LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

4/27 技術立国日本の高品質アニメ

・お題箱3

7.双葉杏やガヴリールなどのダウナー系美少女の魅力について
記事見てるとダウナー系美少女が好きそうに見えたので書いてみました
前回の相乗や倒錯の記事の関連になるかも?

仰る通り、ダウナー系美少女は概ね好きです。
これが相乗や倒錯に関わってくるかもしれないっていうのは、第一義的な美少女を「明るくて前向きで輝いている」、清純派アイドルのようなものだとしたとき、ダウナー性はそれと真っ向から対立する性質を持っているという意味ですよね。
僕のキャラの好みを簡約していくと最終的には自己完結性(外部に依存せず、独力で思考・行動する能力を持っていること)に行きつくため、ダウナー系美少女が持つ魅力については「ダウナー属性は他者への開き方が小さいという意味で自己完結性を示唆し、そこに美少女性が加わるので相乗効果で魅力的になる」という説明は可能ではあります。
ただ、前回プロシュートとチョコラータの例から書いたのは、美少女性を抜きにしても自己完結性が強い(主張が一貫している)キャラは一般的に好まれる傾向にあるのではないかということで、これが一般論として成り立つのか僕の趣味に留まるのかはよくわからないところがあります。

ところで、ダウナーだからといって自己完結性が高いとは限りません。
僕の中ではガヴリールと双葉杏はむしろ正反対の位置にいるキャラです。アニメ初期のガヴリールは自己完結性が高いダウナーキャラでしたが、双葉杏はそうは見えません。

この話を始めるとデレマス全体に飛び火してしまうんですけど、ぶっちゃけ、デレマスの女の子ってあんま好きじゃないんですよね(好きな人が多いので普段はあまり言わないようにしていますが)。

デレマスというコンテンツは、「オタク受けの最適化」が非常にうまいです。
例えば、日常系アニメで少しでも男の気配が臭いそうな描写をやるとき、彼女たちを赤面させたり「男性が苦手」みたいなことを言わせて「彼女たちは男性とは無縁だから安心してくださいね」っていう打ち消しをやるじゃないですか。冥王竜ヴァンダルギオンでもそこまで打ち消さねえよっていうくらい徹底的に打ち消してきます。
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(参考1:「純粋な人たち」に配慮するネプテューヌちゃん)
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(参考2:オタクに優しいアニメに喜ぶN・A氏)

デレマスにはこのタイプの優しさが溢れていて、「見た目はギャルだけど実は初心」「美人の自覚がない」「化粧を知らない」だの、設定の一つ一つにオタクへの細やかな配慮があります(特に4コマ劇場で顕著)。更にはオタクたちがファンアートで彼女たちを弄りやすいように、「わかりやすい突っ込みどころ」「弄るためのネタ、弱点」まで完備しているのが他のコンテンツよりも頭一つ抜けて優れているところです。

補足9:身も蓋も無いことを言えばアイドルがプロデューサーに好意的というのが既に意味不明なんだけど(プライベートと仕事を分けろ)、これは俺がヘテロ系コンテンツにあまり慣れていないからだと思う。
例えばToLoveるとかのラブコメで主人公対ヒロインの一対一の関係の中で恋愛が都合よく進むのはまだわかるんだけど、艦これとかデレマスで社会的な上下関係を不特定多数の女性に対して当たり前のように恋愛関係に結び付けるのは、個人ではなく世界観にまで関係の異常さが拡張されてしまうのでかなりの違和感がある。
この辺は次回以降に書くかもしれない。


あらゆる属性に優しさを混ぜ込み、バファリンみたいにして出荷する職人芸は素直に凄いと思うんですが、それがあまりにも徹底しているが故に却って彼女たちがオタク受けを考慮したシステマチックなキャラクターであるというところが鼻についてしまって、どうにも好きになれません(それを言ったら他作品のキャラも商業戦略から生成されているわけなので、これはやや悪意的な認識と言われても仕方ないんですが)。

そういう事情で、双葉杏のダウナー性っていうのは「弄りどころとして最適な属性」として付加されたように見えてしまって(=現実依存)、僕が「自己完結性」と呼ぶところの「虚構内での自律性」とは真逆の方向を向いているように見えてしまいます。
それらをはっきり分ける根拠みたいなものは無いので、僕の邪推でしかありませんが、そういう区別もあるという話でした。
デレマスが好きな方だったらすいません。

・続き/ゲームのレベリングとセッション性

前回は一般的なコンシューマーゲームでのレベリング事情について、

・ステージが一方通行でない(同じ場所に留まったり、前に通った場所を再び通ったりできる)
・無限のレベル上げを認めている
・最強のデータを作れる

という特徴があるという話をした。

さて、アーケードゲームではポケモンのように同じ場所でうろうろして無限湧きする敵を淡々と倒すようなプレイはまずできない。
これは商業的な理由によるもので、ゲームセンターとしては、アーケードゲームのプレイ時間は短ければ短い方がいいからだ。ちゃっちゃと終わってちゃっちゃと次の100円を入れるか次の客に回してくれた方が儲かるわけで、無限湧きする敵を倒し続ける客が一日中筐体を占領したら商売が成り立たなくなってしまう。
そのため、アーケードゲームでは(無限に遊べるコンシューマーゲームとは異なり)原理的にプレイ時間が有限になるように作られる。

カプコンは元々がアーケードゲームの会社だからか、今でもこの精神を受け継いだコンシューマーゲームを作ることが多い。具体的には、『GODHAND』や『デビルメイクライ』がそれに該当する。
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これらのゲームは敵が無限湧きしない上に一度通ったステージには戻れないので、一回の周回で倒せる敵の数や上げられるレベルには実質的な上限が定められている。
そのため、プレイヤーの関心は(ポケモンのように)最強に育てたデータを作るというよりは、一周あたりのプレイをうまくやるという方向に向きやすい。ポケモンの「廃プレイ」はひたすらにステータスの高いキャラを作っていくことだが、GODHANDの「廃プレイ」はプレイヤースキルを極め、どこまでも効率よく周回を行うというものになる。一連のワンプレイを追求するという意味で、俺はアーケード系ゲームの一周のプレイを指して「セッション」と呼んでいる。

ちなみに、このように無限に稼げる/稼げないが分かれる要素は経験値以外にもゲーム内通貨(大抵はアイテムの所持数や回復可能回数に直結する)などがあるが、そういった各ステータスに「無限性」を付与しない方法については、

・ステージを後戻りさせない
・敵を無限湧きさせない
・時間制限を付ける

などが考えられる。
上の二つは既に書いたので時間制限について書くと、現実の時間経過に連動して作品内で減っていくタイマーを設置し、それが尽きた時点で問答無用でゲームが終わるようにするのだ。カプコン製以外でも『リンダキューブ』などはこのシステムを取っており、GODHAND等と同様にワンセッションあたりの成績が求められるようになっている。

さて、横軸にゲームの進行度合い(Stage)、縦軸にキャラクターのレベル(Lv)を取って、ゲームプレイにおけるレベリングの様子をグラフにしてみよう。
一般的なレベリングは以下。
one
ゲームを進めると共にレベルが上がっていくという単純な図式だが、それぞれの軸について注意点が二つ。

まず、横軸はプレイ時間ではないことに注意。あくまでもゲーム内の進行度合いを示すので、例えばRPGならイベントや街の名前が横軸に並ぶことになる。
また、縦軸はプレイヤースキルではないことに注意。プレイヤーがキャラを操る技術ではなく、もっと単純なキャラクターのレベルや攻撃力のような数値化されたステータスを示す。軸にはLv.1からLv.100までが等間隔に刻まれるイメージだ。

アーケードタイプのゲームでは後戻りが許されないのでストーリーを進めレベルを上げ続ける以外に行動の余地がなく、概ね上のようなグラフを描くと言える。

次に、ポケモンやFFなどのコンシューマーゲームのレベリングの様子をグラフにしてみると以下のようになる。
two
今度は、グラフが蛇行しながら全体としては上に向かっていくようになる。
これは同じ場所でうろちょろしている間にレベルを上げていく様子を示している。ポケモンでシオンタウンに向かう途中、イワヤマトンネルを行ったり来たりして懸命にレベルを上げたときのことを思い出してほしい(ポケモンは金までしかやっていないので喩えが古い)。

さて、これら二つのレベリングモデルを折衷したモデルの例の一つとして、『DeadRising』について書く。
まず最初にDeadRisingのレベリングが描くグラフの形を示すと、以下のようになる。
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DeadRisingは基本的にはアーケードスタイルである。箱庭型ステージで敵は無限湧きするのだが、リアルタイムの時間制限を元にして否応なくゲームが進行してしまうので、無限のレベル上げはできない(ワンセッションはゲーム内時間で3日、リアル時間で6時間)。

しかし、GODHAND等と違う点として、DeadRisingでは死亡したときに通常の「ローディング」の他に「現在のレベルを保存してゲームをやり直す」という選択肢が現れる。少しわかりにくいが、これは「この時点で現在の周回を終了し(セーブデータも残らない)、代わりに次の周回をステータスを持ち越した状態で開始する」ことを意味する。
例えばレベル10で死んだ場合、前にセーブした場所からやり直すか、周回自体を諦める代わりにレベル10のままで次のセッションを始めるかを選べるのだ(単にセーブした場所からやり直すのではセーブ箇所から死亡箇所までで上がった経験値が全て無効になるので、レベルを累積できないことに注意)。

上のグラフでは、ある時点まではアーケード方式でレベルを上げていき、死んだところでレベルを引き継いで最初のステージに戻り、再びアーケード方式でレベルを上げ……という繰り返しを示している。

このグラフは局所的にはアーケードタイプだが、全体を眺めればコンシューマータイプにも似た螺旋を描いていることがわかるだろう。セッション単位で見れば無限のレベリングは不可能だが、複数のセッション自体を(メタな)巨大セッションと見れば、際限のないレベルアップが可能なゲームだとも言える。

補足10:クリア時の特典としてステータスを持ち越したまま周回プレイを出来るようにしているゲーム(いわゆる「強くてニューゲーム」)は多いが、それは既にクリアしたことが前提であるため、ゲームを進めるためのレベル上げとしては利用できないという違いがある。

このレベリング観って多分そのまま宗教の業とか輪廻の感覚に当てはまっていくんだろうけど(多分新興宗教はコンシューマータイプ、キリスト教はアーケードタイプ、仏教はDeadRisingタイプ)、レベリングと宗教みたいな話は次回以降に気が向いたらするかもしれない。

・お題箱URL

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墓場の王から命を受けたので、右サイドバーにサイゼリヤの座席(お題箱)を含めたリンクを整備しました。リンクしてほしい人とか、リンクを消してほしい人がいたら教えてください。
ついでに記事検索とかコメント表示も追加したんですけど、初期設定でサイドバーコンテンツがミニマムな状態になっているブログサービスってかなり珍しいですね。だいたいのブログは広告とかRSSがゴチャゴチャついてて、それを削除していくところからブログカスタムが始まるんですが。