2021年1月消費コンテンツ
2020年秋アニメの感想は別記事で書いてしまったし、正月周りの休みでゴロゴロして消費ペースが落ちてしまったので今回は内容に乏しい。やはり働いていた方がコンテンツ消費のペースを保ちやすい。
未だに読んでいる途中なので消費コンテンツには入れていないが、2021年1月はアニメを見る他には向井雅明『ラカン入門』をよく読んでいた。
難解で知られるラカン理論を適切な密度とトピックで解説してくれており、レベリング系コンテンツのお手本のような手ごたえがある(それ自体がそこまで面白いわけではないが、他の活動に対して基礎的な力を提供してくれるもののことをレベリング系コンテンツと呼んでいる)。ラカンがやたら大量に繰り出してくる、繋がりがあるような無いような個別のトピックを結び付けることに意識的なのがありがたい。
ただ、電子書籍で買ったのは失敗だった。これはもともとkindleを買った頃にセールで売っていたものだ。表紙のオシャレさと文庫という肩書的に薄めの新書くらいのバーチャルイメージを幻視して購入したのだが、完全に見誤った。内容の密度が高すぎるし、ラカン特有の意味不明な図式も総動員して説明を試みるためにページを行ったり来たりする必要がある。
今は何とか前期ラカンまで読んだが、続きは時間のあるときに図書館で紙媒体を借りて読もうと思う。
メディア別リスト
映画(5本)
ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝
ポセイドン・アドベンチャー
スタンドバイミー
がっこうぐらし(実写)
快楽の漸進的横滑り
アニメ(111話)
おちこぼれフルーツタルト(全12話)
戦翼のシグルドリーヴァ(全13話)
くまクマ熊ベアー(全12話)
ご注文はうさぎですか?第三期(全12話)
安達としまむら(全12話)
魔女の旅々(全12話)
ヴァイオレットエヴァーガーデン(全14話)
レヱル・ロマネスク(全12話、5分アニメなので実質2話換算)
アサルトリリィ(全12話)
良かった順リスト
人生に残るコンテンツ
(特になし)
消費して良かったコンテンツ
魔女の旅々
アサルトリリィ
おちこぼれフルーツタルト
戦翼のシグルドリーヴァ
安達としまむら
消費して損はなかったコンテンツ
くまクマ熊ベアー
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ
ご注文はうさぎですか?第三期
レヱル・ロマネスク
がっこうぐらし(実写)
以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ
ポセイドン・アドベンチャー
快楽の漸進的横滑り
スタンドバイミー
ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝
ピックアップ
2020秋アニメ
女性主人公の美少女アニメが画期的に多い良い期だった。体感的には一年半に一度くらいこういうボーナス・アニメ・シーズンがある。魔女の旅々とアサルトリリィは二期以降にも期待しているが、他のアニメはまあもういいかなという感じではある。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
俺の「最悪でした」という感想に対してTwitterで「わかる」「ほんまそれ」みたいな賛同の声なき声(空リプ)がFF外からもぼちぼち上がっており、まあ俺だけじゃないよなという感じでした。
がっこうぐらし(実写)
アニメ版と漫画版の感想を書いた流れで一応見ておいたが、概ね同じ話で特に発展のないタイプのメディア変えだったと言わざるを得ない。ゾンビたちを彼女ら自身と同一視する視点がアニメ版にしかないとわかったのは収穫ではあるが、がっこうぐらしというコンテンツ自体これ以上伸びしろも無いだろうから、どこかで活かされるかどうかは怪しいものだ。
レヱル・ロマネスク
道の駅の隅っこにあるブラウン管テレビで流れている地元紹介VTRみたいなアニメだった。美少女を集めた割には特にお色気イベントもないあまりにも穏健で退屈な内容は、まいてつコラボがR18の壁を乗り越えられず町おこしを挫折した過去を踏まえての安全策なのかもしれない。
とはいえ、レヱル・ロマネスクというリニューアルしたIPで改めて九州の町おこしをリベンジするというわけでもないらしい。代わりに音声作品を大量販売してDLsite起こしをやっているようだが、レヱル・ロマネスクの明日はどっちだ。
快楽の漸進的横滑り
精神分析ぽいタイトルだなと思ったらやはりその手のうまぶり映画ではあった。つまりシュールとか前衛的とか言われてカルトな人気を集めがちな映画、具体的には『アンダルシアの犬』『イレイザーヘッド』『天使のたまご』みたいなもの、実はやっていることにはあまり大差のない映画の中の一つだ。
プロットよりもイメージを優先した映像表現について、「シミュラークル」とか「シニフィアンの連鎖」とかそれっぽい概念をあてがってわかったつもりになることは容易いが、それは感想としては空虚で何も言っていないのに等しい。提示される映像の形式について述べたものでしかなく、どの作品に対しても同じことが言えてしまうからだ。
とはいえ、明らかに直接的な文脈を欠いたイメージの提示に対して実質的な意味を充填するのもそれはそれで個人的に記号を解釈する営みでしかないから、映画そのものというよりは個々の関心を語ることに帰着されてしまう。それはそれでかなり面白いことではあり、実際、俺も『イレイザーヘッド』のシーンのいくつかには「とてもよくわかる」という感想を持つし、そういうシーンは叙述的なストーリーが優れた映画のシーンよりも印象に残ることが少なくない。
そんなわけで、この手の映画に対して俺が持つ「イメージの表層的な快楽ってこれとして提示されるものではなくて、漸進的に横滑りして示唆されるだけだよね」みたいな感じをタイトルがはっきり指摘していたのにはグッと来た。ちなみに内容は別に全然面白くなかったし記憶にも残らないと思う。