お題箱111
ゲーマゲ周りの質問がけっこう来ているのでまとめて答えます。ネタバレを含みます。
『ゲーマゲ』とは僕が書いた長編ラノベのことです↓
解説↓
554.ゲーマゲ。現状だと彼方視点での世界は列をなしてますが,神威とかの視点でも列ですか?
いえ、そうでもないです。
彼方の『終末器(インデックス、現実指標、リアルインデックス)』は創造-被造関係で結ばれた世界を逆流していく能力なので世界群を常に列で認識していますが、神威の『汎将(モダリティ、様相転移、モダリティシフト)』は周辺の可能世界から行先を任意に選択して転移する能力なのでもっと自由度が高いです。ただし終盤で神威が彼方を追跡しているあたりでは神威は彼方を追って最短距離を辿っているので、実質的には彼方とほぼ同じ線状の軌跡で世界を転移しています。
ちなみに『終末器』が生み出す創造-被造関係は他の貫存在から見ても客観的に定まっているのか、それとも彼方が主観的に捏造しているのかは意図的にぼやかしています。ゲーマゲは徹底して彼方視点でしか進まないところが肝なので、客観的な世界の状態を厳密に定めることは避けています。
けっこういます。
基底世界でもDCGはVRゲームの次くらいにe-sports規模が大きい一大ジャンルで、プロゲーマー勢は彼方も趙もツバメも神威も皆ゲーム大好きなので(特に対人ゲーム)、流行ってるタイトルはとりあえず軽く触ります。特に彼方やツバメのような顔が広い面々はカードゲーム界隈のプロゲーマーとも横の繋がりがあります。他のジャンルを全然やらない例外はゲーム自体にあんま興味ない立夏くらいです。
第53話ではジュリエットと彼方がシャドバをやっています。ジュリエットはプロゲーマーではないですが、普通にオタクなのでソシャゲは嗜みとしてかなりやります。
556.個人的に戦いそのものはかなりどうでも良くて(バトルシーンで1話終わる少年漫画が昔から刺さらなかった)バトルに至る過程や群像劇だったりがすきなんだけど、一方でキャラが自分の手をできるだけ伸ばして能力を理解し、かつ手を伸ばしてるので壁だったり痛い目に遭う展開も好きだから、皇白花は全編ぶち刺さりで人生でも上位だけどゲーマゲはエルフ編しか刺さらなかったな
閉塞して自我が揺らぐ感じがいいすめうじはバトル(ゲーム)を楽しむ小説じゃなくてみんなアナーキーだから真反対なゲーマゲまじで合わなかった 反省会するらしいので一応ネガコメだけどまだ来てない意見なので送っときます
557.先日送ったゲーマゲ感想はお題箱回で扱わないで大丈夫なやつです
(※LW注:556の投稿のこと)
これは割とメジャーな感想という認識なので扱います。
彼方が戦うときもそんなに血を吐いて頑張ってないし割とサクッとどうにかなってるというのは自覚があって、僕は「言うて最強キャラの異世界転移無双ってこんな感じでしょ」と思っていたのですが、それは概ね誤りでした。彼方が好きな人も彼方が別軸で頑張っているところが好きなのであって(どうすれば大好きなゲームが出来るのかを一生懸命考えているところ)、彼方が気持ちよく無双しているところが好きな人は観測範囲では僕以外にはいない気がします。
たぶん主人公が努力しない無双ものの場合は「相手が嫌なやつだからボコボコにする」とか「仲間を助けるために力を使う」とか正義のエクスキューズがやはり外部に必要で、何の罪もない人を無双して殺していくキャラは普通に駄目っぽいという知見を得ました。読者アンケ見てもけっこう素朴に人気ありそうな要素が人気あって、それ自体を転倒させた逆張りを試みるよりは意外性のある展開で順張りに収束させるみたいなやり方の方が良いと思われます。
ちなみに今やってる『にはりが』の方は一般人の美少女たちが不意にゲットしたチート能力を一生懸命使っていくタイプの能力バトルなのでよろしくお願いします。
557.こんにちは。ゲーマゲとても面白かったです。詳細な受講済みレポートはのちになんらかのかたちで提出しようと思います。
詳細な受講済みレポートに書けそうな内容とは別に、ごくごく表面的な疑問点・ワンチャン誤字かもしれない点が11点あるので質問させてください(私が表面的な疑問だと思っていることがLWさんからしたら本質的で批評的な疑問であった、ということももちろんありうるので、全問無視してくださっても構いません、言うまでもなく)。
私自身が重箱の隅つっつき野郎だと思われるのは非常に恥ずかしいですが、私なら自分が書いた文章に対する「ここワンチャン誤字?」指摘は欲しいので、ここは黄金律に従って…。
数字は話数です。2 “大会規模を考えればメッキではなく鋳造でもおかしくはない”
ぜんぜん排反じゃなくないですか? 排反じゃないとしてなお意味は完全に通るんですけど。10“自動発送で住んでしまう”
済んでしまう?10 “パッチワークを継ぐ剝ぎ片の一つ”
剝ぎ片というのは端切れみたいなニュアンスでしょうか?25 “トリガーを引くだけでも十キロ近い荷重を必要とするが”
荷重ではなくないですか?31“エルフの世界に足を踏み入れたのは三十分ほどのことだ”
「三十分間エルフの世界に滞在していた(もう出た)」とか「三十分かけてエルフの世界に侵入した」とかではなくて「三十分前にエルフの世界に入った」ということですよね?32“悪走すらしない出来の悪いジオラマ”
悪走というのは造語で、字面をみた感じで理解しておけばいいですか?33“入学者代表で祝辞読んでる”
入学者の挨拶を祝辞って言いますかね? 彼方立夏あたりなら言ってもおかしくはないか。56“去年ビートレーンまで根腐れさせた”
架空の作物とでも思っておけばいいですか?56 “足に履いたブーツには何故か小さな馬車の車輪のようなものがいくつか付いている”
十メートルくらいの高度のバルコニーにいる人の足元が見えたのは、文章表現上の意図したウソの範疇ですか? 彼方のカリスマがすごすぎて描画順が狂ったからですか?58 “何を考えていないのかわからない”
「何も考えていない」ですか?78“二人の前の浮かぶ虹色の終末器が浮かぶ”
わざとですか?
ありがとうございます! 非常に助かります。
現実問題としてこういう誤字脱字誤用の指摘って内容的・設定的・批評的な指摘よりも少ないですし、僕は常に全部一人で書いて一人で読んで一人で投稿していてチェック機構が存在していないのでめちゃめちゃありがたいです。
10“自動発送で住んでしまう”
済んでしまう?
31“エルフの世界に足を踏み入れたのは三十分ほどのことだ”
「三十分間エルフの世界に滞在していた(もう出た)」とか「三十分かけてエルフの世界に侵入した」とかではなくて「三十分前にエルフの世界に入った」ということですよね?
33“入学者代表で祝辞読んでる”
入学者の挨拶を祝辞って言いますかね? 彼方立夏あたりなら言ってもおかしくはないか。
58 “何を考えていないのかわからない”
「何も考えていない」ですか?
78“二人の前の浮かぶ虹色の終末器が浮かぶ”
わざとですか?
基本的には一度投稿したものはなるべく訂正しないようにしているのですが、これらは明確な日本語のミスなので訂正しました。ありがとうございます。
2 “大会規模を考えればメッキではなく鋳造でもおかしくはない”
ぜんぜん排反じゃなくないですか? 排反じゃないとしてなお意味は完全に通るんですけど。
これはトロフィーについての描写ですが、「真鍮に金メッキを貼ったものではなく、金塊を溶かして作った鋳造でもおかしくはない」というつもりで書きました。「やたら金かかってる大会だしトロフィー全体が金塊かもしれなくね?」ということです。わかりにくくてすみません。
かなり適当に書いたんですが試しに金額を計算してみると、彼方ですら「ズシリと重く」って表現してるので多分5kgくらいはあって、金はグラム単価1万円くらいなので加工費抜きでざっくり5000万円くらいです。今ストリートファイターで世界一になると100万ドルくらいは貰えるらしいのでそこまで不自然な額ではなさそうです。
10 “パッチワークを継ぐ剝ぎ片の一つ”
剝ぎ片というのは端切れみたいなニュアンスでしょうか?
「剥ぎ片(はぎへん)」って言葉存在しないんですね。仰る通り端切れみたいなニュアンスですが、確かにパッチワークは剥いだりはしないので若干変な表現でした。
25 “トリガーを引くだけでも十キロ近い荷重を必要とするが”
荷重ではなくないですか?
荷重(かじゅう、英語:load)とは、力学において、物体の2点間に触れるところで発生する力のこと。
と書いてある通り、トリガーと指の接点に生じる力なので荷重と表現しました。ただ力学用語としては正しくても、日常的には荷重と言えば家や車にかかる荷の重さの方が先に来るのであまり適切ではなかったかもしれません。
32“悪走すらしない出来の悪いジオラマ”
悪走というのは造語で、字面をみた感じで理解しておけばいいですか?
僕は存在する単語と思って書いたのですが、確かに調べても一切出てこないので造語ですね。今まで指摘されたことなくて自覚なかったんですけど、実はけっこう造語する方だったのかもしれません。
「悪走すらしない」というのは「暴走すらしない、最もつまらなく平凡」みたいな意味です。何も食べない人に対して「悪食すらしない」、何も書かない人に対して「悪筆すらしない」とか言うみたいな感じですね。
56“去年ビートレーンまで根腐れさせた”
架空の作物とでも思っておけばいいですか?
これは自覚的に架空の作物としました。たぶんビートルートみたいなやつだと思います。
魔法学院編はファンタジー世界なので他にも架空の固有名詞を大量に書きました。
56 “足に履いたブーツには何故か小さな馬車の車輪のようなものがいくつか付いている”
十メートルくらいの高度のバルコニーにいる人の足元が見えたのは、文章表現上の意図したウソの範疇ですか? 彼方のカリスマがすごすぎて描画順が狂ったからですか?
ここは一人称視点ではない地の文なので神の視点が混入してよいという認識です。概ねツグミの視点で書かれてはいますが、完全に彼女の一人称になっているわけではありません(地の文で「私」という主語は使われていない)。
一人称と三人称の間に「誰かの視点に入り込んではいるが三人称視点ではある」という半三人称視点みたいなやつがあるという話を昔文学理論か何かの本で昔読んだ記憶があるのですが、タイトルが出てきません。とはいえ僕は文体とか文法には全然関心なくて適当に書いてるので、別に意識して技巧を使ったわけではないのは間違いありません。
以上です!
冒頭の解説記事に書いた通り、「敗者を慰める正当化の物語」が対応しています。
ニーチェの場合は「右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ」という美徳が、彼方の場合は「勝つより努力することが大切だ」という励ましが弱者の生存戦略であることを看破しています。
559.チーム戦をやるようになった彼方「お前の体はお前だけのものではない。体を休めて次に備えるんだ」
彼方の次のゲームがチーム戦なのは確定なので全然有り得る未来だと思います。実際、最終話は「彼方&神威 vs 患者&ナース」という2on2でした。
彼方は身内にはかなり優しい人間です。プロゲーマーのことは基本的に同志だと思っていますし、自分と同じくらい強い神威のことは大好きですし、有能な仲間だと認めた相手に対しては多少ミスしたところで心配したり労ったりしてくれる懐の深さもあります。チームメイトが①有能であること②勝利を目指していることの二点を満たしている限りはどんな相手とも仲良くやれます。
逆にマズいのは仲間を無能認定した場合です。彼方は完全実力主義者にしてエリーティズムの権化であり、無能だと判断した仲間もどきへの優しさを一欠片も持ち合わせていません。知らないやつなら無視するか憐れむくらいで済みますが、チームにいるとなると多分めちゃめちゃ強く当たって殺してでも追い出そうとするのでそこですごい揉めそうです。
560.向上心のない白花が「世界を超える能力」を持っているのはなぜ? 前作主人公だから?
世界を超える能力を持つ『貫存在』にも色々なタイプがあります。プロゲーマーのように高い向上心から能力を発現する人はその中の一部に過ぎず、一般にはもっと色々な経路があります。『ゲーマゲ』はプロゲーマーの話なのでプロゲーマーマインドの貫存在が多かったですが、貫存在が全てプロゲーマーマインドであるわけではありません。
白花の場合は寄生本能から派生する形で世界を超える能力に到達しています。人に便乗するのが上手すぎてついでに世界も超えられるようになったみたいな感じで、むしろ向上心の無さがトリガーになっています。またプロゲーマーが存在しない世界にいた麗華も特に向上心があるわけではなく、形式的に日常を防衛する魔法少女としての適性によって非日常としての別世界に到達できる能力を発現したみたいな感じです。
561.アルファポリスの仕様でコピペスクショが出来ないので参考リンクを直に開けないです(html読めばいけますが)。タイトルとかあると嬉しいです。
これはアルファポリス内の近況ノートの話ですね。修正しました。
アルファポリスってコピペ防止のために徹底して文字列コピペとスクショを封じているのが非常に不便です。特に毎日更新ツイートをするときに章題もコピーできないのでわざわざ編集画面を開いてコピペというかなり面倒な手順になっています。
個人的にはきちんと引用できることの方が大切ですしやめてほしいと思っていますが、まあ色々揉めた結果として今の形に落ち着いたのでしょう。
562.「死」ってトラセンド?
概ねそうです。
解説記事でも少し触れましたが、ゲーマゲにおいて死とは「死の国(黄泉)」という別世界に送られることです。そして『貫存在(トランセンド)』とは世界を貫く認識を持つ存在者であり、趙やレンラーラのような死に関する能力を持つ貫存在は何らかの形で「死の国(黄泉)」にアクセスすることによってその能力を発現しています。
オマケ
生成AIモデルのテストがてら作ってみた彼方さんです。他に載せる場所もないので……