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21/2/28 お題箱回:宗教学、鬱、留年etc

 お題箱78

238.2年前の記事ですが、『ゴジラシリーズと新海誠作品の宗教理論分析』を拝読させていただきました。大変面白く、宗教学に興味を抱いたのですが、初心者にお勧めの文献を紹介していただけないでしょうか。

ありがとうございます。これですね。

saize-lw.hatenablog.com

上の記事にも書いた通り、これは宗教学の講義で書いたレポートです。

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僕が宗教学で一番興味深いと思ったのは「宗教の定義とは」「宗教の本質とは」みたいなタイプの議論です。宗教学では学の名を冠する対象が未だにはっきり画定されておらず、論者によって主張はまちまちです。例えば宗教の本質を社会的連帯機能に見る人もいれば、全く逆に内的な神秘体験に求める人もいます。その定義論争にかこつけて様々なバックグラウンドを持つ論者が様々な側面から宗教を論じているイメージで、諸々のロジックを把握して「確かに宗教ってこういうことあるよね」「この論者の思想で言えばあの現象も宗教的かもしれない」みたいに分析ツールとして使っていくのが門外漢としては最も有益な利用法のように思います。

ただ、僕は主に書籍ではなく大学の講義(教授の板書や口頭)で学んだので、初心者にオススメの文献はあまり思い付きません。もちろん『プロ倫』とか『金枝篇』みたいないわゆる基本文献と呼ばれる書籍はありますが、それは研究対象であって入口に手頃な本では全くありません。

宗教学の名著30 (ちくま新書)

宗教学の名著30 (ちくま新書)

 
岩波講座 宗教〈第1巻〉宗教とはなにか

岩波講座 宗教〈第1巻〉宗教とはなにか

  • 作者:鶴岡 賀雄
  • 発売日: 2003/12/12
  • メディア: 単行本
 

もっと良いものがあるかもしれませんが、手堅い本は島薗進『宗教学の名著30』とか岩波講座の『宗教とはなにか』あたりでしょうか。いずれも著名な宗教学者たちが書いており、宗教という概念そのものや定義にかかる問題を大枠で扱っているので問題意識がわかりやすいです。とはいえ、これらは哲学や思想の流れについてある程度は知識がある学部生向けで前提知識の説明が弱いのと、基本が各論で体系化志向が薄いため記憶に残りづらいという問題もあります。まえがきや各章の出だしで雰囲気だけ掴んで、サッと流し読みしたあとは本屋か図書館でもっと軽めの本を探した方がいいような気もします。

また、以下は完全な私見ですが、僕みたいな門外漢が宗教学に触れようとしたときにパッと見は面白そうだけど実際にはあまり面白くない罠的な論が二タイプあるような気がしています。

一つは、各宗教ごとの歴史や設定を辿る資料集みたいなやつです。ナツメ社がよく出してる「図解雑学 キリスト教」みたいな本に載っている内容、例えば旧約聖書新約聖書の違いとか、仏の名前と種類の一覧とか、その手の個別的な知識の収集に終始するような勉強はあまり面白くない気がします(宗教関連の小ネタに詳しいオタクにはなれるかもしれません)。もちろん必要に応じて参照した方が良い内容ではあるものの、それはやむを得ず行うレベリングみたいなもので、そればかりやっても仕方がないという印象です。

もう一つは、オタク文化現象をダイレクトに研究しているものです。ちょっと前に流行った「聖地巡礼ブーム」とか「神様擬人化ブーム」を宗教学的に捉えるみたいなやつは一定数ありますが、「宗教現象に若干似ている」ということを書いているだけであまり踏み込んだ解説をしないという印象です(宗教現象の周縁サンプルとして関心があるだけでオタク論ではないので)。むろんこれは僕の不見識である可能性も十分にあるので、この手の学術的な文献で面白いものを知っている方がいれば教えてほしいです。

 

239.本棚公開して❤️

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本棚自体は部屋に5つあるんですが、どれも列が多い上に分散して置かれていて全部撮影するのは諦めました。
僕は基本的に書籍は買わずに図書館で借りるので、読んだ本も読みたい本も本棚にはなかなか置かれず、そこまで本棚が関心を反映するわけではありません(積読も一切やりません)。本棚に並ぶのは図書館に無くてやむを得ず購入した本とか、人から貰った本とか、例外的に長期に渡って参照する本とか、珍しく新刊で読みたかった本とかです。

 

240.エヴァ新劇って今からでも見る必要ありますか?

僕はエヴァはテレビ放送版と旧劇だけ見ればよいと思うタイプですが、新劇もどうせ一日で見終わる量しかないので見た方がいいと思います。

 

241.その割には殆ど武装錬金に言及してなくないですか…

「その割には」の「その」ってこのツイートですかね?

武装錬金に限らず、僕の中では傑作だけど特に言及したことのない作品は結構あると思いますが、僕は好き嫌いはあまり積極的に発信する方ではないというような気がします。

 

242.薬以外の鬱対策って何かやってますか?

環境を変えることです。
僕は向精神薬がほとんど効かず、結局それしか効果が無かった気がします。主治医と「この薬は効かないすね」「じゃあこっち試してみようか」みたいな感じでかなり頻繁に薬や量を変えて全部で10種類くらいは飲んだ気がするのですが、「これは来た!」みたいな薬は特になかったです。夜とかにマジでヤバくなったときの緊急用に頓服で飲むやつは流石にちょっと効きましたが、中長期的にはピンとくる薬は無かったです(とはいえ薬を飲んでいなければもっとヤバくなっていたというか、悪化させなかったことに薬の効果があったという説はあります)。

症状が回復するのは長期休みとか休学で全ての元凶であるところの大学から離れることだけで、それをすると割とすぐ回復してました(ちなみに一般的には院生には長期休みは無いようですが、僕は「8月と9月は研究しません」と教授に宣言して一人だけ勝手に長期休暇を取っていました)。恐らく僕の問題は鬱病というよりは適応障害であり、適応できない環境が直面した場合に症状が抑うつ状態として発現するというのが真相であるような気はしています。

 

243.人生然り、オタク然り、終着点の見えない作業って不安になりませんか?(もしくはLWさん的には終着点のある作業ですか?)

ならないですね。昔はそういう感じもあったんですけど、最近は今の状態が1000年くらい続いても別にいい心境です。むしろ終わらない方がいいみたいな……

就職したあたりからいよいよ本格的に吹っ切れて、一定の終着点を目指して線形発展していくような人生のイメージから解放された気がします。確かに知識とか筋肉を蓄積することは好きですが、それはその運動が自己目的化しているだけで別に目標のある積み立てではないので、終着点の完璧な状態と比較して達成度を計るようなものでもないです。

 

244.ブログ書いて❤️

245.もっとお題箱消化して❤️

246.もっとブログ書いて❤️

247.もっとお題箱回答して💌

248.そろそろLWさんの記事を摂取したい

他の活動に支障をきたさないようにブログ更新は週一が上限という縛りを設けていますが、下限は特にないのでそれ以上遅れることは有り得ます。ちなみに読者の意向によって投稿ペースが変わることはあまりありません。

 

249.留年で心が壊れそうなんですけど、おすすめの対処法ないですか

逆に留年に心が壊れる要素ありますか?

「留年できなくて心が壊れそうなんですけど」みたいな投稿なら「お気の毒に」とかかける言葉もありますが、そもそも留年することは問題ではないので対処しなくていいです。僕は浪人や留年や休学や退学について「しなければ良かった」と思ったことは一度も無いですし、逆にストレートに歩んでいれば僕の人生はもっと貧相なものになっていたという恐怖があります。何度人生をやり直しても留年したいです。

サブスクの普及で娯楽の費用対効果が急降下するこの御時世に暇を持て余すということもないでしょう。本も映画もタダみたいな値段でいくらでも見られますしもちろん勉強してもいいです。何をしていてもストレートより一年多く経験を積めるわけですから、留年はアドバンテージでしかないです。

ただ、学費や生活費等の金銭的な問題については親に金を出してもらうとか色々クリアできないと厳しいという説はあります。国立大学は最初から年間学費がめちゃ安かったり休学の申請をすれば支払いが免除されたり色々噛み合いますが、そのあたりの事情は人によって千差万別なので何とかしてください。

 

250.LWさんが書くような考察系(分類をうまく言語化できません、すいません)のブログやnoteを読んでいると、高く評価されている記事も含め、大抵が長々と理論を喋り倒したあと、最後に結論を持ってきているように見えます。
これは、ビジネスにおいて優れていると言われるドキュメントとは真逆をいく方式だと思うのですが、界隈ではスタンダードな手法なのでしょうか?
あるいは、前半の感想が私の見当違いでしたら申し訳ありません。

結論と過程のどちらに関心があるかの違いだけだと思います。ビジネスで優れたドキュメントは「結局何を提案・主張するのか」に力点があるので「我々はAプランで進むべきだ!」みたいな結論をドカーンと持ってくるのですが、アニメの感想とかで「サムライ8は思想が古い!」みたいに結論をドカーンと言っても「ほうほう、その心は?」みたいな感じになると思います。結論を先に書いてもいいですが、主な関心があるのはそこではないというだけのように思います。

ちなみに仰っている「界隈」というのがどこを指すのか僕には全然わからず、手法のスタンダードさについても同様です。リンクの貧弱さからも明らかなように僕には所属する界隈もなく単騎でブログを書いているような自己認識です。

 

251.最近は新しいカードゲームが誕生しては速攻で消えていますが、ゲートルーラーは数年単位で生き残れると思いますか?
それからゲートルーラーの感想も聞かせて欲しいです。

252.ゲートルーラーレポ希望。商法や関係者云々ではなく主にゲームデザインの面で。

書きました!

saize-lw.hatenablog.com

ちなみにゲートルーラーに限ったことでもないのですが、お題箱は回答ペースに対して投稿ペースが早すぎて基本数ヶ月前の投稿にようやく答えているような状態なので、回答までに時差があります(お題箱に投稿が来た時点では僕はゲートルーラーの記事を書いていなかったということです)。