な所見を主に書く。
途中で離脱した人はそもそも意見を寄せないので完読する程度には肯定的な方向にバイアスがかかっているのだが、そうは言っても手元の意見で検討するしかないのでこのまま進めていく。

キャラについて

期待した役割、配置の意図、読者からの反応、改善案など。

麗華


ガールミーツガールの主人公側、あと黒幕にして騒乱サイドの代表。

いわゆる信頼できない語り手の主人公であり、騒動の真相を全て把握した上で秘匿していたことが後から判明する。黒幕が判明したときに「全く新しい裏の性格を提示して実質的な新キャラになる」というパターンもよくあるが、麗華は全く動じないタイプの黒幕。「あまりにも意志が強すぎて何があってもブレない(黒幕だとバレることすら本質的な問題に数えない)」というだけで、飄々とした完璧キャラみたいな顔をしている癖によく見ると色々ミスりまくってヒロインともすれ違い続けている。

こういうキャラクター造形を「オリチャー爆走女」「初恋だけが弱点の女」ときっちり捉えている読者がいる一方、振る舞いが理解し難かったという声も一定数ある。確かに秘密が多いので内面描写をする機会が少ないきらいはあり、具体的に言うと中盤では「黒幕であること」、終盤では「愛が重いこと」が麗華のキーファクターになっているが、この二つは物語を決定付ける意外性でもあるので事前に内面として描写することが難しい。不器用さについては読者側で行動から汲み取ってもらうしかない。
自省しにくい性質まで含めて一貫性があるキャラなので弱気な内面を描写したくはないが、一応序盤の芽愛との問答で言葉選びを誤って「失敗しちゃったな、言い方」と独り言ちたりLINEの文面を迷ったりはしている(恋する乙女要素)。

また、あまり意図して書いたものではないが「プロローグでの小学生時代の言動が七年後の性格を示唆している」という意見があってなるほどと思った。
プロローグでの麗華は明らかに事前に考えてきたようなことをずっと懸命に喋っていて、意識して大人びて振る舞おうと背伸びしている様子が窺える。しっかりした顔で色々と策を弄するが実際のところそれほど上手くいっていない様子は現代編でも一貫していて、表面的なキャラが変わっても根底の行動原理はあまり変わっていないのかもしれない。

芽愛


ガーツミーツガールのヒロイン側、あと秩序サイドの代表。

主人公と対立する立ち位置ではあるが、騒乱サイドの主人公は一定の悪性を伴って気ままに振る舞えるのに対し、秩序サイドのヒロインは人格が倫理的でなければならないために面白いことがやりにくい問題がある。
これをクリアするために「七年前は悪かったけど今は改心している」というギャップに焦点を当てることになった。その方針のために二話に渡る回想が挿入されたり容姿の凍結が謎として長く提示されたりする。

また、本性は善人寄りだが敵幹部出身ではあるので「たまたま星の巡りが悪くて敵幹部やってた」という理由を与えなければならない。悲しい過去を与えるにあたってヴィランっぽくなりすぎないように配慮していた(「両親に虐待されていた」みたいなエピソードを与えたくない)。
単にキャラが安っぽく見えるし、「世界に復讐する」みたいな悪としての一貫性が出てきてしまうと初恋くらいでいきなり心変わりするのも説得力がない。悪から善への転換は芽愛というキャラの本線ではない。可哀想なキャラが救済される話はガールミーツガールともズレてしまう。

ヒロインにしてはキャラが薄いかもと懸念していたが、肉体的にも精神的にも大きく変化したことで主人公的な成長を担った枠として認識されていた(麗華はあまり成長していないので)。特に劣化破産魔法を解いた大人形態の活躍ぶりは好評で、魔法少女・麗華を素手で制圧するシーンは人気が高い。
ちなみにアウトローな民間警備会社というややフィクショナルな仕事をしているのは色々な要請が折り合う職業がそれしかなかったため。魔法少女に憧れて戦闘能力を極めているので治安維持系の仕事に就いているはずなのだが、かといって警官や自衛官にするわけにもいかない。職業意識の高い公職なら私事を優先してずっと欠勤しているのは不自然だし、魔法の騒動が生じた時点でまず公的な手続きによる解決を考えるはずだからだ(プライベートで解決しようとしないはず)。
なので「私的に治安維持するアウトロー」という訳の分からないジョブを探すことになり、「ナイトクラブのセキュリティの上位版みたいなやつ」に落ち着いた。読者が言っていた「こいつ嘘喰いの立会人じゃん」という感想は正しくて俺もそう思っている。

総じて予想以上に人気のあるキャラクターだったが、反省点としてシルバーアクセサリ要素をもっと強調したりキャラ造形に組み入れたりしても良かった。
「登場期間が長い割には七年後の姿を正当化する描写が直前の回想くらいなのでやや唐突な印象を受ける」という意見があったが、一応アウトロー要素の伏線として配していたのが大量のシルバーアクセサリだった。しかしこれは漫画ではないので登場シーンでずっとジャラジャラさせている様子は逐一描写しなければ伝わらない。「いかついアクセサリにかなりこだわりがあって(女子高生の)年齢不相応に詳しい」とか「Nマートで高額な金属ジッポライターを買い集めて周りに引かれる」みたいな要素があっても良かった。

綺羅


主人公の親友枠で賑やかし要員の騒乱組。

「初登場時は勢い重視のバカキャラっぽいが、実際にはかなり大人だし視野も広い」「一見すると迷惑タイプのヴィランっぽいが、彼女なりに社会を思いやっている」というギャップのある性格はヘイト管理の都合で強く想定したもの。
基本的に騒乱組は町に迷惑をかけるグループで、特に麗華の「初恋の相手と再会するために町一つを危険に巻き込む」という挙動は冷静に考えると自分勝手すぎる問題がある。そこで「騒乱組にも騒乱組なりの意義と正しさがある」と正当化してヘイトを引き受けて処理するためのタンクとして綺羅が配置されている。

ただ最終的には麗華が敵対的かつ秘密裏に棄却する形で綺羅の物語は強制終了したため、ブツ切りになった印象を受けている人は多い。
一応それはコンセプト通りなので修正する選択肢はあまりない。あくまでもメインは麗華と芽愛のガールミーツガールで、魔法に係る善悪という軸で展開する綺羅と御息の対立はサブのラインに過ぎない。むしろ麗華が他の一切をなぎ倒して初恋を取ることを強調するための踏み台であり、実際プロローグとエピローグは明確に魔法少女の話ではなくラブコメの話になっている(麗華自身もそう言っている)。
とはいえキャラがおざなりになった印象を与えているのは良い状態ではないので、綺羅にも一定の落としどころを与えられた可能性はある。御息は綺羅よりはまだ納得がいく末路に至ったと認識されているようではあり、そのあたりにヒントがあるかもしれない(後述)。

ちなみに一番個人的な性癖が出ているキャラでもある。自分が女子高生だったときの親友の理想形。
麗華と二人で泊まってワチャワチャしているシーンは個人的にはかなりお気に入りだが、あまり人気がないしそもそもキャラ人気もそれほど高くない(即決で裏切って麗華に味方するシーンは人気だが、キャラ要素というよりは展開の意外性という文脈)。
なんかこう、エロゲーによくいる親友イケメン枠に落ち着いてしまったのではないかという疑惑がある(あの手のキャラは面白くない)。綺羅は基本的に有能で頭も身体も切れるが、それだけに人間臭さを見せていた御息に比べるとポジティブ方面に振れすぎていたきらいがある。もう少し意外な弱みがあっても良かったという説はあるが、そうは言っても「オモロキャラと見せかけて割と大人」というところでもう既にギャップがあるのでなかなか難しいところ。

御息


ヒロインの親友枠でシリアス要員の秩序組。

造形の前提として、秩序組というポジションの時点で芽愛と同様の課題を抱えている。つまり「街の平和を守りたい」という安直なモチベーションに面白味がない上、御息はもともと魔法少女なので芽愛と違って意外性もない。
よってキャラを立てるためには「正義が暴走しがち」という尖ったパーソナリティで補う必要があり、友人を告発した回想エピソード、コンビニでチンピラをしばくシーン、魔神機デモンアウェークの造形あたりはそういう要請に由来している。

また、日常の中でも不穏な雰囲気を出しやすいキャラとして物語をシリアス方面に動かしていく役割も担っている。例えば中盤で麗華が黒幕であることを明かすとき、皆で仲良く魔獣退治をしていたところでいきなり裏切るのも変なので、「ちょっと空気悪くなってきたな」という雰囲気の伏線を引いておきたい。ただ麗華自身から不穏な空気を出すのはネタバレになってしまうので不可、代わりに御息と綺羅がコンビニで喧嘩するシーンがその仕事をこなしている。

面白みのないキャラのような気もしていたが、意外にも綺羅よりはちょっと人気がある(めちゃめちゃ御息ファンの読者がいる)。
特に異形の魔神機デモンアウェークは作品のトーンから一段浮いたところで御息の異常性が収束したモチーフとして評判が良く、それが御息の物語に終止符を打っているという見方もある。つまり(一般モンスターでしかない綺羅のゴーレムと違って)グロテスクな造形のデモンアウェークは御息の正義がもう破綻していることを示しており、(終始冷静に振る舞っていて得るものがなかった綺羅に比べて)御息はもうどうしようもないという結論に達していた、のかもしれない。
ちなみにデモンアウェークは『マジタタ』の残滓だが、修正しないことで消極的に残したという言い方をしてもいい。

緑山

ここから先は男性陣なのでキャラクターシートがない。
ずっと主張していた「ネームドキャラは美少女しか出さない」という誓約を破って初めてネームド男性キャラが投入された(殺されるだけの雑魚モブ男なら今までにも何人か出ている)。今回は悪の組織に女幹部が何人もいるのは不自然だし、紅一点でなければ芽愛のキャラもよくわからなくなってしまうため。

ただ全体的に男性陣の評判は想定よりも遥かに良かった。特に緑山は美少女キャラより高く評価する人も少なくなく、評価していなくても「美少女の姿をしていれば一番好きだったかも」と語る読者もいる。
人気の理由は立ち位置の良さにある。依然として話の本筋は美少女たちなので男連中は補助でしかないのだが、そのために却って絶妙なタイミングで現れて必要な仕事をしたり背景を提供したりと痒いところに手を伸ばしてストーリーを進める立ち回りになっている。
特に綺羅や御息のような美少女サイドのサブキャラが高い期待の割には若干消化不良のまま終わったのに対して、過不足なく活躍した男たちの評価が相対的に上がった形になっている。

ただ、これは緑山に限ったことでもないのだが、あくまでも美少女ラノベであるために男性キャラはいわゆる「去勢済み」にならざるを得ないという限界はある。
補足536:ポップ批評用語としての去勢。
つまり表面的にはアウトローだったとしても、実際には物分かりがよく暴力に訴えず美少女たちへの下心を微塵も感じさせないようなキャラでなければならない。緑山は設定的にはどう考えても金・暴力・セックスに親しんでいるのだが、少なくとも『うるユニ』という物語にはそういう手段で介入しないという一線がある。性格最悪でも構わない美少女キャラに比べると、男性キャラの描像は制約が大きいことを痛感した。
補足537:設定的には緑山はその辺の成人男性にはまず負けないが、大人芽愛には瞬殺される(大人芽愛が強すぎる)。
特に緑山と芽愛の恋愛フラグを絶対に立てないために挿入した「俺はゲイだからな」というセリフはやや安直で下品なやり方ではあって諸説だが、シーンのオチとして機能していたので別に問題ないという声もある。

黒壱

男性キャラその二、悪のボスをやっていた善人。

『マジタタ』の頃は改心したオッサンでしかなかったが、それだと芽愛とキャラが被ってしまうので異世界出身とかメルリンとの友情とかのバックストーリーが諸々足された。ちなみに黒壱とメルリンの話は時系列的には全ての始まりだが、書き進めている時点では「まあ後でどうにかなるだろ」と思って全然考えていなかった。病院のシーンを書く段階になって初めて生えてきた後付けの設定ではある。

登場シーンが多くないし還暦超えのジジイなのでキャラ自体の人気はそれほどないが、七年前の真相も含めてネガティブな声はほとんどない。
特に「黒壱が御息に魔神機を譲渡するシーンで秩序組が結託するラインの奥行が見えて良かった」という声があった。黒壱は緑山と違って七年間ずっと星桜市で過ごしていたわけで、経緯と性格からしてメルリンから託された魔法少女たちの行く末を見守っていたことは間違いない(それは店長としての麗華との会話からも窺える)。そんな中で御息には魔神機の適性があることを見抜いていた背後には七年間の積み重ねが窺える……とまではあまり考えていなかったが、読みとして美味しいのでそういうことにしておきたい。
補足538:黒壱はゲーマゲでは彼方に適当に殺されて魔神機を奪われていたが、実はうるユニでめちゃめちゃ善人であることが判明したので胸糞すぎね?という意見があって確かにと思った。完結してからもヘイトを稼ぎ続ける女……


メルリン

男性キャラその三、故人のマスコット妖精。

マスコット妖精は「いわゆる魔法少女もの」の建付けを守るために必須。当初は「魔力の源泉」くらいにしか考えていなかったが、黒幕探しのキーファクターになったり、黒壱とのラインが足されて全ての原因になったり、最終的には食材になったりと気付けば舞台装置として八面六臂の活躍をしていた。
概ね故人なのでキャラ自体の人気はどうというものでもないが、黒壱とのシニアコンビと回想エピソードの評判は悪くない(BL需要あり)。

プロットについて

大枠としては概ね問題なかった。論理的な違和感もなく、やりたかった話が汲み取られている。
思ったより良かったことを二点と、改善の余地があることを一点挙げる。

良かったこと

一点目は導入プロローグの評判が特に悪くなかったこと。
『うるユニ』に限らず今までずっと気にしていた問題として「素人小説は一話のインパクトを最大にしなければならない」ということがある。もし西尾維新なら蓄積された信頼があるので一話がどんなにつまらなくても面白くなるまで耐えて読み進めてくれるのだが、俺は西尾維新ではないので一話で刺せなければ離脱されてしまう可能性が極めて高い。よって一話に限っては受けの広さよりも爪痕の深さを優先すべきであり、今までもインパクト優先で虫食や自殺や自殺を冒頭に持ってきていた。
ただ一話で残す爪痕のインパクトを最優先にしていると、書けるジャンルがかなり制約されてしまうしワンパターンになってしまうというジレンマもある。よって『うるユニ』では意識的に少しガードを下げて相対的に薄味なおねロリエピソードから始めており、これが甘えなのか機能するのかは大きな要監視事項だった。
正直に言えば本当に一話で離脱した人は暗数になってしまうので真相はわからないにせよ、寄せられた意見としては問題を感じた人はいなかったので一旦これで問題ないとする。爪痕までは残さなくても、一話で「結局これは何の話なのか?」というメッセージをしっかり伝えていたことが奏功したのかもしれない。プロローグを一話できっちり完結させたり、問題を整理するためにキートン山田みたいなモノローグを入れたりしているのはそういうナラティブクエスチョンを正しく提示するため。

二点目は予想を裏切るシーンがちゃんと機能していたこと。麗華の黒幕発覚、綺羅の裏切り、芽愛の復帰変身など。
予想を裏切りたいときに一番楽なのはいきなり誰かを殺すことだ。前作までは人が死んでもいいラノベだったのでその手口を多用していたが、同じことばかりしていても仕方がないので『うるユニ』では原則としてキャラを殺さない制約を課していた(メルリンは死んだけど妖精なのでセーフ)。これによって人を殺さずにどれだけ盛り上がりを作れるかが課題になっていたが、読者の反応を見る限り概ね問題なさそうだったのでヨシとする。

改善の余地があること

中盤まで(麗華が黒幕であると明かされるまで)の展開がやや緩慢で中だるみしていたこと。
ただ前提としてカタルシスを得るためのセットアップは必要なのである程度はやむを得ないと考えている(読者も多少は耐えてくれる想定)。黒幕について緑山→妖精→綺羅という三回のミスリードを経てようやく本命の麗華に到達する、肩透かしが連続する構成自体は問題ない。
ただ冗長でないに越したことはないのでもう少し削れたかもしれないという話になると、今にして思えば麗華が一人でNモールの店内を回るシーンは明確に不要だった。断絶した七年前と現在を繋げるためのノスタルジックなパート自体はどこかで必要だったのだが、麗華が一人でやる必要は全くなく、全員が合流してからの顔合わせを兼ねてゲーセンに行けばよかった。「原則としてキャラは一人にしない(内省より会話の方が面白いから)」という鉄則を忘れていた俺の完全な手落ちである。

テーマについて

読者会で「夢と現実の止揚」というラインのテーマ解釈がブロッコリーマンから提示され、俺はあんまり考えてなかったけどそれはかなり良いからそういうことにしたいのでここに書いておく。
補足539:元文学専攻のブロッコリーマンは俺のラノベに関しても突出して有益な読みを提示することが多く(にはりがでも良い読みしてた)、アカデミックな文学技能はラノベにも通用することを確認している。

夢と現実という対立軸で見たとき、フィクショナルな魔法少女を擁立する騒乱組は夢側、逆に阻止する秩序組は現実側という対応になる。特に最後の決闘は夢を諦めずに子供の手段で戦う麗華vs現実的に事態を収拾するために大人の武力を持ち出す芽愛という構図になっている。
そのあと二人がなし崩しにくっ付く際、他の仲間たちには秘匿したまま二人だけの共犯関係を結ぶことはドライで現実的な判断だが、そうやって持ち越されるのは『妖精の魔法』という夢そのものだ。つまり夢も現実も破棄せずに「現実的に夢を温存する」という形で止揚したことになる。二人は完全に現実に帰ることも、完全に夢を取ることもなかった(『妖精の魔法』を放棄することも、魔法の国と化した星桜市を続行することもなかった)。

こういう見方をすると他の登場人物も整合したポジションを取れるようになってきて、例えば緑山はこの折り合いの付け方を先んじて提示している。緑山は既に悪の組織を卒業して現実の世界を生きる大人だが、魔神機メックホークが復活すれば乗って駆け付ける程度には夢を見たりもする。かといって夢に耽溺することもなく魔神機を操りながらも現実的なアドバイスを繰り返しており、どちらにも振り切らずに上手くバランスを取ったポジションにいる。
そして元はと言えば魔法少女の騒動を始めた黒壱は「現実的に混乱を収めるために夢を利用する(現実のために夢を使う)」という振る舞いをしていたのに対し、麗華たちは「現実的な手段を用いて夢を独占する(夢のために現実を使う)」という逆向きのやり方で魔法を簒奪した。

また、この読みだとメルリンの解体シーンが(無駄に克明だったことも込みで)作品のテーマを象徴したものとして読めるのが非常に良い。
麗華と芽愛が『妖精の魔法』を手中に収める手続きはフィクションを神秘化するのではなくむしろリアルな利害へ解体していくものだったが、これはマスコット妖精という夢の産物がグロテスクな肉塊という物理的な現実へ解体されていく様とパラレルに読める。妖精の調理を微に入り細を穿って丁寧に描くことによって、妖精の食糧化は夢の現実化を象徴できる。

その他トピックス

読者会などで出た様々なトピックについてまとめる。

魔法少女設定について
実は女児向け魔法少女アニメのモチーフを根幹に据えている割には大して見ておらず、「まあだいたいこんな感じだろ」という推測で書いていたのだが、ガチで詳しい人にはバレていた。
エアプがバレるポイントは二点あって、一つ目は魔法少女時代の麗華たちが小学生だった点。魔法少女アニメにおける魔法少女は普通は小学生ではなく中学生らしい。確かに視聴者層は女子小学生だが、女性小学生は同年代ではなく少し年上のお姉さんに憧れるのだ。
二つ目はラストバトルが山中だった点。魔法少女のラストバトルは敵の居城や謎空間が定番であり、山中とか採石場とか海辺では戦わないらしい。「それは特撮だろ」と言われたのが図星すぎた。プリキュアは見てないけど仮面ライダーはけっこう見てたのでそっちのイメージが混入してしまった。

麗華の香水について
香水についても全然詳しくないので適当に書いていたのだが、やはりガチで詳しい読者にエアプがバレてしまった。
夏は甘ったるくない匂いを選ぶところまでは正しいが、その局面で女の子が選ぶのはミントではなく柑橘系らしい(俺は男性なので夏の清涼路線だとギャツビーみたいなものしか思い浮かばないという想像力の限界が露呈)。特に麗華みたいな人だとイチジクとか使ってそうらしい。

おねロリについて
個人的には『うるユニ』は変則おねロリのつもりだったが、そう言ってる人は他に全然いなかった。
一応七歳差のカップルではあって、ロリ側の麗華が終始トップギアで凸りまくっておね側の芽愛が翻弄されているという王道シチュエーションのイメージがある。が、麗華は性格の都合で全然年下感がないし、芽愛は能力の都合で全然年上感がない。
補足540:百合は毎回絶対にやるが、同じことを繰り返しても仕方がないのでメインカップリングのテイストは可能な限り変えている。すめうじが姉妹百合、ゲーマゲが敵対百合、にはりがが友情百合、うるユニがおねロリ百合。

『破産魔法』について
『破産魔法』は記憶や事象を含めたあらゆる因果を巻き戻すので、厳密に言えば巻き戻した地点から全く同じ歴史が再展開するのではないかという声があった。
本編では二回とも不発に終わっているし正直あまり厳密に考えていないが、言われてみればそうかもしれない。ただ決定論的な世界観でなければ別に同じことが繰り返されなければならないわけでもないような気はする。

小動物について
小動物を殺すと読者からのヘイトが溜まってしまうので殺さないように頑張っていた。
特に魔獣は「その辺の小動物が魔力によって狂暴化した」という設定である以上、退治時に殺害してしまうと小動物殺害判定になって読者に怒られてしまう。だから魔獣を倒しても獣は死なずに悪いものが祓われるだけで本体の小動物は元気なまま野生に帰るみたいな描写を加えてヘイト管理している。
「怯えすぎでは?」とも言われたが、取らなくてもいいヘイトは取らないに越したことはない。

芸能関係について
芽愛が元キッズモデル、綺羅がYouTuber、御息がご当地アイドル、麗華が町の有名人と、美少女キャラクターたちが軒並み露骨に容姿が良くて目立つ属性を持っている。
これは積極的に意図したというよりは、夏休みの物語なのでキャラたちには学外で通用する属性を与えなければならなかったという設定上の要請によるもの(学年一位とか運動部所属みたいな設定があっても使えないので、学外でYoutuberとかご当地アイドルをやっていないといけない)。
とはいえやはり魔法少女(敵幹部)はモブとは対極に位置する人種ではあって、一挙一動が祝福されているタイプの人間たちというイメージはあったかもしれない。大勢の市民から視線を浴びたりしても誰も動じないのは、普段からけっこうスペシャルな扱いを受ける人々だからではある。

キャラシートの時間軸について
キャラシートで時間が右から左に流れているが、デザイン的には逆の方が望ましいのではという指摘があった。

確かに視線誘導は「上から下」「左から右」でZ型に動くのが自然とされており、デザイン本でも散々読んだはずなのにどうして逆になっているのか自分でも不思議だった。
しばらく考えてようやく理由がわかったのだが、俺はこのシートを「ラノベ冒頭のカラー挿絵」という認識で作っていたのだ。縦書きのラノベは「右から左」に捲るため、視線もそれに準ずるのが自然である。とはいえ、これはデジタル媒体だし次からは左から右にしようと思う。

描写のディテールについて
「描写からプロットまでを論理的に繋げる」などと口では言いつつも、実際のところ描写の大部分はそこまでロジカルに考えているわけではないし、特にキャラクターのディテールは「適当にこんな感じで」というライブ感で乗り切っている。
この辺も意識的にやった方がいいのか、趣味なので適当にやっていればいいのかはまだわからない。何だかんだもう50人くらいはキャラを創造しているわけでそろそろ被りが気になっていたりもするが、とりあえず一旦問題ない認識で、面白くなくなってきたとき再検討することにして保留する。

筆致について
にはりが以降は思想が強いキャラが減少傾向にあるという自覚はある。「こういうブログを書く強みと噛み合っていないのでは」という指摘も理解できるが、今のところ衒学路線に極振りするつもりはない。
基本的には衒学路線よりはエンタメ路線を志向しているし、同じことばかりやっていても仕方がない(両取りできないわけでもないのでバランスではある)。どうせ素人だし「自分の型を見つけよう(同じことばかりやっていてもOKな感じにしよう)」などと怠けようとせず、色々試せるだけ試して試行錯誤した方が得られる手札が多くなるという気持ちは強い。