2022年3~4月消費コンテンツ
引き続き時間の大半を理系学問に費やしていたのと、趣味の小説にそろそろ決着を着けようと思って本格的に始末していたためしばらく更新が空いた。
理系学問はあと3個くらい資格を取ったらしばらく小休止してもいいし、kaggleをやってもいい。結局のところデータサイエンス系の理論的な最難関資格の一つが統計検定1級らしく、それを初手で取ったせいで残りが差分回収みたいなテンションになっている。順番を間違えた。
アニメ卒業疑惑は一過性ではなくそこそこシリアスな雰囲気が出てきた。ゲームに続いてアニメも葬られるかもしれないが、漫画だけは無限にのめり込めるので一旦そっちに注力してもいい(GWはスパ銭で徹夜して進撃の巨人を全巻読み返した)。
普段感想を書くときはあまりネタバレを気にしていないが、『オッドタクシー』は比較的致命的なネタバレが含まれるので注意。
メディア別リスト
アニメ(12話)
オッドタクシー(全12話)
漫画(29冊)
ジョジョリオン(全27巻)
ソウナンですか?(9~10巻)
書籍(3冊)
キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和04年
徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和4年度
「読まなくてもいい本」の読書案内
映画(4本)
ブラック・ウィドウ
シャン・チー/テン・リングスの伝説
エターナルズ
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
良かった順リスト
人生に残るコンテンツ
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
消費して良かったコンテンツ
ソウナンですか?
オッドタクシー
キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和04年
徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和4年度
ジョジョリオン
消費して損はなかったコンテンツ
「読まなくてもいい本」の読書案内
エターナルズ
たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ
シャン・チー/テン・リングスの伝説
ブラック・ウィドウ
以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ
(特になし)
ピックアップ
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
良すぎた!!
ベストオブベストのコンディションで見られたのがデカイ。俺はスパイダーマン3部作×2を既に見ており、かつ、この映画に関しては何も前情報なく見たため、いきなりディケイドが始まって無限にブチ上がった。最大瞬間風速でこの映画を超える作品は後にも先にも現れない気がする。
俺にとってこの映画の良さは明らかにファンディスクであることなのでもはや内容がどうこうという感じでもないのだが、この段階でこのレベルのファンディスクを入れてくるMCUの判断が強すぎる(MCU全部見てるやつでもスパイダーマンまでカバーしているとは限らないのでは?)。
MCUは『エンドゲーム』以降は「再集合」のモチーフが多用されており、『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー』『エターナルズ』で「離散したかつての仲間たちと再集合して内輪揉めする話」を繰り返している。『ノー・ウェイ・ホーム』ではそれが映画内ではマルチバース内の再集合という形で、リアルでは実時間における映画シリーズの記憶の再集合という形で変奏されている。もう『エンドゲーム』で最強の敵サノスを倒してしまった以上、スーパーパワーを得て外部の敵に対抗するという素朴なストーリーには説得力が持たせにくいという都合があるのだろう。
特に『エンドゲーム』からの数少ない(商業的な)生き残りとして、戦力自体は十分なはずだがスタンスが隣人であるためにイマイチ覚悟が煮え切らなかったMCU版スパイダーマンを成長させるストーリーとしても再集合を扱うのは完璧な選択だ。スパイダーマン自身が無理ならマルチバースからオリジンストーリーを招聘する手があったとは。
ソウナンですか?
本格JKサバイバル(?)完結。最終巻はかなり良かった。
最終巻は1冊丸々エピローグに使われており、「無人島を脱出してからの引き伸ばしが酷い」というネットの声もちらほら見ていたが、これは美少女漫画としての筋を通すために必要な1巻だったと断言できる。
もともとこの漫画はシリアスなストーリー漫画というよりは、一話完結で遭難時に役立つ豆知識を紹介する学習図鑑的な側面も強かった。そのコンセプトを体現しているのがほまれという「遭難お助けキャラ」だ。当初ほまれだけは他のキャラクターと違ってギャグめいた不自然なバックグラウンドを持ち、他の三人の救助に徹しつつ読者に対してリアルなサバイバル知識を伝達する舞台装置に過ぎなかった。人間的な葛藤を持つ人間として本格的に描写され始めるのは脱出計画を立て始めるあたりからだ。
最終巻で無人島を脱出したことにより、ほまれの当初のお助けキャラとしてのアイデンティティは完全に失われることになる。ほまれのポテンシャルは学校生活では活かす機会が特にないため、一転して周囲に馴染めず最も悩みの多い弱キャラになってしまう。それは彼女の性格設定によるものというよりは、この漫画自体が無人島を脱出してからやることがなくなった様子の忠実な反映だ。
逆に言えば、無人島を脱出した時点でほまれは無人島と紐づけられた出自を切り離され、全局面で活動可能性がある一人の美少女キャラとして再構成されることになる。学校生活や日常に翻弄されるほまれの様子を1巻かけて描くことは、単なる意外な一面の描写に留まらず、ほまれをお助けキャラの舞台装置ではなく立体的な美少女キャラとして立ち上げるために必須の作業だった。俺はほまれみたいな男性的な挙動の美少女キャラがかなり好きなのでかなり嬉しいオマケだった。
ジョジョリオン
全然面白くなかった! ジョジョ大好きでここまで全部読んでいるのだが、第八部にして初の面白くない部が登場してビックリしてしまった。
全体的に「割と出来の悪いジョジョの二次創作」という印象を受ける。表面的にはスタンドバトルや独特なバトルの雰囲気を上手くなぞっているのだが、それを下支えする物語的な意味付けの制御が上手くできていない。物理的・時系列的に起きている事態を描写するだけではなく、それらに対する物語的な意味付けを与えなければならないというのは娯楽作品の基本だと思うが、何度考えてもそのレベルで失敗しているとしか思えない。第七部まではそれを完璧にこなしていただけに、何故第八部でこんなことになってしまったのか、不満というよりは困惑が募る。
例えば第7部のラストバトルではパラレルワールドを超える大統領に対して、ジョニィが「世界を超越できるスタンド」ことタスクAct4を発現することで撃破した。これは物理的には「無限の回転エネルギーは世界を超える」という説明がなされているが、それに対する意味付けは作中全体を通じて与えられてきていた。「回転」は元はと言えば戦友であるジャイロからレッスンを通じて受け継いだものだし、回転の力を引き出す上でキーになるのは「黄金長方形」「乗馬」という自然への理解である。第7部を貫くレースを通じて、ジャイロと育んだ友情や厳しい自然の中を走り続けた経験によってのみ辿り着ける究極の一撃としてきちんと正当化されているからこそ、タスクAct4がD4Cを制することには説得力があるしエモい。
一方、第8部のラストバトルで「シャボン玉が泡ではなく無限に細い線」というゴービヨンドにどんな物語的な含意を読み込めばよいのかが全くわからない。「紐が回ると球に見える」という原理自体は物理的には理解できなくもないが、「紐」や「球」というモチーフに込めた含意が全く不明であり物語的な正当化が与えられないので、エモくもないし意味が分からない。
他の事態も全てそんな感じで、「呪いを解いたこと」「奇病を岩人間に押し付けること」について時系列的な発生以上の意味が汲めなかった。表面だけなぞろうとしてよくわかんなくなってる感だけが残る。逆に全体を通した意味付けが特に必要ない短編エピソードは依然としてかなり面白いのは皮肉なことだ。「カツアゲロード」「カブトムシバトル」「ミラグロマン」あたり、ロカカカ争奪戦に全く参入していない常秀が絡んでくるといきなり面白くなる。
思い返してみれば、雲行きが怪しくなってきたのはビタミンCを倒したあたりからだったような気がする。
初期は謎が多くて読みづらいながらも、確かに一貫したテーマの存在を感じさせるものがあった。もともと主人公が持つ「自分探し」というテーマは岩人間とも共通していた。夜露たち岩人間は社会的なポジションを持てない寂しい存在として記憶喪失の定助と重ねられている。そんな寄る辺ない彼らが謎の「等価交換」によってどんな闘争を経て何を得て何を失うのかという筋立ては十分魅力的だった。
が、他の岩人間が普通に医者として社会的に成功していることが明かされたあたりからテーマが混乱してくる。夜露と違って医者として普通に生活している岩人間は自らの実存にかかる目的意識があまりなく、医学の発展や利権の獲得というアドホックな目標しか追い求めない。記憶を取り戻した定助もホリーの救済という目標を持つようになるが、それ自体は岩人間の目的意識と大きく衝突するものではなく、やり取りが噛み合っていない。
俺の読みが浅いだけなのか、荒木サイドも今回はちょっと上手くいかなかったなと思っているのか、いつか決着を着けたいところだ。
オッドタクシー
面白かった。最近うまぶった作品で首を傾げていることが多かったので普通に面白い娯楽アニメがかなり染みる。
別にこのアニメ特有のことでも無く、よくある上質な作品レベルではあるが、シンプルに話の構成が上手い。情報を小出しにして小さな事件のラインを併走させながら、大きな事件の真相に向けて状況を整えるプロットがよく考えられている。このアニメ全体を貫く最大の情報開示は女子高生失踪事件の真相だが、そこに至るまでの情報は柿花の借金や樺沢の配信といった小エピソードから出てくるので退屈しない(下手な作品だと失踪事件の情報を失踪事件の小エピソードで出そうとするので、個別には面白くない事件を見せられて退屈してしまう)。
「動物もの」がいちいち疑問に付されることなく受け入れられることを逆手に取った、小戸川の精神疾患というギミックも面白かった。わりと可愛い動物キャラクターたちが現代社会の闇に取り付かれてソシャゲや配信に溺れたり、暴力や殺人を含むバイオレンスな事件に巻き込まれたりするギャップもこのギミックに回収されている。
特に山本が小戸川を絞殺しようとするあたりがそうだが、事態の深刻さの割にはアニメチックでコミカルなアニメに見えるのは決して世界が優しいからではない。むしろ完全に逆で、苛烈な世界に耐えられなかった小戸川の精神が自衛のために世界を好きな動物で上書きしていたのだ。最後に治療を受けて動物の視界が消失したことにより、それまでの事件のグロテスクさが事後的に反転して書き戻される。死体遺棄も絞殺未遂も銃撃も全く動物らしいコミカルなものではなく、実際に人間同士の血生臭い闘争があった。
ただ、人間の世界に戻ってからは実写にしてほしかった気持ちはある。もしくは劇画調にするとかで一気に作画を変えてほしかった。小戸川の視界が戻ってからの人間たちもわりとコミカルなタッチで描かれてしまっているため、「血生臭い現実と可愛い動物のギャップを反転させて回収する」という素晴らしいギミックの効果が薄れていることは否めない。
キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者 令和04年/徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和4年度
応用情報の参考書2冊。
どっちも800ページくらいある辞書みたいな本で合計1600ページくらい読んだことになる。応用情報技術者はかなりお行儀のよい資格試験で、とにかく広く浅く覚えるだけだ。あまり頭は使わないが気力は試される。統計検定と比べると大した資格ではないので合格しても記事は書かない。
「キタミ式」はIPA界隈では有名なブランドで、表紙に「わかりやすさ超ド級」と書かれている通り豊富なイラストで有名。これがかなりありがたく、資格試験全てにキタミ式が存在してほしいと思うほどだ。俺は明確に言語思考ではなく画像思考の人間であり、文字を読んでも結局のところ頭の中で適切な画像にビジュアライズする作業をすることになるので、その手間が省けるのはありがたい。思えば中高生の教科書なんかはキッズを飽きさせないためかどんな教科でも隙あらば画像が差し込まれていたものだが、大学に上がった瞬間に学術書からはめっきりイラストが減ってしまう。
「読まなくてもいい本」の読書案内
色々と惜しい本。
まず大前提として鵜呑みにできないタイプの本ではある。著者は学者ではなく作家だし、細かい話の出典は怪しく論理展開も精読に堪えるものではない。それを差っ引いてもぼちぼちいいことを言っていて触発されたことがいくつかあるのだが、致命的に同意できない点がいくつかあって全体としてオススメはできない。
もともと図書館でパラパラ開いたときに「ドゥルーズ=ガタリのリゾームって結局は複雑ネットワークでしょ」ということを指摘していて、なかなかやるなと思って借りた。これは『観光客の哲学』で東浩紀が指摘したことと同じだが(サイゼミでも取り上げた→■)、出版時期的にはこっちの方が早い。ここから「じゃあ『千のプラトー』なんか読んでないで複雑ネットワークやればよくない?」→「古いパラダイムの人文学は全部切って新しいパラダイムの学問だけやればよくない?」→「古典は概ね読まなくてもいい」という流れのタイトルではある。
とはいえ、挑戦的なタイトルはそこそこ内容と乖離していてあまり宜しくない。
というように本当に読まなくていい本をリストアップして案内しているわけではなく(もしそうだったら面白かったが)、読むべき本を提示してそれ以外は読まなくてよいと言っているだけで、ふつうに「読むべき本の読書案内」である。
本題に入ると、この本が推奨する分野は「複雑系」「進化論」「ゲーム理論」「脳科学」「功利主義」の五点である。これらの分野に共有する特徴として「個別的なイデオロギーではない」ということがある。
例えば功利主義で最大幸福を求めるに際して、対象となる人々が自由主義だったり共同体主義だったり異なるイデオロギーを持つことはあまり問題にならない。個々の人々が持っている思想はなんでもいいけど結局のところ最大幸福を実現する調停は如何にして可能かというところに焦点があり、それは功利主義がその他主義を原理上は包括できることによって示される(功利主義を追求した結果自由主義に行き着くことも、逆に共同体主義に行き着くことも不自然ではない)。
「複雑系」や「ゲーム理論」も関心があるのは個々の特徴ではなく全体としての振る舞いである。個々のノードないし人々がどういうイデオロギーに従ってどういう決定を行うかというよりは、結局のところ状況はどういう盤面になるのかという大局的な進行方向に関心がある。
これはこの本に書いてある内容というよりは俺が常々思っていることだが、ネットが普及して各人が住み心地のよいフィルターバブルの中に安住するようになった時代では、個々のイデオロギーを説得することは無駄とは言わないまでも極めて非効率になっており、もっと効率の良い手段を第一原理と考えた方がよい。つまり個別のイデオロギーは一旦脇に置いて、結局のところ全体としてどういうモードやステートになっているのかを理解できる分野に大きな需要がある。
これは個々のイデオロギーを無視して統計的な最適解に辿り着くマジョリティのディストピアを目指しましょうと言っているわけではない。個々の比較的マイナーなイデオロギーの特殊性を抽出するにしても、終わりのリベラルのように怒鳴り声で主張し続けるより、全体の立ち位置からスタートして戦略を練る方がよいということだ。
そういう意味で、個々のイデオロギーを詰めるよりは実践的に複数のイデオロギーを調停できるメタ原理としての分野が重要であり、その中に「複雑系」「ゲーム理論」「功利主義」が軒を連ねることには大いに納得する。
ただし、その中に「脳科学」「進化論」を含めることには同意できない。
著者は重度の進化心理学信奉者であり、功利主義やゲーム理論を解釈するアルティメイタムとして進化心理学を運用することを想定している。例えばゲーム理論にかかる分析で何かが明らかになったとき、「この傾向性は進化の過程で発生した」という理由を付すことで正当化されると考えているのだ。しかし少なくともこの書籍の中で進化心理学にそれほどの信頼を置いてよい理由は説明されておらず、「チンパンジーも同じ行動をするから本能的にそう」「男は種を撒くのが生殖の最適解なのでゲイは乱交する」というような胡乱な記述が散りばめられているだけだ。何故か知らないが進化心理学が絡んだ瞬間に知識系Youtuberレベルにまで水準が落ちてしまうことがこの本を胡散臭い新書くらいの立ち位置にしている。
ブラック・ウィドウ、シャン・チー/テン・リングスの伝説、エターナルズ
『エンドゲーム』以降のニューヒーローシリーズ。
ズバ抜けて面白いことはなかったが方向性はかなり統一されており、「こういう方向に行くんだ」という感触はあった。
どの映画にも「離散したかつての仲間たちと再集合して内輪揉めする話」というモチーフが通底している。旧アベンジャーズの面々は既にけっこう成長した段階で自分の意志でスーパーパワーを手に入れて~というパターンが多かったが、ニューヒーローたちは物心がつくくらいの幼い頃から周囲の環境によってヒーローパワーを習得していた者が多い。今現在の世界で敵味方が発展していくことではなく、自身の過去を深堀りすることで物語が展開していく。
環境からの影響がデカイという世界観はリベラルっぽく、実際『エターナルズ』は手話使用者、ゲイ、アジア系、黒人というポリコレヒーローオールスターでかなり笑ってしまった。とはいえ、お話の内容自体がポリコレの教科書になっているわけではなく、単に多様なキャラが登場するというだけなので、特に違和感はなかったしかなり健全な方向性だと思う。黒人ヒーローが登場することと、黒人賛歌のストーリーをやることは全く別だ(ドラマ版『ウォッチメン』のように……)。
生産コンテンツ
ずっと書いていた『ゲーミング自殺、16連射ハルマゲドン』は一旦35万字くらいで最後まで終わったので、頭から書き直す作業とイラストを発注する作業と投稿予定のサイト群にすめうじを投稿して様子を見る作業を並行してやります(今まで使っていたカクヨムはイラストを投稿できないので新規開拓しないといけない)。イラスト発注は今からかけても結構かかるので投稿は夏くらいになりそう。
以下、内容は以前にカクヨムに投稿したものと同一で毎日19時に更新されます。
■ノベルデイズ版すめうじ
■アルファポリス版すめうじ
■エブリスタ版すめうじ
■マグネット版すめうじ
いい機会なので今まで書いてなかった主要キャラ紹介を書いておきます(愛用しているキャラメーカーは限定公開になってしまったのでURL略)。
キャラ紹介① 白花ちゃん
23歳成人女性の主人公です。無気力でダウナー、常に楽な方へ流れ続ける低燃費な色白の美人です。
新卒で入った会社を二週間で退職し、現在一人暮らし引きこもり生活二年目に突入しています。一日中映画を見ながらゴロゴロ過ごしている有様に悩むこともなく、コンビニの廃棄弁当を漁って食糧を確保することにも全く抵抗がありません。
「周囲に蛆虫を大量に湧かせる」という終わっている体質を持っており、特に食事中はオートで湧いてくるためいつも蛆虫を食べています。一人で無限に虫食をする有様は、多様性に寛容な昨今でも到底受け入れられるものではなく、まともな人間社会からは距離を置かれた結果、奇人変人の知り合いばかりが増えていくことになります。
とはいえ特にこだわりのない適当ぶりは人間関係にも及んでおり、他人に対する関心が極めて希薄です。いつどこで誰にどう思われても気にせず、また自分も他人に対してどうこう思うことがありません。何も求めないが何も排斥しないために誰とでもフラットに接することができてしまい、特に同類の異常者からは歪んだ好感を持たれやすい受難ハーレム主人公体質でもあります。
キャラ紹介② 黒華ちゃん
主人公の妹のヒロインです。
白花とは真逆にネアカのハイテンションガールです。どこでも中心になれる人気者属性で、物事への感度が高く世渡りもうまいです。Youtubeに自分のチャンネルを持っていてVtuber配信と顔出し配信を両方やるようなタイプです。が、そういう長所に縁のない姉とはやや疎遠な状態が続いています。
ただしドロップアウト体質は姉と同じです。中卒で進学せずに家出して裏社会のアンダーグラウンドに潜っており、ブラックハッカーとして生計を立てています。生来の好奇心の強さからエンジニアとしての天賦の才を持っており、ハードもソフトも自在に扱えます。
「身体を蚊の群れに作り替える」という謎の体質を持っています。蚊の群れになってどこにでも侵入して飛び去ることができ、文字通りのバグとして裏稼業にも最大限活用されています。
いかにも潜入工作向きの体質に合わせて自覚的なトリックスター気質を持っており、常に黒幕として振る舞おうとする癖があります。ひっかけ待ちでリーチをかけるような奇策を好みますが、最終的にはそれもコミュ力の高さで場の盛り上げに変えてしまうことが多いです。
キャラ紹介③ ジュリエットさん
メイドで殺し屋のヒロインです。
完璧を擬人化したような人間で、暴力も奸計も何でもこなせます。別に誰かに仕えているわけではなく、美少女アニメオタクなので普段からメイドのコスプレをしています。慇懃無礼な敬語もキャラ作りの一環に過ぎず、本名もジュリエットではありません。
一見すると物腰穏やかな常識人ですが、その本性は壮絶な容姿至上主義者です。たまたま白花は美形なので優しく協力的に接してくれますが、醜い人間は足で擦ったゲロ以下くらいにしか思っていません。人権を認めないことはもちろんコミュニケーション対象としてすら認識していないため、完全に無視するのがデフォです。
また、彼女自身も自分が二人といない美人であると自覚しているナルシストでもあります。つまり強烈な容姿差別はそのまま自分への特権エリート意識でもあり、この世で最も美しいが故に最も価値のある存在は自分であると何の留保もなく考えています。まず何よりも自分第一、それ以外の全てをノータイムで犠牲にすることができるタイプです。
キャラ紹介④ 椿ちゃん
吸血鬼で公務員のヒロインです。
白花と同じゼミの出身です。かつては白花を先輩と呼び慕って後ろから付いてくる可愛い後輩でしたが、今では引きこもった白花を軽蔑して辛辣に当たってくるようになりました。
引きこもりを見下すだけのことはあり、まだ新卒ながらも極めて優秀な人材です。特に事務よりも現場で能力を発揮するタイプで、未知の事態にも機転を利かせて適切に対処できるほか、利害の一致しない相手と交渉する想像力も持ち合わせています。
ただし椿自身の自己評価は社会的な評価の高さに全く追い付いていません。むしろオールラウンダーなだけで特に突出したところがない自分に強いコンプレックスを抱えています。
保守的な優秀さはそれはそれで一つの稀な才能ではあるのですが、彼女が本当に憧れているのは平然と蛆虫を食べ始める白花のような逸脱者であり、黒華やジュリエットのようなアンダーグラウンドの住人たちにも暗い憧れを抱いています。公務員として治安を維持するために白花の周囲に集まってくる危険分子の変人たちと接触する中で、ユニークな異常者たちと平凡な自分を比べて自尊心を削る難儀な苦労人です。
キャラ紹介⑤ 遊希ちゃん
黒華の友達その一です。野球少女な元気小学生のヒロインです。
子供らしく愛らしい容姿に加えて礼節をわきまえてしっかりした僕っ娘ですが、アンダーグラウンド育ちのために倫理観がやや荒んでいます。わりと武闘派で常に金属バットを携行しており、小柄ながらも身体能力はかなり高く、いざというときは武力の行使を躊躇しません。その辺の成人男性くらいなら一撃で撲殺します。
「周囲に丈夫な蜘蛛の巣を張る」という謎の体質を持ちます。蜘蛛の巣には接触した相手を拘束する効果があり、足止めやサポートとして汎用性が高いです。いかにも発展途上っぽい支援能力は周りの年上の女性たちから重宝されると共に、有能で可愛いキッズとしてまあまあ可愛がられています。
キャラ紹介⑥ 紫ちゃん
黒華の友人その二です。眠り姫な小学生のヒロインです。
だいたいいつもパジャマみたいな服を着てすやすや眠っており、何を考えているかよくわかりません。起きて移動するときも誰かに背負われていることの方が多いです。ほとんど喋ることもなく、積極的に動くのは食事で何かを黙々と食べているときくらいです。
「周囲に蛞蝓を大量に湧かせる」という白花と似た体質を持っています。白花の蛆虫が特に食べ物によく湧くのに対して、紫の蛞蝓は水場によく湧いてきます。白花は蟲撒き散らし仲間として紫に対して珍しく一方的なシンパシーを持っており、わざわざ蛞蝓が湧いてくる風呂場で一緒に入浴したりしますが、紫は相変わらず眠ったままで実際のところ割と何でもいいと思っています。