LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

25/9/5 名前だけ知ってるカードゲーム体験会(ゴシドラ夏合宿レポ)

夏合宿

お盆休みでオタク夏合宿に行ってきた。

元々はドラフト合宿だったような気もするが、最近はカードゲームを引退した人や料理・観光・宴などのサブコンテンツを目的にしている人も増えてきて混沌としている。他の人のレポは以下。
goshi-goshi.hatenadiary.orgnote.com俺もカードゲームを引退して久しいので稀に数合わせでちょっとドラフトする以外は酒を飲んだり本を読んだりしてかなり適当に過ごしているが、今回は「(暇なオタクが大量に集まるのは)名前だけ知ってるカードゲームを色々体験してみるのに手頃だな」と思ってカードゲーム体験会みたいなやつを企画した。

色々準備していたが、実際にやれたカードゲームはバトルスピリッツ、遊戯王、Grand Archive TCG、めめめのくらげ、NIKKE NIVEL ARENAの5つ。ドリームオーダー、ロルカナ、Lycee overtureは時間が足りなかったので冬合宿に回される予定。

評価
①面白さ:遊びたくなる面白さがあるか
★★★:今後も機会があれば遊びたい
★★☆:一日遊ぶ分には満足できる
★☆☆:もうあんまやりたくない

②新鮮さ:カードゲームの新しい知見が得られたか
★★★:根本的な新しさがあった
★★☆:多少の新しさがあった
★☆☆:新しさはほとんどなかった

③体験価値:遊んでみる価値があるか
★★★:遊ぶべきだと勧められる
★★☆:遊んでもよいと言える
★☆☆:遊ぶ価値はほぼない


カードゲーム

バトルスピリッツ

www.battlespirits.com【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★★】
昔からカードショップにずっとあるけど実際に遊んでる人は見たことないタイトル。17年前にローンチされているらしく、遊戯王ではシンクロ召喚登場頃に生まれたと聞くとかなり最近のような気もしてくる。

補足597:遊戯王ジジイすぎてざっくり「シンクロ以前が過去、シンクロ以後が近代」みたいな認識をしているが、シンクロが登場したのは2008年だ。つまり遊戯王においてはシンクロがなかった期間が9年、シンクロがあった期間が17年であり、シンクロ以前は全て黎明期に括った方がまだ正確というのが実情。

Amazonで叩き売られていた最近のストラクを購入してプレイ。
www.youtube.com何も知らないので政治家の橋本侑樹さんが解説してくれる動画を視聴すると、ルール自体は割とオーソドックスなマナ制であることがわかる。
マナにおはじきを使うことだけやや異様だが、毎ターン増えていくおはじきを消費して呪文やスピリット(クリーチャー)を使っていくのはよくある感じだし、アタックやブロックのルールも標準的。
少し独特なポイントとしては、召喚したスピリットの維持にも常にマナがかかることがある。維持に費やすマナを増やすことでパワーや能力を強化でき、マナを使って新しいカードを展開するか既存のスピリットを強化していくかという選択肢に面白みがありそうだ。

しかし、ここまでの話はあくまでもバトスピリリース時点での基本ルールに過ぎない。
17年の時を経てゲーム体験は凄まじい奇形化を遂げており、その有様は「契約グランウォーカー」という異常なカードタイプに集約されている。
一言で言えば、契約グランウォーカーとはMtGのプレインズウォーカーだ。挙動もコンセプトもフレイバーも同じすぎるということはバトスピwikiでも指摘されている(→)。

フィールドに留まり続けて自身の上にカウンターを増減させつつ何らかのメリット効果を齎す、背景世界のキャラクターが描かれている、という共通点から、『Magic: the Gathering』に存在するカードタイプである「プレインズウォーカー」がカードデザイン上の着想の元になっていると思われる。
この「プレインズウォーカー」という語を訳すと「次元を渡り歩く者」となり、これとほぼ同義の名称を持つ系統である界渡も創界神と同時に登場している。

俺のストラクにはギデオンみたいな契約グランウォーカーが入っていた。毎ターントークンを生み出しつつ、ゲームが進むと全体バフをかけたり、たまにクリーチャーになって殴りにいったりもする。

既視感

だが、契約グランウォーカーはプレインズウォーカーよりも圧倒的に強力だ。ルール上で考えられる限りの優遇を詰め込んだ性能をしており、具体的には契約グランウォーカーというカードタイプ自体に以下の基本性能が全て与えられている。

・初手に持っている状態からゲームを開始できる
・マナコストがゲーム開始時のマナより小さい
・原則として他のカード効果を受けない
・死んでも何度でも復活できる

つまり契約グランウォーカーは絶対に初手にあるし絶対に1ターン目から出せるし異常に固いし万が一死んでも即復活する
これは強力なカードというよりはもはや実質的なリーダー制の導入に等しい。すなわちルールはそのままに異常なスペックのカードタイプを新設することで、根本的なゲーム体験のリデザインが行われた形跡が窺える。

一応軽く歴史を調べてみると、最初にグランウォーカーが登場した時点ではこうした優遇は特に存在しなかったらしい(「契約」が頭に付かないただの「グランウォーカー」だった時代の話)。
とはいえプレインズウォーカー系の強力な置き物カードの常として、「盤面に定着してゲームに多大な影響を与え続けるため、引いた人と引かなかった人の格差が激しすぎる」という問題がある。「じゃあいっそ全員が最初から確実に使えるようにしてやりますよ」という開き直った調整が加えられて現在の契約グランウォーカーに行き着いたようだ。
こうしてゲーム体験を一変させた契約グランウォーカーにはユーザー間でも未だに賛否両論があるらしく、ネット上には契約グランウォーカーを期に引退した層までもが散見される。しかし更にカードデザインやデッキ枚数に変更を加える超巨大アップデートが直近でも行われるらしく、何となく遊んだバトスピはたまたま大テコ入れの激動期にあるようだ。

以上のようなルールと歴史を踏まえつつ、バトスピのプレイ感は遊戯王や旧シャドバのような煮詰まった現代カードゲームらしいものになっている。

基本的にテキストが長大かつ複雑で、1:1交換を旨とするアドバンテージ概念は既に崩壊している。その辺のクリーチャーを出すだけでも1枚が3枚くらいに増えるし、特に鳴り物入りで導入された契約グランウォーカーのアドバンテージの取り方は圧巻の一言。たった2マナで設置したあとはトークンを無限に出しながら中盤以降は毎ターンついでのように3ドローする無法ぶりだ。

そんな大量リソースによって往復3ターンも経った頃にはだいたい常にリーサルが見えているようなゲームスピードなのだが、そこで「絶甲氷盾(ぜっこうひょうじゅん)」なる超性能の防御カードが勝負を分ける。

だいたい同じ

これは遊戯王で言うところの速攻のかかしみたいなやつで、相手ターンのバトル中に手札から捨てるとバトルフェイズが終わるので確定で生き残れる。極まった征竜環境がそうだったように、バトスピも相手ターンは絶甲氷盾でリーサルを凌いで返しにこちらから逆リーサルをかける進行になる。
よって真に勝敗に絡むのは、契約グランウォーカーを含むパワーカードというよりは手札に引いてきた絶甲氷盾の枚数だ(カードデザインの目論見通り、契約グランウォーカーはお互いに初手に持っているのでそこではあまり差が付かない)。
少なくとも初心者がしばらく遊んだ限りでは絶甲氷盾を引いた枚数で決まるゲームにプレイングの腕が出るかどうかは微妙だったが、やたらテキストが長い派手な効果のカードを色々使える楽しみはあった。

総じて大味なカードゲームではあったが、17年も続いてきたカードゲームの現在地として見ると興味深く、遊んでみる価値はかなり高かったと言える。

現代遊戯王

www.yugioh-card.com【面白さ:★☆☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★☆】
10年ぶりくらいに遊戯王の構築戦をプレイ。ドラフトは稀にやることもあるが、デッキを組んで遊ぶのはだいたいクリフォート以来だ。10年も置くともう何もわからなくなっているので名前だけ知ってるやつとして体験されるカードゲーム枠に入った。

遊戯王の構築済みデッキは昔からイメージ重視で完成度が非常に低いためパーツ取りが主用途であることが知られていたが、最近は時代の流れでようやく「タクティカルトライデッキ」とかいうまともに戦えるストラクを売り出すようになったらしい。
俺はイビルツイン、とりでマンはエクソシスターを購入してそのままでプレイ。気付けばキャラ萌えも進んでおり百合デッキ二つで戦えるのも嬉しいところ。

ただ、最先端の遊戯王はかなり面白くなかった。率直に言ってゲームにならない試合が多すぎる。
二人とも遊戯王経験者ではあるので一通りの展開くらいは勉強してきているのだが、どちらかがブン回るともう完全制圧になって圧倒的に勝ってしまうのだ。エクソシスターがブン回るとイビルツインは一回もリンクを出せないし、イビルツインがブン回るとエクソシスターは一回もエクシーズを出せない。

イビルツインが完全制圧したとき
エクソシスターに完全制圧されたとき

オープンハンドと妨害枚数だけで勝負が決まるのでプレイングが特に絡まず、勝っても負けてもくじ引きをしているようなものでお互いに「これ面白いか?」という感じになってしまう。
大抵のゲームは色々文句を言っていたとしてもなんだかんだ勝てば嬉しいものだが、現代遊戯王は勝ったところで自分が初動を引いて相手が妨害を引いてないだけなので特に嬉しくない冷え方はなかなか凄いものがある。

一応、お互いに事故ったり妨害し合ったりして二人とも満足に動けないケースでは健全なやり取りが生じてゲームっぽくなることはある。
例えばエクソシスター側のマルファ展開に妨害が当たってストップしたあとイビルツイン側が墓地に触らずに攻めていったり、逆にイビルツイン側のキスキル展開が妨害で止まったときにスプライトを上手く使って耐えの盤面を築いたり、そういう細かいアドリブのやり取りに頭を使うことはある。
ただそれはそれでお互いに全力では全然動けていないので、せっかく練習した気持ちいい動きが繰り出せないという不満が残る。

結局、「(どちらかが)全力で気持ちよく動ける」と「ゲームプレイの腕が出る」が二者択一になっているのだ。どちらかが全力で気持ちよく動けてしまうとゲームにならないし、ゲームになっているときはどちらも気持ちよく動けていない。
たぶん「相手の出鼻を挫いて満足に動かさせない」という初動妨害がやり取りの主要な争点になっていることに問題があるのだと思う。このために「お互いにフィニッシャーをぶつけ合って鎬を削り合う」という通常のカードゲームらしい大バトルが発生しないわけだ。

そんなわけで気持ちよさや楽しさを求める初見さんには非常に厳しい反面、玄人が楽しめるように練られていたポイントもいくつかある。

まず、対人対戦の異常なつまらなさに反して家で一人回しをしているのはけっこう面白かった。
note.comこういうnoteや解説動画を見ながらイビルツインの展開を練習していたのだが、色々な選択肢の中から状況に応じたルートを洗練していくのは考えがいがあって面白い。様々なカードの組み合わせから理解度に応じて戦略が増えていくように緻密に設計されていることが窺える。
最初はキスキル召喚からスタートして相手ターンにトラブルサニーを構えるくらいの動きしかわからなかったのだが、解説資料を見ているうちにマスカレーナや下級スプライトの誘発即時を構えて強い盤面を作る方法がわかり、そうなるとギガンティックスプライトやスプライトスターターの制約も上手く許容できる。そうやって色々な発見が連鎖していくように大量のカード効果のシナジーを管理しているのはかなり凄いと思う。

またさっき書いたような、お互いに上手く動けずにグチャグチャになった局面も玄人が楽しめるのはわかる。
デザインが想定している一番気持ちいい動きを繰り出すわけではないとはいえ、逆に言えば細かい効果を使ってアドリブじみた対応を仕上げていく読み合いや思考はかなり深い。
泥臭いやり取りではカードの隅っこに書いてあるよくわからないマイナー効果が意外と活きてきたりするし、リンク召喚とかいう拡張性の鬼のようなシステムもあって行動選択肢は常にかなり広い。押し付け合うクソゲーの裏では繊細なやり取りが生じるように丁寧なデザインが仕込まれていることは感じる。

総じて、初心者が軽く遊ぶにしてはゲーム体験があまりにも悪すぎるにせよ、腰を据えてやり込むなら無限に考える余地がある良ゲーのような気はする。
この体験を経て、マスターデュエル勢が「マスデュエはブン回したら勝ち、妨害されたり相手が回り出したりしたらサレンダーすればOK」とかたまに言っているのが全く冗談ではないということがよくわかった。
細かいやり取りは興味ないけど練習した一人回し展開を人間相手に気持ちよくやりたいカジュアル勢は一定数存在するはずだし、そう思ったときには礼儀を気にする必要がなく試行回数を稼げるオンラインラダーマッチが最適だ。そういうゲーム性からオンライン対戦の需要が生じるというのはかなり面白い。

Grand Archive TCG

www.gatcg.com【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★★】
FaB勢の間で密かに人気が高まっているらしい海外産カードゲーム。英語版しか存在しないので流通が限られておりゲッタ~に買ってきてもらった。

まず圧倒的な長所としてイラストが凄まじく良い。俺が知っているカードゲームの中で最も良く、別にプレイしなくてもカードを集めてもいい水準にある。

ええやん

しかもChaosTCGのようなレベルアップ要素もあり、リーダーキャラに3段階の進化が用意されているのがキャラゲーとしては非常に嬉しいところ。

俺が好きそうなキャラ

国産美少女TCGは長らくエロゲー文化圏の支配下にあったため、美少女TCGと言えば未だに古典国産萌え文法が強い(例えば途中から美少女展開に舵を切ったZ/Xは未だにエロゲー絵師を主戦力としている)。
しかしGrand Archiveは海外産だからか中韓ソシャゲ寄りのエロゲー文化圏から脱した美少女イラストに仕上がっていてとても嬉しい。俺はLyceeとかヴァイスを眺めながら本当はこういう感じの美少女カードゲームをずっとやりたいと思っていたような気がする。

ゲームプレイは極めて独特かつ玄人向け。

大雑把には最近多いリーダー制のカードゲームだが、ドロー進行やマナ支払いのような基礎システムからあまり見たことがない難解な仕様が多く組み込まれている。

まずドロー進行として、毎ターン通常ドローとは別に11枚のサブデッキから任意にカードを一枚選んで使用できる。
つまり毎ターンサイドカードを手札に加えられるようなもので、行動選択肢が異常に多い。手札にないカードをゲーム外から使用できる相棒系のメカニズムは再現性を高めすぎる劇薬であることが知られているが、このゲームではむしろ最初からお互いに大量の選択肢を与えて対抗札でさえも持ってこられるようにすることでリスクを抑えながらリターンを取ろうとしているようだ。

マナの支払い方も非常に独特。FaBと同様にターンごとに蓄積するマナが存在せず、毎ターン手札を使ってコストを支払うのだが、かといってFaBのように支払いごとに手札を失うわけではない。
ちゃんと説明すると長くなりすぎるので骨子だけ書くと、マナの支払い方が二種類ある。テンポを失う支払い方とアドバンテージを失う支払い方があり、それぞれが相互作用するのでかなり考えてカードを管理しなければならない。まだ完全には理解できていないが、たぶん他のカードゲームにはないセオリーがあるのだろう。

総じてイラストが非常に良い上にルールは高度で玄人向けだがよく練られている。ポケポケをやっているような層にまでは絶対に流行らないと思うが、カドショに住んでいる年齢高めのカードゲームおじさんには流行ってほしいゲーム。
俺がもしカードゲーマーとして戦っていくつもりがあったなら間違いなくGrand Archiveにオールインしていたと思う。オススメ。

めめめのくらげTCG

mememe-tcg.com【面白さ:☆☆☆】【新鮮さ:☆☆☆】【体験価値:☆☆☆】
村上隆プロデュースの同名アニメ映画が原作のカードゲーム。
何故かストラクが存在しないという極めてチャレンジングな売り方をしており、やむを得ずゴッシーがメルカリで買ったカード束を元にプレイ。

ルールはよくあるマナ式カードゲーム以上でも以下でもないシンプルなもので、このゲームに特有のポイントは見受けられない(強いて言えば「負のエネルギー」という独自要素はあるが特筆するほどのものでもない)。カード効果もバニラかそれに近いものしかなく、キャラデザの何とも言えなさがそのまま全てに波及している感じだ。

今回遊んだ中でゲームプレイは最も面白くなかった。人生で一番つまらなかったカードゲームの一つ。
戦闘ルールレベルで打点差を覆す手段が特に存在しないため、こちらのデッキに入っていない6000打点のカードを出された瞬間に敗北がほぼ確定する。それが出る前に勝ち切ることもできないのでマッチングした瞬間に勝敗が決まっており、わざわざプレイする意味がなかった。

実質ワンキルくん

適当にその辺のカードでデッキを組んだのが良くなかったのかもしれないが、それも元はと言えばストラクが発売されていなかったのが悪い。すなわちストラクを作らなかったために制作側の想定デッキをユーザーに提示できず、望ましいゲーム体験が得られなかったという因果の流れがある(こちらとて可能な限り想定通りの遊び方で楽しみたいと思っているので、他のカードゲームは全てストラクのリストでプレイしている)。
ストラクを売らないということは入手性以上にゲーム体験も毀損するのかもしれないというのは一つの学びではあった。

NIKKE NIVEL ARENA

nivelarena.jp【面白さ:☆☆☆】【新鮮さ:☆☆☆】【体験価値:★★☆】
あの背中(ケツ)で魅せる大人気美少女ソシャゲNIKKEのカードゲーム版。
去年販売された、アクスタと一緒にプレイする謎のカードゲーム『NIKKE DUEL ENCOUNTER』とはまた別の独立した商品である。

これとは別

NIKKE NIVEL ARENAの方は知らない人も多いかもしれないが、それもそのはずで韓国で先行販売されていて日本語版は入手ルートが限られているらしい。よくわからんがマイナー通販で見つけてストラクを確保した。

NIKKEは好きなので期待しながら遊び始めたが、ゲームプレイは非常に面白くなかった。人生で一番つまらなかったカードゲームの一つ。
めめめのくらげは試合の流れが単純すぎて面白くなかったのに対して、こちらは制作者が何を考えているのかわからないタイプの面白くなさ。まともに使えないカードが多く存在しており、使っても何も起きない装備品や、自分のフィールドを圧迫して1:2交換することでテンポもアドバンテージも効率良く失えるスペルなど、ジャンクとしか思えないカードの数々が常に手札を圧迫する。
遊戯王第一期とかによくあった「これはいつどうやって使えると思って刷ったんですか?」と問いたくなるカードが多すぎる。カードゲーム黎明期に制作側もこれは何が面白いのかまだよくわからないままノリだけで適当に効果を考えていた時代の手触り。

カード効果の謎っぷりに加えて、マナに関する基本ルールも輪をかけて意味がわからない。
一見すると毎ターンマナが増えるオーソドックスなマナ制カードゲームかと思いきや、このカードゲームでは「自分の盤面に存在するカードのコスト合計の上限が使用可能マナ数」という通常とは全く異なるマナ管理ルールが採用されている。つまり3マナ使えるターンには自分のカードは合計3コストまでしか盤面に出せないし、5マナ使えるターンには自分のカードは合計5コストまでしか盤面に出せない。
このとき何が起きるのかと言うと、使えるカードが全然スケールしていかないのだ。4マナ使えるターンに4コストのカードを置いたとして、次の5マナ使えるターンには盤面でのコスト合計は5でなければいけないので、1コストのカードしか追加できない。
ここで5コストのカードを使うためには4コストのカードを廃棄する必要があるのだが、そこで何か補填があるわけでもない。意味不明の一言。

唯一の加点要素としてイラストはけっこういいのだが、それも元のソシャゲからの流用っぽいのでこのカードゲームの加点要素ではない。
令和にこんなに面白くないカードゲームが新しく作られることあるんだ」という新鮮な驚きがあったのと、NIKKE自体はかなり好きなので体験する価値は割と高かった。

おまけ

カードゲーム以外にも新しいアクティビティが色々あった。

スマブラチーム戦

【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★☆】【体験価値:★★★】
Twitterでは「大人になっても飲みに行くんじゃなくて集まってスマブラとかしたいよね」などというエアプのツイートが定期的にバズるが、実際に大人同士で集まってスマブラを遊んでも別に言うほど面白くないことがよく知られている。
スマブラを初めて遊ぶやつはちょっとやり込んだやつに基本勝てないし、ちょっとやり込んだやつはVIPまでやり込んだやつに基本勝てないからだ。スマブラ自体は初心者同士だったとしても他のアクションゲームで蓄積した腕の差がはっきり出てしまうし、子供の頃のように対等に勝ったり負けたりできるというのはまだ皆が若くてスキルが拮抗していた時代の幻想でしかないのである。
一応ハンデシステムもあるにはあるが、それも楽しさにはあまり貢献しない。結局ミクロな操作技術で差が付いているのだから、常に手玉に取られている中でラッキーパンチが当たるかどうかというゲームになるだけだからだ。ハンデ戦のレバガチャ勝ちはダイスを振っているのとそう大差がない。

と思って俺は長らく大人スマブラをかなり敬遠していたのだが、今回の合宿で発明されたチーム戦がソリューションであることが判明した。
つまりやり込んでいるスマブラーに対しても、初心者スマブラー二人が組めばきちんと腕が出るという意味でちゃんとゲームになる。

スマブラーたち

チーム戦ではミクロな技術以外にもマクロな技術に論点が生じ、それは主に位置取りとタイミング取りとアイテム取得の三点がある。

まず位置取りについて。
初心者2人で熟練者1人に対抗するときに最も警戒しないといけないのは、敵の技一振りでこちらが二人ともふっとばされる展開だ。単純に動きあたりの被害量が大きいことに加えて硬直の隙を付く機会もなくなってしまうので、これだけは絶対に避けなければならない。
よって一撃でまとめて捌かれないように意識して立ち位置を散らす必要がある。相方が地上にいるなら空に飛び、相方が右にいるなら左に回り込む。相手も挟み撃ちを見越して崖を背負いたがるようになるので、そうなったら一人が突撃してもう一人は飛び道具で支援する形が良い。
いずれにせよチーム組は相方の動きをよく見て違うムーブをしていることが大切になる。別動で撹乱して相手にプレッシャーをかけ続けよう。

次にタイミング取りについて。
チーム戦では敵か味方の技ヒットが持続している間に殴り込んでいく動きが強い。近年のスマブラでは弱攻撃スタートの繋ぎが自動でコンボみたいになってやたら長く、敵の熟練者がそういう技や掴みで相方をしばいている間に急いで攻撃を当てれば味方を救出できる。逆に相方が敵に何かを当て続けている間に加勢してもダメージを稼げて良い。
このタイミング取りは位置取りと相反するのがよく出来ている。位置取り理論によるとチームを組んでいる味方同士はなるべく散っているのが望ましいのだが、あまり遠すぎると殴り込むべきタイミングで殴り込めなくなってしまうので、これらを総合した適度な距離感が求められる。

最後にアイテムについて。
最近のスマブラではアイテムがやたら強力になっており、特に長時間仲間が増え続ける召喚系アイテムが露骨に強い(モンボとアシフィギ)。
チーム戦で人数が増えるとアイテムを拾いやすくなる効果が大きく、それもミクロな操作技術というよりは「ちゃんと拾いに行く」というマクロな動きで実力差是正に貢献してくれる。ちなみに一人が足止めをしてもう一人が拾いに行くという分担戦略も開発されそうだったが、そもそもタイマンで足止めできるならチーム戦になってないのでそれはあまり意味がなさそうだった。
アイテムが強力なことによって、レベルの低いCPUを一人増やすだけでもアイテム確保役として活躍してもらえるため、実力差調整のレパートリーを増やすのにも役立つ。

総じてスマブラはチーム戦で遊ぶことでパーティーゲームらしくマクロな技術を問うゲームにできるのがかなりよく調整の自由度も高い。
初心者同士を組ませてもいいし、それで拮抗しないのであれば更にCPUを足したりそのレベルを変えたりすることで適度なバランスを作り出せる。ハンデなんて変えなくていいから人数を変えろ。

なおチーム戦では長い持続と判定を投げつけられるホムヒカの横Bが異常に強く、初心者勢が揃って横Bを放ち続ける厨プレイが横行した。

厨技ブレイズエンド

ヒカリの横Bで走り回るのも判定が巨大な上に大きく移動できるので位置を散らせて強い。タイマンではいずれも後隙が大きく回避が容易そうな雑魚技に見えるが、位置取りとタイミング取りが重要なチーム戦における適性はかなり高い(ちなみに見た限りではリトルマックがチーム戦最弱)。

川釣り

【面白さ:★★☆】【新鮮さ:★★★】【体験価値:★★★】
合宿後にF中くんに誘われて川釣りに行ってきた。
F中くんは普段から釣った魚を捌いたり摘んだ山菜を調理したりする野生寄りの強力なケイパを持っており、俺とゴッシーとゲッタ~もイクラを使う小さい魚(名前忘れた)の川釣りを教えてもらった。
結局魚は釣れなかったし前夜に夜更かししたせいで途中で力尽きて寝ていたのだが、河川敷を移動するスキルが高まった経験がかなり良かった。

訪れた河川敷は人が遊ぶ用の整備などは特に行われていないタイプの場所で、ここに辿り着くまでにも足元が見えない草むらを掻き分けて進む必要がある。

ガチの河川敷

この写真だけ見ると石を足場にすれば容易に移動できそうに思えるが、これらの石は意図して設置されたものではないため実は見た目より遥かに気難しい。
固定されておらず踏んだ瞬間に傾いて転倒させてくる罠の石が多くあるほか、水面近くや水中では苔が生えていて一瞬で足が滑る。足が濡れることを許容して川底を進むにしても均されたりも特にしていないので、場所によっていきなり滑ったり沈んだりして全然スムーズに移動できない。

最初は移動のコツが掴めずに転んで出血したり爪が剥がれたりとかなり手こずっていたのだが、次第にコツを掴んで慣れていった。
まず足場として信頼できる石を見極めることが重要だ。完全に体重を移す前に軽く踏んで確かめつつ、滑り具合も足先か目視で検討を付けておく(多少の苔なら靴底で擦って剥がしておいてもいい)。また、滑ったり転んだりしたときにリカバーに使える足場も事前に見つけておくと、二手連続で失敗しなければ耐えられるようになる。

こういう死なないけど出血程度の怪我をする範囲で失敗しながらトライアンドエラーで身体を使って動きを覚えていくのが何年ぶりかわからない懐かしさでとても良かった。
大人は怪我をすると大変だから筋トレでもフットサルでもとにかく怪我をしないように徹底しているし、それは危険な遊具が撤去される傾向にある現代の子供もそうだろう。クリーンになった都会と令和では特に整備されていないガチの河川敷で怪我しながら学ぶという体験の価値は非常に高くて良かった。

別に釣ってないけど店で食った鮎