LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

21/5/30 2021年3月消費コンテンツ

2021年3月消費コンテンツ

知人を含めて消費コンテンツ記事の輪が広がっており、noteで検索するといくつかヒットするようになってきました。

メディア別リスト

映画(4本)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

アニメ(26話)

ひぐらしのなく頃に1期(1~26話)

書籍(7冊)

フランケンシュタイン
批評理論入門
功利主義入門
C言語ポインタ完全制覇
神速Excel
2時間早く仕事が終わるExcel実践術
はじめての簡単ExcelVBA

漫画(21冊)

二月の勝者(1~10巻)
大奥(1~11巻)

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

消費して良かったコンテンツ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
二月の勝者(1~10巻)
ひぐらしのなく頃に1期(1~26話)
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

消費して損はなかったコンテンツ

C言語ポインタ完全制覇
批評理論入門
大奥(1~11巻)
フランケンシュタイン
功利主義入門

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

神速Excel

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

2時間早く仕事が終わるExcel実践術
はじめての簡単ExcelVBA

ピックアップ

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

saize-lw.hatenablog.com

劇場公開されてからしばらくの間ネット上の反応は俺の記事のようなジジイの批評と自分語りの死骸が圧倒的で、過剰なネタバレ配慮も相まってライトなファン活動が押しのけられていないかを若干気にしていた。が、今は無事にポップなカルチャーが盛り上がっている。「長髪レイ」という新たな萌え要素のファンアートが流通していたり、萌えキャラムーブが浮いているサクラを弄る風潮があったり、アヤナミレイ(仮称)の手動ネタbotができたり、そういうキャラ萌えをちゃんとやった方がいい。俺もちゃんと個人的な萌え方面のことを言えば、シンエヴァでは圧倒的に冬月とゲンドウが熱い。

 

二月の勝者

saize-lw.hatenablog.com

かなり面白かったので個別で記事を書いた。
Twitterで言われて初めて気付いたが、『二月の勝者』というタイトル自体が既に読者を選別している。二月の勝者=受験合格者ということが自明なのは中学受験経験者だけだ。

 

ひぐらしのなく頃に1期(1~26話)

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最近始まった三期が面白そうだったので今更見た。
ひぐらしは世代だったのに当時は逆張りで避けていたコンテンツの一つで(他にもコードギアス禁書目録がある)、見たことがないはずなのにブックオフでの立ち読みとか中学校での雑談とか断片的な情報が組み合わさってほぼ全ての内容を既に知ってしまっている。竜宮レナさんが記憶にあるよりは萌えで良かったのと、当時の男主人公は軒並み女の子の頭を撫でたがるのは相変わらず気持ち悪かった。

老オタク狙いのリブート企画が珍しくもなくなってきた昨今、元々の設定からしパラレルワールドを組み込んでいるコンテンツは分岐した別世界で事実上の新編を始める権利を持っていることが強力だ。マルチバース設定があると商業的にもメディアミックスに便利だし、いくらでも拡張出来て後から付け加えた設定が齟齬を生むこともまずない。リブート企画を見るにつけても、コンテンツはとりあえずマルチバースにしておくのが丸すぎる。
とはいえひぐらしは各メディアで同じ話を律儀に順番通り展開していたあたり(鬼隠し→綿流し→祟殺し→……)、まだまだ商業的なマルチバース運用が未熟だった時代のコンテンツのような感触もある。せっかく時系列を意識しなくていい話がいくつもあるのだから、アニメは鬼隠し、ソシャゲは綿流し、漫画は祟殺しというようにメディアごとでパラレルに進行する方が立体的にユーザーに訴求できて嬉しく、たぶん今だったらそうなる。

 

批評理論入門

オミミユさんに会ったとき貰いました。ありがとうございます。

タイトルに偽りなく、批評理論への入門時に最初に読む一冊としてかなり強力な本。スタンダードオブスタンダード、独自性が無い方向に洗練されており、内容も語り口も平易、高校教科書的な一冊。これを読むだけで誰でも一定のボキャブラリーを把握し、物理方程式を立てるように批評を立てられるようになるだろう。
ただ、「アニメの批評を書きたい」などというモチベーションでこれを読む人がいたら申し訳ないので一応念のため申し添えておくと、これらは文学理論界隈で古典的に流通している狭義での「いわゆる批評」のパッケージに過ぎない。それを適用して語れる物事と、趣味として本当に関心があって語るべき物事はまた別の話である(し、大抵は一致しないと思う)。

以前に他の文学理論入門も何冊か読んだが、これらを読むとしてもとりあえずこの『批評理論入門』を先に読んだ方がいい。というか、このあたりの本は別にわかりやすくはなかった(昔読んだときの感想を発見→)。

www.amazon.co.jp

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他の批評理論の本だと扱う理論によってその時々で違う本を取り上げることが多いのだが、『批評理論入門』では読みやすい課題図書(『フランケンシュタイン』)が設定されていて一貫してそれしか説明に使わないのもありがたい。他の入門書がいちいち違うテクストを取り上げるのは別に意地悪ではなく、たぶん色々なものに触れさせてあげようという老婆心及び「このくらいは読んでおけよ」という警鐘なのだが、そこまでモチベーションが高くないと批評だけを読んで本体の内容を推測する最悪な状態になりがちだ。そこのところ、『フランケンシュタイン』を一冊読んでおけば具体例を全て把握できるというのは相当に大きなサービスである。
更に言えば、テクストに固有の文脈は存在せず関心によって様々な見解が可能であるという立場が現代批評理論の主流なわけで、あえて対象を絞ることによって逆に視座の多様性の方を実践的に教える意味も大きい。 

 

C言語ポインタ完全制覇

saize-lw.hatenablog.com

なかなか面白くて誰が読むのかよくわからない記事を書いてしまった。この本が意外と面白かったために久々に情報科学熱が再燃してしまい、最近はデータサイエンス関連のオライリーを読んだりしている。

 

功利主義入門

昔一度読んだような気もするが、お題箱に功利主義に関する投稿が来ていたので軽く読み直した。記憶にあるより高校生向けの本、高校生に読ませたい一冊。まえがきでは倫理学ではラディカルな問いを立てますよと脅しておきながら、例の幸福を巡る水槽脳問題となると途端に腰が引けてしまう中途半端さが実に高校生向けだ。最近(というほど最近でもないが)技術界隈がバーチャルワールドの実現に向けてマジでXRを頑張っているのを見るにつけ、哲学界隈が多数決の妄想だけで「流石にレッドピルは飲んだ方がいいんじゃないか」みたいなことをナイーブに言ってしまう有様は正視に耐えない。
ちなみに「はじめての倫理学」というサブタイトルは若干盛っている。はじめての倫理学功利主義を題材にするのが良いという程度の意味であって、初学者が倫理学全体を総覧できるという意味ではない。

お題箱の返答にも書いたことだが、功利主義の最大の論点の一つは最大幸福の定義と未来予測をどうやるかにあるという認識を新たにした。第一義的な原則として最大幸福が望ましいことは良いとして、そこから自明に必要になってくる「幸福とは何ぞや、どうやって実現できるのか」というステップに議論が進んだ途端に人間観や幸福観が様々に分かれてきてしまう。
本書で比較的穏当な妥協点として提示されるリバタリアンパターナリズムという立場は『ポストモダンの思想的根拠』で現実に進行している事態として取り上げられていたものとほぼ同じだ。

saize-lw.hatenablog.com

功利主義の二次的規則の提案という立場においてはパターナリズムリベラリズムの妥協点を探るために「政治レベルでは最小不幸を目指してパターナリスティックな制約を付け、個人レベルでは最大幸福を求めて自由に過ごして頂く」という形だが、 ネオリベラリズムでは「リバタリアン的自由を制御するために、それをコミュニタリアニズム的管理が包囲する」という形になる。結局のところ、これは同じ囲い込みの裏表だろう。
ちなみにもともと後者は911以降に安全を求める市民の切実な声から監視カメラが要請されたという文脈だったが、その流れはコロナ禍で更に加速している。

 

フランケンシュタイン

フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)
 

『批評理論入門』を読むために読んだ。

今読むと鬼滅の刃の鬼サイドの回想みたいな話だ。少なくともこれをジャンプで連載したときに「怪物がかわいそう」以外の感想が生まれることはあまり想像できず、当時としては生まれが死体である程度のことがどの程度哀れみを削ぐ要因になったのかの肌感覚はとても掴めない。

また、今読めば怪物の人権はAIの人権とパラレルで有りうる。レベルの低いAI作品はAIは内面を持つからAIには人権が必要だという極めて杜撰なロジックを自明としてしまうが、現実にはどんな理由があろうとペッパーくんの人権を配慮するのは少なくとも今はまだ狂人の振る舞いである。
死体のパッチワークから蘇生した怪物も、機械の肉体に走る電子コードで動くAIも、少なくとも他者から見れば根底に生命の神秘を欠いた哲学的ゾンビであるわけだが、このアナロジーは決してフィクションで描かれる空想の問題に留まらず、それを享受する人々の感性としては現実に影響のある形を取りうる。すなわち、『フランケンシュタイン』の原著執筆当時と現代を比べたとき、もし「怪物に人権を与えるべきだ」と考える人の数が過去から現在にかけて漸増しているのであれば、それは「ペッパーくんに人権を与えるべきだ」と考える人が同様に現在から未来へと漸増することを予見していると言って強ち的外れでもないだろう。

 

神速Excel

神速Excel 【ダウンロード教材付き】

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  • 作者:中田 元樹
  • 発売日: 2019/09/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

C言語ポインタ完全制覇』を読んでなんだか今すぐ使える浅いコンピュータ系の本が読みたい気分になって読んだ。俺はエンジニアではないので普段仕事で使うツールはExcelくらいしかなく(というのは若干盛っているが一番よく使うのはOffice標準ソフト)、図書館の棚を見ていたら前にTwitterで話題になっていたのを思い出して目を通してみた。

ショートカットを羅列するだけではなく、全体の流れの中でそれらをどのタイミングでそれを使うかまで細かく指定して反復練習まで準備しているのには好感が持てる(俺は反復練習はしなかったが)。Excelショートカットをまとめたツイートをとりあえずファボだけしておいて実際にはそれを使いもせずに死蔵しているなどというのはいかにもよくありそうな話で、個別知識の蓄積とその使用は別のカテゴリの知識であることが正しく認識されている(もしそうでなかったら、C++のマニュアルが手元に一冊あれば誰でも理論上可能なコード全てを書けることになってしまう)。

あと地味に素晴らしいのが、本を開いたままショートカットを練習できるように紙面が水平に開いて手で押さえなくてもそのまま保持される特殊な綴じ方になっていることだ。本を開いた状態でキータッチをすることが想定されている技術書は全部この綴じ方にしてほしい。