LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

20/3/10 お題箱回

・お題箱62

121.私は、教養のある人は映画鑑賞や読書を趣味としている事が多いのではないかという偏見を持っています。
LWさんは教養の有無と映画鑑賞や読書の習慣は関係があると思いますか?

あると思います。

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「教養」という単語の辞書的な定義や歴史的な経緯はともかく、日常的に「教養のある人」って言ったらだいたい「いい感じに知識がある人」くらいの意味ですよね。一般的に言って知識は外部から吸収するものなので、インプットの多寡と教養の多寡に相関があるのは自然なことです。

もちろん知識には色々タイプがありますから、インプット以外で得られるタイプの知識もあります。
例えば「自転車の乗り方」や「トンカチの使い方」などの実践知がそうですね。しかし、実践知に詳しい人に対して「教養がある」という表現は普通はしないように思います。彼に対しては「技術がある」とか「〇〇が上手い」というような評価をするはずです。

また、知識が貧困で頭の良い人も想定することはできます。漫画だと「俺はバカだから難しいことはよくわかんねえけどよお~」とか言いながら鋭い指摘をするキャラがたまにいます。が、そういう人も「地頭が良い」とか「センスがある」とかいう称賛を受けることはあっても、「教養がある」とはあまり言われないように思います。

122.年金システムの維持条件とリベラル思想の相性の悪さについて一言お願いします

質問でもう回答まで完結してませんか!?
一言を求められているのは政治的な一般論と個人的な意見のどっちなんでしょうか。

一般論の話からすると、確かに原義のリベラルと福祉政策は相性が悪いですね。ラディカルに自由を求める立場からすると国家システム自体が自由の抑圧を含んでおり、夜警に支払う税金以上のあらゆる徴収に対しては反対する立場を取ることになります。
一方で、リベラリズムリバタリアニズムを比較するようなアメリカ政治的な文脈では、リベラリズムは経済的自由を軽視し、リバタリアニズムは重視するという違いが生じます。よって、逆にリベラリズムの方が年金のような福祉政策を肯定する立場になります。まあ、原義のリベラルがリバタリアンに置き換わり、代わりにリベラルというワードが社会的公正を含むようになったという単語レベルの話なので、大した問題ではありませんが。

個人的には、今の日本のように定量的に破綻している年金システムは論外としても、正常に動作している場合は別にあってもいいです。現実問題として僕はリバタリアン的な世界観で生きていくほど強くはないです。
しかし身も蓋も無いことを言うと、僕は自分の人生のリアリティ(特に未来について)をほとんど認識していないので、現実的な問題に対してはあまり思うところがないです。人生って詰んだら自殺すればいいだけなので、そんなに真面目に考える価値ないですよ。

123.「皇白花には蛆が憑いている」完結おめでとうございます。
一つだけ気になる記述があったのですがこの場で質問してもよろしいでしょうか。
第31話に「ブラウン運動している花粉」とありますがこれはどういう事でしょうか?(近況ノートで解説されているのを見逃していたなら申し訳ありません)
ある種のネタなのか、白花の文系アピールなのか、単なる誤りなのか、それとも本当にブラウン運動するサイズの花粉が存在するのか気になります。

ありがとうございます。『皇白花には蛆が憑いている』31話についてですね。

kakuyomu.jp

これは普通にミスです!
Wikipediaにはわざわざ単独のページまでありますが、正しくはブラウン運動するのは「花粉」ではなく「花粉から出た微粒子」です。
僕も質問を見た瞬間に「そういえば花粉じゃなくて微粒子だったか」と思い出す程度には知っているんですが、適当に流して書いてるとつい「ブラウン運動している花粉」などと書いてしまう程度には意識してないという感じです。

仰る通り、白花は文系で理系分野には全く疎いので、彼女が誤解していても問題のない内容ではあります。しかし、描写として特に面白くはないし混乱を招くだけなので「花粉」は「微粒子」に修正しておきます。御指摘ありがとうございます。

ついでに言うと、科学的にかなり致命的なミスをもう一点犯しています(ネタバレを含むので追記)。

kakuyomu.jp

 第29話で白花が左右真っ二つにぶった切られた状態で自分の視覚像について考察している部分があります。

未だ統合されざる二つの像が同時に存在することが問題なのだ。なにせ、右目から右脳に来た情報と、左目から左脳に来た情報を一つに統合する経路は物理的に分断されてもう存在しないはずなのだから。私が右白花と左白花のどちらであるにせよ、右目と左目の情報を一度に取得していることは有り得ない。

これかなりわかりやすく間違ってるんですが、どこがミスかわかりますか? ちなみに僕は人に言われるまで全く気付きませんでした。

正解は、「右目から右脳に来た情報と、左目から左脳に来た情報」という部分です。

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www.msdmanuals.com

この画像は家庭版MSDマニュアルからの引用ですが、イラストから明らかなように、視神経は左右でクロスしています。よって、右目から来た情報は右脳ではなく左脳に行きます。
このため、身体を左右真っ二つに切断された場合、通常はそもそも視神経の経路が完全に断絶して何も目に映らないことになります。白花が驚くべき内容は「視覚像が存在していること」であり、「二つの視覚像を得ていること」ではありません。

これは書き直すべきかどうか迷うところです。花粉の例と同じで、「理系分野に詳しくない白花が勘違いしている」としても辻褄は合います。また、『すめうじ』はリアリティ小説ではなく萌えラノベなので、有名な「銃の熱膨張」あたりと同じで許容可能なラインのミスではあります。

とはいえ、意図しない誤りを放置しておく理由もないので直した方がいいんでしょうね。直します。