10年前に積んだラノベの山と向き合う
中高生の頃は貪るように読めるライトノベルだが、成人するあたりから一気に読むのがキツくなることで知られている。
俺もかつて若さに任せてラノベを買いまくったはいいものの、いざ手を付ける前に読むのがキツイ年齢に突入してしまう。それから長きに渡ってシュリンク包装されたままのラノベタワーが部屋の一角を占め続けていた。その占領がどれだけ長かったかと言えば、手つかずのままで大学在学期間がほぼ丸々過ぎ、一度は就職して、それも退職して時間が余ってからようやくその存在を思い出したほどだ。
いい歳をして今更100冊近いラノベを読破するのはフルマラソンにも近い苦行の気配があるが、この無職期間で読まなければもう二度と読むタイミングが訪れないことは確実だ。一念発起した俺は笹の葉ラプソディのように自分の過去と向き合ってラノベタワー崩しへの着手を決めた。
しかしいざ読み始めてみると、思ったよりも遥かにサクサクと読書が進むことに気付く。むしろ手頃なペースで手頃なタスクをやっつけていく感じがかなり気持ちいい。思えば、あまり頭を使わずに読めるラノベほど淡々と読む消化作業に適した小説ジャンルも無い。会社や研究室からの指示がない中で自分で自分の人生の目標を立ててこなしていく必要がある無職期間のリハビリとしてラノベ崩しは最適だったかもしれない。
ラノベを読む時間は1冊あたり30分~2時間くらいだった。作品ごとにページ数というよりは情報密度にかなり差があり、同じ1ページでも薄いラノベなら10秒、濃いラノベなら1分かかる。1日あたりでは休憩も込みで4~5冊程度のペース、のべ半月強ほどで無事に積んでいたラノベを全て読み切ることができた。
補足439:「半月」とは「約15日」のことで『半分の月がのぼる空』のことではない。
読書は新宿御苑に毎日自転車で通ってこなした。朝起きたら今日読むラノベを選んで鞄に詰め込み、自転車で走って新宿御苑に向かい、影になりづらい場所にマットを敷いて読書を開始。昼は近所で果物やサンドイッチを買ってきて食べ、夕方頃に寒くなってきたら図書館に移動して続きを読む。
家の中だと気が散るし健康にも悪いが、無職なので喫茶店に行くのは高い。まだギリギリ暖かい10~11月頃ということもあり、適度に身体を動かして太陽の光を浴びられる模範的な無職の暮らしだったと言えよう。
女性主人公と百合がマイナー性癖だった時代
当時ラノベは無差別に買っていたわけではなく、むしろ内容にはかなりの偏りがある。具体的には「女性主人公もの」を選んで買っていた。百合が最も望ましいがヘテロでも許容、恋愛要素なしでも可。
補足440:崩したラノベタワーの中には男性主人公作品もいくつか含まれていた。それらもとりあえず全部読んだため、計100冊くらいは読んだことになる。
今でこそあの機動戦士ガンダムですらも女性主人公で百合をやる時代だが、当時のラノベ界隈では女性主人公と百合の肩身は非常に狭かった。
一迅社アイリスなど積極的にやってくれるレーベルもあるにはあったが、そもそも根本的に女性主人公や百合とは少女文化の延長線上にあるもので、「男性向けの美少女コンテンツで女性主人公や百合をやる」というポジション取りはかなりのニッチに留まっていた。『よくわかる現代魔法』『蒼穹のカルマ』のようにけっこう伸びた女性主人公作品も数える程度にはあるにせよ、電撃、角川スニーカー、富士見ファンタジアのようなメインストリームにおける花形が圧倒的に男性主人公が女性ヒロインにモテまくるハーレム系作品だったことは疑いようもない(それは今もそうかもしれない)。
とはいえ同好の士はどの時代にもいるもので、SNSが貧弱だった当時は2chが界隈を集約する役割を担っていた。俺も2chに存在する女性主人公ラノベスレや百合ラノベスレで情報収集や発信を行っていたものだ。
今ではとても信じられないが、当時の女性主人公or百合ラノベ系スレには商業的な立場が弱いマイナー性癖に特有のルサンチマンがうっすらと渦巻いていた。「あの作品は元々は女性主人公だったのに編集の意向で男性主人公に変更させられた」「あの新刊は編集の意向で当初予定になかった男女恋愛が押し込まれた」という真偽不明の(たぶんいくつかは本当の)噂という形で男性主人公やヘテロ恋愛への怨嗟と被害妄想がよく囁かれていたのだ。令和においては逆にハーレム勢力から「百合のゴリ推しが鬱陶しい」と疎まれるほど強者のポジションに付いたのは隔世の感がある。
そんな時代だったから、女性主人公や百合だからといってそれを押し出して売り出されるとも限らない。むしろあらすじや表紙だけ見ても主人公の性別が判別できないことは全く珍しくなかった。表紙に描いてある女の子が女性主人公なのかそれとも男性主人公に奉仕するヒロインなのか、女性っぽい名前の主人公は本当に女性なのかそれとも「男性なのに女性っぽい名前」というギャグなのか。疑心暗鬼のスレ住民たちは「女性主人公であることが発覚するとメイン購買層に売れなくなるので可能な限り隠蔽している説」を唱え始める有様で、今と違ってTwitter検索もできない以上は他スレの書き込みも漁る情報戦の様相を呈していた。
補足441:例えば『空に欠けた旋律』では、主人公は駒津えーじ氏によって男性にも女性にも見えるショートカットで中性的な絵柄でデザインされている。一人称も「僕」で女性ヒロインに一目惚れしてドロドロに恋愛するので普通に読めば男性にしか見えないのだが、僕っ娘の女性主人公であることがかなり遅れてしれっと発覚するという謎の叙述トリックがかまされていた。
そしてマイナージャンルにはよくあることだが、頑張れば全部追える程度にしか供給がない上に常に飢餓状態であるために基本的に貪欲だ。ライトノベルの定義には昔から喧々諤々の議論があるが、とりあえず表紙にアニメ風のイラストが描いてある小説であればメディアワークス文庫などの微妙な判定の小説も当然チェックされ(参考:メディアワークスはラノベか問題(2009年)→■)、挙句の果てには表紙イラストがややラノベっぽいレズビアン官能小説まで一応ライトノベル判定されていた。
終わっていた人権感覚
さて、令和の人権感覚は日々素晴らしい速さでアップデートされているが、それは裏を返せば平成の作品というだけで絶望的な人権感覚が散見されるということでもある(かなり最近まで少年漫画では女風呂覗きが定番だったように)。特に基本的に男性に都合の良い世界観を旨とするライトノベル界隈において女性主人公や百合のジェンダー的扱いは非常に適当だったもので、それを象徴するのは「素朴な同性愛忌避」だ。
今では考えられないことだが、当時は「同性愛って気持ち悪いよね、汚いよね、ギャグだよね」というとりあえずの大前提があり、そこから構成されるコメディ描写が頻出していた。リベラルな風潮を逆手に取った露悪的なギャグですらなく、素朴な定番ギャグとして何の疑問もなく発されていた時代があった。
2008年に作成された以下のブログ記事はそんな状況をよくまとめている。
補足442:このブログは15年以上も前から男性向けの女性主人公や百合作品をよく扱っており、当時からよく読ませて頂いていた。他の記事も面白いのでオススメ。
このように、あらゆるエンターテイメントにおいて、ふとしたことに「あんた、ひょっとしてソッチの気もあるんじゃないの~?」と茶々を入れて「違うわ~!」と全力で否定したり、女キャラが「あ~んお姉様~! わたくしの愛を受け取ってくださいまし~!」やら「その胸、ちょっと揉ませてみぃ~♪」と迫られて「うぎゃー! 私にそういう趣味はないわー!」と拒否反応を示したりするやりとりは、お決まりの“ギャグ”として定着している。また、同性愛関連の言葉を「そういう」「アッチの」と腫れ物に触るように言う慣習が存在している。驚くことに『百合』を謳っている作品ですらしらっと使われている。「ただのおふざけじゃん」「こんなねたに まじになっちゃって どうするの」と言われるかもしれないけど……。
今読むと当たり前の問題意識だが、2008年の男性オタク文化の中でこれを指摘したのは本当に本当に凄いことなのだ。2008年の2chでは百合スレですらこの見解は先進的すぎてあまり受け入れられず、「なんかよくわからんが思想が強い人のブログ」として煙たがられている節すらあった。公平のために言っておくと、俺も当時はそれほどは問題だとは思っていなかった(マイノリティ配慮というより、あまりにも多用される割に広がりのない定番ギャグなので見飽きたという理由で冷ややかな目で見ていたが)。
補足443:関連して、人権感覚がプリミティブだった当時は「たまたま好きになった相手が同性なのか、それとも性嗜好が同性愛者なのか(百合かレズか論争)」「女性を好きな女性を描くにあたって何らかのファンタジー的要素によって男性要素を挿入する必要はあるか(男性要素論争)」といった議論もよく行われていたが、素朴に多様性が承認される令和になってからめっきり聞かなくなったような気がする。
また、「百合キャラと言えば変態キャラ」だった時代も長い。当時の人権感覚では女性が好きな女性という造形はかなりヘビーな特殊性として認識せざるを得ず、「百合キャラ=女性が好きなキャラ=恋愛脳?=変態キャラ?」みたいな回路によって「常に女性に発情している変態キャラ」が出力されてしまう。古典の有名どころで言えば『超電磁砲』の黒子が典型だが、最近でも『処刑少女の生きる道』のモモあたりにもその遺伝子が残っている。
同性愛を抜きにしても、女性主人公単独での風潮もある。当時ありがちだった女性主人公の造形として「本当は女の子らしくお淑やかに振る舞いたいのに、なんだかんだで強く男っぽい振る舞いをしてしまう」というものがあった(『サムライエイジ』『不完全ナックル』等)。「昔はガキ大将だったけど心機一転して女の子らしく彼氏を作ったりしたい!」→「でもなんかトラブってるの見過ごせなくてボコボコにしちゃう!」→「結局周りから強者扱いされて一目置かれてしまう(´;ω;`)」という流れは一つのテンプレートだ。花形のハーレムものにおいては女性は守られるヒロインである前提があるため、それを延長する形で主人公化が試みられているわけだ。この立て付けは主人公のアンビバレントな葛藤も描きやすく、作劇的な都合も良かったのだろう。
そして女性主人公自身が「変態百合キャラ」であることはあまり多くないが、代わりに「変態紳士」男性キャラがセットになってセクハラ三昧をかまされていることも多かった(『サカサマホウショウジョ』『氷の国のアマリリス』等)。これは王道であるハーレムものでは女性が男性を好きになると決まっているため、ライトノベルにおいて「女性にアプローチする男性像」が貧弱だったことに起因するのではないかと思う。
いずれにせよ「そういう時代だった」ということを別に現代からアナクロに批判するつもりはない。もし令和生まれのオタクがこのブログで取り上げられている平成女性主人公ラノベを読んだら時代錯誤な人権感覚にビックリするかもしれないけど、それはその作品の問題ではなくもう「そういう時代だった」ということだ。
読んだ女性主人公ラノベリスト
読んだラノベのリストと評価など。実は読んだことを忘れていただけの既読本もけっこうあったが、とりあえず全部読み直した。
- 評価
俺が好きだったか否かの主観評価。5だからといって作品として優れているとは限らないし、他人にオススメできるわけではない。5:心に残る
4:読んで良かった
3:読んでも良かった
2:読まなくても良かった
1:こんなん売らないでほしい - 百合:百合要素があれば+、無ければ-。
- ヘテロ:ヘテロ要素があれば+、無ければ-。
補足444:「百合要素」という言い回しのニュアンスにも時代を感じる。今は制作サイドが「これは百合作品です」と言って押し出してくるので「百合」を作品ジャンルとして定義できるが、制作サイドが明言しなかった当時は百合とは作品ジャンルというよりは作品構成要素の一つに過ぎなかったため、「百合作品」というより「百合要素あり」という言い回しの方がしっくり来たのだ。
No. | 書名 | 著者 | 出版社 | 発行月 | 評価 | 百合 | ヘテロ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 氷の国のアマリリス | 松山剛 | KADOKAWA | 2013/04 | 2 | - | + |
2 | あまがみエメンタール | 瑞智士記 | 一迅社 | 2009/03 | 4 | + | - |
3 | あかね色シンフォニア | 瑞智士記 | 一迅社 | 2009/11 | 2 | + | - |
4 | みすてぃっく・あい | 一柳凪 | 小学館 | 2007/09 | 4 | + | - |
5 | 私たち殺し屋です、本当です、嘘じゃありません、信じてください。 | 兎月竜之介 | 集英社 | 2016/08 | 2 | + | - |
6 | 黒百合の園 : わたしたちの秘密 | 秋目人 | KADOKAWA | 2013/12 | 2 | - | - |
7 | 四人制姉妹百合物帳 | 石川博品 | 星海社 | 2014/12 | 4 | + | - |
8 | おとめ桜の伝説 : 小峰シロの物ノ怪事件簿 | くしまちみなと | 一二三書房 | 2012/12 | 2 | - | - |
9 | 結成!聖(セント)☆アリア電脳活劇部 | 御門智 | 一迅社 | 2011/11 | 4 | + | - |
10 | サムライエイジ | みかづき紅月 | 徳間書店 | 2008/06 | 5 | + | + |
11 | サムライエイジ : 乙女たちの初陣っ! | みかづき紅月 | 徳間書店 | 2008/10 | 5 | + | + |
12 | サムライエイジ : 恋せよ戦乙女たちっ! | みかづき紅月 | 徳間書店 | 2009/06 | 5 | + | + |
13 | 特別時限少女マミミ | 斧名田マニマニ | 集英社 | 2014/04 | 4 | + | - |
14 | 声優ユニットはじめました。 | 藤原たすく | 小学館 | 2014/01 | 1 | + | - |
15 | マイノリティ・コア 絶対無敵の女剣士と甘えたがりの機織り娘 | みなみケント 泉彩 | ポニーキャニオン | 2014/07 | 1 | + | - |
16 | 乙女革命アヤメの! | 志茂文彦 | メディアファクトリー | 2008/11 | 2 | + | - |
17 | マジカル†デスゲーム1 少女は魔法で嘘をつく | うれま庄司 | KADOKAWA | 2014/03 | 3 | + | - |
18 | マジカル†デスゲーム2 反証のアーギュメント | うれま庄司 | KADOKAWA | 2014/05 | 2 | + | - |
19 | 誰よりも優しいあなたのために | あきさかあさひ | 一迅社 | 2012/02 | 2 | + | - |
20 | .(period) | 瑠璃歩月 | 一迅社 | 2008/08 | 3 | + | - |
21 | 東京地下廻路(アンダーサーキット) | 小林雄次 | オーバーラップ | 2014/09 | 2 | + | + |
22 | 乙女は花に恋をする : 私立カトレア学園 | 沢城利穂 | 一迅社 | 2009/05 | 2 | + | - |
23 | スーパーヒロイン学園 | 仰木日向 | ポニーキャニオン | 2014/12 | 3 | + | - |
24 | いらん子クエスト 少女たちの異世界デスゲーム | 兎月竜之介 | 集英社 | 2015/07 | 3 | - | - |
25 | ウィッチマズルカ (1).魔法、使えますか? | 水口敬文 | 角川書店 | 2006/07 | 3 | + | - |
26 | ウィッチマズルカ (2). つながる思い | 水口敬文 | 角川書店 | 2006/11 | 3 | + | - |
27 | えびてん : 綺譚奇譚 | SCA自 | 角川書店 | 2012/10 | 3 | + | - |
28 | 桜色の春をこえて | 直井章 | アスキー・メディアワークス | 2011/11 | 3 | + | - |
29 | 彼女は眼鏡holic | 上栖綴人 | ホビージャパン | 2008/07 | 3 | + | - |
30 | 不完全ナックル | 十階堂一系 | KADOKAWA | 2012/08 | 3 | - | - |
31 | 不完全ナックル2 | 十階堂一系 | KADOKAWA | 2012/11 | 3 | - | - |
32 | 虹色エイリアン | 入間人間 | KADOKAWA | 2014/11 | 4 | - | - |
33 | 世界の終わり、素晴らしき日々より | 一二三スイ | KADOKAWA | 2012/09 | 5 | + | - |
34 | 世界の終わり、素晴らしき日々より2 | 一二三スイ | KADOKAWA | 2013/01 | 2 | + | + |
35 | 世界の終わり、素晴らしき日々より3 | 一二三スイ | KADOKAWA | 2013/06 | 3 | + | + |
36 | 超次元ゲイム ネプテューヌ おぶ・ざ・ないとめあ? | 八木れんたろー | KADOKAWA | 2013/08 | 1 | - | - |
37 | ヒマツリ : ガール・ミーツ・火猿 | 春日部タケル | 角川書店 | 2010/12 | 2 | - | + |
38 | ヒマツリ アイスドール・ウォーズ | 春日部タケル | 角川書店 | 2011/04 | 2 | - | + |
39 | サイハテの聖衣 | 三雲岳斗 | KADOKAWA | 2011/12 | 3 | - | - |
40 | サイハテの聖衣2 | 三雲岳斗 | KADOKAWA | 2012/12 | 3 | - | - |
41 | 魔よりも黒くワガママに魔法少女は夢をみる | 根木健太 | エンターブレイン | 2011/03 | 2 | + | - |
42 | 魔よりも黒くワガママに魔法少女は夢をみる2 | 根木健太 | KADOKAWA | 2011/09 | 2 | + | - |
43 | ワイルドブーケ : 花の咲かないこの世界で | 駒尾真子 | 一迅社 | 2008/08 | 3 | + | - |
44 | ワイルドブーケ : 想いを綴る花の名は | 駒尾真子 | 一迅社 | 2009/01 | 3 | + | - |
45 | 超次元ゲイムネプテューヌ : TGS炎の二日間 | 八木れんたろー | メディアファクトリー | 2013/05 | 1 | - | - |
46 | 塔の町、あたしたちの街 | 扇智史 | エンターブレイン | 2007/04 | 5 | + | - |
47 | 塔の町、あたしたちの街2 | 扇智史 | エンターブレイン | 2008/05 | 5 | + | - |
48 | あるゾンビ少女の災難 I | 池端亮 | 角川書店 | 2012/07 | 4 | + | - |
49 | あるゾンビ少女の災難 II | 池端亮 | 角川書店 | 2012/07 | 4 | + | - |
50 | 雨の日のアイリス | 松山剛 | KADOKAWA | 2011/05 | 4 | - | - |
51 | ぴぴっと!! | 和智正喜 | メディアファクトリー | 2007/06 | 3 | + | - |
52 | しずるさんと偏屈な死者たち | 上遠野浩平 | 星海社 | 2013/07 | 3 | + | - |
53 | しずるさんと底無し密室たち | 上遠野浩平 | 星海社 | 2013/09 | 3 | + | - |
54 | ブギーポップは笑わない | 上遠野浩平 | KADOKAWA | 1998/02 | 4 | - | - |
55 | 原点回帰ウォーカーズ | 森田季節 | メディアファクトリー | 2009/01 | 3 | - | - |
56 | 原点回帰ウォーカーズ2 | 森田季節 | メディアファクトリー | 2009/05 | 4 | + | - |
57 | ノートより安い恋 = The love that is cheaper than a notebook | 森田季節 | 一迅社 | 2012/04 | 3 | + | - |
58 | あまいゆびさき | 宮木 あや子 | 一迅社 | 2013/04 | 3 | + | - |
59 | 空に欠けた旋律(メロディ) 1 | 葉月双 | ソフトバンククリエイティブ | 2012/08 | 4 | + | - |
60 | 空に欠けた旋律(メロディ) 2 | 葉月双 | ソフトバンククリエイティブ | 2012/12 | 4 | + | - |
61 | 空に欠けた旋律(メロディ) 3 | 葉月双 | ソフトバンク クリエイティブ | 2013/08 | 4 | + | - |
62 | ストロベリー・パニック!〈1〉 | 公野櫻子 | メディアワークス : 角川書店 | 2006/03 | 3 | + | - |
63 | ストロベリー・パニック!〈2〉 | 公野櫻子 | メディアワークス : 角川書店 | 2006/08 | 3 | + | - |
64 | ストロベリー・パニック!〈3〉 | 公野櫻子 | メディアワークス : 角川書店 | 2006/12 | 3 | + | - |
65 | 鹿乃江さんの左手 | 青谷真未 | ポプラ社 | 2015/01 | 3 | + | - |
66 | OBSTACLEシリーズ 激突のヘクセンナハトI | 川上稔 | KADOKAWA | 2015/08 | 2 | - | - |
67 | よくわかる現代魔法 | 桜坂洋 | 集英社 | 2003/12 | 3 | - | + |
68 | よくわかる現代魔法 : ガーベージコレクター | 桜坂洋 | 集英社 | 2004/05 | 3 | - | + |
69 | よくわかる現代魔法 : ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ | 桜坂洋 | 集英社 | 2004/09 | 3 | - | + |
70 | よくわかる現代魔法 : Jini使い | 桜坂洋 | 集英社 | 2005/01 | 3 | - | + |
71 | よくわかる現代魔法 : たったひとつじゃない冴えたやりかた | 桜坂洋 | 集英社 | 2005/05 | 3 | - | + |
72 | よくわかる現代魔法 : Firefox! | 桜坂洋 | 集英社 | 2009/03 | 3 | - | + |
73 | 魔法少女育成計画 | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2012/06 | 5 | - | - |
74 | 魔法少女育成計画restart | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2012/11 | 5 | - | - |
75 | 魔法少女育成計画restart | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2012/12 | 5 | - | - |
76 | 魔法少女育成計画episodes | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2013/04 | 4 | - | - |
77 | 魔法少女育成計画limited | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2013/11 | 4 | - | - |
78 | 魔法少女育成計画limited | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2013/12 | 4 | - | - |
79 | 魔法少女育成計画JOKERS | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2014/08 | 2 | - | - |
80 | 魔法少女育成計画ACES | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2015/09 | 2 | - | - |
81 | 魔法少女育成計画episodesΦ | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2016/04 | 3 | - | - |
82 | 魔法少女育成計画16人の日常 | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2016/10 | 4 | - | - |
83 | 魔法少女育成計画QUEENS | 遠藤浅蜊 | 宝島社 | 2016/12 | 2 | - | - |
84 | 先輩と私 | 森奈津子 | 徳間書店 | 2011/05 | 4 | + | - |
女性主人公ラノベレビュー
マイナー古ラノベはどうせ誰も読んでおらずただ感想を書いても共有できない可能性が高いため、皆が手に取りやすいようにあらすじを引用しておいた。
ネタバレ配慮は特にしていないので気になるものは先に読んでほしい。俺も読んだんだからさ……
わりとヌルめのハードSF
氷河期が訪れ、全ては氷の下に閉ざされた世界。人類は『白雪姫』という冷凍睡眠施設で眠り続け、そして、それを守るロボットたちが小さな村を形成し、細々と地下での生活を続けていた。 副村長の少女ロボット・アマリリスは崩落事故による『白雪姫』の損傷や、年々パーツが劣化する村人たちのケアに心を砕いていた。再び人と共に歩む未来のために。しかしある時、村長の発した言葉に、彼女と仲間たちは戦慄する。 「──人類は滅亡すべきだと思う」 機械たちの『生き方』を描く感動の物語。
【評価: 2】【百合: -】【ヘテロ: +】
「ロボットは人間を本当に救うべきか否か」というけっこうハードで面白そうなSFの話をしているのだが、なんか事故ったりしてるうちに「救えるなら救えばいいじゃん?」みたいな感じでなあなあになってしまった。強いて擁護するのであれば、結局のところ盲目的に人間を救うことがロボットの存在意義であって、遂行可能性にかかるリスクが特にない限りは倫理的判断を棚上げにして人類を救う様子が描かれていると取れなくもない。
表紙の美少女が主人公だが、一応作中でパーツ換装とかがけっこうしつこく描かれるロボットなのに完全に振り切って人間の美少女にしている割り切りが潔い。概ね理知的な主人公がチャラ男にセクハラされたときのみもう~プンプンみたいなペラいヒロインムーブをするところに時代を感じる。
境界知能×お世話係の共依存SM百合
全寮制の小中高一貫校、青嵐女学院。外界から完全に隔離された少女たちの園で、ロリータファッションに身を包む少女・橘地莉子は今日も、ルームメイトである渡会心音の肌に歯を立てる。それは、何年にもわたって続く、二人だけの秘密の「儀式」。奇妙な絆で結ばれた少女たちの向かう果ては……?
【評価: 4】【百合: +】【ヘテロ: -】
全然甘噛みではなく出血死しかけるまで嚙みまくる割とハードな共依存SM百合。
恐らく意図的にメインヒロインのロリキャラが萌えキャラの範疇を超えて境界知能として描かれているのが挑戦的だ。徹底的に精神年齢が低いだけで人間的な魅力はほとんどないが、そういう問題児であるが故に世話係の主人公が母性反応を発動してしまい強めの共依存に陥る話なので、納得感があるし上手く機能している。
共依存解決できて良かったねみたいな終わり方をすると思いきや、結局嚙んでしまう救えないENDも良かった。主人公が自己評価低い割に全方位からモテまくるのも良。
DTMものニッチ需要
高校では音楽に関係する部活に入りたいと思ってはいるけれど、楽器経験が何にもないので、具体的なビジョンの特にない茜根(あかね)そな。
しかし、電子音楽研究部――通称DTM部の部長・女郎花祭子(おみなえし・まつりこ)と出会ったことで、DTM(デスクトップミュージック)の世界に足を踏み入れることに。
「楽器が弾けなくても、音楽は創れる!」
DTMに"打ち込む"少女たちの、音楽部活動コメディ!
【評価: 2】【百合: +】【ヘテロ: -】
「DTMもの」というマイナーテーマのラノベだが、やたらDTMに詳しいキャラがなんか捲し立てているだけであまり活かしきれていた感じはしない。「DTMオタクスキルでバンドみたいな人の機材トラブルを助ける」という筋立てではあるのだが、別にそれはバンドの人でも出来てしまいそうなのでもっと積極的にDTM音楽で何かする話で良かった気もする。たぶんDTMの描写自体はかなり詳しいのでDTMが好きな人は歴史的書物として楽しめるかもしれない。
マイクのポップガードに美少女が履いてたタイツを使ったら部屋にいい匂いがするとかいう謎の描写がキモくてかなり良かった。
ゼロ年代ノベルゲームオタク特攻
冬休みの女子寮には、4人の美術部員しかいなかった。ぼけぼけおっとりの沖本部長に読書魔の天才・三輪先輩、あっぱらぱーの門倉せりか、そして優柔不断な私・久我崎蝶子。私たちはひたすらに戯れる――ピクニックをしたり、チェスをしたり、いっしょにお風呂に入ったり。けれど、蛇行をつづける他愛のないおしゃべりも、ぼんやりとした空想に耽る時間も終わるだろう。なぜなら私は迫られてしまったから――せりかと先輩に。三角関係。私は選ばなければいけない――愛の行方を。
第1回小学館ライトノベル大賞・期待賞受賞作。
【評価: 4】【百合: +】【ヘテロ: -】
これかなり好き。雰囲気が好きな人は相当刺さるタイプのもの。
全体的にぼんやりした夢か現かわからない隔離された世界の中でよくわからん本のよくわからん詩やフレーズが延々と引用され、ほんのり三角関係が生じたり流血沙汰になったりする内省的な手触りが、かなり古めの同人ノベルゲームっぽくて良い。胡乱な話の中にきっちり伏線も引かれているし、地味に主人公がモテまくるのも良い。
マジで主人公が雑魚すぎ
「わた、わ、わたた、私はプロの殺し屋だぞ!」 殺し屋少女・ヴィクトリアとシャルロッテは今日も無人鉄道で世界を巡(めぐ)る。 可愛い容姿に不釣り合いな重い拳銃を携(たずさ)えて――。 行く先々で殺しの仕事を請け負う二人だが、なぜかここぞという場で敵(変態紳士)に捕まるドジっ子ヴィクトリア。殺し屋を名乗って敵を脅(おど)すも、その可愛さじゃ信じてもらえず絶対絶命! でも、ピンチの時はシャルロッテが助けてくれると信じてる……! 謎の組織『黒薔薇会(くろばらかい)』の美少女刺客に執拗(しつよう)に粘着質(ねんちゃくしつ)に狙われたりもするけれど、私たち殺し屋少女はプロですから、どんな時でも元気です! 残念カワイイ二人の危険なのにどこかゆる~い旅物語が発車します!!
【評価: 2】【百合: +】【ヘテロ: -】
同作者の『ニーナとうさぎと魔法の戦車』はかなり設定が練られた女性主人公ファンタジーで面白かった記憶があるが、これは一転して小学生レベルの話でビックリしてしまった。
取って付けたような殺し屋百合カップルが毎回やたら自信満々な割に即捕まってけっこう強めの拷問を食らいかけてベショベショになるだけの話で、あらすじで全部説明が済んでしまっている。あまりにもカスカスな一連の流れは逆に面白いと言えば面白いので面白いのかもしれない。
真犯人判明したときこいつ誰?って思った
お嬢様ばかりが通う、華百合女子高等学校。華やかな花園のように思えるが、心に闇を抱えた生徒たちが大勢いる。万引き、同性愛、レイプ、殺人……黒く染まった美しい少女たちを生々しく描いていく問題作、登場!
【評価: 2】【百合: -】【ヘテロ: -】
あらすじとは若干手触りが違っていて、言うて「華やかな花園」パートはそんなにないので、水面下の闇というよりは最初からけっこう治安が終わってる女子高を舞台にしたダーク学園ミステリサスペンスみたいな印象だった。確かに万引きやレイプや殺人は起きるが、治安の悪い高校ならまあ起きうる範疇ではある。というかあらすじで同性愛を万引きレイプ殺人と並べて闇扱いしているのはいくら何でもマズいのでは?
文章は稚拙ではないし群像劇だし面白そうな気配はけっこうあるのだが、上がった期待に内容が追い付かない。肝心のギミックが相貌失認とか記憶喪失を使っててセコい上に真相もチープだし、「だから何?」という感情。同じ高校に通う闇を抱えた女子高生しか登場しないためプロフィールが似通っている割に、イラストが表紙の一枚しかないため誰が誰かわからなくなって混乱した。
陰毛の有無に六万賭けるタイプのマリみて
有名なお嬢様学校――閖村学園高校には“サロン”と呼ばれる友愛組織が存在する。そこに集う生徒たちは姉妹のように睦み合う。 御厨杜理子、佐用島紗智、時岡有希奈ら上級生をメンバーとし、「森」の図書館の一室でひっそりと活動している高踏的サロン「百合種(ユリシーズ)」への参加を切望する一年生・田北多恵は、サロン入会の条件である“秘密の試験”を受けることになるのだが――!?
石川博品が贈る“青春百合奇譚”
【評価: 4】【百合: +】【ヘテロ: -】
かなり面白かった!
いかにもマリみてっぽい耽美系学園百合風のあらすじは概ね詐欺で、実際には陰毛の有無で大金を賭けたり罰ゲームで剃毛したりする男子校っぽい下品な乱痴気騒ぎがメイン。しかしそれも一貫して下品な話しかないわけではなく、閉鎖的な環境に特有の哀愁とか失恋みたいな本来期待されていたような百合要素も肝心なところではきっちりと良い塩梅で入ってくる。
文章とか台詞回しも巧みだし、順張りと逆張りをアクロバティックに両方きちんとやれるプロの力量を感じる一作。
福島県白河市在住者のみ必読
Moe1グランプリ(キャラ部門1位、観光地部門1位)に輝いた小峰シロの戦う姿を描いた物語が登場!
福島県白河市を復興しようという想いの影響で生まれた小峰シロ。観光ボランティアをしていた彼女はある日、人々の活気を奪おうとする物ノ怪の襲撃に遭遇する。この街の活気は妖しげな物ノ怪には奪わせまいとするシロは、おとめ桜の精霊たちの力を借りて妖怪討伐に立ち上がる。強大な物ノ怪たちと戦う乙女の姿を描いた東北ファンタジー!新おとめ桜伝説、はじまります。
【評価: 2】【百合: -】【ヘテロ: -】
平成中期にやたら流行った御当地萌えキャラのノベライズ作品。こんなものまで「女性主人公だから」というだけの理由できっちり購入しているあたりに当時の男性向け女性主人公コンテンツの枯渇ぶりを感じる。
お話自体は小学生向けみたいな感じであまり面白くないが、自治体とか政治も絡んできている以上あまり攻めた話にできなくてやむを得ないところがあるのだろう。なんか御当地要素に関する説明だけ異様に詳しくて地理とか歴史の説明が唐突に長々入ったり、いきなり松平定信が出てきてしかもかなり強キャラだったりするところはいかにも御当地ラノベっぽくてウケた。
三人の美少女精霊が主人公の美少女に取り付くという設定によってちょっと百合ハーレムっぽくなっているのは良かった。同性キャラ同士だとどうしても権力が拮抗して仲良し百合グループにはなっても百合ハーレムにはなりにくいので、明確に一人が突出するギミックは評価できる。
「エロゲーを作るわよ!!」のやつ
超お嬢様女子校「聖アリア女学院」の2年生で隠れオタク。それが私、与那嶺彩香。進級を機に、お嬢様らしい明るく楽しい青春を取り戻そうとオタク趣味を捨てる決意をした私は、茶華道部へ入部する。ところが部長の琴乃センパイが、いきなり部のリニューアルを宣言。新しい活動内容は…エロゲー開発!?私たち全員、乙女でお嬢様なのに、どうしよう!?ハイテンション・ガールズコメディ、ゲームスタート。
【評価: 4】【百合: +】【ヘテロ: -】
「エロゲーを作るわよ!!」を女子高生がやるやつ。見た目に反してかなり良い話だった。
主人公以外はライターも音響もプログラマも一通り都合よく揃っているため、ただオタクなだけで何もクリエイタースキルがない主人公は何をすればいいのかわからず悩むが、最終的に「全体進捗の進行管理をやる」という結論に達したのが非常に良かった。てっきり「オタク知識だけは本物だから適切なアドバイスはできる」みたいなありがちで説得力のない落としどころになるのかと思っていた。
俺がゲームプランナーをやっていたからという超個人的な贔屓があるにせよ、実際のところ進行管理はかなり大事だし誰かがやった方がいい。大抵の類似作品では誰もやっていないことの方が多い気がするが、工数がはっきりしない素人の集まりならなおさらだ。進行管理というジョブは皆にきっちり目を配って柔軟に話をするスキルも求められるため、物事の中心にいるべき女性主人公のポジションとしてもかなり納得できる。
2011年のラノベなのでゲーム全般の説明でソシャゲの概念がまだなかったり、データをクラウドではなく記録媒体で管理していたりするあたりは時代を感じる。
ゼロ年代夢女の理想郷
剣の腕には覚えあり。必殺剣も使えるし、不良生徒の成敗だってお手のもの。そんな私―三月弥・十五歳の夢はただひとつ。楚々とした乙女に生まれ変わって男の子と恋をすること。でも、ささやかな私の夢は、憧れのエリート高校・蘇芳学園に入学した初日にもろくも崩れさった。全生徒武器携行OK?入学式から大乱闘!?熱すぎる学園の闘気は、剣を捨てるはずだった私の心を強く揺さぶって…。強すぎる女の子、ダメですか?サムライ少女を書かせたら随一の作者が贈る乙女チック×剣劇アクション始動。
【評価: 5】【百合: +】【ヘテロ: +】
これこれこれ~!!! めちゃめちゃ良かった。
ストーリーは別に面白くないけどゼロ年代夢女の理想が全部詰まってる。夢女が死ぬ前に見る夢の乙女ゲーム。ゼロ年代にしか存在しない謎学園で謎バトルして謎青春する感じが良すぎる。
乙女になりたいけど戦闘能力が高すぎて暴れてしまう主人公が王子様系の先輩にもワイルド系の先輩にも言い寄られつつ、親友の野生児美少女にも懐かれてヘテロも百合もハーレムで欲張れてしまう。主人公はヘテロ寄りのバイくらいの感じで男とくっつきかけることの方が多いが、結局のところどの巻でも最終的には親友百合ルートに行くのも良。
魔法少女史を変えていたかもしれない
特別時限少女とは、人の心から取り出した武器で犯罪者を倒す魅惑の魔法少女たち。互いの胸に腕を突っ込み、武器を取り出す際にはとてつもない快感が得られるらしく、非常に官能的な光景となる。銭ゲバ主人公のマミミはその様子をTVで放送して一発金儲けをしようと画策し、自らも特別時限少女になりその内部に入り込むが…!?魔法少女たちの百合的官能イチャラブガチバトル開幕!奇才新人、鮮烈デビュー!!
【評価: 4】【百合: +】【ヘテロ: -】
めちゃめちゃ惜しい!! 数少ない明確に読んだ方がいいラノベ。
あらすじと設定は今回読んだラノベたちの中でも頭いくつか抜けていて、批評的な意義も相当大きい。しかも2014年という魔法少女変革期に出ていてワンチャン魔法少女史を変えるポテンシャルがあったのに、残念なことにそうはならなかった。
「魔法少女は変身時にとてつもない快感を得て官能的な光景になる」「魔法少女の変身を見世物にして稼ごうとする魔法少女の主人公」ってギャグっぽいけどめちゃめちゃ鋭くて深い設定なのだ。「結局のところオタクは魔法少女を性的に見ているし、制作側もエクスキューズなしで描けるセクシーシーンとして変身を利用している」っていうグロテスクな共犯関係を剔抉した上で、「じゃあ魔法少女って資本主義でエロが受けてるみたいなことでしかないんじゃない?」という身も蓋もない発想をドライブできる露悪的な主人公の造形がブチギレている。
更には「魔法少女システムの都合によって魔法少女は皆孤児で将来が暗い」っていう設定も良くできている。まどマギ以降の魔法少女のダークな雰囲気を受け継ぎつつも、銭ゲバ主人公が「いやそれは金で解決出来るよね?」と強みを活かして魔法少女を救うポジションを取れる構造がしっかり用意されているからだ。
ただそういう優れた部分がクライマックスでは全く捨象されてしまって、結局のところ誰を救うとか救わないとかいうふつうの素朴な魔法少女ものの文法で事態を収拾してしまった。スタートは神がかっていたのに、ゴールを誤って凡百の色物系作品に落ち着いてしまった。
斧名田マニマニ先生、この作品リメイクしませんか? 勿体ないよ~
無のラノベ1
声優ユニットは仲良し女子高生4人組!
声優である両親の勧めで天空学園高校・芸能科へと入学した、若きプロ声優・神崎花名。彼女は、入学と同時に学園の理事長が経営する芸能プロダクション「セレスティアル・エンタテインメント(CE)」の声優部門に所属することになる。
ここ数年、声優マネジメントに力を入れてきたCEは、花名たち高校生声優の所属を機に若手声優を大々的に売り出す計画を立てていた。それはオリジナルTVアニメプロジェクトの中核をなす女子高生4人の声優ユニット『フォーチューン』の結成。
プロジェクトの成功には、ユニットそのものの成功が不可欠。そのためメンバー同士の親密な関係が必要だと考えたCEは、花名にメンバーたちとの同居の指示を出したのであった――。声優ユニットを組むために集められた個性豊かな4人の女子高生声優たちの、ゆるやか学園“声”春ライフの始まりです!!
【評価: 1】【百合: +】【ヘテロ: -】
無のラノベ。
アニメの次回予告の掛け合いレベルのちょっとしたテンプレ会話を282ページに渡って延々と見せられるだけで、イベントがマジで何も起きない。あらすじにはプロジェクトの成功を目指す的なことが書いてあるが、何も起きないのでその件も特に何にもならない。
賛否以前にそもそも内容が無いため評価不可能なものにだけ【評価:1】を付けている。ストーリーが存在しないラノベを売ってもいいらしいということを初めて知った。
無のラノベ2
凄腕の女剣士ヴェルメリア、優れた魔法使いのロゼ、訳ありな姉妹が配属されたのは第39独立小隊だった。そこにはこれまた訳ありっぽい衛生兵ダイトと、何を考えているのか判らないピエランジェロ隊長の2人しかおらず、部隊と言うのは名ばかりの厄介払い。そんな彼らが命じられたのは派遣した部隊が消息を絶ったアババ砂漠への偵察任務だった。剣と魔法と落ちこぼれたちのファンタジー、ここに開幕。
【評価: 1】【百合: +】【ヘテロ: -】
無のラノベ。
姉妹が何となく配属されて何となく命令されて斥候やってちょっと戦って帰るだけの話で、主人公を含むキャラたちが何をしたいのかが特に示されないので評価軸が不明で感想を発生させることができない。この話何だったん?
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