LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

23/9/25 2023年2月消費コンテンツ

メディア別リスト

書籍(9冊)

ノンデザイナーズ・デザインブック
なるほどデザイン
PiPit!! ~ぴぴっと!!~ 2
伝わるデザインの基本 増補改訂版
紫色のクオリア
すべてがFになる
生命科学 第三版(DVD付)
世界がわかる宗教社会学入門
これがニーチェ

漫画(7冊)

BOBO
くぢら
アンデッドアンラック(1~5巻)

ゲーム(2本)

ノーモアヒーローズ3
Inscryption

 

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

(特になし)

消費して良かったコンテンツ

ノンデザイナーズ・デザインブック
伝わるデザインの基本 増補改訂版
紫色のクオリア
生命科学 第三版(DVD付)
これがニーチェ

消費して損はなかったコンテンツ

PiPit!! ~ぴぴっと!!~ 2
アンデッドアンラック
世界がわかる宗教社会学入門
Inscryption

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

すべてがFになる
なるほどデザイン
BOBO
くぢら

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

ノーモアヒーローズ3

 

ピックアップ

アンデッドアンラック(1~5巻)

電子で5巻まで無料公開されていたので読んだ。

何よりもまず絵柄とかフォントとか構図とかバトル内容の雰囲気が全部サンデーの漫画でビックリしたが、今のジャンプは割とこういう感じらしい。時代の流れだ。

主人公たちが取り組むゲームの結果によって概念的なペナルティやボーナスが地球規模で与えられるという壮大なギミックがよく描けていて、そこは非常に面白い。中盤で「地球外」という概念が初めて創造されることで遡及的に今まで世界に地球しかなかったことが発覚するところはめちゃめちゃ感心したし、全世界言語統一みたいなヤバすぎるギミックをカジュアルにやってくるところもワクワクする。設定と話を実はかなり緻密に詰めている割に、展開がめちゃめちゃ早いスピード感もよい。普通の漫画の四倍速くらいは出ている。

ただそういう大規模な展開は面白いが、小規模な否定者同士の能力バトルはそれほど面白くはない。きっちりロジックを詰めてしまう弊害なのか、想定の範囲内を出ないし後出し感が強い。こういうのは後々面白くなることも多いので、20巻が出る頃には完全無欠の漫画になっているかもしれない。

あとこれは俺が悪いかもしれないが、好きなキャラがいないのが地味に辛い。特にヒロインが可愛くないのはどうにかならないでしょうか? ジャンプ史上最も可愛くないヒロインと言えばトリコの小松だが、それに並ぶデザインの謎さである。

 

PiPit!! ~ぴぴっと!!~ 2

積ん読を崩したときに一巻を読み、二巻もギリギリ気になったので買って別個に読んだ。

主人公とヒロインがSlave&Masterという精神隷属器みたいなものを使っており、勝手に内面が伝わるからこそ逆に言わないといけないことははっきり言葉にするのが大事みたいなテーマがあるのはわかる。が、その本筋とあまり関与しないアドホックな話をわちゃわちゃやっているだけで、全体としてはまとまりがなくそれほど面白くない。

ただ2007年のライトノベルにしてはかなり珍しいことに、何の留保もなく主人公もヒロインも女性で両片思い関係を普通にやっており、しかも完結に際してちゃんとくっつけているのは感心した。まだ男性向け領域において百合ジャンルがはっきり形を成していなかった時代なので百合という言葉が使われず、「ちょっと不思議な性格をした清香と舞子のハートアクティブ学園ストーリー」という曖昧なワーディングで語られているあたりに時代特有の独特な味わいがある。

 

紫色のクオリア

遥か昔に読んだ気もするが、女性主人公ラノベを読んだ勢いで再読。

ポップな量子論でループして女の子を救う昔よくあったやつで、しかもシュタゲと同じ2009年。当時はそういうループものが本当にめちゃめちゃ流行っていた時代だったのだ。

ただタイトルにもあるように、クオリアを一つ噛ませているところがこの作品だけの独自性だ。無数のルートの可能性を通ったところで結局私が私であるという「私性」はオミットできず、そこにループの限界があることを指摘しているのは非常に正しい。パラレルワールドで他者の視点を疑似体験したところで、それは私が他者の視点を体験しているに過ぎず、本当に他者の視点を体験することは絶対にできないという、例の論文「コウモリであるとはどのようなことか」に近い論点が提示されている。

そのあたりを踏まえると構成もよくできていて、最初はもろにヒロインのクオリアの話から入って、主人公のループ能力が発現するも、最終的にはクオリアの話に戻っていく。アドホックな天与で済まされがちなタイムリープ能力の発現が、もう一つのテーマともしっかり結び付いた形でスムーズに導入されているのが非常に上手い。

まあ量子論の扱いはかなり適当だし俗流エンタメではあるが、手堅く綺麗にまとまった上で論点を拡張したお手本のような良作。流行のワンランク上を行くタイプのコンテンツなので、出た時代が少し早すぎたのかもしれない。

 

すべてがFになる

なんかもう20年くらい積んでた気がするがようやく読んだ。小説を読まない俺でも名前を聞いたことがある程度には古典名作ミステリであることは把握しているが、ミステリに詳しく無さすぎて立ち位置がわからない。

常にギミックが時間を逆行するのが特徴的と言えば特徴的ではあって、ほとんど全ての謎が「最初からいなかった」「最初から仕込んであった」「最初から別人だった」というように、事態が発生する前に既に完了していたり、事態が発生している最中にそもそも認識を誤っていたという形式を取る。特にキャラに関しては「そもそも存在していなかった(非存在)」「まだ生きてる(生)」「もう死んでる(死)」という三つの相がくるくると変わっていくのをそれなりに面白く読んだ。

ただまあ全く予想外というほどでもなく、そういうミステリもあるよねという感じではある。そこまで高く評価される作品なのかどうかはよくわからなかったが、スターウォーズと同じようにパイオニア的なポジションなのだろうか?

 

生命科学 第三版(DVD付)

大学に入ったとき買わされて棚の奥で生き残っていた本。大学に入って初めて受けた講義が生命科学だったので若干の思い出がある。

生命科学は必修で受けて以来触れていなかったしそんなに興味もなかったが、たまたま少し前のサイゼミでみそ氏からゲノムに関する面白い講義を聞いたところだったので捨てる前に読み直してみた。

当時読んだよりもだいぶ面白い。主に細胞分裂や発生について扱っており、DNAとRNA、遺伝子、タンパク質合成みたいなところを学んだが、とにかく人体はよく出来ているということがわかった。特に感銘を受けたのは誤り訂正機構の存在で、DNAを用いた作業が誤る前提で検出や修正の機構を付けておくという、極めて現場的な発想が人体に組み込まれているというのは信じがたい。インテリジェントデザイン仮説を信じる方向に少し傾いた。

ついでにmRNAとかの話がちょっとわかるようになったため、コロナワクチンとかに対する科学リテラシーがちょっと上がった。RNAを注入したところでDNAに影響を及ぼすことは出来ないとはいえ、体内の生産機構に勝手に設計図を投げて便乗するという発想が凄いな。

 

世界がわかる宗教社会学入門

これも長いこと積まれていたがようやく読んだ。

大学生くらいの宗教に無知な若い日本人が知っておきたいトピックが詰め込まれており、最初に宗教を妄信とみる態度を批判してむしろ知性の現れであると断ずるところはなかなか熱い。

誰でも知っておくべき教養レベルの内容ではあるのでわざわざ細かく挙げるほどでもないのだが、印象的だったところとして、「よく勘違いされているが仏教は輪廻転生を導入した宗教では別になくて、むしろインドでは一般的だった輪廻に対して解脱という逆張りをしたのが特殊だった」みたいな話とかはなかなか面白かった。

 

これがニーチェ

サイゼミのために再読。

今読むと、記憶にあるより遥かにわかりにくい文章だ。昔読んだとき一生懸命頑張った貯金のおかげで問題なく読めるが、初見だったら相当厳しい。

簡単に書こうと思えばもっと簡単に書けるはずなのに、いちいち話をわかりにくくするように書かれているというか、たびたび細かく留保するので話が一直線に進まないし、まだ説明していない概念を平気で書いてくる。「ここがニーチェのすごいところで……」という感慨を定期的に挟んでくるが、そのすごい理由をイマイチすっきり説明しないので、永井が感銘を受けていることしかわからない部分が多い。

内容自体はさすがに名作ではあって、自分の思想の一部を定義している本ではある。俺の強者論はだいたいここに書いてある。

 

BOBO・くぢら

今ではだいぶ有名になった道満晴明が20世紀に出した最初期のエロ漫画。昔まんだらけで買って死蔵されていた。

古いだけあって絵は稚拙だしあまり面白くもないが、このレベルの漫画が流通していたことに時代をめちゃめちゃ感じる。今のエロ漫画はクオリティが上がりすぎた。絵柄も今とは全然違って、睫毛がやたら長く目もぱっちりしている感じだ。昔格ゲーをやっていた漫画家は明確にこの絵柄を使うことが多く、俺は勝手に「ゲーメスト系」と呼んでいる。10mo、中平正彦小川雅史あたりが今でもその残滓を残している。

エロ漫画なのに何故か日記漫画がぼちぼち載っている自由ぶりで、あとがきが若い。自分の漫画がつまらんことに悩んだり、「いつかビッグになってやる」みたいなことを書いていたりする。あれから四半世紀、もうだいぶビッグになってるぜ。

そういえば、高校生くらいの頃はGヒコロウとか雑君保プみたいな界隈の日記漫画に憧れていた時期があった。大人になってもぷらぷらゲーセンに行ってるようなダメな大人が魅力的に見える時期がある。そのまま憧れ続けてなくて良かったとは思うが、客観的に見たら今の俺は同じような状況なのではと思わないこともない。

 

ノーモアヒーローズ3

ノーモアヒーローズシリーズの大ファンなので正統派ナンバリングの新作ということでかなり期待していたが、表面だけ真似て作った全然面白くない二次創作みたいな本当に悲しいゲームだった。

とにかく濃くて芯が通った魅力的なキャラクターたち、そんなキャラがギャグを交えて軽快に殺し合う姿から垣間見えるハードな矜持が大好きだったのだが! 敵が宇宙人で全編ギャグという訳わかんねーことになって全てが終わってしまった。記憶に残る新キャラが一人もおらず、過去作のキャラを出してくる割にはその扱いも最悪で過去の栄光に縋ることにすら失敗している。

アクションを含めたゲーム部分は過去作よりはだいぶマシになっているが、そもそもそこを期待してるゲームではない。それもマシになったとは言ってもようやく他のタイトルと同じくらいには遊べる程度で、別にそれだけで戦えるほど面白くはない。

オープンワールドなのにマップの半分以上が閉鎖されており、当然ゲームを進めれば解放されるものだと思ってプレイしていたら、制作中に力尽きてそもそも作ってないらしい。

ファミ通紹介記事より(https://www.famitsu.com/news/202104/09217398.html

このマップで赤塗りの部分がのちのち解放されるエリアじゃなくてそもそも作ってなくて入れないって有り得るのか? 一番重要っぽい中央は何なのだよ。

このシリーズはもう終わりです。今までありがとうございました。

 

Inscryption

まあ面白かった。StSみたいなアーケードランタイプのゲームかと思ったが、全然ストーリーがあってモキュメンタリー風の演出まで入ってきて驚いた。

ストーリーが進むに従って、ゲームルール自体がちょっとずつマイナーチェンジするのはカードゲーム系のゲームとしてはだいぶ新鮮。アーキタイプも色々と登場するのはいいが、バランスは大味で強くなる楽しみはそんなにない。3/3でけっこう強いくらいのサイズ感なのに100/100くらいまで育てたウロボロスがワンパンで全てを終わらせるし、オーブと電力は手間がかかる割には出力が低くてあまり使う機会がない。

StSを上手くストーリー仕立てにしているし演出も一流だとは思うのだが、肝心のストーリー内容そのものがわかりにくく、細かいところで何が展開していたのかわからなかった。wikiを見たらなんかゲーム外でリアル推理ゲームが展開してたらしくてそう……って感じだった。

 

ノンデザイナーズ・デザインブック

デザイン何も知らない人が初手で読むのにお勧めの本。お題箱回(→)で書いたので引用。

バイブルみたいなポジションの本であり、フォントや彩色のような個別論に進む前に必要な基本原則を提供しています。この本に書かれている「近接」「整列」「反復」「コントラスト」の四箇条はデザイン界では誰でも知っている常識らしく、他のデザイン本でも「近接と整列の原則からすると~」「ここの反復が~」という感じで間接的に引用されていることが多いため、これを通っていると他の本も読みやすくなります。

 

伝わるデザインの基本 増補改訂版

『ノンデザイナーズ・デザインブック』を読み終わり、特にMS系ソフトで資料作りをする人が読むと良い本。お題箱回で書いたので引用。

主にパワポやWordでの資料作りを例にして応用的な考え方について更なる説明が加えられており、MSソフトの設定や仕様についても触れられているのがありがたいところです。これに限ったことでもないですが、優れたデザイン解説本はその内容自体のデザインも優れているため、説明が非常にわかりやすい傾向にあります。

 

なるほどデザイン

上記二つの本よりもっとデザイナー向け、雑誌の紙面を組むことなどを想定して書かれているデザイン本。「擬人化するといいよ~」とか「連想を活かすといいよ~」とか現場からの地に足の付いた経験的な各論が色々書いてある感じ。

職業デザイナー志望でなければ得た知識を使う機会があまりないので読まなくてもいい気もするが、とりあえず紙面が華やかで内容自体は楽しくスルスル読めるので読んでもよい。