LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

10/23 カリオストロでシコれ

・お題箱26

37.VR空間に飲み込まれることについての質問と、原田さんの洗脳の話をもう少し詳しく聞きたいです。

大雑把に言うと「リアルとフィクションを混同する現象」がVRでは狙って起こせるから悪用したらヤバいよね~っていう話です。
「若者はゲームと現実を混同していて~人が死んでもリセットできると思っていて~」みたいなことは何十年も前から何万回も言われている(そしてエアプの戯言として処理される)んですが、HMD=ヘッドマウントディスプレイを用いたVRは今までのメディアとは段違いのレベルで混同現象を実現できることが既に知られています。

具体的な実験としてはこういう動画があります。

カメラ付きのHMDを用意し、被験者に「現実世界をライブで映しているもの」「VRで作った世界を映したもの」を切り替えながら見せると、どっちが現実でどっちがVRか簡単にわからなくなります。視聴覚情報を360度のフィードバック込みで完全にジャックしているわけですから、わかる方がおかしいです。
この動画では「エンターテイメント」とかヌルいこと言ってますけど、それで済むわけないですよね。何故か直撮りの動画しか見つからなかったんですが、もうちょっと悪意的に使ったデモンストレーションもあります。

切れ切れですがヤバめのデモが二つ含まれていて、

1.現実世界にいる女性をカメラで映していた映像が、被験者が気付かないうちにVR映像に切り替わっていて、いきなり女性が倒れたと思ったらゾンビになって襲ってきた(被験者は現実だと思っているのでめちゃビビる)
2.現実世界にいる女性が一瞬で着替えて音楽を演奏し始める。常識的に考えれば有り得ないのだが、どうしても現実世界の女性が演奏しているように感じてしまう(誰もいない空間に拍手とかする)

というものです。

これ、デモだから「ビックリ映像」で済んでますけど、いざこれをやられたときにたまたま手元に鈍器とかあったら自衛のために殴りに行きますよね。ゾンビくらいフィクションだとわかりやすいものならいいですが(良くないですが)、ちょっと危ない人が木刀を構えて襲ってくるVR映像だったら100%正常な判断ができません。HMDを装備して武器を振り回す人間の完成です。
更にはこれを応用して、HMDを外してからも何らかの影響を残す実験も考えられます。例えば、HMDを装着して前述の手法で現実と仮想を混同させたあと、「突然犬の鳴き声がする」→「弓矢がどこかから飛んできて画面が一瞬赤く染まる」みたいなことを何回か繰り返させたら、その後しばらくは外で犬の鳴き声がしたらビクッとするでしょうね。もっと洗練すればトラウマの人工製造機がシステマチックに作れるはずですし、今までオウムがやってきたようなLSDやPSIに頼らないクリーンな洗脳ができるかもしれません。

質疑で実際にどういう話をしたかは正直全く覚えていないのですが、お題箱的には聞きたかったことはこんな感じですよね。多分、彼とは今書いたことの1/100くらいの内容をやりとりしてなんとなくの合意を取ったと思います(たかが質問でそんなに混み入ったことは聞けないので……)。
ゲームクリエイターはもっとVRをエンタメ寄りというか楽観的に捉えているんじゃないかなと思っていたんですが、危険性についてもよく認識していることがわかったので「ほう」って感じでした。

38.ECGはLSV(MtGの殿堂で公式ライターで去年から公式解説者)がデザインしてるからもう公認パクリ感あるんですよね

情報ありがとうございます。デザインに噛んでたんですね。
あまりにも似てるのでウィザーズ絡んでるのかなと思って他のゲームも調べたんですけど、ポケモンカードゲーム作ってるだけで特に無さそうなので見落としてました。
MtGサイドが作ってるArena(娯楽性を追求してMOと差別化したアプリらしい)と競合しそうですが、大丈夫なんですかね……

39.近々ドラクエのハースストーンが配信されるようですが触る予定はありますか?

あります。
ガチる予定はないですが、アリーナがあるらしいので、そこでしばらく初心者を狩って溜まった資産でちょっとラダーを試して~って感じですかね。ケレセスを抜きにしてもハースストーンにだいぶ飽きが来ているのはある(少なくとも次の弾が出るまではあまりやる気がしない)ので、その分ドラパククエストをやります。
時間を投資するリターンとしてDTCGについての新たな知見を提供してくれることを期待しているので、何か新規性があるといいですね。

・ナイツ&マジックの感想

前期は野良猫ハートとプリプリしか見てなかったけど、ナイツ&マジック(の一話Bパート途中まで)も見てたことを思い出した。俺は美少女主人公過激派なので、異世界転生ものにも美少女主人公を導入したというのは評価できる。

補足73:エルくんは設定的には男性らしいけど、見た目と機能が明らかに美少女だし彼でオナニーできるので美少女扱いする。

美少女主人公異世界転生無双もの(長い)はアニメでこそナイツ&マジックが最初だけど、書籍界隈まで含めて見ればそこまで新しいわけでもない。なろう系黎明期から「スライム倒して300年~」「能力値は平均値で~」のような美主異転無(略:美少女主人公異世界転生無双)は一定数あり、まだアニメ化こそしないもののかなりの支持を得てコミック化とかもしていたはずだ。

ざっくり言えば、美主異転無は画期的というよりは妥当な流れだと感じる。美少女と無敵の相性が良いのは当然だし、成長しないキャラ=プロットのレベルで魅力を持たないキャラクターはキャラクターとしての基本ステータスに魅力を全振りするべきだ(元々俺は全ての萌えキャラクターコンテンツの主人公は美少女であるべきだと思っている急進派だが……)。

ただ、美少女と転生の相性は必ずしも良くないんじゃないかということも俺の頭をよぎる。
昔二式の方に書いた「主人公を美少女に置き換えた際に不協和を生じるジャンル」のうちに異世界転生ものも入るのではないかと最初は思ったのだが、それは多分ちょっと言い過ぎていて、まあでも、美主異転無というジャンルに若干の違和感くらいは確実に含まれているので、それについて書く。

もうちょっと一般的な話から入ると、エルくんが転生前は一般男性プログラマーだったように、特に美少女ではないキャラクターが美少女の肉体に入るパターンは結構ある。最近ではグラブルカリオストロや、「女子小学生はじめました」など。
いずれも設定上では精神が肉体に影響を受けるという要素は特になく、転生前の肉体に紐づいていた精神がそのまま美少女体に移植されたという説明になっている。美少女の肉体に美少女でない精神が乗っている状態である。

しかし、キャラクターの人格と身体はそう容易く切り離せるものではないし、むしろどちらかというと身体優位だ。

一般にキャラクターの人格と外見は一致する。釣り目のキャラはキツめの性格をしているし、垂れ目のキャラはほんわかしていると最初から決まっている。
釣り目のキャラが実は穏やかな性格をしているパターンも結構あるが、それはギャップを狙って意図的に逆向きの性格を仕込んだものであって、「釣り目」がただちに「厳しい人間」を示すことは前提として了解されているからこそ機能するのだ。

ただし、そういう傾向があるのはキャラクターに限ったことでもなく、現実でもそれはそうだ。
茶髪ワックス奴は黒髪ボサボサ奴よりも社交的な傾向が明確にあるだろうし、見た目がオタクみたいなやつの80%くらいはラブライブごちうさを見ている。見た目が不潔でも良いやつだよというフォローは可能だが、見た目が不潔なやつは大抵中身もろくでもない。俺の乏しい人生経験から言えば、見た目と性格が全く一致しないパターンはそんなにない。

しかし、一見同じように見える「身体と人格の一致」がキャラクターと現実で決定的に違うのはその審級である。
現実での人格と身体の対応は「外交的だから外ウケを狙って髪を染める」「オタクは社会適合度が低いから身なりに気を使わない」というように何かしらの因果関係を経由するが、キャラクターの場合は外見パーツ自体が記号として何らかの性格を直接指示するコードとして機能している。情報から結論が導かれるまでの過程、外見を認識してから脳内で裁かれる領域が違うのだ。

補足74:「現実と虚構で価値を定義する規則が違う(違うというか、現実では確定しているが虚構では未定)」という言い方も考えたが、まあいいか。
ちなみにそれに関連して、外見が美少女であることによって内面はどこまで上方補正されるのか(美少女性を完全に保ちながら本当に不愉快な性質を埋め込むことは可能か?)という話は前にしようとしたが、よくわからないまま失敗した。


この審級の違いにより、キャラクターの内面は外見に強く引きずられる。特に転生系キャラにおいては肉体の美少女性が精神に侵食して勝手に心身を統合し、完全なる萌えキャラとして成立してしまう。
例えばカリオストロがたまに男口調で喋るのは(男勝りの美少女キャラが荒い言葉を使うのとは異なり)単に精神が男性であった証左のはずなのだが、消費されるに際してはその口調も普通に萌え要素になる。カリオストロでシコるオタクが「カリオストロでシコってるのは外見がシコれるだけで中身は知らないから!!」という態度を決め込むのは難しい。
ゲイでもないのに男性キャラの内面に対してシコってしまうという現象についての決定的なソリューションがあるというよりは、そういう違和感を粉砕できるくらい美少女の外見は強力だということにした方が俺の感覚には合う。ただし、他の強力な力によって単に無視されているというだけで、違和感自体が消滅するわけではない(仮にカリオストロ転生前のキャラがいつか実装されたとして、転生後カリオストロと見比べて多分なんか変な気分になるであろう、そのなんか変な気分が残された違和感だ)。

ここで、その違和感を消すためには最初から美少女から美少女に転生すればいいのでは?という案がある。
実際、冒頭で挙げた「スライム倒して300年~」「能力値は平均値で~」は女性→女性の転生パターンであり、(カリオストロやエルくんとは違って)やろうと思えば美少女→美少女とすることも可能ではあるのだが、しかし、異世界転生ものに限ってはジャンル的な要求が障害となって転生前には美少女ではいられない節がある。

というのは、そもそも転生とは死んで生まれ変わるの意であり、必ず現実世界で死んでスタートしなければならないからだ。ナイツ&マジックではプログラマーの主人公が交通事故で死ぬこと、「スライム倒して300年~」でも社蓄の主人公は過労死することが転生のきっかけになっている。

補足75:どちらかというと社会背景的な話になるのであまり深入りしたくないが、異世界ものの導入として(ただ単に世界を移動するのでは飽きたらず)死亡して異世界に生まれ変わる=転生するという手続きがメジャーになっているのはそこそこ狂っているというか、素直に病的だと感じる。
俺個人としてはどちらかといえばそういう導入の方が好みだけど、これが普遍的に支持されるのには「マジか」感がかなりある。


よって、転生後に華やかな人生を幕開けるためには、死がそれほど絶望的な事態ではない程度には(死亡そのものが遺恨を残さない程度には)、現実が惜しくないような境遇でなければならないという要請が発生してくる。誰でもいいが転生前から美少女として美少女人生を謳歌しているキャラ、例えば咲-saki-の咲ちゃんが転生するために死亡するというのは、ちょっとあまりにも悲惨すぎる。

結局、肉体と精神に矛盾なく美主転異無を成立させるのは難しいという結論なのだが、実際にはその矛盾は大した問題なく勝手に処理される(ソリューションがなくても致命傷にはならない)というのは言った通りなので、早く他のやつもアニメ化してほしいという願望で終わる。

ブレンドS

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麻冬ちゃんかなり好きなんだけど話が面白くないから麻冬ちゃんが出るシーンだけ放送してほしい……
ついでなのでキャラの話をすると、

1.なりきり喫茶用の妹キャラ(仮面)
2.毒舌寄りのお姉さんキャラ(素)
3.見た目相応の子供キャラ(ギャップ)

っていう三重の全く一致しないキャラを何気に内包してるこいつは結構凄いキャラクターなのかもしれない。