LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

18/1/10 前期&今期アニメ感想

・鷲尾須美

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人格ではなくシステムに問題があるという状況で、システムの枠内で戦うのは無理だからシステムそのものを破壊しようというどんでん返しオチは珍しいものでもないし一期と全く同じ。一期はそれまでの過程が優れていたのと立ち眩みでフォローが効いていたから良かったけど、二期に見るべきところはない。

多分あんま関係ないけど、セカイ系絡みで少し思ったことを書く。
アニメの限界の一つとして、「どうしても名前のある登場人物とその他大勢の無名をはっきりと区別してしまう」ということがある。例えば、よくある話として滅亡する世界を救うとか救わないとかいう話題が持ち上がってきたときに、そこで言っている「世界」なるものが「本当に地球上の全てを覆う範囲」という意味での世界なのか、「主人公を中心にして登場人物を覆う範囲」という意味での世界なのかをはっきり区別するのは難しい。
物語としては前者という体裁で進むにしても、視聴者的には提示された以上の世界のことはあまり眼中にないから、結局はスケールを縮小して主人公近辺の危惧する以外の見方はなかなかできない。恐らく物語内の主人公にとってもそのあたりの事情は同じで、半径十キロくらいの友達とか街の人たちのことを思って戦うことはできても、アフリカの未開部族とか北極にいる調査隊みたいな遠くて何の縁も無い人までどうこうというモチベーションはあまりない。

これは人間の想像力の限界というか、身近な出来事を過大評価する認知バイアス的な原因と言ってもよいのかもしれない。だから別にアニメに限ったことでもなく、登場人物が存在するおよそ全てのコンテンツで言えてしまう。
いっそのこと「ミクロな個人の内面とマクロな世界の存続をスケールを超えて短絡させてしまおう」という開き直りをするといわゆるセカイ系になってくる。しかし、さっき言ったように「元々本当にマクロな世界スケールで語られる存続などないのだ(結局は身近な範囲の世界で置き換えて理解するしかないのだ)」という経験的解釈に基づけば、開き直るまでもなく世界を扱うフィクションのほぼ全てが生まれた時点でセカイ系的な様相を帯びていることになる。

結城友奈の話に戻ると、基本設定として世界自体が既に限りなく縮小しているというのは(持ち上げるほどではないけど)若干良かった。存続を危ぶまれる世界自体が最初から神樹様の防衛範囲である街一つ分くらいしか残ってないから、世界vs個人っていうスケールのギャップがある程度埋まっている。とはいえ、設定的にちょっと良いな~くらいで、本編で活かされることはなかった。

あともう一つ、11話でマジギレした風先輩が何の罪もない大赦の人に「あなたたちが人柱になれば良かったのに」って言ったのはだいぶ良かった。個人vs世界っていう対立の中で「友奈は友達だから死ぬと困るけど、絡みの薄いお前は死んでもいい」っていうスタンスをはっきりと開示したこと、登場人物と無名雑魚の違いを誤魔化さなかったのは評価できる。

そのくらいです。

血界戦線

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「日常的に世界の危機が起こる」っていう作品説明の中の「日常的」「世界の危機」という二つは見るからに矛盾してて、この両輪をきちんと走らせるのは多分そんなに簡単な話ではない。
世界の危機がコメディ的に消費されるにも関わらず、それは事態としてはシリアスであるっていう空気感を保たないといけない。具体的には、「ブリッドブリードって設定はヤバそうだけど毎回クラウスが封印してるし別に大したことはないんだろうな」って思わせてしまったらこのコンテンツは終わる。「本当にヤバい」っていう脅威感を持たせるには登場人物たちを傷付ける、敗北してからの修行パートとか死亡して退場するキャラを作るのが簡単だと思うけど、血界戦線はそれをしていない。基本的に無敵なキャラたち(特にクラウス)が一話完結で脅威を処理していくというスタイルを採用している。

じゃあどうすんねんということになるけど、漫画版は演出と画力と設定という腕力一本でこの矛盾を解決していて、作者の技量によるところが非常に大きい。じゃあ内藤氏の手を離れたアニメ版でそれができるのかっていうのを気にしてたんだけど、わりとうまくやっていたと思う。最初にオシャレ路線になってるのを見たときは「終わったな」と思ったが、まあ言うほど緩すぎる空気になることもなかった。

一応、最終話Cパートのエピローグだけは懸念していた失敗例そのものと言ってもいい。「今日もなんか起きてるけどこれはコメディだし絶対に大丈夫です」みたいなノリで堕落王フェムトの攻撃を扱うのは明確に脅威を矮小化していたが、最終話ラスト数秒だしそのくらいは許されるか。他にもロックアウト回は「虫と震災存在」という脅威がレオの決意というメインストーリーの引き立て役に終始していてイマイチだったとか漫画版に比べればまあまあまあまあみたいなところかなりあるけど、全体的には良かった。

・小泉さん

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激浅萌オタク故小泉さんにクソ絡んでいく主人公?好き

ゆるキャン

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比較的シュッとした線で描かれる女の子が好きで、なんとなく中韓系のイラストレーターがよく書いてるイメージがあるから俺の中では中韓系って呼んでるんだけど、多分イメージだけだと思う。
この前中国から留学してきたオタクに「これどう?」って中国語萌えスタンプとか中国語バーチューバー見せたら全部台湾らしいから台韓系って呼んだ方がいいのかもしれない(抜け道もあるとはいえ、中国のネットは全部政府管轄だからそんなにコンテンツが出てこないらしい)。

スロウスタート

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コミュニケーションの浅さがすごい。

・とりあえずのコミュニケーションとしてすごくどうでもいい話で盛り上がる感(「名前ネタ」よりどうでもいい話題、この世になかなかない)
・三人の主人公への興味そのものが薄い感(1対1で話そうとしないので、会話が常に3対1のいじりみたいになる)
・主人公のガチコミュ障感(局所的な会話は可能だが大局的な流れには乗れない)
・三人のガチ良い人感(いい人だから主人公みたいな異物を排除こそしないのだが、結果的にすごく浅い関係だけが残る)

この辺の関係の失敗感が妙にリアルで、「日常系でキャラが一発芸的な属性(紙を食うとか)を持つことは関係が確立するまでの繋ぎとして必要なのかもしれない」とか考えながら見ていたのだが、最後のCパートで評価が逆転した。

「一之瀬花名。17歳。中学浪人で1年遅れスロウスタートだけど私の高校生活が始まりました!」
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そりゃ確かに一年浪人して高校入ってきたらこんなんなるわ!!!
中学浪人という強すぎるエクスキューズが用意されているのであれば、上に挙げたようなペラペラ感がリアリティ抜群の有効な描写として完全に息を吹き返してくる。これを狙ってやったんだとしたらかなりすごい。
まあ、来週からこの設定が活かされるともあまり思えないので一話限りの一発ネタに終わってしまうような気もするけど、それでもこの一話の評価はかなり高い。前情報無しで見れて良かった(本当はAパートがあまりにも苦痛で途中で一度切ったのだが、ニコニコに来たときに見直した)。