LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

24/10/18 お題箱回180:東大生の変人ぶり、互恵の論理、DCG課金etc

お題箱回180

1266.東大生はみな変人であったり偏った部分があるみたいな言説はそれより劣る人が生み出したルサンチマン的発想だと思いませんか? 以前東大生が変な言動をしたりするのを取り上げたテレビ番組を見かけて、その時東大生のイメージを固定化しようとしてて不快だな〜と思い、以来この考えが時折頭をよぎります
自分語りになってしまい恐縮なのですが私の父もこの番組をみていて、「やっぱり頭が良すぎるとどこかしら人と違う部分があるんだろうな〜」みたいに言ってていやそれは普遍的に人はどこかしら偏りがあるに決まってんじゃんって思いました
つまり優秀であろうとなかろうと人の性質は幾重に重なっていて一意には言えなくないですか。という話です
また、lwさんの周りの東大生に常識的な感性の持ち主や(如何にも変人と呼ばれそうな行動や人格でないという意)また如何にも東大生らしいと世間でされる言動をする人はいましたか?そのあたりも是非お聞きしたいです

仰っていることはなんとなくわかるのですが、だいぶややこしい話になります。
結論として東大生が変人である傾向は明確にあります。が、多くの人は東大生の変人さを理解できる水準に達していないため、東大生を単に「言動が変な人」にカテゴライズするしかなくて、そのルサンチマン的発想のような言説に辿り着くことになります。

だいぶ話が複雑なので架空のエピソードで説明します。
テレビで謎のおっさんが意味不明な単語を並べてよくわからないことを喋っているとき、テロップでは「つまり、〇×▽?が@¥>@?で、〇×>@▽>@?……」みたいな感じの記号列が表示されることがよくありますよね。そのテロップは「この話は意味不明である」ということを示すもので、スタジオでは芸人が「いや何言うとんねん!」とか突っ込んで笑いが起きてそこで話が終わります。
でもスタジオに紛れ込んでいた若い東大生は謎のおっさんが言わんとしていた内容を理解していて、収録が終わったあとに謎のおっさんに後ろから近付いていって「あれって要するに世界の連続性を表現するために位相を導入するってことですよね?」とか話しかけます。それで謎のおっさんはちょっと笑顔になって「そうそう、それを一旦式に起こしてみるとさあ……」とか言って普通に会話が続いたりして、謎のおっさんはもちろん東大卒なんですね。

重要なのは、このエピソードを「頭が良い東大生(東大卒)が他の人に全くわからない難解な学問の話をしている」と理解するのは的を外しているということです。というのは、話が通じる者同士で感じている変人性の本質は難易度ではなく関心や推論の異常性だからです。
例えば謎のおっさんは哲学の話を形式論理学的に定式化して更に位相概念をくっ付けるというアイデアを喋っていたとして、そのアイデアの骨子をざっくり理解できた東大生も「こいつ相当偏った関心を持っている変人だなあ」とか「こいつ極めて独特なロジックを使う変人だなあ」と思いながらその哲学と位相の話を聞いています。とはいえ話の内容自体は十分理解できるので、謎のおっさんは「関心が極端に偏った変人」とか「極めて独特なロジックを使う変人」ではあっても「言動が意味わからん変人」ではありません。
一方、スタジオにいて謎のおっさんの主張を音声として聞いてはいたが、哲学に位相が接合した文脈とか意義が全然わからなかった人は、謎のおっさんがどういう関心やロジックを持っていたかという解像度にまで到達できません(意味不明な記号として表現されるテロップの解像度)。つまり謎のおっさんの本当に変なポイント(なぜか哲学に位相を結び付けたところ)を認識できず、「終始意味の分からない言葉を発していた変人、言動が意味わからんいわゆる変人」というカテゴリーに入れることになります。

たぶん投稿者(の父上)がイメージしている「頭が良すぎて言動が変」みたいなものの真相はそんな感じです。
改めて書くと、「東大生には知的能力に裏打ちされた独特な関心や思考回路の異常性を持つ変人は多い、ただしその異常性を理解できる水準にいる人は多くないので結果的に『言動が変な人、いわゆる変人』として認識されがち」というメカニズムです。

補足556:一応質問に合わせて「東大生」という主語を使いましたが、もちろん東大以外にも同族は稀によくいるので「東大によくいるような感じの人」などに適当に読み替えてもらってもよいです。
 

1267.あんなこと言ってても池っち店長のこと実は好きですよね?

好きにも色々ありますが、少なくともその解像度で聞かれる意味では好きではありません。

1268.自分の属しているコミュニティに気が合わない、ノリが合わない人間がいるときってどうしてます?
友達の友達と気が合わないことが多く特定のコミュニティに馴染むということができずに全く人間関係が広がらないことが悩みなんですが、気が合わなくてもやり過ごす方法ってあるんでしょうかね?

自分の属しているコミュニティに気が合わない人間がいた記憶がないのでよくわかりません。全員と気が合うわけではないにせよ、はっきり気が合わないと思うことはあんまりないです。
なんかパッと読んで「人間関係が広がらない」という悩みに「やり過ごす」という方向性が対応していないことが気になりました。気が合わない相手をやり過ごしていたところで人間関係が広がるとは思えないので、気が合わない人がいないコミュニティが見つかるまで探し続けるか、気が合わない人と辛うじて気が合う部分を頑張って探すか、気が合わない人とも接触を躊躇わないようにマインドセットを変えるかみたいな話のような気がします。

1269.本物の拓也さんが降臨されたみたいですが、どうですか?

偽物かと思っていましたが平野店長が認証していてかなり驚きました。元気そうでよかったです。

1270.筋肉があると、家庭なり職場なりで重い荷物を運ぶ仕事とか無償でやらされて大変だったりしませんか?

私の身の回りで言うと、職場で筋トレ趣味を公言していた男性が部署の引っ越しの際に複合機を運ばされていたのですが、数人がかりとはいえ普通に怪我のリスクが高くて大変そうだなぁと思いました

それめちゃめちゃ美味しくないですか? 「こういうときのために鍛えてるんで任せてくださいよ!」ってフロア中に聞こえるように絶叫して運んだ方がいいです。

少なくとも僕が認識している人間社会には互恵の論理というものがあって、他人に何らかの効用を与えることによって抽象的な「貸し」を作ることができます。この「貸し」は直接には見えなくても長期的には信頼や便宜としてきっちり取り立てることができて、最終的にはだいたい差し引きプラスになります。
ただ脈絡なく奢ったりプレゼントしたりしてもちょっとキモいし、かといって記憶に残らない局面で貢献しても「貸し」にはならないので、ちょうどよく感謝されるタイミングで他人に恩を売れる機会は貴重です。

そういう意味で「職場で部署の引っ越しの折に複合機を運ぶ」というシチュエーションが恩を売る機会として美味しい理由はたくさんあります。
まずコスパが良くて、「他の鍛えていない人がやると大変なことを肉体的なアドバンテージによって楽にこなせる」という非対称性によって貸付よりも大きな借入を生じさせることができます。また、職場で複合機を運んでいるあたりホワイトカラー職だと思いますが、そうだとすれば普段の頭脳労働とはベクトルが異なる作業なので印象に残りやすいですし、滅多に発生しないので定常化(=陳腐化)もしません。しかも物理的に動く姿は色々な人に見られやすいですし、職場の全員が使える機材を運んでいるので理論上は全員に恩を売れるなど、貸しを作るための好条件がいくつも揃っています。

これだけ美味しい案件は滅多にないとしても、筋肉による人助けは損ではなく得になることが多いです。なんか誰がどう見てもやるべきことをやっただけでは「わざわざやってあげた」という「貸し」の文脈を作れないので、多少は理不尽に思えるかもしれないくらいのことをあえてやった方がいいですよ。
誤読がないように改めて強調しておきますが、僕は別に「人助けは倫理的に善であるからやるべきだ」というような話をしているわけでは全くなくて、「あるタイプの人助けをすると最終的には自分の利害がプラスになるのでめちゃめちゃ得だ」という話をしています。

1271.贈与値ってなんですか?

互恵の論理における「貸し」のことです。

1272.人生って詰んだら自殺すればいいだけなのでと以前申してましたが普通に嘘ですよね
lwさんは今でもそう考えていますか?
今の自身のスタンスを答えてほしいです

その考え自体は変わっていませんが、新たにわかってきたこととして人生は意外と詰みません。
色々なところにセーフティネットがあるし、適当に無職になっても全然リカバリーできるし、そもそも人生ってゼロサムではないのでノーリスクハイリターンな選択肢も割とたくさんあって、現実的にそういう状況に陥ることはあんまりない気がします。ただ僕の場合はそうであるというだけで一般的にどうなのかはわかりません。

1273.殺害予告をされたことあります?DMなどで

ありません。

1274.パルワールドのマイナーチェンジ、パラレルワールド

ジッバニャン?

1275.youtube shortやInstagramのリールを見たり、どうでもいいゲームをやったりしていますか?仮にしておらず我慢している場合、どのように我慢していますか?

我慢しようとしているけどたまにやってしまいます。我慢しようとするときはスマホを切ったり声を出して動いたりとかのありふれた対策を色々やっています。

1276.ハースストーンユーザーからLWさんに質問です。

デジタルカードゲームってライトユーザーですらネットから最強レシピをコピーする資産を莫大に必要とする遊び方が主流のため、一度飽きて離れたら復帰が難しすぎると思っています。(一度飽きたゲームに復帰する際10000-30000円も課金するユーザーは稀)

なのでパックをメインの課金商品にするやり方だと、どんな面白いデジタルゲームでもユーザーが厳選されていって先細りしていくだけだと思うのですが(一応HSもスキンを売ったりしてるが全然うまくいってなさそう)、ゲームプランナーの経験があるLWさんはどう思いますか?

自分はもうバトグラみたいにシーズンごとに課金したら全カード使えるようにしたほうが良くね?って思いました。

(自分ならこうするとか、こういう事情があるなどあれば教えて下さい。)

雑な質問ですみません。

全体的にロジックは誤っていますが、部分的には合っていることがいくつかあります。

まず「ライトユーザーですらネットから最強レシピをコピーする資産を莫大に必要とする遊び方が主流」という認識には異議があって、ネットのレシピを見て高いカードを適当な安いカードで代用した劣化版のデッキでラダー下層部から潜り始める人が少なくないと思います。

また、ユーザーが厳選されて先細るのは仰る通りですが、それはDCGに限らずソシャゲ全ての一般的なライフサイクルです。意外かもしれませんが、そもそもソシャゲは基本的に賞味期限があるプロダクトです。大局的には全ての指標が右肩下がりになっていくので、ある程度のところでサ終して収益源を次の新作に切り替えていくのが普通です。

そしてパック販売の利益が伸びにくいのは仰る通りですが、その理由は初心者絡みではありません。
ソシャゲの中でもDCGに固有の事情として、「常識的な課金額で任意のデッキが組めなければならない」という制約があります。普通のソシャゲであればpay to winが許容されるので「最強完凸ユニットを一つ作るには数十万円必要」みたいな課金体系が許容されるのですが、カードゲームはpay to winのゲームではないので「最強環境デッキを一つ組むには数十万円必要」という課金体系だと誰も遊んでくれず、せいぜい数万円程度で好きなデッキが組める必要があります。このためにパック販売によるユーザー単価は頭打ちになりやすいです。
そこで潜在的には数十万円課金できる金払いの良いユーザーに対して別経路での金の吐きどころを作る必要があるのですが、さっきも書いた通りカード自体を高額にはできないので、スキンやプレミアムカードなどの見た目要素で課金させるしかなくなります。つまりスキンでめっちゃ儲けるためにスキンを売っているというよりは、システム上で他にやれることが少ないからやむを得ずやっているという方が正確です。

最後に「バトグラみたいにシーズンごとに課金したら全カード使えるようにする」という施策はだいぶ筋が悪いと思います。
そもそも初心者が気軽に復帰できるようにしたいということは普通にデッキを組むよりもサブスクの方が大幅に安い必要がある、かつサブスクではカードの実物が手に入らないことを踏まえると、シーズン中の総サブスク料金は高くても通常課金額の半額くらいまでは下げる必要があるでしょう。
サブスクで全てのカードを使えるユーザーは他でお金を落とさないのでユーザー単価は恐らくそのまま半分になる、ということはこの施策がペイするためには単純計算で流入による課金ユーザー数を2倍にしなければ割に合いません。このサブスクを既存ユーザーが使うことも考慮すると、流入ではなくアクティブを倍にしなければならないかもしれません。
サブスク方向で施策を打つならば、シーズン中ではなく復帰者向けの体験期間中(一週間くらい?)に限って無償か大幅な安価で利用権を売る方が筋が良い気がします。初心者の復帰ハードルが高いという課題に対し、一時的にでも障壁を取っ払って復帰導線を作った上で、復帰後の単価を落とさずに済むからです。


何か買ってもらえると嬉しいです。www.amazon.co.jp