LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

18/3/16 新世代バーチューバーの動向

・お題箱35

53.ワキじゃなくて横乳が好きなだけなんじゃないですか?

いや、それは有り得ないですよ。これは完全否定できます。
萌えキャラの腋がいい匂いっていうのはそれなりに一般的条理を捻じ曲げているという自覚はあるんですが、萌えの起源は完全性なのでその捻じ曲げによって担保される節があるわけですね。

54.メガネの喩えにならった質問ですが、視力がよく眼鏡をかけた事のない人は「裸眼のぼやけた視界」にリアルさを感じるのでしょうか?

どうなんでしょう。
マサイ族くらい目が良くても「寝起き」とか「痒い目をこすった」とか「霧が深い」とかで裸眼的ぼやけた視界自体は発生しますけど、頻度が圧倒的に下がるので説明としてはかなり弱くなります。
僕は視力が良い人でもそういうことは起きうるとは思うんですが、そもそも僕以外にメタルギアソリッドがリアルで感動したって言ってる人あんま見ないので疑わしいですよね、実際。
ちなみに僕の視力は0.2です。

55.恋愛話振られたときどんな対応してますか?オタクコミュニティでは、そんな話になるのは極めてまれなので問題にならないですが、それ以外の一般的なコミュニティ(会社、サークル、バイト先etc)では、さも万人共通の話題みたいな形で話され、オタクからするとひじょーにめんどくさいです。ちなみに私はてきとーにお茶を濁して逃げます。LWさんの対処法も参考までに知りたいです。

小学校を卒業してから異性と知り合ったことが一度も無いって言います。明らかに掘り下げられる場所が皆無なので、これでワンキルです。
まあそれはそれで興味深いのか色々聞かれることもありますけど、言って困ることは何も無いので全部正直に答えますし、向こうが勝手に自分のことを喋ってくる分には相槌くらいは打つので、恋愛話を振られて困った記憶は特にないですね……

・バーチューバー新世代突入

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1月頃に比べればタイムラインで見かける話題も少なくなってきた一方で、個体数は増えまくっている。前回俺が「雨後の筍のように現れた~」とか言ったときは5体くらいだったのに、今100体くらいいるらしい。プロダクトライフサイクルで言うところの導入期から成長期を吹っ飛ばしてもう成熟期に来ている感じがある。
最近のやつはほとんど追えてないけど、強いてLWセレクションを挙げるなら夢咲楓。

顔が良い。
以下、キズナアイから輝夜月まで(俺が追えていた時代)を旧世代、それ以降を新世代と呼ぶことにする。

・アテレコ疑惑について

最近バーチューバーのゲーム実況にアテレコ疑惑がよく発生しているらしい。
アテレコ疑惑とは「アクターではなく別の人のプレイ動画に後から声を当ててプレイしているように見せているのではないか」というもので、ゲームプレイが怪物的にうますぎる猫宮ひなた(ガチFPSゲーマー系バーチューバー)や、実況が台本を読んでいるようにしか聞こえない夢咲がその矛先を向けられているようだ。
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俺も「アテレコよりはちゃんとプレイしてほしいな~」とか思っていたけど、考えてみれば「アクターがゲームをやれ」というのは少しおかしな要求ではある。
というのは、バーチューバーはバーチャルキャラクターだから、現実の代表者一人の人格を模すものではない。少なくとも建前上は架空の人格を再現することを目的として、アクターを代表とした様々な要素をジャンブルして構成されている(前にも触れた通り、モデルテクスチャはキャラデザ、動作はアクターというように)。そうした要素の中で「ゲームをプレイしている人」だけを特別視する理由は特にないわけで、むしろ「声を当てている人がゲームもやらなければならない」とするのはボイスアクターとゲームプレイアクターを一致させようという試みに他ならず、過剰にリアルに執着するという意味でミライアカリ中の人ガチ恋勢と同質であるような気もしてくる。

しかし、これは最終的にはもっと単純なリアリティの問題だろうということで俺の中では落ち着いた。
キャラクターが実況をしているように見せなければならないのにそう見えないというのは、ただ単にもっともらしさの整合が上手くいっていないだけだ。バーチューバーに限った話でもなく、例えばリアルユーチューバーが本当に自分で実況しているのに声のトーンやプレイ内容が色々噛み合わずにそう見えないのであれば問題であるということと同じである。バーチューバーは継ぎ接ぎの存在だからうまくやらないと不整合が表出しやすいというだけで、「要素が現実と虚構のどちらに属するか」という意味でのリアルとかバーチャルを持ち出さずとも説明が付く。

補足118:俺がわざわざこの結論を出したのは「俺はバーチューバーをアクターに帰すことなく誠実に消費している!!」というスタンスを堅持するため。

・バーチューバーの設定と立ち位置の変化について

新世代バーチューバー、特ににじさんじ勢力にはキャラクターの下に世界を伴っている者が多い。
というのは、「年齢」「性格」「趣味」というキャラクターレベルの設定だけではなく、「高校の同級生関係」「過去のエピソード」「外部でのイベント」というような(キャラクター単独では発生できない)バックグラウンドレベルの設定を持っている。
こうした世界設定は、旧世代には見られない新世代特有の特徴のひとつだ。
DXNYtMKU8AEBg5X[1]
キズナアイと電脳少女シロは初期から電脳空間に一人というスタイルを貫いているし、ミライアカリに至っては記憶喪失設定によって完全にバックグラウンドを抹消されている。多少の小道具はあれど高校でゲーム部を設立して友達もたくさんいる夢咲楓に比べると世界の強度は極めて貧弱、便宜的に必要なもの以外は基本的に供給されない。

大雑把に言うと新世代設定がキャラクター+ワールドで構成されるのに対して、旧世代設定はキャラクターだけで構成されるということになる。キャラクターはワールドの中に存在することを鑑みれば、図としては下のようなイメージ。赤い点がキャラクター一人、黄色い雲がキャラクターを取り巻く世界を表している。
BlogPaint
新世代のうち、特にキャラクターを取り巻く世界の強度が高いキャラとしては東雲めぐが挙げられる。中学生女子というキャラクターを徹底し、生放送では積極的に友達のことや外で起きたイベントを話すほか、生放送時間にまで中学生らしさを求めるというこだわりっぷりである(→)。

これは結局キャラクターの存在論的な立ち位置、所属する系がどこかという話に帰着されていくのだが、簡単のために用語を二つ定義しておきたい。

1.AW (Actual World)
2.OW (Outer World)

1.AWは我々が存在してパソコンやスマホで今この記事を読んでいる「まさにこの世界」を指す。俺やあなた、イチロー安倍総理などはここに所属している。AWは常に単一であり、ただ一つの時間軸と空間座標を持つ。
2.OWは「まさにこの世界」以外のあらゆる世界を指す。もしもボックスの世界でもいいし、想像上の世界でもいい。例えば、「荒川静香が金メダルを取らなかった世界」とか「第三次世界大戦が勃発した世界」から、「銀魂の世界」「スターウォーズの世界」までの全てが含まれる。OWは無数に存在し、それぞれが独立に時間軸や空間座標を持つ(その世界に時間概念や空間概念が存在するならば)。

結論から言えば、旧世代バーチューバーはAWに、新世代バーチューバーはOWに所属していると俺は考えている。

まず、架空のキャラクターに「AWにいるという感覚」、AW感を与えることを考えてみよう。この際に最大の障害となるのは「架空のキャラクターはAWに実在しない」という事実である。あまりにも当たり前すぎて禅問答のようだが、まずはこれを認識しないことには始まらない。AWに実在するものであればそれを目の前に持ってくれば文句なく「AWにいる感」が得られるのだが、実在しないものにはその手段が使えない。

では架空のキャラクターを直接見せるのは不可能ということになったとき、もともと何かを経由して間接的にのみ出現するような形態であれば、それを再現することは(そのものを再現することに比べれば)難易度は低いことに思い至る。要するに、ユーチューバーである。
ユーチューバーであれば元々動画を通してしか出現しないので、AWに所属していることと目の前に現れないことは特に矛盾しない。その点でキズナアイというキャラクターがユーチューバーという形態を取ったことにはかなりの合理性があった。ユーチューバーだからこそ、動画配信によって実在を隠蔽し、現前を不問に付しながら仮初のAW性を主張することが可能になったのだ。
旧世代が身の周りの世界設定を持たないことは、彼女らがAW的存在を指向したことと対応していると考えていい。AWに所属している以上キャラクター設定だけがあれば地に足を付けることができ、独自のバックグラウンドを持つ必要は特にないどころか、AWとの不整合を生むという点で邪魔にしかならない。

一方で、新世代は独自の世界設定を持つということは述べた通りであるが、これがAWなのかOWなのかということには議論の余地がある。剣と魔法のような明らかな非AW的属性を打ち出すバーチューバーは新世代にも少なく(少数ながら存在はする)、どちらかといえば割とどこにでもいる学生としてAWでも有り得る範囲での設定を持つキャラクターの方が多い。
ただ、にじさんじ勢が構成するような交友関係、東雲めぐが語ってくる友人事情は彼女らの生活圏独自の固有名詞を含んだものであるから、我々にはあらゆる意味で検証不能な領域にあるという意味でOW的と言ってしまうことに問題はないと思う(OWである日常系アニメ世界と大差ない)。このとき、先ほどのユーチューバーという形態が持つAW性という議論がただちに無効になるわけではない(依然としてユーチューバーであるということはAW的であると考えられる)が、(消極的な証拠しかない旧世代とは異なり)新世代がOWに所属しているという証拠を積極的に開示している以上は、AW性はOW性に上書きされ、「AWでの実在」から「どこかのOWでの実在」という形に変化すると考える。
BlogPaint
青い世界がAW、黄色い世界がOWを指す。仮に新世代がOWに所属していたとしてもコンテンツをAWに対して提供していること、何らかの形でAWの知覚に成功していることは認めなければならない(そうでなければ生放送はできない)。その作用の様子を緑の矢印で書いた。
ただ、OWに所属しながらもAWを知覚する存在というのはいわゆる第四の壁を破るキャラクターとして既にいくつか例がある。例えばデッドプールと新世代のバーチューバーは何が違うのかをしばらく考えていたのだが、俺にはその違いがわからなかったので同じなのかもしれない(もちろんそれはキャラとしての建前の話で、事実としては「中の人」が絡んでくるのは間違いないのだが)。

まあ結構根拠に欠ける話というか、最も厳密に言えば常識的な判断によって全てのバーチューバーはOWに所属していることは明らかなのでニュアンスを伝えるために「AW的」というクソ適当な表現を使わざるをえなかったわけで、人によって認識はまちまちだとは思う。