LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

20/2/1 カクヨムで百合萌えラノベを書き始めた:皇白花には蛆が憑いている

・お題箱60

118.ラノベ読みました。とても面白かったです。
冒頭の虫食シーンがかなり臨場感があったのですが、実際に食べた事はあるのですか?

ありがとうございます。
僕がカクヨムで書き始めた「皇白花には蛆が憑いている」というラノベの1話で女性主人公が蛆虫の湧いた廃棄弁当を延々と食い続けるシーンについてです。

kakuyomu.jp

僕が人生で虫を食べたことは一度も無いです。都会育ちなので蛆虫はリアルでは見たこともありません。ただ、題材にする以上は知らないわけにもいかないので、Google検索で蛆の画像を見まくって蛆虫に関する本も読みました。普通にキツかったです。

お題箱の回答ついでに小説の宣伝をすると、あらすじは以下の通りです。

皇白花は蛆虫の湧いた廃棄弁当が主食の引きこもり二十三歳女性。愛妹からの殺害予告によって、毎日ネトフリを見て暮らすなどという白花の甘すぎる人生計画は突如破壊された!
多文化主義で白く染められた世界の裏には、極彩色のアンダーグラウンドが渦巻いていた。社会の外側から白花の心臓を狙って迫りくる、野球少女の金属バット、殺し屋メイドの拉致監禁、悪魔アイドルの四肢切断。臓器がダークウェブに流出し、レントゲンには寄生虫
それでも蛆虫片手に生き残れ。群体者のトランジスタシスを携えて!

全20万字弱をもう最後まで書き終えて予約投稿しており、2月末まで毎日20時に更新され続けます(失踪者が多い素人ネット小説業界では完結保証はバリューが高いらしい)。
結構時間と魂を削って書いたし、僕はこれが世界で一番面白いラノベだと思っているので読んでくれると嬉しいです。1月はオールインしてほぼ毎日ずっとこれを書いていたので身動きが取れませんでした。

ジャンル的には百合萌えラノベで成人女性の主人公が美人と美少女たちにモテまくる話で、概ねわたてんみたいな感じです。
若干あらすじとのギャップがあるんですが、これは宣伝詐欺みたいなやつじゃなくてマジな基本コンセプトです。全編通じて台詞のある男性キャラは一人もいませんし、ギスギス展開のない優しい世界です。拷問とか傷害は結構やるんですけど、そのくらいで仲が悪くなったりはしないので軟弱な百合オタクも安心です。拷問した人とされた人がその日の晩には一緒にデートに行きます。

また、このブログを読んでいるような人(?)にも興味を持ってもらうためにネタバレにならない範囲で思想的な背景に言及しておくと、基本線として「表社会にはリベラルな風潮と人権派政策が蔓延している一方、それに嫌気が差した人たちがアンダーグラウンドに裏社会を組織し、世界が二分されている」という構図があります。
登場する萌えキャラはだいたい皆アンダーグラウンドに生息しているので、個性を尊重する多元主義の社会体制に対しては大なり小なりアンチ姿勢を取ります。その内実は様々で、暴力に走りがちだったり差別意識を内面化していたりという外向きのものもありますが、アイデンティティ概念そのものを疑問視していたり主客の区別を破壊できたりという内向きのものもあります。
例えば、現在の最新話では顔が良い女性が顔が良い女性を口説くんですけど(百合ラノベなので)、相手に「かわいいね」って言うために自分が外見差別主義者で素朴なヒューマニストを軽蔑していることと、更に弱めの独我論を支持しているために他者との共感的な合意を全て棄却することを表明します。

f:id:saize_lw:20200201161729j:plain

僕はこの小説を非常に面白いと思っているので、ついでに話したいこと・話せることは山のようにあるんですけど(これが他人の小説だったらいつものように一万字くらいゴチャゴチャ書きます)、自分の小説に関する話ってしてもいいのかしない方がいいのかよくわかりません。これTwitterしてても結構悩むんですが、自分で自分の小説の説明するのってかなり寒くないですか?

話す内容にしても、作中世界に関する裏設定だったり引用元の説明だったり批評的な事柄だったり(自分で自分の小説の批評を!?)、たぶん色々種類があるんですが、いずれにしても、少なくとも完結する2月末までは自分からはあんま喋りません。と言いつつ、今まさにブログの文章で喋っているんですが。

最後にちょっと面白かったこととして、前に読者からキャラクターの行動について僕は全く考えていなかった解釈を提示されたことがありました。そのとき「それは全然違うんだが」的なことは全く思わなくて、目から鱗というか「俺は鈍くて気付かなかったけどこの行動ってそういうことだったんだ」と普通に感心しました。
ロラン・バルトではないですが、「作者は何ら特権的な存在ではないので読者が行う解釈の真偽を決める立場には無い」という普段取っているスタンスが自分の小説でも一貫することを知って地味に感動したという話でした。