1/2~5に年二で恒例の冬合宿に行ってきた。今回は伊東のデカい施設を借り切って4日間テーブルゲームをやり続けた。
かなりでかい建物 そこで新しく触れたカード・ボードゲームのレビューを書く。全部初プレイ。
ワンピースカードゲーム
プレイ時間:4時間くらい
面白さ【★★★】
新鮮さ【★★☆】
好きさ【★★☆】
ひふみが作ってきたキューブドラフトでプレイ。
総評
カードゲーム史に残る名作。「これ作ったやつ天才だな」と感じたカードゲームはクロスギア以来。さすがにめちゃめちゃ流行ってるだけのことはある。
カードゲームも飽和してきたこの時代にカード効果というよりは基本システムの時点でもう面白いのが驚異的。派手なドローや除去には乏しいコンバットゲーなのに、戦闘が面白すぎてバニラの殴り合いでも十分楽しめる。
良かったところ
戦闘の面白さを担保している最大の肝は1マナを1000打点に変換できるシステム。
この打点変換によって手札消費以上の択が常にマナに潜在することになり、とにかく選択肢が尽きない。マナがあるだけで常に展開と強化の二択がある、小粒クリーチャーも強化して殴れる、フラッド時にもむしろ戦闘に強くなる、リーサル時の詰め方も多いなど、あらゆる盤面や戦闘やカードやターンに対してプレイ選択の余地が生じる。
もっと正確に言えば、「1マナを1000打点に変換できる」というだけのことに莫大な意味が生じるようになっている根幹ゲームシステムの設計が偉い。
つまりワンピカードでは1マナで作る1000打点が常に命運を分けるように逆算して全てがデザインされているということだ(逆に、そういう逆算デザインがなされていないデュエマでマナを1000打点に変換できたところで多少フラッドを受けられるくらいでそこまでエキサイティングではないだろう)。ワンピプレイヤーがTwitterでずっと6000とか7000とか言っている理由がよくわかった。
最もわかりやすいデザイン上のポイントとして、終始ゲームの中核にいるリーダーが常にお互い5000打点で固定されていることがある(ファッティや装備品によってその打点を成長させる思想のゲームではない)。リーダーへの攻撃が通ることは即座にライフを削ることに直結するため、いつでも1000打点を付与する価値がある。
コンバットゲーなだけあって気持ちよく戦闘ができるように色々と細かく配慮されているのも偉い。
マナによる1000点上昇が自ターンのみで防御時に持ち越せないデザインは防御戦法を拒否するためだろうし、リーダーがアタックしてタップする裏目がほぼ存在しないためとりあえずのアタックが肯定されるのも上手い。
コンバットトリックを防御側しか使えないのもよく考え抜かれている。攻撃側は始めからドンで1000点付与できる優位があるのだし、そこでコンバットトリックの打ち合いなどという運ゲーのジャンケンを始める必要はない。
この辺りは最近のカードゲームで微妙に感じたポイントが全てクリアされていて特に気持ちよかった。
例えばシャドバエボルヴはストラクの時点で殴り損のシーンがかなり多くてキモかったし、コナンカードゲームはコンバットトリックを一戦闘一枚に限って配慮していたがそれはそれとしてジャンケンなのは変わらないのでキモかった。
良くなかったところ
ゲーム上で感じた欠点は特にないが、かなり競技志向なので人や環境を選ぶゲームだとは思う。
基本システムの時点で選択肢が多くて楽しめるということは、それだけベースの部分で腕が出やすいということでもある。つまりこれは弱いやつは強いやつに一生勝てないタイプのゲームだ。かつてディメンションゼロがこの競技性のジレンマによって散ったことは語り草だが、今ではカード自体の競技人口自体が増えているしIPの強さもあって上手くポジションを取れているのだろう。
あとかなり個人的なことを言えば、ちょっと前にハマったクロスギアとプレイ感が似ていたのでそこで新鮮さを一つ下げている(クロスギアの記事→■ )。だいたいずっと「これクロスギアだな」と思いながらプレイしていた。クロスギアは半分ボドゲだし表面的なゲームシステムはあまり似ていないのだが、選択肢が常に多い、マナの使い道が豊富、ゲーム展開が早い、殴り側が有利、返しの考慮が重要などの理念的な部分が共通している。
ワンピカードとクロスギアが似通っているというよりは、この二つが既存のカードゲームと一線を画した新時代のニュースタンダードなのだろう。恐らく今後はワンピカードやクロスギアのようなカードゲームが増えていく、そういう歴史上の転換点に今立っているのだと思う。どちらも触れたことがない人はどちらかには触れておいた方がいい。
実際のプレイ
キューブドラフトだったのでプレイの前にまずドラフトした。
とはいえやったことないカードゲームのテキストを読む意味はないので、色と種族だけで決め打ち。プール内に革命軍シナジーが存在することだけはインストで把握していたため、カード下部に「革命軍」と書いてあるカードがあればピック(テキストに革命軍云々と書かれていればなお良し)、それがなければ革命軍リーダーのサボと色が合う赤白のカードをランダムピック、それもなければ一番光ってるカードをピックみたいなルーチンで動作していた(単純ルールベースAI)。
運良く革命軍が卓一だったため、ひふみ曰く相当強いデッキになっていたらしい。が、俺の戦闘が下手すぎて1-2で終わった。とりあえず1点通しておくかと思って突撃し続けていたが、普通に殴り返されたりブロッカーに阻まれたりして盤面が崩壊して死んでいく負けパターンが頻発。
もっちーさんに「次のターンの殴り返しを考えた方がいい」とアドバイスされ、デッキが強くてもプレイが雑魚すぎると勝てない良ゲーム性を証明する結果となった。
ホロカ
プレイ時間:2時間くらい
面白さ【★★☆】
新鮮さ【★☆☆】
好きさ【★★☆】
俺が新弾発売日に在宅勤務の合間を縫って新宿まで自転車を漕いで買ってきたストラクでプレイ。カード屋に開店凸する若さがまだ残っていたとは……
総評
ポケカ亜種の域を出ていないが、後発らしい改善や工夫が盛り込まれていてそれなりに楽しめる。
現実的にはガワになっているIPの違いも大きいわけで、ポケカみたいな大味なカードゲームがやりたいときに代わりにホロカをやる旨味は十分にある。
良かったところ
大前提として露骨にポケカのガワ替えなので、(このカードゲームの功績ではないにせよ)ポケカくらいの面白さは最低保証がある。
もちろん細かい差異も色々あるが、あの悪名高いポケカのサイドシステムがまともに改良されているのはまず触れておくべきポイントかもしれない。ホロカではサイドを取るのは倒した側ではなく倒された側、そしてサイドカードは全てエネであり即座に場のポケモンにチャージされる。
これはポケカ側が黎明期の意味不明なルールを頑なに変えていないだけで、クローンを作るなら極めて順当なアップデートではある。どちらかが優位になったときはスノーボールではなくバランスした方が面白いし、放っておいても手札が増えるなら補填されるのはアドバンテージではなくテンポであるべきだ。そしてサイドはエネであってメインデッキではないので、サイド落ちなどという不毛な運事故からも解放される。
ポケカとの差異という意味で目玉になるのはコラボシステムだろう。簡単に言えば、バトル場にいるポケモンとは別に毎ターンベンチからポケモンを一時的に追加(コラボ)して二体で殴れる。
コラボシステムのおかげで盤面が二面になるので攻撃先の選択肢が増えるし、コラボするポケモンを毎ターン変更できるのも上手い。コラボはすぐ引っ込むため殺せないなら叩く意味が薄いが、コラボして強いキャラは総じてHPが低いため殺せるなら殺したい。
ただしコラボを迂闊に殺してサイドを取られれば、エネチャージ補填によって相手がセットアップを早めてしまう。基本的にはコラボし得でありながら、お互いにリスクリターンのバリエーションを生む良システム。
フレーバー的なことも言うと、コラボシステムはホロライブのアイドルバトルというコンセプトにも合致している。根本的に新しい発明ではないにせよ、順当にフレイバーに沿って多少の複雑さを追加しているあたりは正しく後発のクローンらしい振る舞いだ。
あとなんだかんだで美少女カードイラストが華やかなのは嬉しいところ。
イラストの総合的なクオリティはワンピカードほど高くはないが、順当に綺麗なものが揃っていて、見た限りではエロ売りまではしていないのも健全で良い。こんなきり~(こんなスラッシュ)とか言いながら技を撃つのもなんだかんだで楽しくはある。
良くなかったところ
積極的に悪かったところは特にないが、どこまでいってもポケカのバリアントに過ぎないのがプロダクトとしての限界ではある。
現実的にはゲーム性というよりはIPでどちらを遊ぶか決める人が多いだろうし、そこで競合したところでそこまで問題は生じないのだろう。陽キャファミリーキッズ層が好むポケカと陰キャ独身オタク層が好むホロカという感じで上手く棲み分けられるのはカード業界全体としてはプラスのようにも感じる。
ちなみにあまりにも元が悪すぎるサイドシステムは改善された一方、ポケカから引き継いだ難点もあると言えばある。
例えばターン1でしかプレイできない代わりに露骨なパワーカードとして作られているサポートをちょうどよく引けた者と引けなかった者(or引きすぎた者)で格差が生じるのは相変わらず。
実際のプレイ
百鬼あやめストラクと癒月ちょこストラクで対戦した。基本的にはあやめ側が有利でちょこ側が捲れないこともないくらいのバランスで、ストラク間の格差が大きい。
「余ーだ余」が強すぎ この百鬼あやめ2ndがあまりにも強すぎる。手札1枚を40打点に変換でき(3枚まで)、単体で160火力が出せてしまう。これはホロパワー、アーツ、コラボなどでバックアップすればあらゆる対面を確定で落としうる火力であり、殴り合い自体を拒否できる。ポケカと同じで手札は簡単に増えるので火力用の手札装填も大して手間ではなく、むしろ無駄に増えた手札を効率的にダンプできる手段となる。
一方、癒月ちょこストラクは回復を主軸としたデッキ。一見すると回復で火力に対抗できそうだが、実際には全然対抗できないのはカードオタクならすぐに察するところだろう。一般的に攻め側と受け側では受け側が不利、なぜなら先に動くイニシアチブがなく相手主導の噛み合いが要求されるからだ。更には百鬼あやめ2ndの超火力によって回復する暇もなく確定で落とされる(可能性がある)のはあまりにも分が悪すぎる。
アニマルカードゲーム(ACG)
プレイ時間:3時間くらい
面白さ【★☆☆】
新鮮さ【☆☆☆】
好きさ【★★☆】
ゲッタ~がクラファンで買ったやつをプレイ。
知らない人向けに書いておくと、Twitterで連載されている漫画「カードゲームうさぎ」の作中カードゲーム「アニマルカードゲーム(ACG)」が実際にカード化されたもの(原作漫画のタイトルは「アニマルカードゲーム」ではなく「カードゲームうさぎ」であることに注意)。周りのカードオタクはだいたい全員読んでいるし俺も原作ファン。
総評
今回最大の問題作。非常に評価が難しく、MtGプレイヤーが多い環境では評判は微妙だった。
まず大前提として、漫画「カードゲームうさぎ」のファングッズとして申し分ない出来なのは間違いない。
「カードゲームうさぎ」は競技カードゲーマーを描いた漫画なので、そのファングッズとしてよく出来ているということは、競技カードゲームがよく表現されているということでもある。
だが、遊戯王のように「カードゲーム漫画 の作中カードゲームをカード化した」のではなく、「カードゲーマー漫画 の作中カードゲームをカード化した」という極めて独特な背景が評価を難しくする。
競技カードゲームが巧みに表現されていることは競技カードゲーマーを満足させることを必ずしも意味しないらしい。そういう複雑な批評的背景があり、競技カードゲーマー出自の人々にとってはnot for usかもしれない。
良かったところ
まず基本ルールはMtGなので、その段階でMtG程度には面白い最低保証がある。
ちなみにカードゲームうさぎ内で遊ばれているACGがMtG亜種だと明言されているわけではないが、作中のやり取りがあまりにもMtGすぎるのでネタ元がMtGであることは暗黙の共通了解になっている。
(ホロカがポケカをアップデートしていたように)後発らしくMtGの問題点を解消したシステムもいくつかあり、その中でも特筆すべきは土地の扱い。
「MtGに土地事故は必要か否か」は古来から定番の論争だが、少なくとも普及を見据えて今からカードゲームを作るなら全く不要であることは間違いない。よってACGでは土地は独立した土地デッキから毎ターン確実に土地が供給され、土地事故でキレることがない(ただしデュアラン系のタップインリスクや色事故等はあるので完全に運要素が消滅しているわけではない)。
クラファンセットにはストラクが6個収録されており、ストーム系コンボ、テンポ系ビート、スライ系バーン、ドローゴーコントロールなど、作中キャラが使っていた色々なバリエーションのデッキが楽しめる。
良くなかったところ
MtG(みたいなカードゲーム)を競技でプレイしているキャラクターたちのデッキを忠実にカード化した弊害として、「一つの勝ち筋に対して最適化されて極まったカードとデッキ」が最初から提供されており、あそびがない割には既視感しかないことがある。
つまり、実際に対戦すると典型的な見飽きたやり取りをなぞるだけの勝負になりがちなのだ。デッキリストを見ただけで最初から行動ルーチンとマッチアップごとの論点が把握できてしまい、実際にプレイする必要がないと言っても過言ではない。
レオストームはライオンの嵐を通すデッキ、野良バーンは本体火力を投げ続けて4キルする足切りデッキ、冬コンは一生ドローゴーして隙を見た冬設置からピン差しの冬将軍が4回殴るデッキ。「本来の勝ち筋じゃないけどなんかグダってバニラでどついてたら勝ったわ」みたいなサブプランが存在しない。
ただそれは我々がオタクすぎるだけで、「MtGを遊んだことがなくてカードゲームうさぎが好きな読者」が遊ぶ分には原作で見たようなMtGの競技プレイを次々に発見できる喜びがあるのかもしれない。そういう意味でファングッズとして優れていることは間違いないと書いた。
また、こうした難点を感じるのはまだストラク状態でしか遊んでいないからかもしれない。競技用に組まれたデッキの再現、それもストラクで提供されているせいで戦略を単調に感じてしまっただけで、デッキを跨いだ組み換えを試していけば通常のカードゲームのように独自の味が出てくる可能性はある。
実際のプレイ
主にイーグルビートを調整しつつ、みそ氏のレオストームやひふみの冬コンと戦った。
ドローゴーである冬コン相手が特にこのゲームの異常さを感じた試合だった。
こちらのマスカンが割れていないうちはギリ有利かと思いきや、MtGでのネチネチコントロール歴が長いひふみは初見でも衝撃の震えや包囲司令官のような脅威を的確に打ち消してくる(冬のシャットアウト性能が高すぎるのでマスカンが絞りやすいのもあるが)。最終的に冬が設置された返しでの脅威が全てカウンターされ、勝ち手段がなくなったので冬将軍が殴り切る前にこちらが投了。初戦から早くも環境末期のような雰囲気が漂い始める。
サイドチェンジ後もこちらが先手ならマナ有利を活かして最速で軽い脅威の設置を試み、あとは相手の手札が整っていない序盤か冬が設置された返しなどの適切なタイミングでマスカン連打してお祈りくらいしかやることがない(こちら側に瞬速系の動きが全くないのでエンド時に投げる釣りがない)。それが通れば勝ち、通らなければ負け。
冬と冬将軍がしょうもないのではなく、冬と冬将軍を想定してもなお行動アルゴリズムを最初からお互いに了解しているのでダイスを振って勝敗を決めているのとあまり変わらない感じがする。
トゥルーマリンショー
プレイ時間:5時間くらい
面白さ【★★★】
新鮮さ【★★☆】
好きさ【★★★】
ゲッタ~がたぶん通販で買ったやつをプレイ。
総評
宝鍾マリンの同人カードゲームであるドミニオン系ゲーム。
順当に改善されたシステムの数々によってデッキを強化して回す楽しみがあり、ブリブリの萌えキャラ要素も好みで俺は一番好き。
良かったところ
市場からの購入を通じてデッキを拡大再生産するドミニオン系ゲーム。
金・アクション・VPが全て同じカード種類にまとめられ、それぞれに発動コストが存在している。よってカードを使うにはいちいちコストを支払う必要があるので、単なる銀貨や金貨を使うにもそれなりの計画性が要求されてくる。
ドミニオンで言う勝利点カードが重くて強いカードに置き換わっているため、終盤になってもデッキが弱くなるどころかむしろ強化されているのは回していて楽しいポイント。ドミニオンは基本システムが単純なだけにコンポーネントを複雑化させる方向に向かうしかなかったが、こちらは複雑さを基本システムに押し付けているのでカードテキストは直感的でも楽しみやすい。
ちなみに何故かホロライブキャラと同列にアズールレーンと東方のキャラが登場する立て付けは一見すると意味不明だが、これはあくまでもホロライブのカードゲームではなく宝鍾マリンのカードゲームだからだろう。恐らく宝鍾マリンにプレイ歴がある東方やアズールレーンのキャラは宝鍾マリンの仲間扱いでよいという判断がある(特にアズールレーンは船員というフレーバー要素とも噛み合っている)。
トゥルーマリンショーというタイトルがトゥルーマンショーのパロディであることを踏まえると、主人公がフィクションのキャラに囲まれるフレイバーとして正当化できないこともない。
良くなかったところ
基本的にはドミニオンの修正改善版ではあるものの、クリアされていない点として引きムラの問題がどうしてもある。
カードにいちいちマナコストが設定されているため引き次第では何もプレイできない詰み状態が発生しやすく、ドミニオン同様に最初に躓いた人が拡大再生産に失敗してそのまま死にやすい。マナを次ターンに持ち越すことで事故率を下げられるが、手札次第では賭けに出ることを強いられた上で運悪くターンスキップする状況も少なくはない。
また、手札が4枚しかない割には初期デッキからハンデスが存在するのでデッキが回らないストレスがそこそこ発生しやすい。マナを払わずにカードを入手できる救済措置もなくはないが、手に入るカードが弱いので基本役に立たない。
また、これは大味なゲームが志向されているだけかもしれないが、第二弾以降のカードデザインには疑問を感じるものも多い。
特に第二弾のスタートカード「ワザップ少年」はあまりにもゲームの楽しさを損なう性能で即座に使用が禁止された。手柄やハンデスを通じたインタラクションが想定されている割には対策カードの汎用性が高く強力で、特定のカードを取ったもの勝ちの展開になりやすい。
更にこれも問題点というよりは単にまだ攻略できていないだけかもしれないが、ゲームの終わらせ方が極端に難しいのもある。
詳細は割愛するが、ざっくり言うとスタートプレイヤーが勝利点を確保できないうちにゲームが終わりがちで大幅に不利になりやすい問題がある(逆にスタートプレイヤーの一巡前のプレイヤーは大幅に有利)。
元々ドミニオンでスタートプレイヤーが有利すぎる欠陥を是正しているという説もあるものの、それはそれとしてプレイした範囲では不利を捲るほどの要素は見つけられなかった(救済要素のボーナス点も結局は捲れない)。
実際のプレイ
最初は有り得ないくらい弱くて毎回最下位を取っていたが、よく勝っていたもっちーとゲッタ~から教えを受けることで優勝が安定するようになって面白さがわかった。
コツは
・序盤は廃棄に徹する(手札が少ないので弱いカードの悪影響が大きい)
・コストを意識して購入と盤面維持を行う(引いたカードを使えるマナの受けを作る)
・強いカードを捨て札にして引きやすくする
・弱いカードは盤面に維持して引かないようにする(実質廃棄)
・強いカードは金量が合わなくても支払いに使った方がいい(もう一度引けるようになるので)
あたり。コツを知る者と知らない者では勝負にならないくらいの敷居の高さはある。
レキシオ
プレイ時間:30分くらい
面白さ【★☆☆】
新鮮さ【☆☆☆】
好きさ【☆☆☆】
ゴッシーが持ってきたやつをプレイ。
総評
大富豪の亜種。パーティーゲームとしてカジュアルに遊ぶにはいいかもしれないが、やり込むほどの深みはない。
良かったところ
要するに特殊ルールの大富豪なので大富豪と同じくらいには楽しめる。
売りにしている麻雀牌型のコンポーネントは触っている分には多少は楽しいが、プレイ上での欠点も多い(後述)。
良くなかったところ
要するに特殊ルールの大富豪なので大富豪と同じくらいにしか楽しめない。
公式HP(→■ )における「全く新しいタイプのボードゲームです」「麻雀×ポーカー×大富豪」という触れ込みは誇大広告すぎる。大富豪で使える役をポーカーから借用して、大富豪でカードの代わりに牌を使っているだけだ。
むしろカードの代わりに麻雀牌が使われているせいでプレイしにくくなっていると感じるところもある。
数字の表記が大きくなく上下を揃えないと6と9が判別できないなど牌の視認性があまり良くないので、カードと違って目元まで持ち上げられないデメリットが大きいのだ。
また、リアルで麻雀をやったことがある人ならわかると思うが、麻雀牌は手前のところでシュッとやって揃えるための出っ張りがないと整列しないのでかなり扱いにくい。麻雀用の机やマットをわざわざ使わないと麻雀牌を使う旨味は出ない。
総じてふつうにカード型で良かった気がするが、それを言ってしまうともうトランプで遊べばいいじゃんという話になる。無駄に高くて汎用性の低いトランプ?
実際のプレイ
有り得ないくらいの大差でボロ負けしていた。適当に常に最強役を出していたので弱い牌が手元に溜まって一回も最後まで上がれなかったため(これも大富豪と同じ)。
バックギャモン
プレイ時間:1時間くらい
面白さ【★☆☆】
新鮮さ【★★☆】
好きさ【★☆☆】
ブロッコリーマンが持ってきたやつをプレイ。マグネットゲームセットによく入っているが遊ばれないゲームとして有名なやつ(今の小学生にはタブレットがあるのでマグネットゲームセットは平成の遺物なのかもしれない)。
総評
現代的なボドゲにはさすがに及ばないものの、娯楽が貧弱だった時代のゲームにしてはなかなかよく出来ている。
面白いボドゲを特に持っていないときにその辺のダイスとか板を使って即興でやるゲームとしてはかなり面白い方だと思う。
良かったところ
すごろくの亜種っぽいが、コマ自体が大量にあって「どう進めるか」というよりは「どれを進めるか」が論点である点が独特。
ルールは簡単ではないものの「コマ二つでブロック」「コマが単騎で踏まれたらやり直し」「ゴール周辺のルール」の三つくらいを抑えておけば十分遊べる。
ダイスの目に応じた実質的な選択肢がかなり多い割には、良さげな択をそこそこ直感的にプレイできて初心者にも優しい。可能な限りブロックを作るのが安定だが、ブロックを作れない場合に踏まれるリスクをどこで取るかに頭を使う余地が出てくる。
ダイスを毎回2個振るのも絶妙だ。望む目が少なくとも一回出る確率は11/36≒30.5%という適度な値になっている(出ない寄りだが祈ればそこそこ出る)。ランダム性とプレイスキルが適度にバランスされていて毎回ダイスを振る楽しみがあった。
良くなかったところ
元も子もないようだが所詮はサイコロゲーではあって、プレイスキルよりは出目の方が重要そうではある。
何度か遊んでポイントを合算するシステムになっているのには運ゲーを緩和する意図があるのだろうが、そもそも一ゲームが長めなので何度もやるのはけっこう辛い(この無駄な長さは他に娯楽がなかった時代の趣がある)。
また、スタート地点から復帰できずにターンスキップするハマりが発生しやすいのはかなり面白くなかった。一度優位になった側が壁でロックしてターンスキップを繰り返す絶望的なゲームが進行するのは、令和のボドゲでは有り得ないとも言えるし、伝統的なゲームらしいとも言える。
更にダブルというルールがよく出来ているように見えてよくわからない。
俺の理解が足りていないのかもしれないが、少なくとも初心者から見た感じだと「不利かイーブンだとやる価値なし、ちょっと有利だとやる価値あり、めっちゃ有利だとやる価値なし」という感じなのでいつ使うのか判断しにくい。少なくともギャモン勝ち以上を狙えるのであれば続行する意味が生じてしまい、結局ダブルによって決着することは少なかった。
実際のプレイ
なぜかゲッタ~がダイスを振って俺がコマを動かすという分担体制でプレイ。
ゲッタ~のダイスが異常に強く、一瞬で圧倒的優位に立ってダブルすら拒否する消化試合になってしまうのがプレイ体験を著しく損ねていた。どのくらいダイスが強かったかと言うと、二回やって二回ともオープニングダイスが6のダブル(0.08%の最良パターンを引いている)。そのせいで奥深さがあまりわかっていないかもしれない、もうちょっと拮抗していたらもうちょっと面白かったのかもしれない。
何故かりゅーめいが高校でめちゃめちゃやり込んでいたらしく(バックギャモンが流行ってる高校謎すぎる)、上級者のアドバイスを受けられたのはかなりよかった。手札のような秘匿情報が存在しないのでカジュアルに観戦者に聞いたり皆で議論したりできるのは完全情報ゲームのいいところだ。
そんなガチ勢のりゅーめいによるとバックギャモンは既に完全解析が済んでおり、ソフトウェアでプレイすると試合後に「正解からどれだけ間違えたか」が表示されるようなゲームになっているらしい。それはそれでゲームとしては微妙な感じもするが、カジュアルにプレイするなら関係ないのかもしれない。
スキンケアルーティン
プレイ時間:30分くらい
面白さ【☆☆☆】
新鮮さ【★☆☆】
好きさ【☆☆☆】
ヨグルティがゲムマで買ってきたやつをプレイ(ゲムマのときTwitterでちょっとバズってた)。
総評
申し訳ないが面白くなかった。
フレーバーが活かされていない、プレイに深みがない、ルールに欠陥があって進行できないの三拍子で何もない。
とはいえスキンケアをテーマにしてバズったマーケティングというか見せ方は上手かったし、スキンケアに関心があって普段はボドゲを遊ばない層がたまたま手に取る分には楽しめるのかもしれない(not for usなだけかもしれない)。
良かったところ
単純な絵合わせゲームなので、面倒な役を覚える必要もなく気軽に遊べる。
山札の捲りを楽しむ最低限のパーティー要素は備えているので遊んでいて退屈というほどではない(盛り上がろうと思えば盛り上がれる)。
良くなかったところ
単純な絵合わせゲームなので、プレイの腕があまり出ない。
スキンケアをモチーフにはしているものの、架空のスキンケア用品におけるブランドと成分を合わせていくだけなのでスキンケアに関する知識は特に得られない。そろそろスキンケアが気になり始めたアラサー男性たちでプレイしており、スキンケア知識への需要は明確にあったので、そこが満たされないのは悲しかった。
更にルールに欠陥があり一度ハマると進行不能になる。ルールに見落としがあったのかもしれないが、少なくとも三人でマニュアルを精査した限りでは解決方法を見つけられなかった。
実際のプレイ
三人で行った初プレイでもう「ハマり」が発生してそれ以上進められなくなってしまったのでそれが最初で最後のゲームとなった。
具体的には、一人が一度「ビューティニスタ」になったあと、他の二人が同点かつ現ビューティニスタより高い点数を揃え続ける盤面になった場合(ビューニィニスタが5点で他の二人が6点など)、以降のルーティンが全て引き分けになって進行できなくなる。
ウミガメのスープ
プレイ時間:1時間くらい
面白さ【★★☆】
新鮮さ【★★☆】
好きさ【★☆☆】
F中さんの提案でプレイ。
総評
けっこう面白かったような気もするが、俺がこのゲームのことを未だによくわかっていないので何とも言えない。
人狼等と同じで明文化されたルールというよりは暗黙のコンテクストによって進行する会話ゲームなのだが、そのコンテクストを理解できていない。
良かったところ
手軽。適当な問題を探すスマホが一台あればその場で遊べる。会話の延長なのでボドゲと違って身構える必要もない。
そして何人でも参加できる、と見せかけて頭の回転が速い人が多いと発言や質問の衝突が何度も起こってストレスなので、許容人数はそこまで多くなさそう(頭の回転が速い人の許容人数は精々4人くらいだと思う)。
良くなかったところ
賞味期限が短そうではある。
具体的には、やり込み勢が現れるとテンプレ質問を対策するいたちごっこになって参入障壁が上がりながら古参だけが楽しむゲームになりそう。そういうタコツボ問題はこのゲームに限ったことでもないのだが(人狼のセオリー集を見よ!)、ウミガメのスープに限っては推理要素もあるのでレパートリーが底を突くのが早そうだ。
実際、やり込んでいるF中さんが「この問題に出てきている代名詞は同一人物ですか?」的なことを初手で連呼するルーチンを確立していて、そらそうなるよな~と思った。たぶんこの質問に対してはイエスだが巧妙な文章上の工夫によって実際には別人を登場させるような手口ももう登場しているのだろう。
実際のプレイ
五つくらい謎を解いたが、明示的に言語化されていない暗黙の了解がよくわからなかった。具体的には、俺が「これでもう謎はなくなった」と思った回答を提示しても正解判定にならなくてこれ以上何をクリアすればいいのかよくわからないということが頻発した。
俺はまずホワイトボードにタイムラインや因果ダイアグラムを書いてどの時点までに何があったのかや何が原因で何が生じたのかを厳密に確定しようとする。例えば「ずっと楽しみにしていたイベントが雨で延期になって喜んだのは何故でしょう?」という問題だとこんな図を書く。
このタイムラインによると延期が確定する直前までは楽しみ状態が継続していたので「楽しみにしていたイベントが中止ではなく延期になるのであれば喜びを感じることは感情の動きとして不自然ではない」という回答を提出するのだが、「そういうゲームじゃないから」「意味わからんこと言うな」みたいな感じになってしまう。正答は「イベントというのは高校甲子園の試合であり、疲れていたので雨で休養を取れるのが嬉しかった」らしいが、「それは俺の回答と同じだろ」と内心思っている。
ブロッコリーマンが俺を嗜めて言うことには、「ウミガメのスープというのは論理的な妥当性を演繹的に導くゲームではなくて、無根拠な仮説を投げつけて唯一のディテールを確定する帰納型のゲーム」らしい。なんかウミガメのスープというゲームにおいて妥当とされる解像度の回答タイプがあり、たぶんそれを俺がまだよくわかっていない。
余談
などと初見レビューをノリノリで書いているように見えて、実際のところゲーム力の衰えを痛感しながらゲームへのスタンスを考え直す合宿でもあった。
加齢の影響で「もはやゲームで勝つために労力をペイする気がない」と自覚したのはだいぶ昔の話だが、最近では「もはやゲームで勝つことに価値を見出していない」まで後退しつつある。
誤解がないように書くと、ゲームをプレイするモチベーション自体は今も昔もかなりある(あるから合宿には毎回参加している)。別に勝つことには興味がなくても「ゲームのシステム」に対しては強い関心があり、色々なシステムを知るためにゲームを体験したい気持ちで遊んでいる。システムへの知的好奇心は衰えていない。その成果がこの記事でもある。
しかしゲームでの勝ち気がどんどん失われていくことで、今までになかった質の問題が色々と生じ始めている。
一点目は、戦略がわからないとシステムもわからないこと。
勝つ気がないと、ルールに反しない範囲でそれっぽく遊べれば十分なので、深く考えずにほぼランダムな選択を行うことが多くなる。しかしそういうことをしているとゲーム内で想定されている戦略が全然わからなくなってしまう。作り手が想定している戦略はゲームシステムの意図とも密接に関連しているため、そうなると結局は本当に知りたかったシステムも見えなくなってしまうのだ。
特に今回はレキシオをあまりにも適当にプレイしていたせいで「これって本質的に大富豪と同じだ」と気付くのが帰宅してこの記事を書いてからになった。最低限、自明に想定されている戦略を思いつく程度の勝ち気は持っておかなければならないと感じる。
二点目は、記憶が残らなくなること。
これは初見ではないのでレビューには書かなかったが、テラフォーミングマーズをプレイしようとしたときの記憶喪失ぶりがヤバかった。過去にゴッシーの家でプレイしたはずなのだが(しかもここ一年以内)、本当にルールを一切覚えておらずカードやコンポーネントを前にしても何一つ思い出せないので、コイルさんに背後霊になってもらってインストしてもらいつつ初心者用企業を使ってなんとかプレイしている体にしたのは我ながらヤバかった。
人の顔などの興味がないものへの記憶が極めて貧弱な特性は昔から自覚しているが、遂にゲームにもそれが適用され始めたようだ。最初から勝つ気がない状態でプレイしていると全然頭を使わないので記憶も一切残らないのである。重ゲーをプレイするたびにインストし直す必要があると遊べるゲームも減ってきてしまうし、ルールが何となく頭に残る程度の関心は持ってプレイした方がよい。
三点目は、俺が良くても相手が良くないこと。
ゲッタ~が「LWとやってるとやる気ないジジイに無理やりゲームさせてるみたいだな(あまりにも弱すぎるし何も覚えなさすぎるので)」と言っていたのがそれだ。
俺が弱いのは俺は別に構わないとしても、一般論として相手があまりにも雑魚すぎるゲームはつまらない。俺が弱すぎて他の人が俺と戦いたくない状態になるのはマズいので、最低限サンドバッグ以上には戦えるラインの強さは維持しなくてはならない。
四点目は、ゲーム全体の地力が落ちていくこと。
カードゲームでもボードゲームでも、タイトルが違ってもある程度は共通の理論がある。例えばアドバンテージとか優先権についての基礎的なテクニックを覚えておけば初見のゲームでも対応できるし、周りでもそれが前提になっているレベルのプレイが行われることが多い。
昔取った杵柄は忘れないので勝つ気がなくても手なりで使えるが、そういう貯金がない新しいシステムがスタンダードになったときがマズい。勝つ気がないと新しく学習できないので全てのゲームに対して弱くなってしまうのだ。
今回だとワンピカードのコンバットは過去のどのカードゲームとも似ていないので適当にやっていてボコボコにされたし、今後ワンピカードみたいなシステムのゲームが増えてくると始まった瞬間に負けが確定しているゲームも増えることが容易に予想される。
これらに対する一応の対策として、とりあえずボコられたあとに「勝つ気でプレイしていてゲームを一定理解した人」に解説してもらうのが一番現実的なように感じた。
幸いにも俺の周りのカードゲーマーは言語化能力が高いし俺も理解力が高いので、一ゲームでも見るか見られるか、もしくは一言二言でも本質をやり取りすればそれだけで概ね追いつけることがわかった。
実際、トゥルーマリンショーでは五回連続で最下位を取ったあとに勝っていたやつと二つ会話したあとは即座に優勝できるようになった。勝てなさすぎることを自覚したタイミングで「誰か俺の背後霊やってくれ」的なことを俺から積極的に言っていこうと思う。
もう完全に諦めていることもあって、一つのゲームを継続的にやり込んで上達するのはもう無理だ。
面白いゲームはやり込む余地が多くありがちなので、モチベの高いカードゲーマーがやり込みがちである。今回だとワンピカードがその枠になった。カードゲーム大好き人間たちは合宿が終わった足でそのまま小田原のバトロコに行ってワンピドラフト二回戦をやっていたし、来週以降もしばらくは週末にワンピドラフトをするのだろうが、俺はそこにいない。
だから周りがやり込んでいるゲームを中途半端に齧るよりは、システムが新しそうだったり話題性が高かったりするゲームの体験版的なものを供給するような方向でカード・ボードゲームをやっていきたいと思っている。
最近だとディメンションゼロを「有名だけど実際にプレイした人は少なくて知る価値があるゲーム」として俺がしげすぎちゃんから一万円で買い取って皆で遊んだのは有意義な成功例だった。そんな感じで次の夏合宿までにはプレイする価値のありそうなゲームを確保しておきたい。