・Eternal Card Game(ECG)の感想
ケレセス公爵がストレスすぎたので、ケレセスが去るまではHSを休止して別のDTCGをやることにした。
どうせガチるわけじゃないからせっかくやるなら日本語圏からは遠いゲームをやりたいな~と思って適当に聞いたこともないEternal Card Gameというゲーム(日本語非対応)をDLしたら、MtGをパクり散らかしているゲームだった。
☆MtGをパクっているところ
・マナに色の概念がある
全5色、黄・緑・青・紫・赤。赤が火力で紫がドレインや墓地利用など役割もほとんど同じだが、黄がランプだったり緑にラスゴがあったり微妙な抵抗を感じる。
・マナに土地の概念がある
MtGと同様に土地カード必須で、デッキの4割は土地になる(多色土地もある)。初期設定ではデッキに自動で土地が追加されるが、上級者向けモードにすると自分で調整できるようになる。
ただ、厳密にはマナの数値=Powerとマナの色=Influenceが対応していない。例えば、1マナなのに(赤)(赤)(黄)(黄)を要求するようなカードがある。これはMtGでいう(1)(赤)(赤)(黄)(黄)とは全く異なり、払うマナ自体は1つでいいのだが、マナベースに(赤)(赤)(黄)(黄)が揃っていないとその1マナを支払えない。恐らくプレイヤーに土地をタップさせるとゲームが面倒になりすぎるので、コストの色についてはマナベースにある色を参照するだけにして、実際に支払うのは数だけに省略したんだろう。
・戦闘システム全部
戦闘をマジで完璧にパクっていて、アタック選択&ブロック選択・ダブルブロック・ダブルブロック後のダメージ割り振り順選択・フライヤーなどの戦闘の基本が全部同じ、更に戦闘で傷付いたヘルスがターン終了時に回復するところまで同じ。
・能力とカード
ambush=瞬速、overwhelming=トランプル、charge=速攻など。この辺の基本的な能力をキーワード化しているDTCGは多いのだが、ECGはカード単位でも大胆にオマージュしている。
この辺、見覚えないですか?
ちなみに下に"Fast Spell"と書いてあるのがインスタントの意(ソーサリーは単に"Spell"のみ)。
HSのオマージュもある。
・クイックエフェクトがある
DTCGにしてはかなり珍しく、自動発動ではないクイックエフェクトがあり、カウンター・コンバットトリック・レンジストライク等が存在する。スタック概念もあるので、上の画像のTorch(稲妻)にスタックでFinest Hour(巨大化)で回避とかをよくやる。
クイックエフェクト発動タイミングは非常に自由度が高く、相手が何か動けば対応してカウンターか除去、動かなければエンドステップに瞬速でクリーチャーを出したりインスタントドローというMtGのコントロールのような動きも可能。
・墓地がある
これもDTCGにしては珍しいことに普通に墓地があり、蘇生カードや墓地の枚数を参照するカードがある。
・アーティファクト・エンチャントがある
置物がある。シャドバのアミュレットとは異なり、勝手に誘発する以外にもマナコストを支払ってプレイヤーが起動するものがある(起動型能力)。ちなみにクリーチャーにも起動型能力を持つものがいるが、数は多くない。
・場に出るクリーチャーの数が(実質)無制限
ECGではプレイヤー一人あたりクリーチャーを12体まで出せる(画像は12体vs10体のとき)。MtGは制限が無いから厳密には違うけど、相当膠着しない限り12体も出すことは滅多にないので実質無制限に近い。少なくとも、シャドウバースやハースストーンのように上限数が問題になることはまずない。
☆MtGとは違うオリジナルなところ
・ステータス保存
基本ルールとして、一度クリーチャーに付いたバフは戦場を離れても永遠に継続する。
例えば、1/1のクリーチャーが+2/+2修正されたあとに死んだ場合、墓地でのステータス表示は3/3のままだし、蘇生やサルベージしても3/3のまま変わらないので強い状態が持続する。手札やデッキトップにバウンスしてもステータスがリセットされない。他のカードゲームではあまり見たことがない仕様だ。
・一部の能力
DTCG特有のキーワード能力も多く、特に"Revenge"が秀逸(後で書く)。
・マリガン
ゲーム開始時に一度だけ初期手札7枚全てをデッキに戻し、枚数を減らさずにもう一度引き直せる。何故かマリガン後の手札には土地が2~4枚であることが保証されており(マリガン前は保証されていないので土地0だったり全土地だったりもする)、最初の手札がよほど良くない限りはマリガンした方が得になる。DTCG特有の方法でマリガンのストレスを取り除いていると言えるのか?
・武器
プレイヤーが装備して攻撃する武器が存在し、HSと同じように攻撃力と装甲(耐久)が定められているのだが、挙動はかなり違って(複雑なので詳細は省く)、若干プレインズウォーカーに近い。
違いはこれくらいしかない。
ちなみにUIはそれなりに良く、MtGがPS3やiOSで配信しているMagicDuelsよりは明らかに動きがいい(MOはゲームではなくシミュレーションツールだから比較対象としては不適当)。
LW@lw_hs_sveternal card gameがハースシャドバと比べて面白いかと言われればある意味では確実に面白いんだけど、それは複雑さの面白さだから先駆者のDTCGが追求してきたものとは真逆を向いているために単純には比較できないというのが一つと
2017/10/06 01:05:56
LW@lw_hs_svルールがマジックの全パクリなのでこれはeternal card gameじゃなくてマジックが面白いのではないか?というのがもう一つです
2017/10/06 01:06:34
総評としては「パクりにしてはかなり頑張っている方」「MtGプレイヤーにオススメ」程度で終わっていたのだが、この前明確に優れている点を発見した。
これ!
"Inquisitor Makto"は最高レアリティ=レジェンドレアの黒緑5/5/5フライヤーであり、
Makto's Revenge never ends.
というテキストが格好良すぎる……格好良すぎない?
このテキストがルール文章でありながらフレイバーテキストとのダブルミーニングになっているというのが肝なのだが、それにはまず"Revenge"の説明からしないといけない。
"Revenge"はECGでも最大級のボリュームを持つキーワード能力で、以下の内容から成る。
1."Revenge"を持つクリーチャーが死亡する場合、それを墓地に置く代わりにデッキの上から1~10番目のどこかにランダムに戻す。その際"Revenge"を失い、"Destiny"を得る。
2."Destiny"を持つカードを引いた場合、即座にマナコストを支払わずに唱える。その後、1枚ドローする。
3."Destiny"を持つカードが死亡する場合、通常通り墓地に置く("Revenge"は既に失っているので機能しない)。
要するに自動再生能力で、タイムラグがあるとはいえ一度だけ完全にノーコストで復活できるのでなかなか強い。
フレイバー的には「殺したクリーチャーが一度だけ10日以内に運命(Destiny)によって復活して復讐(Revenge)に来る」。デッキの上から何枚目に入るかはランダムなのでいつ復讐しに来るかがわからない、死んだ次のターンにもう来るかもしれないしもっとかかるかもしれない(でも10日以内には来る)というのも良い。
これでMaktoのテキストの意味もわかるはずだ。
本来"Revenge"は一度しか発動しないが、"Makto's Revenge never ends."なのでMaktoは何度でもデッキトップに戻って"Destiny"能力を発動する。もちろん直訳では「Maktoの復讐は決して終わらない」であり、フレイバーとしても完璧。ちゃんと書くなら"When Makto is put into a grave, even if he had "destiny", activate "revenge" ability."くらいだろうけど、これを"Makto's Revenge never ends."で書けたのが凄い。
というのは、まず、注釈無しでアバウトなテキストを機能させるためにはテキストを自動処理できるDTCGでなければならない。マジックでも黒曜石の火心の注釈文のような例はあるが、括弧の中に小さく書かれる程度でテキスト本体は別にある。他にも初期にはテキストがフレイバーに寄っているRock Hydraのようなカードがあったものの、Maktoには及ばない。
また、そもそも"Makto's Revenge never ends."を機能させている最大の要因は"Revenge"能力がそのままフレイバーとして解釈できるほど含みのある挙動をすることだが、復讐というストーリーを表すためには上に書いたようなDestiny付与やランダムな位置に戻ることを含む3ステップの複雑な処理が必須になる。
結局、Maktoのデザインが成立するためには「DTCGが行うテキストの自動処理」「複雑な処理を必要とするトップダウンデザインのキーワード能力」という(矛盾しているとは言わないまでも他のDTCGはやってこなかった)二つの要求を満たさなければならず、DTCGの癖にマジックを真似て複雑さを追求していたECGオリジナルの功績と言える。
ECGはMaktoを刷るために生まれてきたとみて間違いない。