LWのサイゼリヤ

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23/7/30 『席には限りがございます! (にはりが)』大反省会(1/2) アンケート集計・キャラ振り返り

にはりがオンライン読者会

www.alphapolis.co.jp

自作長編ラノベ『席には限りがございます! (にはりが)』のオンライン読者会を23/7/23に行いました。貴重な日曜日の夜に20人くらい御参加頂きありがとうございました。参加者レポ↓

note.com

この読者会はPDCAのCです。つまり、テストは解きっぱなしではなく採点しなければならず、ゲーム運営施策は打ちっぱなしではなくKPI分析しなければならず、デッキは組みっぱなしではなく対戦しなければならないのと同じように、ラノベも書きっぱなしではなくユーザーの意見を聞いてチェックを行う目的でした。また、ありがたいことに同目的で本編に付けておいた読者アンケートも35人分とけっこうな分量が集まっており、そちらも御回答頂きありがとうございました。

この記事ではオンライン読者会と読者アンケートのフィードバックを踏まえて、良かった点や悪かった点を検討します。僕の好き嫌いや苦労の話ではなく、作品としての意図や改善点についてです。内容が多岐に渡っており分量が多いので、この記事ではアンケート集計とキャラの振り返りをやって、エピソード振り返り・全体総括・FAQあたりは次回に回しました(→)。ありがたいことに文学専攻修士号持ちのブロッコリーマンが編集に協力してくれるとのことなので、おいおい改稿作業もやる予定です。

ネタバレを無限に含むのでこの記事は出来れば本編を読んでから読んだ方がいいです(でも反省会を読んで興味を持ってから読んでくれてもいいと言えばいい!)。

ネタバレ注意AA

 

アンケート集計

読者アンケートの集計です(n=35)。最初に言っておくと、全体的に問題なさすぎて特に深く検討することがありませんでした(良いことです)。

 

Q1. にはりがは面白かったですか?

面白かった寄りの人が97%で良かったです。基本的に全部読み終わった人しかアンケートに答えないのでポジティブ側に上振れる傾向はあるにせよ、前作『ゲーマゲ』では「面白かった」は60%少しくらいでした。

 

Q2. あなたはバトルロイヤル系の作品にどのくらい親しみがありますか?

「にはりがを面白く感じたか」と「バトルロイヤル系の作品に親しみがあるか」に相関があるか調べたかったのですが、前者が面白かったという回答に強く偏っていたので目に見える相関は特に無さそうでした。
好きなバトルロイヤル作品についても聞いてみたところ、Fate仮面ライダー龍騎魔法少女育成計画あたりに複数回答がありました。

 

Q3. あなたは『魔法少女育成計画』を読んだり見たりしたことがありますか? また、『魔法少女育成計画』を読んだり見たりしたことがある場合、『にはりが』と比較して思うことがあれば教えてください。

以下の解説記事で書いた通り『にはりが』は『魔法少女育成計画』の精神的二次創作作品なので、そちらを既に読んだ方がどう感じたかを知りたかった旨の質問です。

saize-lw.hatenablog.com

25.7%の方が『魔法少女育成計画』を履修しており、回答は以下のような感じでした(一部抜粋)。最も危惧していた「もろに似ていてパクリだと思った」という感想は特になく、「気付かなかった」か「気付いたが、独自性があるために気にならなかった」のいずれかで問題なさそうでした。

・フォロワー作品で、設定等に似ている点があると思った。その上で独自性を確保している点が良いと思った。
・「黒幕による理不尽なルール変更やどんでん返しがない」という独自性が良かった。『魔法少女育成計画』ではアイテムやらマスターやら未知の要素がどんどん追加されていくのに対して、『にはりが』は最初に提示されたルールが全てなので、展開に納得感があった。
言われるまでは気づかなかった。ルールの裏をかくような面白さや物語のスピード感は似ていると感じます。
フォロワー作品だとは明確に思った。独自性はあった。キャラクターは意識的に第一作に寄せてると思った。スピード感とキャラクター処理がまほいくを上回っていると感じた。反面都留泰作が言う『世界観エンタメ』のような側面ではまほいくの方が強いと感じる。
・本人が公言している「勝者の枠が複数人である点」はフォロワーっぽさを感じました。後は小百合のアウトロー感がある変化はエピローグのスノーホワイトっぽかったです。相違点としては「まほいく」と違ってバトロワ中は今の日常をキャラが捨てるつもりだったことでほぼバトロワの描写に注力されていた部分は独自性を感じました

 

Q4. 本文を読んでいるときにキャラクター紹介シートが役に立ったかどうかについて、あなたの経験と最も近いものを教えてください。

バトルロイヤルものにつきキャラクター数が多いため、キャラを一目で確認できる方法を提供することで認知負荷を下げる目的でキャラクター紹介シート(↓これ)を設置しました。これが意図通りに機能していたか確認したい設問です。

回答は以下の通りです。半数以上の方が読んでいる間の混乱をキャラクター紹介シートで解決しており、意図通りに機能していたことがわかります。

もう少し具体的な印象についても聞いてみたのですが、そちらも全体的にポジティブに寄っており問題なさそうでした。

 

キャラクター大反省会

ライトノベルは長大なキャラクター紹介文なのでここが本命です。

キャラクターについてはアンケートで「ポジティブな印象のキャラ」「ネガティブな印象のキャラ」をそれぞれ3位まで理由付きで回答をお願いしました。よって一人あたり最大6票分まで回答でき、空票を含む票数は35×6=210票です(必須回答は1位キャラのみ)。

スコアポジティブをプラスネガティブをマイナスとして順位を加重集計して算出しています(傾斜は1位が1.2点、2位が1.1点、3位が1点)。感想はアンケートに記入されたものをいくつか掲載しました。長いものは適宜文意を損ねない範囲で裁断しています。

 

人気15位 涼

スコア

2.1 - 7.8 = -5.7点

ポジティブ感想

・虚実合わせて積極的に折衝する姿勢がストーリーに起伏を与えていて見てて面白かった。
・良い感じに戦況を引っ搔き回してくれて面白い立ち回りをしてくれた。

ネガティブ感想

空回りしていた印象が強いです。
小物っぽい。
・裏切り等のダーティな役回りを作中1人で担ってたためちょっと印象が悪かったです。
・相方の穏乃は実はあれで結構よい所が有ったのですが、涼には最後まであまり良かったところがありませんでした

所感

・随一の交渉役として振る舞う姿勢を評価する感想がある一方、小物っぽくて空回りしているというネガティブ票の方が目立つ。
・キルレでは龍魅を殺したり灯を自殺に追い込んだりとそこそこ健闘しているのだが、黒幕っぽいキャラの割には格上の撫子と姫裏に連続でボコられており相手が悪かった。
・基本的に全キャラ頭が良いので涼が突出して賢いわけでもなく、頭脳派というよりは交渉人という印象になっていそうだった。

総評

構成的に改善の余地がある。素朴に恋人のために頑張っていたキャラではあるが、涼が死亡するまでに読者から穏乃への印象が薄いので涼にも感情移入しにくく空回りして見えた可能性が高い。カップルとしての結びつきをもっと強めに示してもよかった。
小物っぽいこと自体は許容。それがヘイトを集めているわけではないし、実際、他の強キャラに比べれば相対的に小物ではある。そういうキャラがいるのは問題ない。

 

人気14位 龍魅

スコア

2.3 - 7.7 = -5.4点

ポジティブ感想

・最強ではないよな~っていう能力でありながら、本人が戦闘経験豊富で強いところが格好良かったです!
小百合に与えた影響が大きいこと、初の死者だから※月夜はチュートリアル的なので除外

ネガティブ感想

・暴力的な環境に既に適応している、小百合の兄貴分的なキャラとして違和感は無かったのですが、美少女キャラには不一致に感じるキャラ付けと、転生の理由の曖昧さ?が受け入れづらかったです。脳内で男性キャラに置き換えて読んでしまいました。
謎の方言が気になって手が止まってしまうし、方言萌えも感じなかったので。
・行動原理が良くわからなかったです

所感

・積極的に嫌われているわけではないが、強く好かれる要素が薄い割には方言台詞の読みにくさや美少女らしくなさのマイナス点で差し引きネガティブが多くなっている。
・龍魅に限ったことでもないが、全体的に男性的なキャラの人気がなく美少女ラノベの割を食っていそう。
・小百合との絡み自体は凸凹異文化交流としてけっこう人気があるが、わざわざサブキャラを投入した過去回想話は「よくわからなかった」という声が多い。

総評

造形と描写に改善の余地がある。方言を含めた言い回しを含めてコミュニケーションが得意ではないキャラであることがそのまま魅力の感じにくさに直結している。特に言葉少なに語った回想エピソードについては誰にも趣旨が伝わっておらず、キャラの掘り下げに失敗している(俺が悪いです)。粗暴なアウトローという骨格を損なわない範囲で、特に小百合に対してもう少しわかりやすいムーブや話をした方がよかった。
また、戦闘要員の割にはガッツリ戦う前に死亡したため、荒場に強いという魅力が見えにくかったかもしれない。とはいえ、いかにもメイン戦闘がありそうなキャラがあっさり死ぬところで意外な展開を作りたかったというのもあり難しいところ。

 

人気13位 月夜

スコア

3.5 - 6.9 = -3.4点

ポジティブ感想

・平凡が一番。
・根が善良で素直そうな性格であったこと

ネガティブ感想

・嫌いというかむしろ好きなキャラではあるのですが、データシートの”幸運の種を撒く”などが回収されず本当に死んでしまっていたのが残念でした。能力を偽っているものとずっと思っていました。
早々に退場したため特に印象がない。
・能力を使うほど強気ではない、でもトラックで自決してる、だが能力はオーバースペック、と一番キャラ造形に無理を感じたキャラ。やられるために出てきてやられた、という感触。総じて舞台装置感が拭えず、能力をもう少しマイルドにして、蘇生対象にして暴れさせるくらいあっても良かった気がする。
・キャラシート見た時点から「コイツ絶対開幕に不意打ちで死ぬだろうな、でももしかしたらこの能力があるから花梨の能力が活きる余地があるのかな」って考えてたら開幕に不意打ちで死んだので、こういう最強っぽいキャラが生き延びちゃってどうする的な展開も期待していたのかも。

所感

・嫌われているわけではなく、むしろ逆で嫌われていないので退場の早さを惜しむ声が多い。とはいえ、バトロワ最初の犠牲者は意外な人が死なないといけないのでやむを得ない。
・逆にあの短い登場期間でポジティブ票をもぎ取っているのが偉く、良心的な厨二病キャラの固定需要を感じる。

総評

問題なし。早すぎる退場を惜しむ声が多いが、キャラ運用としては意図通り。バトロワ最初の犠牲者が死んでも誰も気にしないようなキャラでは仕方がない。もっと活躍が見たかったキャラが死ぬくらいが望ましい。

 

人気12位 ZZZ(女神)

スコア

0 - 3.2 = -3.2点

ポジティブ感想

(特になし)

ネガティブ感想

・天使の人と一本化しても良かったのではという気もします
・存在意義がわからない。フォーマット上必要だったレベルに感じる。

所感

・なろう系を揶揄する長文演説は異様に人気が高い。
・ズィートロンという謎の厨二ネームも人気。

総評

問題なし。舞台装置感があるのは意図通り。この作品の本命はバトロワであり、異世界転移部分で無駄な認知負荷をかけたくなかったので、あえてテンプレートなキャラに留めている。
むしろ序盤の演説が妙に人気なのは望外の活躍。バトロワはどうしても開始までに全キャラの顔見せやルールセッティングなどの義務作業が必要なために序盤が退屈になりがちで、その早い段階で爪痕を残すムーブをしているのは偉い。
一応全ての元凶ではあるので物語の最後に登場させるかどうか少し悩んだが、ZZZの再登場を望む声は特に無いので登場させないで正解だった。

 

人気11位 切華

スコア

4.3 - 6.8 = -2.5点

ポジティブ感想

・戦いを欲し、戦いの中で成長してゆく、というキャラクターはやはり読んでいて気持ちが良い。
生き様がかっこいいので。能力もかっこいい。特に霙との戦闘シーンは震えました。
・櫻家チームはどちらも求道者であり、その道に対して真っ直ぐなので応援できる。

ネガティブ感想

・ゲーマゲの彼方と同じで、無邪気な邪悪だし、剣道競技勢として一流の思考じゃなくない?と疑問に思うところがある。道徳観もツギハギな印象。高校生なりに頑張っているとは思うけど、自分の子供加減をあまり自覚してない
・かなり中心人物だった割にイマイチキャラ立ちしていない印象を受ける。良くも悪くも戦闘要員
戦闘狂という個性しかなく余り面白味が感じられなかった
・どうしてもストーリー中に撫子>切華の構図が抜けず、手下のように見えてしまったことが残念だなぁと感じた。

所感

・武闘派らしくかっこよく戦っていたという評価と、単なる戦闘要員で面白くないという評価に分かれる。純粋武闘派というキャラを立てるために交渉パートを相方の撫子に譲っているのは意図通りではある。
・不意打ちによる殺害や動物大量虐殺などのヘイトを稼ぎやすいキャラ人気的に危険なムーブをいくつもやっているが、そこを嫌う声がほとんど無かったのは良かった。俺もヘイト管理が上手くなってきた。
・視野の狭さが気になるとネガティブ寄りに評価した人から「まだ十代という幼さを加味すれば許容できる」という声もあった。

総評

問題なくはないが、この手のキャラの限界。「異常な上昇志向を持つ武闘派」というキャラコンセプトの範囲で概ね最善は尽くしたというか、欠点をオミットしようとするとコンセプトごと大きく崩れるので改善の余地があまりない。
もともと前作の『ゲーマゲ』の主人公である彼方も「異常な上昇志向を持つ武闘派」というコンセプトだったが、上昇志向が強すぎるあまり誰彼構わず虐殺する露悪的なキャラでワースト人気だったので、ヘイトを集めないようにリメイクして生まれたキャラ。彼方が大量に浴びていた「不愉快」という声はないので最低ラインは達成したものとする。ただ「彼方から露悪的な要素を除去した結果、不快感が無くなった代わりに割とよくいるキャラに落ち着いた」という声もあり、それはその通りだと思う。

 

人気10位 霙

スコア

1.1 - 2.1 = -1点

ポジティブ感想

・「えっ、何で殺す側?」のセリフが端的にキャラの格が感じられるカッコ良さがあったので好きです。

ネガティブ感想

・灯に保護される子供、切華の敵手、という物語のパーツとしての2点以外の印象が何もないので、何故動物なのかなどに紙幅を割いてキャラ立てさせても良かったのではないかと思う。実質的に出番がほぼエンディング部分のみのようなものである霰はそのエンディングでキャラが立ったのと比べ、パーツとして以外の記憶が霙には残らなかった。
・他のキャラと比べて印象が薄かったです…!

所感

・作中で出番が少なかったことに加えて、神庭姉妹の人気は最後まで生存した霰に吸われたためにアンケート上でも影が薄い。
・双子がセット扱いではなくけっこう違うムーブをして命運も分かれたのが意外で面白かったという声があった。
・霙も切華もそれほど人気の高いキャラではない割には霙vs切華戦は人気が高い。

総評

描写に改善の余地がある。「先天的な捕食者側」というキャラクターは霙だけの個性として設定した部分で、それが発現するvs切華戦は人気が高い。そこのポテンシャルをもっと描く、例えば切華に対応して霙側にもフラストレーションを溜めているようなエピソードがあれば決闘シーンももっと劇的に見えたのではないか。

 

人気9位 AA(天使)

スコア

0 - 0 = 0点

ポジティブ感想

(特になし)

ネガティブ感想

(特になし)

所感

・にはりがのマスコットキャラ。
存在論的に他と一線を画した上位存在の銀髪キャラというモチーフが好きなので個人的にはお気に入りのキャラ(極めてマイルドな彼方と言えないこともない)。
・大抵のことは聞けば答えるし頼めば対応してくれる、割と融通の利くゲームマスターなのが面白くていいねと評価する声があった。
・エーエーという名前に少しだけ人気があった。

総評

問題なしバトロワ参加者の人気を食わないように舞台装置に徹させたので、意識されていないのは意図通りではある(出番自体は多いのでここまで空気キャラになるとは思っていなかったが)。当初は何気にエッグマックマフィンを食い始めるなどもう少し個を出すムーブをしていたが、ノイズだと思って削除して正解だった。

 

人気8位 姫裏

スコア

11.3 - 8.1 = 3.2点

ポジティブ感想

人間らしさはかけらもないが、それゆえに生きるために自分の道理を設定してそれに殉じる必要があったのだと本人の人生について想像をかき立てられるキャラ。
ハイパーインフレーショングレシャムみたいな「常に同じルールに従って動くキャラクター」が好きで、そのルールが強固であればあるほどよく、妹を初手で見捨てたことによる意志の強度とそこに至るロジックの納得度とおもしろ度が優れていた。
ジョーカーポジションのキャラが動くとやはり面白いです
明らかな強者として描かれており、非常にわくわくしました。一見戦闘向きでない能力で無双する展開が良かったです。まかされました(決め台詞?)も好き。
行動の指針が明確なところがよかったです。元異世界転生者、他者の能力によって召喚された本来の参加者ではないイレギュラー、というポジションもワクワクしました。
・妹思いだけどその行動は不器用なところに愛着がわきました。(妹の成長を感じて異世界転生しちゃうところなど)

ネガティブ感想

・嫌いという程ではないが、行動原理がいまいち共感できなかった
行動原理が理解できない。契約を最優先事項に置いてるキャラクターなんだろうけどそんな人物をイメージしづらいため、行動原理が心で理解できずもやもやするキャラとなる。前作や前々作でも「キャラクター性というより思想を体現したような極端な価値観・行動原理を持つキャラクター」が特徴的な要素であり人を選ぶ要素でもあるな~と思っており、にはりがはその部分がだいぶ軽減されていると感じているが、姫裏のみ「思想を体現した極端な行動原理」を持っているように感じた。
・あまり人間味を感じませんでした。主人公の覚醒イベントのために用意されたギミック感。
・バトルロイヤルという極めて特殊な状況に置かれていたわけでも、倫理観が邪魔になるような環境で成長したわけでもないのに、自分の欲望を満たすために何年も肉親を利用し続けて精神を歪ませた末に捨て去った。その上、所業に対する良心の呵責もそれほど感じていない様子だったから。自分の都合で花梨を依存させたかと思えば、独断で「もう助けは必要ない」と見切りを付けてほっぽり出した挙げ句、起こされた途端に情報アドバンテージをしゃぶり尽くし、ロクな説明も無しに関係解除を突き付けたから。

所感

・超賛否両論キャラ。ポジティブ票数では上位3位に入るが、それを打ち消す大量のネガティブ票が同時に入っている。
・「人間味は皆無」「理解不能な信条に殉ずる異常者」「こいつゲーマゲのキャラだろ」という見解はポジティブネガティブ問わず共通しており、それをラノベチックで魅力的なキャラと感じるか、共感できない意味不明キャラと感じるかどうかで評価が割れている。
・バトルシーンの人気が非常に高い。一人だけ戦闘向きではない特殊なチート能力を持っているために素のスペックだけで他のチート能力持ちを圧倒し、展開が読めない名勝負を生みやすい。
・穏乃を見逃すシーンは人間味ある温かいムーブのつもりだったが、戦局の有利不利よりも謎の信条を優先する異常者ムーブと解釈されていた。
・灯を好きになるシーンも人間味ある温かいムーブのつもりだったが、人への好意すらも謎の信条で制御する異常者ムーブと解釈されていた。

総評

概ね問題なし。賛否両論ではあるが、大量の賛が集まったことを重く見る。こういうキャラが一人はいてもよく、万人に理解可能な形に修正するとキャラの根本が崩れるので改善の余地もほぼない。ただ、灯に好意を抱いたシーンだけは重要な割には唐突すぎるという声が非常に多かったので、姫裏が持つロジックを強めに提示する方向で改善する余地がある。
また、意図としてはあくまでも普通に強くてかっこいいジョーカーキャラの想定だったので、無意識に異常者を登場させてしまったことには個人的に反省した方がいい。思想の強いキャラの扱いもだいぶ慣れてきたと思っていたが、油断すると出てきてしまう。

 

人気7位 花梨

スコア

7.9 - 4.6 = 3.3点

ポジティブ感想

等身大の人っぽい。
友達思いのいい子なので好きです。ちょいちょい口が悪くなるところも好きです。
言動が萌えでした
・花梨が姉に抱いている感情も年相応なものとして理解できるから。
終盤立ち直ってからが好きです。
・ちょっとラフで元気な感じがキュート

ネガティブ感想

・凹んで電池切れになっている時間が長い。姉の蘇生というモチベーションが消えた以上仕方ないとは思うが、読者としては素直に「シャキっとしろ、物語を動かせ」とヤキモキしてしまう
・嫌い等の印象は無いし好きな方だが、物語のギミックとしての能力ありきな印象が強く、「主人公」としての印象が弱く感じた
・嫌いなわけではありませんが、どうも描写が少なく印象が薄いです。能力はストーリーのキーになっているのですが、それがいまいちキャラクターの魅力につながっていないように思いました。
・メインシナリオの7割をシスターロスで寝込んでいるため活躍が乏しい

所感

・主人公らしく数少ない普通のとても良い子であり、等身大感が好かれている。
・ちょいちょい口が悪いところもけっこう人気がある。
・ネガティブ票でも嫌われているわけではなく、むしろ好きであるが故にもっと活躍してほしかったという声が多い。3日間のバトルロワイヤルでありながら約2日に及ぶ期間を離脱しているため。

総評

問題なし。捻くれていない素朴に良いキャラの主人公は今まで書いたことがなかったのでチャレンジだったが、評判が良くて良かった。
中盤の離脱はかなり早い段階から強い意図で設定したもの。花梨は便宜上の主人公格ではあるが、『にはりが』は花梨の物語ではなくあくまでも全キャラが入り乱れる群像劇であるため、各キャラの露出はなるべく均等に揃えたい。花梨は最序盤と最終盤で美味しいところを二回持っていくため、中盤も活躍すると露出が多すぎる。物足りないということはそれだけ好かれていたということでもある。

 

人気6位 霰

スコア

6.2 - 2.3 = 3.9点

ポジティブ感想

・双子かわいい 霙より霰が好きなのは、最後の場面で欲望と欲望がぶつかったら殺すのもやむなし精神をまた見せてくれたから
・エピローグで異世界転生を生かして、1番ワクワクすることしてたので
覚悟の決まったロリが好きです(妹も同様) エピローグで急にキャラが立ったので笑った
・エピローグでの良くも悪くも参加者達の影響を受けて成長していた
・結局はまともな善人ばかりだった作中、マッドぶりが光った
・譲れない想いを抱えつつ、好いた相手の考えを可能な限り尊重しようとする柔軟さも備えているから

ネガティブ感想

異世界転移後の危険思想の意味合いを知りたい。
・他のキャラと比べて印象が薄かったです…!

所感

・エピローグで狂人需要をブルドーザーしている。
・ポジティブネガティブ問わずエピローグ以外への言及はほぼない。

総評

問題なし。意図通りに評価されている。エピローグは退屈になりがちなので誰かに爪痕を残してほしかったのと、最終生存者には転移の有無を問わず必ず明確な成長を与えているのとで、エピローグで霰のキャラを立てて対応した。本編での影が薄めなことを気にしていたが、エピローグできちんと取り返しているので大丈夫そう。

 

人気5位 穏乃

スコア

9.6 - 4.4 = 5.2点

ポジティブ感想

メンヘラ行動原理にめっちゃ納得したしキャラが可愛いから好き
・彼氏が死んで以降の覚悟のキマり方がかっこいい花梨ちゃんにエールを送るようなポジションも美味しいのではないでしょうか
・メンヘラは苦手なのですが涼が死んだあとに出てきた優先順位の話で好感度爆上げしました。
・考え方が好きです。優先順位を遵守するからこそ上位と下位が衝突しない限り下位を無下にしないし、逆に衝突したら迷いなく切り捨てるという自分ルールに憧れを抱きました。どうせ死ぬなら気分よく死にたいよねという話はたしかにと思いました。態度は無愛想だけれど図書館で涼を待つようになるという行動が増えるのはめちゃくちゃ可愛いですね。「にはりが」のキャラの中で唯一キュンとしました。
・最初ただのヒステリックメンヘラかと思ってたけど意外と冷静でかっこよかったから

ネガティブ感想

・意図・性格が納得しづらい印象を受けた(そういうキャラ付けなのだとは思いますが!)
心中を図る女役とは感じられなかった
・嫉妬深い性格と心中能力のセットは理解ができるが、それと涼の死亡後に復讐を淡々と企てて他勢力と組むのは性格の一貫性に疑問を覚える。本人が優先度を大事にしていることが後々から開示されるが、嫉妬して暴れるのは優先度間違えてるだろ…と思わざるをえない。前半部での描写と後半に違和感を感じた。
世界の閉じてるキャラって魅力に欠けるんだよね。

所感

・序盤は好感度が低めで後半で巻き返すのは意図通り。物語を中盤でダレさせないため、実質的な新キャラを途中で投入するという役回りだった。
・序盤のメンヘラムーブ自体は全く人気ではないが、十分な理由付けを与えたことで遡及的に容認されている。
・姫裏と同じように異常信条に殉ずるタイプのキャラと見せかけて、妹連中のことをちゃんとケアして周囲にポジティブな影響を与えているあたりが評価されている。

総評

概ね問題なし。予想外の人気を取っているキャラで、一番人気が読めなかった(10位くらいのキャラかと思っていた)。同じく強烈な信条に徹するキャラである姫裏との比較は興味深く、穏乃の場合は他キャラに協力的だったりとわりと柔軟で理解できるムーブをしつつ花梨を立ち直らせたあたりが勝因と思われる。正直言って偶然の産物寄りではあるが、このキャラがいけることがわかったのは大きな収穫。
一貫性が見えづらい点や善性の造形について修正してもよいが、短所っぽい描写にも構成的な意図があるキャラなので直したら直したで歪みが出る予感もあり難しそうなところ。

 

人気4位 理李

スコア

8.9 - 3.4 = 5.5点

ポジティブ感想

友人を得たいという等身大な願いを持っていたこと
・根暗で頭回るやつが、友人の為に身の丈に合わない振る舞いしてるの好き。火付け役だったので最初はポジティブな印象ではなかったが、なんだかんだみんな戦いを受け入れる素養があったのでヨシ
・能力に込めた願いと、各キャラクターが結びついてるという本作においても特に、内面と能力の結びつきがドラマチックで、その公開のタイミングも絶妙だったので、ポジティブな印象が強いです。
能力を明かすまでの流れが非常に良かったです。なるほど!って感じでした。
・自分の境遇や考え方と似通っていた為。また、「身体の処理が鈍間だけど頭脳だけは早く動く、直感頼りの天然ではない」キャラクターを描いている作品があまり思い当たらないので珍しい、面白いと感じました。

ネガティブ感想

出番が少なく興味がわかない、現実にいたら愚鈍さに苛立ったと思うから
・キャラクターとしては、11人の中では最も個性と存在感が薄く、あくまで花梨を動かすための装置という感があった。

所感

・チート能力の二重秘匿という唯一無二のムーブで最後のギミックのキーになった点、根暗陰キャながらも友達思いで頑張っていた点の二つが高く評価されている。
・表面的には捻くれた性格のキャラではあるが、実はとても素直に頑張っているキャラであるところが直球に好かれている。花梨と同じくらい良い子。
・花梨と行動を共にしている都合で出番がやや少ないというか偏りがあるが、ネットカフェでのモノローグ担当だったおかげで花梨よりはネガティブな声が少ない。
・最終的に花梨と交換したアクセサリで世界を超える絆で話が終わる緩い百合ENDは評判が良い。
・花梨への一方巨大感情をこじらせてヤバイことになるキャラかと思ったという感想があり、確かにそれめっちゃありそうと思った(何故かその辺は霰が巻き取った)。

総評

問題なし。プロット上での立ち位置がよく、人格的にも好かれる隙のないキャラ。安楽椅子タイプで動かない割には皮肉っぽい口調でベラベラ喋り続けてるのが嫌われないか不安だったが、ズバ抜けて賢いために的を射たことしか言わない点と、友達のために頑張っている点で帳消しにできた。
表面的には捻くれているだけにかなり早い段階で実は普通に友達思いで良い子なんですよ~ということを強調しておいたのは我ながらファインプレーだった。

 

人気3位 灯

スコア

10.2 - 4.5 = 5.7点

ポジティブ感想

・バックグラウンドにもっとも共感でき、散り際が潔かった。
・灯の心理描写には紙幅が多めに割かれていたこともあるが、異世界転生というか自殺を欲する動機として最も現実的な人間としてありうる範囲であったことが一つ。
報われない恋をしてしまうキャラに目がないので。あと地面に手をついて能力発動するのはかっこいいので。
・背景の掘り下げと行動に納得感があった
・理想のために妥協できない不器用な感じが好きだから
ロリコンなところ
・大人としての経験と知識をフル活用する手際の良さ。自分の気持ちに折り合いをつけられない不器用さ。自分の異常性と向き合い続ける誠実さ。成長して興味がなくなった子と縁を切る不誠実さ。一見すると相反する要素が、相互作用し合って魅力的な造形になっているから。
・個人的に一番キャラが立っていたと思います。作中での彼女の振る舞い自体は肯定しづらいものですが、自分の醜い部分を自覚し苦悩しながら結末を選択する姿はとても印象的でした。

ネガティブ感想

少女愛を目的に異世界転生したのにそれを嫌って自殺したのが気に入らない。やってみなきゃわからなかった矛盾なのだろうけども、それでも自殺するほどではなかったのでは?と感じる。
・思い悩みすぎてるのがあまり共感できなかった、姫裏や霰から愛された理由があまりよくわからなかったから。
・特殊な嗜好(性的かはともかくとして)を持っていて、矛盾を感じた末に自殺するのは、理屈としては理解できるが心情的に理解しがたい。もう少し内面描写をキチンと紙面を取ってほしかったというか、少女に頼られていることが光悦ならその欲情を書いてくれないと「結局少女を囲って何がしたかったの?」と肩透かしを喰らった。欲という湿っぽい理由にするならもっと非合理、非論理な思考を挟んでもいいと思う。
・キャラクターの異常な合理性と欲の強さがこの作品の面白さにとって極めて重要であるという前提に立ってこのキャラクターを見ると、最終的にこいつが自分の欲や、異世界転移を考えたこと自体を否定したことは特にこの作品全体のテーマなりなんなりと結びついているようにも見えず、ただなんとなくモヤモヤするだけに終わっている感じがして、姫裏がこいつに入れ込んだ理由もちょっと納得感が弱く、展開の駒感が強く残留した印象。

所感

・にはりが最大の問題児。ここまで根本から意見が割れているのは灯だけ。
・ポジティブ票では「現実的、納得できる、深く共感した」と評される一方、ネガティブ票では「非現実的、理解できない、全く共感できない」と評される。同じく賛否両論ながらもキャラへの見解自体は揃っていた姫裏とは異なり、全く正反対の声がある。
・異常性自体は長めのエピソードによってはっきり開示されているため、意見の軸は共感できたか否かであり、そこがたぶん読者自身に小児性愛的な葛藤の経験が有るかないかで真っ二つに割れた印象を受ける(邪推)。
・性癖に共感しないとしても、最終的にきっちり自分で自分の幕を下ろしているためにヘイトを稼がなかったのはあるかもしれない。普通に頑張って普通に報われていたらもっとネガティブ票が入った気がする。

総評

問題しかないが、問題なし。ギャグ要素のない真性の小児性愛者という明らかに一番踏み込んでいるキャラであり、キャラ造形がどうこうというよりは「俺はどの層に向けて何を書きたいのか」「この作品はこういうキャラを許容する層に向けているのか」という大きなコンセプトの話になってくる。
その答えはまだ出ないが、とりあえず先鋭化した読者によって意図通りの共感が多く得られているので良しとする。逮捕歴のある小児性愛者キャラに心からの共感を覚える感想が大量に来るのはさすがに読者層が偏りすぎてないか?と内心思っているが、俺も共感する中の一人であるわけではあって……

 

人気2位 撫子

スコア

14.9 - 4.6 = 10.3点

ポジティブ感想

頼りになるし、中身の成熟した見た目の幼いキャラクターは好み 「自分がバトルロイヤルに参加したら」と仮定したときに、最も同じ方向を向いて共闘できそう
・能力が本人の理解力と観察力に依存しており、撫子が天才子役であったという設定とガッチリ噛み合っていたから。
コピー能力は能力バトルモノの華だと思っているので好きです。 ほかの能力バトルが「能力をどう使って勝つか」「どう対処して勝つか」がポイントになるのに対してコピーが絡むと「どの能力をどう使って勝つか」と選択肢が一段階多くなり、戦闘が予想しづらくなるので好きです。演じることがモチベと能力に繋がっているってのも理解しやすくて良かった。思ったより狂人じゃなかったし。(全員自殺のラインを超えてる時点で狂人ではあるんだけれど)
アラサー子持ち高校生を無理なく両立させている設定、その説得力、能力のデメリットも秀逸。ほどほどにヴィラン(花梨チーム目線)でありながら、ラストに辞退するのも納得する結末なのでこざっぱりまとまってる。
メンタル面での強キャラとしての格があり、何か「こいつは読んでいて嫌なことをしない」という信頼感のようなものがある。
・演技がうますぎて高校に通ってるの頭おかしくて好き。多分生まれる世界を間違えてる。最強。
ぶっ飛んだキャラ設定に見合わず地に足付いた行動をしていた。
素の天才が立ち回りでアドバンテージを取っていくのが痛快でした。

ネガティブ感想

・私はるぅ先生の作品にやたら出てくる「完璧すぎるキャラ」が苦手なのですが、本作では撫子がその筆頭でした。故に、最後に一本取られていたのは痛快だったし、撫子が自身の体に何が起きてるかすぐに気が付けなかったのも意外で、悪い中では印象が良くなりました。
・だいぶ格の高いキャラだったのでラストの罠くらいは看破できそうでやや意外だった

所感

・総合的なスペックの高さに裏打ちされた安定した立ち回りと、選択肢が多く面白くなりやすいコピー能力を持つ王道強キャラとして評価されている。「アラサー子持ちロリ妊婦女子高生」という色物要素はそれ自体で評価されるというよりは魅力を矛盾なく説明する設定として容認されている。
・姫裏と同じく異常にスペックが高く臨機応変に他のキャラを制圧できるジョーカー系のキャラではあるが、素直にゲームに乗って最適行動を取っていたために理解し難いキャラにはならなかった。姫裏と違って異常な行動原理は持っておらず、根本にある芝居へのモチベーションも理解しやすい。
・「病院シーンの時点で妊婦設定が萌え要素として配置されているのは倫理がなさすぎて普通は引くと思う」という指摘があって正論すぎると思った。他に誰も言わないあたり読者層が偏っていることを感じる。

総評

問題なく、良かった。ふつうに俺の性癖を詰め込んだキャラで素のスペックが高い上に能力も強いので流石に優遇しすぎたか?と思っていたが、めちゃめちゃ人気で良かった。
「アラサー子持ちロリ妊婦女子高生」という複雑な色物設定を持っておきながら、全ての設定にきちんと噛み合う能力と展開が矛盾と過不足なく配置できている。魅力として書いた点がはっきり魅力として認識されており、今まで作った中で一番完成度が高い傑作キャラ(自画自賛)。

 

人気1位 小百合

スコア

20.6 - 2.4 = 18.2点

ポジティブ感想

・小百合は一番挫折と成長を素直にやってるキャラクターだから。鬱屈した肉体から自由になりたいという願望はすごく理解できる。
・描写が多く素直に共感できるポイントが多かったです。”サブタイトルの車椅子少女は異世界でドラゴンに乗って飛び回るようです”が切ない。すき。
・バトルロイヤルに巻き込まれた一般人らしい、優しさと甘っちょろさが入り混じっている
・まず、最も共感しやすい考え方をしていたから。次いで、作中で最も精神的な成長を遂げたと思えるキャラクターだから。最後は、初めて殺意を抱いた場面が魅力的だったから。
・ハンデがあることで、同じくハンデがある者の気持ちをより近い位置まで理解できるが、その上でハンデがない状態という自分の理想に近い描写(『身体強化』を解除したシーン)もあり、カタルシスを感じた
・彼女は健康な身体を願ったが、健康な身体の動かし方は願い損ねた。準主人公ポジ。「隣の芝生は青く見えるがその隣の芝生もまた各々の地獄である」的なこの作品に跨る価値観を体現もしてるし、チート能力の願いミスや、そこを踏まえて己の弱さなどと向き合って強くなっていく等、かなり主人公感が合って好きです。
・全体的に負の対人感情が見えにくかったこの作品において、明確に他人を嫌ったり復讐心を抱いたりしていてバランス感があった
もう1人の主人公でしょ

ネガティブ感想

アウトロー気味な変化をするキャラはそんなに好みではないので。後は負けなそうな能力を持つキャラは負けてほしいと思ってしまうため。
・人を殺すこと、見殺しにすることに対するあり・なしの線引きが共感しづらかったです…!

所感

・超人気キャラ。2位の撫子に倍近い差を付けて断トツ人気を誇る。小百合が大好きすぎて2000字以上語ってくれた人がいた(ありがとうございます)。
・あらゆるムーブが主人公すぎるところに全ての人気が集約される。深く共感できるモチベーションを持つ、挫折と成長を繰り返す、葛藤しやすいため精神的な見どころが多いなど、主人公に求められる素養を全て兼ね揃えている。
・最序盤でチンピラを殺さない方が良かったのではないか?とずっと気にしていたが、読者にはあまり気にされていなかった。ヘイト管理が上手く出来ていた。

総評

キャラとしては問題なく、とても良かった。予想外の大人気であり、こういう枠を作れて本当に良かった。美少女コンテンツに一強人気キャラは絶対にいた方がいい。
とはいえ、アンコントローラブルな人気であったことを胸に留めておく必要はある。「話の流れで自然と主人公ムーブになっていた」というのが正直なところで、元のキャラ造形の段階で意図していた動作ではない。俺自身、小百合が主人公ムーブを繰り返していたことはアンケートを読んで初めてちゃんと認識した。
元はと言えば「すぐに人死にが出るとバトルの幅が狭まるので、軽い小競り合いの肉弾戦をこなせるキャラがほしい」という需要があり、「単純な強化系能力を持っていて勝たないが戦えるキャラ」→「身体は強いけど戦闘能力はそんな高くないキャラ」→「下半身不随のお嬢様とかに『身体強化』を持たせると良さそう」みたいな流れで誕生している。「勝たない割にはたくさん戦うからダレないように成長要素を盛り込んだ方がいいな」という意図で挫折と成長が自然に盛り込まれていっただけで、「挫折と成長」というキャラクターコンセプトがあったわけではなかった。
しかし流れとはいえ、話の中でそういうキャラを上手く運用できたのは偉かった。次は自覚的にやれるともっと偉い。

 

EX. 一番人気のキャラは誰だと思いますか?

オンライン読者会の冒頭で、アイスブレイクがてらこんな質問をして回答を集めてみました。

アンケートにおいて、二位に大きな差を付けて圧倒的一位に君臨している大人気キャラが一人います。それが誰だと思うか、つまりあなたが好きなキャラではなく皆が好きそうだと思うキャラを答えてください。

正解は小百合ですが、僕は予想できなかったので他の人は予想できるのかどうか聞いてみたかった感じです。

正解の小百合が最大票を集めてはいますが、1/3と多くはありません。賛否両論キャラである姫裏と灯を上げる人がぼちぼち多く、刺さる人は盲目になるレベルでブッ刺さっていたことが伺えます。実際には人気2位である撫子を挙げる人がいなかったのは色物枠ではあるし一位になる雰囲気のキャラではないからでしょう。

 

エピソード振り返り・全体総括・FAQは後編に続く!

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