LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

20/5/16 4月消費コンテンツ

4月度消費コンテンツ

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今年度はコンテンツ消費の気運が高まっているので、飽きるまで月間まとめみたいなことをやろうと思う。

メディア別リスト

映画(16本)

ゴッドファーザー
・マン・オブ・スティー
グッドフェローズ
バットマンvsスーパーマン
スーサイド・スクワッド
ワンダーウーマン
ジャスティス・リーグ
・サイコ
・スーパー!
・アクアマン
・劇場版パトレイバー1
・劇場版パトレイバー2
・劇場版パトレイバー3
パラノーマル・アクティビティ
トータル・リコール
スカイ・クロラ

アニメ(96話)

現行で放送中のアニメは除く(途中で話数を切って記録するのは気持ち悪いので)。

・マギアレコード(全13話)
・へやキャン△(実質全1話)
ソードアートオンライン1期(全25話)
終末のイゼッタ(全12話)
サイコパス1期(全22話)
新世界より(全25話)

本(4冊)

・資本主義リアリズム
・自殺の歴史社会学
・自殺全書
・古典入門 自殺論

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

・【映画】劇場版パトレイバー2

消費して良かったコンテンツ

・【映画】グッドフェローズ
・【映画】スーサイド・スクワッド
・【映画】スカイ・クロラ
・【本】自殺の歴史社会学
・【映画】スーパー!
・【アニメ】サイコパス
・【アニメ】ソードアートオンライン

消費して損はなかったコンテンツ

・【映画】トータル・リコール
・【アニメ】マギアレコード
・【アニメ】終末のイゼッタ
・【本】古典入門 自殺論
・【映画】バットマンvsスーパーマン
・【映画】ジャスティス・リーグ

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

・【アニメ】新世界より
・【映画】劇場版パトレイバー1
・【映画】劇場版パトレイバー3
・【映画】サイコ
・【映画】ワンダーウーマン
・【映画】パラノーマル・アクティビティ
・【本】資本主義リアリズム
・【映画】ゴッドファーザー

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

・【映画】マン・オブ・スティー
・【映画】アクアマン
・【アニメ】へやキャン△
・【本】自殺全書

ピックアップ

単発記事を書いたコンテンツとかなんか一言あるコンテンツについて。
一行目からネタバレ書くのでネタバレ見たくない人は読まないでください。

【アニメ】マギアレコード

saize-lw.hatenablog.com

魔女システムと願いの変質について。

【映画】バットマンvsスーパーマン

saize-lw.hatenablog.com

MCUの正義とDCEUの正義の違いについて。

【アニメ】ソードアートオンライン

saize-lw.hatenablog.com

【映画】劇場版パトレイバー2

機動警察パトレイバー2 the Movie [Blu-ray]

機動警察パトレイバー2 the Movie [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: Blu-ray
 

押井守って面白いときと面白くないときが両極端なんだけど、『パトレイバー2』は突き抜けて面白かった。他に突き抜けて面白かったのは『御先祖様万々歳』『トーキング・ヘッド』あたり。
「形骸化した戦争」というモチーフ自体には非常に共感するんだけど、押井守にとってそれが常に平和の欺瞞性とセットになっているという告発の文脈にはそこまで共感できない。この世代的な感性の差はちょうどジローズの『戦争を知らない子供たち』からアーバンギャルドの『戦争を知りたい子供たち』への変質に対応しているようにも思う。
戦争を知らない子供たち』の1970年では「戦争を知らない子供たち」の隣には「戦争を知る大人たち」がいたので、大人は子供を守りましょうみたいなスタンスの反戦歌が成立した。押井守に言わせればそういう平和維持スタイルこそが戦争を隠蔽する欺瞞であるという批判の対象になるけど、「戦争世代」と「平和世代」が共存しているという前提は共有している。
が、『戦争を知りたい子供たち』の2014年には子供も大人も戦争を知らない。「戦争世代」は全滅してもう「平和世代」しか残っていない。誰も本物を知らないものは形骸化もできないので、「形骸化した戦争」という単語は語義矛盾である。いまや、完全にうわべだけの記号的な戦争か、完全に本物の血肉を抉るグロテスクな戦争(という妄想)への二極化しか有り得ない。

【映画】スカイ・クロラ

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

  • 発売日: 2014/08/13
  • メディア: Prime Video
 

……というような時代の変遷に従って『パトレイバー2』をアップデートしたのが『スカイ・クロラ』なんだろう。単体では二度と見たくない映画だが、事実上の『パトレイバー2』の続編であることを踏まえるならば『パトレイバー2』よりも評価できる。というか、『パトレイバー2』を見てない人が『スカイ・クロラ』を見ても意味不明なのでは。
戦争が形骸化しているとはいえ、『パトレイバー2』の段階では特車二課が派手に華々しく戦って勝利するという「本物の戦争」らしきドラマがまだギリギリあった。しかし、『スカイ・クロラ』の段階では戦争は日常化にまで到達してそういう対立自体が消え失せている。『パトレイバー2』のように外から見て「形骸化」などと指摘できる段階では実はまだ形骸化しきっていなくて(「形骸化」という表現は「本物」の知識があって初めて可能だから)、本当にそれが起きたときは指摘することすら誰にもできない。
だから『スカイ・クロラ』では恒常的でグダグダな戦時状態は解決できない大前提になってしまい、そこで生きる人たちの実存的な問いに論点が縮退せざるを得ない。システムの要らしきティーチャーに挑むことくらいは辛うじて可能だが、ティーチャー=柘植を殺せる時代は『パトレイバー2』でもう終わった。

【映画】グッドフェローズ

グッドフェローズ (字幕版)

グッドフェローズ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

これかなり好き。
何も起こらない平和な日常って全然幸福じゃないし、むしろ積極的にリスクをテイクしないとそこから逃れられないみたいな問題意識があって、それは映画を含めた娯楽作品自体への自己言及でもある。
大抵の娯楽作品は問題を解決して平和に戻ることを目指しているけど、それを達成したら作品は終わる。視聴者が求めているのは本当は四苦八苦する戦争状態であって、ハッピーエンドに到達してしまったら見ていても何も面白くない。だからこの映画では安寧で不自由のない暮らしがバットエンド。

【本】自殺の歴史社会学

saize-lw.hatenablog.com

この回に書いたけど、自殺の意志と資源化という問題を扱っていてかなり面白かった。

【映画】スーパー!

邪道ヒーロー映画として完成度が高い。キチガイ男が自己満足のためにカスみたいな動機でヒーローを始めるんだけど、途中で真の正義に目覚めることも特になく、徹頭徹尾カスのままで満足して話が終わる。ダークヒーローとかピカレスクではなく、本当にカスなタイプのアンチヒーローは貴重。
クライマックスでラスボスに説教するシーンがかなり良く、このヒーローには思想も何もないので「姦淫するな」とか「薬はやめろ」とか取って付けたような道徳を唾を撒き散らしながら語り、その割には私怨で人を殺すダブスタぶりを見せつける。
これの監督があの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と同じというのはなかなかウケる。

【アニメ】終末のイゼッタ

超越的な力をどう扱うのかという手垢の付いたテーマについて、「最強の魔女(物理的な超越者)」と「小国の姫(政治的な超越者)」の親友関係をベースに議論するような話。
途中はかなり面白くなかったけど、最終的には姫が魔女に対して「力が残っていると色々危ないので力を使い果たしてもらって、ついでに敵と一緒に死んでもらえるとベスト」みたいな切り捨て判断をして、魔女もそれを受け入れていたのがすごく倫理的で良かった。その結論を出せる作品はそう多くない(しかも百合なのでなおさら)。Cパートでなんか魔女は存命であることが示唆されてたけど、そのくらいはまあいいでしょう。

【アニメ】新世界より

どっかの感想で読んだ「ディストピア小説で被支配階級・奴隷サイドが普通に惨敗するパターンの話」というのがその通り過ぎてこれを超える感想が出てこない。
いわゆる「世界の謎」を4話くらいで開示する割には、主人公たちがそこまで興味を持たないままダラダラ話が進んでいく。というのも、「隠蔽されていた階級社会」というディストピア設定において、主人公たちは支配階級サイドであるために現状を変革する理由もモチベーションも特にないからだ。クライマックスで革命が起きる割には、主人公陣営が普通に鎮圧して奴隷たちの立場が変わることもなくそのまま終わってしまう。
他の話題として、本能レベルで闘争回避を組み込んだ平和なコミュニティが「個々の命を無視した物量戦」とか「闘争を志向する異常者」みたいな想定外の悪意に非常に弱いというようなシステムの脆弱性に関わる話も結構面白かったけど、それはいつかまた適切な機会に引用したい。