LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

24/7/21 2024年5・6月消費コンテンツ

メディア別リスト

漫画(19冊)

バトゥーキ(全18巻)
暗号学園のいろは 7

映画(2本)

ジョジョ・ラビット
台風クラブ

書籍(3冊)

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials
ウェブ最適化ではじめる機械学習
岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

ゲーム(1本)

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials

消費して良かったコンテンツ

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
暗号学園のいろは 7
バトゥーキ(全18巻)
ウェブ最適化ではじめる機械学習

消費して損はなかったコンテンツ

岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

ジョジョ・ラビット
台風クラブ

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

(特になし)

ピックアップ

ドラッグオンドラグーン 公式設定資料集 The Materials

中野まんだらけで購入。
この設定資料集が単独でめちゃめちゃ良かったわけでもないが、中学時代から持ち越してきたエモいストーリーがあるので人生としては重要なイベントだった。
DODについてはお題箱で語ったやつを参照。
saize-lw.hatenablog.com


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

約1年半の無職期間で270時間近くプレイして遂に終わった。
本当は無職のうちにもっと色々なゲームを遊ぼうと思っていたのだが、ティアキンのボリュームがありすぎて結局これしかプレイできなかった(ハースストーンなどに回していた時間を他のゲームに回すべきだったという説はある)。

270時間以上プレイ
全土を駆けた

だからというわけでもないが「ボリュームがありすぎる 加減しろ馬鹿」という気持ちが強くある。これはオタクがあえてネガティブな表現で褒めるやつではなく、本当にもっと少ないボリュームで良かったと思っている。「ハマりすぎて気付いたら270時間やっちゃってた」という感じでもなく中盤からは意地と惰性でプレイしていた。100時間くらいで終わってくれた方が嬉しかった。

とはいえ前提として明らかに傑作ではあるのでまず優れていたところを書くと、三次元的に作り込まれた地形によってゲームサイクルを回す手腕は本当に凄かった。
つまり「今これをやる→次はあれをやる→その次はあれを→……」というプレイ目標の連鎖が無名の土地を移動しているだけで自動発生するようになっている。高低差のある世界を適当に探索しているうちに山の影や遠い地平から行きたい場所や気になるランドマークがいくつも現れて、ピンを立てて実際に行くという繰り返しだけで広大な全土を回れてしまう(逆に凡庸なオープンワールドゲームでは地形を作り込めない代わりにクエストや拠点の目印をプレイヤーを動かす原動力にするため、最終的には世界を見ずに目印の間を移動するだけの作業になってしまう問題がある)。
ユーザーから見た地形の振る舞いはめちゃめちゃ広い全土でよく計算されていて、作り手の意志を感じない雑な地域は特にない。むしろコログやミニイベントがいちいち仕込まれていて探索の手間に見合った報酬が抜け目ない。今作から追加された空と地底もシームレスに繋がり、地上から見上げた空島に行きたくなったり、地上の祠を調べるために地下の根を巡ったりする連関もしっかり想定されている。
移動そのものが面白いオープンワールドといえばデスストランディングなどもそうだったが、「世界」を僭称するゲームジャンルが本当に「世界の物理的な作り込み」というレイヤーで発展していく様には目を見張るものがある。これだけ豊潤な世界を作り込めるのは単純に工数投下の賜物ではあって、きっと確信通りにペイしたはずの絶大な売上共々今後のゲームにおけるメルクマールとして輝くのだろう。

補足543:地底は地上に比べれば質的には明らかに手を抜いていたが、代わりに敵の強さやアイテム供給といった量的な部分で差別化されていたので不問に付す(設定的にも「地底が文化的に充実しているのはおかしい」という筋が通る)。

広い世界を旅する基本的なガジェットもよく揃っており、トーレルーフは衝撃的だった。
確かに単純な平面移動ではなく空や地底まで含めた上下の広がりがテーマになっている以上、平面を走るのと同じように上下を自在に移動する手段は欲しい。そうはいっても無条件垂直移動という身も蓋もない手段を入れて探索体験を破綻させていないのは素晴らしい。
一応、正確に言えば、実際のところ、トーレルーフは悪どい使い方をしようとすればいくらでもできる(モドレコなどもそう)。特に祠で顕著だが、本来であれば丁寧に辿ってほしいのであろうポイントをチートじみた動きで突破することはできてしまう。
しかし少なくとも俺はそうしようという気はあまりわかなかった、ただ単にクリアすればいいのではなく想定された遊び方をきちんと発見したいと思ったからだ。それは「こんなに計算尽くで地形を作っているならダンジョンや祠のギミックも然りだろう」という信頼関係が構築されていたからであり、信頼さえあれば多少無理筋なガジェットをプレイヤーに渡してもゲームは破綻しない。

ただその一方、トーレルーフはあくまでも基本移動手段に過ぎない。旅するうちに何百回何千回と使い込んで育てることが面白いタイプのシステムではないのだ。
それは割と簡素な戦闘システムや防具強化要素も同じで、作り込まれた広大な世界での旅に見合うほどにはプレイヤー側の要素が充実していなかったと感じている。移動に伴う戦闘やスキルは広大な世界を探索しているうちにマンネリしてきてしまう。リンクというプレイヤーがハイラルという世界に対して追いついていないのだ。

世界と同じくらい広がりを持つプレイヤー側の目玉要素として投入されていたのがゾナウギアなのはわかる。無限の可能性を持つゾナウギアで無限の可能性を持つ世界を旅してほしいという意図は十分にわかる。
実際、ゾナウギアにはかなりの可能性がある。色々なパーツを組み合わせた面白い作品がSNSにたくさん投稿されているし、気球や車のような典型的な構築物でも平地を素早く走ったりトーレルーフでは届かない上空に移動したりするのには便利だ。
しかしそういう面白さや便利さは局所的なものに留まるのも事実だ。やり込み作品作りは旅に組み込まれるというよりは旅を一時中断して行うものだし、移動用途では単発で使い捨てるお助けアイテムにしかならない。SNS投稿では役に立っても、広大な世界を旅する上では真に役立つもののバリエーションが実はかなり少ないというのがゾナウギアの限界だった。
広大な世界を旅する上で俺が本当に欲しかったものは「旅のお供」だった。つまり俺がゾナウギアに対して本当に求めていたのは「色々なゾナウギアマシンに乗って快適に旅をする」という体験だった。そういう意味で、ゾナウギアは長い目線での旅のお供としては便利でも面白くもなかった。
ゲームサイクルを担保する高低差がそこら中に存在する割にはゾナウギア製の移動マシンは段差移動には弱くなりがちだ。かといってギミックを仕込めばサイズ的にも運用的にも小回りが利かなくなる。乗り込む際にはリンクが操縦桿まで移動する手間もかかり、地面に落ちているアイテムを拾ったり現地の敵と戦ったりする探索をきめ細やかに行うにはいちいち昇降が面倒だ。ありがちな流れとして、ゾナウギアを降りて洞窟を探索して戻ってきたらゾナウギアは消えていて、またブループリントする手間がかかったりする。

補足544:旅のお供として最も適切なゾナウギアマシンはいわゆる「エアロバイク」だが、あれも移動には便利というだけで探索を便利にするものではなかった。探索では地上にあるアイテムをいちいち採集したり敵と戦ったりしたいので、結局逐一乗り降りする手間が気になってきてしまう。

最初に「ボリュームはもっと少ない方が良かった」「中盤からは意地と惰性でプレイしていた」と書いたのはそういうニュアンスで、世界のバリエーションに対して旅のバリエーションが追い付いていない。

補足545:UI・UXが全体的には優れているだけに非常に気になったポイントがいくつかある。が、これらはあまり本質的な瑕疵ではないし、別にこれらをもってゲームを批判するつもりもないので補足に回す。
・「アイテム入手」と「賢者への指示」に同じボタンが割り当てられているせいで、アイテムを拾いたいときによく賢者が暴発する。ボタン割り当てがシビアなのはわかるが、この二つは余裕のない戦闘周りで同時発生しがちなので分けてほしかった。
・馬を呼ぶ口笛ボタンを削除するか不便な位置に移し、代わりに賢者への指示ボタンを作るのがいいと思った。リンクの移動手段と言えば馬というイメージを大切にしたいのはわかるが、現実問題としてゾナウギアがあり上下移動も多い今作では馬の相対的な需要が著しく下がっている。
・武器の所持可能数が増えてくると切り替え時に一列のリストから選ぶのが面倒。どうせ武器リスト展開中は矢印ボタンの上下を余らせているのだから、リストは二次元平面に展開するUIの方がよかったと思う。
・温泉とか根での段階ハート回復が遅すぎるのでもっと早くしてほしい。「徐々に傷が癒えていく」という演出であることは理解するが、ユーザーはどうせ全回復するまでじっと待つのだから何もできない待機時間が増える損失が大きい。
・「盾サーフィン中に盾の耐久値が尽きたとき」と「空中射出で弓矢の耐久値が尽きたとき」にリンクがダウン状態になる意味がわからない。盾や弓矢を壊れるまで使うのは適切なプレイのはずなのに、どうしてユーザーにペナルティを与えるのか? 盾や弓矢の耐久値を使い切る前に捨てるテクニックは求められていないはずだ。剣は耐久値が尽きた瞬間に攻撃力が倍化する超気持ちいいギミックがあるだけに、盾と弓矢では逆にペナルティが生じるのは一貫性もなく理解に苦しむ。

 

ウェブ最適化ではじめる機械学習

良著。タイトル通りウェブ最適化というテーマを切り口にした機械学習本だが、より具体的にはサイトのユーザーに対して提示した何かがリアルタイムに評価される状況でベストなパラメタを動的にアジャストしていく話、より数理的には解空間の部分集合に対して有限回の評価が届くときに解空間全体の評価を推定する話だ。

そういう問題系の大枠で色々なバリエーションが紹介されている。解空間が二値だけならベルヌーイ分布のベイズ推定すればいいし、多次元の二値ならバンディッド系アルゴリズムを使えばいいし、もっと一般に連続実数空間ならガウス過程を扱えばよろしい、というようにそれぞれのやり方がある。

数理的にはやや各論的なテーマに一本芯を通そうとするならば、キーワードは「試行回数に起因するばらつきの大きさ」になるだろう。
「2回コイントスして1回だけ表だったとき」と「100回コイントスして50回が表だったとき」を比べると、期待値はどちらも二分の一っぽいが、後者の方が多く試みている分だけ自信をもって断言できそうだ。一般に連続的な解空間に対するガウス過程を用いた推定でも言っていることは全く同じで、要するに「似たような試行が多く繰り返されたところではばらつきが小さくなりますよ」ということがカーネルなどを用いて表現されているだけだ。

7章あたりから一気にギアが上がってくる感じはなくもないが、記述自体は丁寧で誰でも平易に読める難易度。ところどころで面白アイコンを生成したり色空間を探索したりして読者が飽きないように煌びやかな事例をいくつも紹介しているのも好印象。

因果推論 基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ

良著。因果推論全体の地図を作る本で、フローチャートや図解を豊富に用いてよく情報が整理されている。色々知ったあとに交通整理してもいいし、色々知る前にざっとさらってもいい。手法が色々あるけど結局いつどれを使うんだよ、とか、結局未観測の交絡因子がある場合に使える手法はどれなんだよ、という疑問がクリアできる(手法選択フローチャートは特によくできている)。
個人的には傾向スコアや重回帰などの基礎的な手法は既知だったが、それらについても使いどころや弱点を整理できたし、機械学習との融合・感度分析・時系列解析・因果探索などについては具体的な手法までは踏み込んで知らなかったので勉強になった。

とはいえトピックが多いのでやや駆け足気味ではあり、目的に対して手法やパッケージの名前を挙げるだけに留まっていたり、難解な立証はスキップしていたりするところも多い。だから一冊で完結できるわけではないにせよ、トピック量の割には相対的にコンパクトとも言い換えてもいい。
一応、トピックが散らばっているせいか説明があまり合目的的ではなく散発的な言葉を並べただけのように感じる箇所も少数あり、そういう意味でも他の本でフォローする必要はありそうだ。

岩波データサイエンス Vol.3 [特集=因果推論]

比較的入門的な因果推論のトピックについてオムニバス形式で書いてある本。色々な事例への応用や地に足のついた傾向などを知ることができる。「実際操作変数法ってムズすぎるし理想を求めたら結局RCTじゃない?」という現場の声が聞こえたりするのは良かった。
平易で色々読めるがその分体系性には欠けていて、理論は別の本に丸投げしていることも多い。これで学ぶというよりは他の本で抑えた話の復習とか別の角度からの理解を試みるとよい。実は謎に収録されている円城塔の短編が一番面白かった。

補足546:『文字禍』は文学部で読んだとき正直意味不明だったので、思いもよらないところでちゃんと面白いやつが読めて良かった。
  

ジョジョ・ラビット

ギリギリ面白かった。
ナチ信者の少年がナチ離れするという既定路線のストーリーについて語ることはあまりなく、もっと細かいシーンの味が面白いタイプの映画ではある。イマジナリーフレンドのヒトラーとのやり取りだったり、ママとの会話だったり、キャプテンKの振る舞いだったり、そういうシンプルに面白いだけの細部をそれぞれ説明するのも野暮なのでその辺は気になるなら見て頂きたい。
特にウケたのは「恋をすると胸の奥で蝶が羽ばたく」(うろ覚え)みたいな台詞のあとで主人公の胸のあたりで実際に蝶が羽ばたくエフェクトが出るやつ。確かに恋をしたことがめちゃめちゃわかりやすいが、物語上でも重要な転換点がそのインスタントの極みみたいな演出で本当にいいのか?

台風クラブ

ギリギリ面白くなかった。思ったよりも寺山修司っぽく、邦画ってこういうサブカル古典邦画界隈みたいなものがあることを感じる。
中学生の無軌道カオスぶりと大人への不信感をよく描けてはいるとは思うし、やりたいことは一定わかるが、高度にコンセプト重視の映画で俺には刺さらなかったのであまり言うことがない。

バトゥーキ

saize-lw.hatenablog.com面白かったので単独記事を書いた。結局一里が絶対勝っちゃうタイプの主人公だからあんまバトルのワクワク感がなくて、純悟と鉄馬が共闘するボーリング場でのバトルが一番面白かったという説もある。

暗号学園のいろは 7

saize-lw.hatenablog.com面白かったので単独記事を書いた。球磨川萌えverこと匿名希望さんが強すぎた。